とすると、選挙運動よりも「選挙監視」をいかに行うかが一番の問題だと私などは思うが、現在では「我が身可愛さ」から若い人を中心に自民党支持は実際に増えていると思う。
それをひっくり返すには、「派遣社員」の人生を野党連合がいかに本気で変える意思があるかを示すことしかないだろう。単に選挙のためではなく、この国の人間を幸福にする意思が本当にあることを選挙公約で示すことである。それは、たとえば池田隼人の「(派遣社員)所得倍増計画」のような端的な主張と、それを実現する現実的な計画を示すことだと思う。あるいは明確に「上級国民のためだけの政治を撲滅する」でもいい。
要するに、選挙人口の中では下級国民が圧倒的多数なのだから、その人生を救う政策を真面目に提示すれば、彼らは雪崩を打って野党支持にまわり、選挙で圧勝するのが理の当然なのである。
「自民党の議席は大幅に後退しかねない」“無敗の男”が菅政権の弱点を指摘/中村喜四郎インタビュー〈AERA〉
http://www.asyura2.com/20/senkyo275/msg/816.html
「自民党の議席は大幅に後退しかねない」“無敗の男”が菅政権の弱点を指摘/中村喜四郎インタビュー
https://dot.asahi.com/aera/2020091400050.html
2020.9.14 17:35 AERA 2020年9月21日号より抜粋
中村喜四郎(なかむら・きしろう)/1949年生まれ。27歳で初当選し、建設相などを歴任。ゼネコン汚職事件で逮捕・失職も2005年に国政復帰。当選14回、衆院茨城7区(撮影/本田雅和)
自民党総裁選に注目が集まる中、新生立憲民主党は存在感を示せないでいる。だが14回当選、選挙で負け知らずの中村喜四郎議員は全く違う構図が見えると語る。その戦略は──。AERA 2020年9月21日号の記事を紹介する。
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枝野幸男氏(56)を代表とする新生立憲民主党が、9月15日に誕生する。149人を擁する野党第1党だ。
この新党に中村喜四郎氏(71)が参加した。建設相などを務め「将来の首相候補」とされるも、1994年にゼネコン汚職で逮捕。同年自民党を離党して以来、26年ぶりの主要政党への復帰となる。14回当選、かつて自民党総務局長として選挙実務を仕切った男が、今度は「野党共闘」の裏で汗をかく。「ダメな民主党に戻っただけ」との声もあるが、今度の新党の「違い」は、自民党から密かに警戒されるこの男の存在かもしれない。新党の展望、菅政権との戦い方を聞いた。
──菅義偉内閣が16日にスタートします。菅政権の行方をどう見ますか?
安倍政権の「負の遺産」も背負い込むことになる。今までは、安倍さんを神輿に乗せ、大参謀として指揮をとる凄腕の官房長官だった。だから派閥も雪崩をうった。しかし、名宰相になるかと言えば、全く別問題。安倍政権では、最大派閥細田派が足もとを支え、二階俊博幹事長、麻生太郎副総理をはじめ各派閥の利害関係がそれなりに均衡を保ってきた。しかし菅さんは無派閥。均衡が崩れたとき、誰が抑えますかね。
──早くも「早期解散」論が広がっています。
安倍晋三首相の解散・総選挙は、国民に何を問いたいのかわからない場合がほとんどだった。3年前は「国難突破」解散、その前は「消費税を上げない」解散。菅さんは何を争点とするか。迎え撃つ野党として、国民に問う争点を明確にしなければならない。
自民党の議席は大幅に後退しかねない。20か30議席減らした場合、与党の組み替えなど、政局が一気に流動化する可能性もある。選挙で言えば、野党にとって石破茂さんが一番手強い。安倍さんのアンチテーゼとしての存在に振ってくる「懐の深さ」がかつての自民党にはあった。田中角栄首相退陣後、国民の批判をかわすため、クリーンイメージの三木武夫首相を押し出すなど、絶妙なバランス感覚があった。今回は継承内閣。野党としては攻めやすい。
──自民党内の空気は全く違います。立憲民主党の合流選挙が告示される前ではありますが、朝日新聞の世論調査(9月2、3日)では、「誰が首相にふさわしいか」との質問で菅さんが38%(前回3%)。自民党の政党支持率も40%(同30%)に上がり、立憲民主党は3%(同5%)存在感がありません。
地元を歩くと、有権者の声はマスコミの世論調査とは全く違いますがね。安倍政権の公文書改ざんや新型コロナ対策の失敗に、厳しい批判が多い。その調査結果は選挙まで続くか。急激に上がった数字は急激に下がることもある。
──中村さんは「野党が共闘すれば小選挙区100議席も可能」と公言しています。その戦略は?
