韓国で 原発周辺住民が甲状腺がん発症、原発側に賠償命令
韓国の裁判で10月17日、コリ原発から10キロ内に20年間住んでいた住民の甲状腺がん発症に対する責任がコリ原発にあるという判決が下されました。「原発は事故が起きなくても、日常的に放射性物質を放出して健康に危害を与える施設である」という事実を法的に認めた重要な判決です。
◆ 原発周辺住民が甲状腺がん発症、原発側に賠償命令
(2014年10月18日 朝鮮日報日本語版)
原子力発電所の近くに住んでいて甲状腺がんを発症した住民に対し、原発側が賠償する責任があるという判決が下った。釜山東部地裁民事2部(チェ・ホシク裁判長)は、釜山市機張郡に住む女性(48)が甲状腺がんを発症したことについて、原発の責任が一部認められるとし、原発を運営する韓国水力原子力(韓水原)=韓国電力公社の子会社=が女性に慰謝料1500万ウォン(約151万円)を支払うよう命じる判決を下した。
地裁は判決理由について「原発から5キロ以内に住む女性の甲状腺がん発症率が、30キロ以上離れた地域に比べ2.5倍に達するなど、甲状腺がんの発症は放射線にさらされていることが決定的な要因となっていることが知られている。
原告は原発の近くに住んでいて、原発から発生する放射線に長期間さらされたことにより、甲状腺がんを発症したものと考えられる」と述べた。
機張郡にある古里原発から7.6キロほど離れた所で20年近く暮らしてきた原告の女性は、2012年2月に甲状腺がんの診断を受け、韓水原を相手取り2億ウォン(約2000万円)の損害賠償を求める訴訟を起こしていた。
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◆判決文全文:韓国古里原発、甲状腺がん認定資料、李さんを日本に招聘しよう!
(2014年10月31日 OCHLOS)から抜粋
韓国における甲状腺がんの発生の責任は古里原発にあるとする判決文
原告パクの甲状腺がんの診断
(1)原告パクは2012年2月ごろ、東南圏原子力医学院で甲状腺がん(甲状腺の悪性新生物)の診断を受け、2012年2月2日に入院し、2012年2月3日に、甲状腺全摘出および中心部のリンパ節の清掃手術を受けて2012年2月14日に退院した。
(2)原告パクは今後、放射性同位元素治療を受けながら甲状腺ホルモン製剤を一生服用しなければならない状態である。
関連の医学知識および統計
(1)甲状腺がんの特徴
甲状腺がんの最も重要な危険要因は、治療による放射線被ばくと環境災害による放射線被ばくであり、被ばく放射線量に比例してリスクが増加することが知られている。(2)疫学調査の結果
ソウル大学医学研究院原子力影響・疫学研究所で2011年4月、教育科学技術部に提出した「原発従事者および周辺地域住民の疫学調査研究」の結果によると、原発からの距離が遠いほど、甲状腺がんの発生率は減少しており、原発周辺地域(原発から5km以内)の女性住民の甲状腺がんの発生率は、遠距離対照地域(原発から30km以上離れた地域)の女性住民の2.5倍にのぼることが分かった。◆ 原発周辺地域の甲状腺がん被害者
共同訴訟原告募集開始(プレスリリース)去る17日、コリ原発周辺地域10キロ内に20年間住んでいた住民の甲状腺がんの発症に対する責任がコリ原発にあるという1審の判決があった。これは、国内で最初に癌の発生に対する原発の責任を認めた判決として、原発事故が発生してなくとも、放射性物質を放出する原発が健康に危害を与える施設であるという事実を法的に認めた判決である。
原子力発電所は、日常的に気体放射性物質と液体放射性物質が排出される。気体放射性物質はフィルターを通してはいるが、それに引っかからない三重水素とノーブルガス(アルゴン(Ar)、クリプトン(Kr)、キセノン(Xe)など)は、そのまま環境に放出され、液体の放射性物質は、リットル当たり50ベクレル(1秒に一度核崩壊する放射性物質の放射能の強さ)の濃度以下で海水で希釈して、温排水と一緒に海に流す。
放射性物質の放出基準が別に用意されているが、原発周辺地域の制限区域を基準に、年間線量基準で管理している。制限区域は、軽水炉の場合700m、重水炉の場合914mに設定して、甲状腺等価線量では年間0.75ミリシーベルトであり、有効線量では年間0.25ミリシーベルトの基準を適用して、この基準以下と評価できる放射性物質を放出している。
しかし、法的基準値内の放射線量であっても、原発周辺に放出される放射性物質による住民の被ばくは、原発周辺地域の住民のがん発生を増加させてきたことが確認された。
ソウル大学医学研究院原子力影響・疫学研究所が2011年に教育科学技術部の依頼で提出した「原子力従事者と周辺地域住民の疫学調査研究」によると、原発周辺地域(5キロ内)住民のがん発生が対照地域に比べ、全体的に増加したが、特に女性の甲状腺がんの場合、統計的に有意に対照地域に比べ、2.5倍ほど増加したことが確認された。
この報告書は、全体の20年の追跡調査の中で、最近10年間に研究対象者の約60〜70%が集められ、その過程で、既存の癌患者がみな排除されることで、起こりうる癌の発生に関するデータが縮小される可能性があり、これを補完するなら、原発によるがん発生の相関関係はさらに増加するものと予想される。
原発による甲状腺がん発症の責任に対する裁判所の判決文には「加害企業がある有害な原因物質を排出し、それが被害者に到達して損害が発生した場合、加害者側ではそれが無害であることを証明できない限り、責任を免れることはできないと見るのが、社会公正の概念に適している」という最高裁判所の判例を挙げ、例えがんの発生が法的基準値以下の放射性物質の放出によるものであっても、法的責任があるという判断をした。これまで原発周辺地域でのがん発症により苦しんできた住民が原発に責任を問う道が開かれたということだ。
ここに、私達は被害者の共同訴訟を通して、原発の癌発生の責任を問う計画だ。
<原発周辺地域の甲状腺がん被害者の共同訴訟原告募集>
*原告資格:各原発の放射能緊急計画区域(8〜10キロ)内に3年以上居住したことのある甲状腺がん発症者
*原告申請期間:1次2014年11月30日2014年10月23日
キョンジュ環境運動連合、プサン環境運動連合、ソウル大学保健大学院職業環境健康研究所、ヨングァン原子力発電所の安全性確保のための共同行動、核から安全に住みたいと願うウルチンの人々、核なき世界のための医師会、環境保健市民センター、環境運動連合
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