FRB議長のパウエルが言うには…
「過去二回の景気後退は、金融の余剰が引き起こした」…のだという…
再び秋水経済学で検証してみよう…
現代資本主義の危機の原因は、供給と競争の過剰である…
ゆえに、企業は海外に活路を求め、自由貿易に夢を託す…
が、それは相手の国の仕事を奪ったり、相手国が追随してきてライバルと化すリスクもある。
日本車の特にエンジンで圧倒的に水をあけられた海外勢は、「エコ」を口実に電動車へのシフトを狙ってきた。
半導体においても、いまやいろいろな意味で、米国や韓国にしてやられてしまっている。
半導体についてもっといえば、すぐに供給過剰になって価格下落を引き起こして設備投資が仇になることを繰り返している。
5月頃には業績堅調と先行き明るく語られていたのに、半年と経たぬ現在、貿易戦争の影響も加わって供給過剰から価格が下落するパターンが強まっていて、半導体株のレーティングにも影響が出始めてきている。
自由貿易に活路を求めても、このようにいずれ「成長の限界」の壁にぶつかってしまうのだ。
供給と競争の過剰は、各企業に生存の危機を意識させる。だからますます供給と競争は激化していく。
アニメの巨匠、宮崎駿氏は、ディズニーとの提携で『千と千尋』による莫大な興行収入の恩恵を受けたが、ほとんどすべて次回以降の作品作りのために使ってしまったという。
これは「いいこと」なのか「わるいこと」なのか…
企業も、これと同じことをやっているのだ。
人々を豊かにするために、ゆとりを作るためにカネをつかうのではなく、さらなる成長のための投資に使ってしまうのだ。
そして、ますます世界は供給と競争の過剰が深刻化していくのである。
企業もまた労働者たちと同じように”ラットレース”に引きづり込まれてしまっているのである。
そして、生じる慢性的デフレにマネー供給で応じたところ、これまた競争を加速させていってしまうのである。
供給過剰なのだから、設備投資をしても高くは売れない。そして、そのうち安くしても売れなくなる…
でも、マネーは潤沢だ。遊ばせておくわけにはいかない…ということで、金融が発達する。
それが引き起こすのが、レバレッジと搾取(レント)である。
いずれも適正な範囲内であれば問題ないのだが、これらもまた”過剰”になっていく。
つまりは、最初のパウエルのことばになるのである。
供給過剰⇒競争過剰⇒マネー過剰⇒金融過剰(レバレッジとレントの過剰)…
こうした連鎖を追っていけば、「経済成長」だの「生産性向上」だのが解決にならないのは明らかである。
それらは、上のサイクルをますます強化し、”ラットレース”を激化させていくだけである。
しかし、アングロサクソンとか、田布施長州とかには、このことがわからないのかな?…
根本的に発想を変えなければいけない。
ここまでのグローバリゼーションで、新興国は大いに「経済成長」して、中間層も形成されてきた。
現在の先進国の「古きよき時代」の真っ最中で、資本主義の矛盾にはまるで気づかないふうだ。
現在の先進国は、国内市場が飽和しているので、企業を海外へ送り出して、そこでの「成長」を奨励した。
その結果、自国の中間層が「食われる」ハメになったのだ。
供給の過剰、競争の過剰は、形を変えて再上陸してきた。
海外の安い労働力で生産される商品に、国内産業は太刀打ちできなかった…
弱いところから潰れていった…
これに対抗するには、自分たちが低賃金ではたらくか、低賃金ではたらく移民を受け入れるしかない…
これが、「貧困の問題」であり、「移民の問題」なのである。
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