3年前は、野党が立憲民主党と希望の党に分かれたが、それでも289の小選挙区のうち59の選挙区で野党(系)候補が当選。当時の希望と立憲、共産、社民4党の票を単純に合わせると、84の選挙区で、野党が自民・公明の与党を上回った。今度の総選挙は、維新も与党入りする可能性があるので、3年前の比例票をこの3党で合わせると2892万票。一方で野党4党を合わせると2611万票。その差はわずか281万票、9.8%の差しかない。共産党も合わせた4党で選挙をやると、全く違う構図が浮上する。小選挙区で100議席をとり、比例区も合わせて200議席台にのせれば、全465議席の衆院の過半数が見えてくる。
──共産党と本当に連携できるかという疑問もあります。
野党4党で話を重ねるうちに、共産党は変わってきました。「野党共闘で行くしかない」との方向へ舵を切った。これまで新潟、埼玉、高知、東京の4都県の知事選を、4野党が協力して戦い、「1勝3敗」。うまくいかない部分もあるが、各党とも手応えは感じている。私が呼びかけ、4党の党首にお酒も入れた懇談会を4~5回、幹事長・書記長や政調会長懇談も合わせると8~9回はやったかな。
ただし、政権が射程に入ってきたら、憲法、外交、防衛問題などを突き詰めることになる。責任ある政権ができないとなれば分かれるしかないが、現段階で共産党を排除する理由は全くない。
(構成/朝日新聞社・菅沼栄一郎)
“与野党伯仲”状態だったら、自民党は石破茂さんを選んだ/中村喜四郎インタビュー
https://dot.asahi.com/aera/2020091400053.html
2020.9.15 08:00 AERA 2020年9月21日号より抜粋
中村喜四郎(なかむら・きしろう)/1949年生まれ。27歳で初当選し、建設相などを歴任。ゼネコン汚職事件で逮捕・失職も2005年に国政復帰。当選14回、衆院茨城7区(撮影/本田雅和)
9月10日、枝野幸男氏は合流新党の立憲民主党の代表に選ばれた。次の衆院選で勢力を拡大できるか、手腕が問われる (c)朝日新聞社
枝野幸男氏(56)を代表とする新生立憲民主党が、9月15日に誕生。149人を擁する野党第一党となる。与党と議席数を競り合う「与野党伯仲」の状況も見えてくる。AERA 2020年9月21日号では、この新党に参加した中村喜四郎氏(71)にインタビュー。かつて建設相などを務め「将来の首相候補」とも言われた中村氏に、新党の展望などを聞いた。
──「与野党伯仲」とはどういう状態なのか。安倍政権の「1強」国会しか知らない若い人にはピンと来ません。
伯仲になったら公文書の秘匿や偽造なんてできませんよ。河井前法相夫妻の1億5千万円の選挙資金の問題だって封印できない。特定秘密保護法、共謀罪、集団的自衛権の解釈など、「1強」なら突破できた問題がすべて審議、調査のテーブルに載り、自浄能力が動き出す。伯仲状態だったら、自民党は間違いなく石破茂さんを出した。そうでなければ、選挙を乗り切れない。菅さんのまま行くというのは、国民の疑惑の目なんて気にすることはないという判断です。
やはり(与野党議席差は)「50」ですね。委員長だって野党が4割くらいとりますよ。政権交代の可能性が出てくれば、役人だって「忖度」の必要性はなくなるでしょう。
──「安倍政権は国政選挙6連勝だった」と言われますが、その実態は「棄権に救われた」との指摘がある。昨年の参院選も、比例区の票を200万票以上減らしています。
投票率低下が安倍政権の最大の勝因です。国民を無視しても選挙に勝てるという構造を作り上げ、「諦めさせる政治」作りに成功した。最近、団塊の世代ジュニア(45~49歳)より若い人たちが人口全体の半分を超えたそうですね。この世代にとって、就職氷河期、少子高齢化、この国は将来不安ばかりが残る。投票に行く人は与党に入れ、あとは冷ややかに棄権する。
──そういう人たちの視線を政治に引き戻すために、野党は何ができますか。
本気になって闘うしかない。この国の野党は、若い人たちに本気だと思われていない。一か八か。生きるか死ぬか。選挙に対する執念燃やして、与党に向かう。そこが有権者に通じれば「保革伯仲」が実現し、国会が変わる。国民が自分たちの考えを実現するには保革伯仲の緊張感が必要。それが政権交代につながる重要なプロセスだ。
──「投票率10%アップ」の署名運動を7月から呼びかけています。
85人の議員が動き、2カ月で5万7、8千人の署名が集まりました。私が集めた署名では、家族ぐるみのものが多く、若い人も目立っていました。立憲民主党の党員・サポートの人数は超えたことになる。次は共産党の28万人、公明党の44万人、将来は自民党の108万人を目指します。投票率を上げると同時に、野党の人たちが選挙民に飛び込む「どぶ板(選挙運動)」をやろうという狙いがある。選挙のやり方そのものを変える運動です。
──中村さん自身の14回当選の基本である「どぶ板」を、広げようという狙いですね。今の若い人たちの選挙はどうですか?
選挙は党がやるものという意識が強い。私たちの世代は、選挙は自分でやるもんだと思っていますが、この差が国民を向かない政治になり、「1強」を許しているんじゃないでしょうか。与野党共に。
──「原発ゼロ社会を1日も早く実現」が合流新党の綱領案に盛り込まれたことは、アピールになったと思います。ただ、これに反発して「電力総連」の組織内議員らは合流新党には参加しませんでした。せっかく新党が発足するのに、22人が不参加。「ああ、また分裂か」と、有権者をがっかりさせました。
「分裂」では、ありませんよ。22人の人たちとは、引き続き話し合いをします。「原発ゼロ」は乗り越えることができる政策課題です。次の選挙は「オール野党」で戦いますよ。以前にも枝野さんと話しました。「私もそう思っています」。枝野さんはそう答えました。
(構成/朝日新聞社・菅沼栄一郎)
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