言うまでもなく、戦争は最大の消費活動であり、戦争によって大きな需要が生まれ、低迷していた産業は回復するというのは理の当然である。馬鹿馬鹿しいほど自明のことだ。だが、それが戦争を正当化する理由にはまったくなりえないことも自明だろう。
簡単な話、その戦争で死ぬのがあなた一人で、その「尊い犠牲」によって日本が空前の経済的繁栄をする、と神様があなたに約束したとして、あなたはそれを喜んで受け入れ、「お国のために」死んでいくか、ということだ。死んだら、英霊として靖国神社に祭る、というサービス付きである。www
要するに、戦争は経済回復の特効薬であるのは確かだが、その利益を得るのは幸運な人々であり、そのために死に、家を焼かれ、家財や家族を失う膨大な人々がいる、という当然の話をしているのである。それでありながら、「経済回復のために戦争を期待する」発言をするキチガイ連中が日本の政治や経済の中心にかなりな数で存在する、という日本のキチガイ国家ぶりを私はこれまで書いてきた無数の記事の中で批判しているのである。
麻生を擁護する人間、それは安倍を擁護する人間と同じ層だが、彼らを私は人間の皮をかぶった悪魔か、でなければ動物レベルの知能の持ち主だと思う。
(以下引用)
見過ごせない麻生財務相の戦争発言 二極化・格差社会の真相(日刊ゲンダイ)
http://www.asyura2.com/16/senkyo205/msg/183.html
見過ごせない麻生財務相の戦争発言 二極化・格差社会の真相
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/180285
2016年4月26日 日刊ゲンダイ 文字お越し
麻生財務相(C) 日刊ゲンダイ
例によって全国紙やテレビは見て見ぬふりを決め込んだ麻生太郎副首相の妄言が、やはり重大な意味を帯びつつあるので書いておく。さる3月22日、首相官邸で催された「国際金融経済分析会合」の席だった。
この時期の安倍晋三政権が海外の経済学者らを招いて教えを乞うたのは周知の通り。特にスティグリッツとクルーグマンの両ノーベル賞受賞者には消費税増税延期のお墨付きをいただく狙いだったとは本欄でも指摘したが、クルーグマン氏は同月末、オフレコ部分も含む議事録を公開していた。
それによれば――。
「1930年代の米国も(現在の日本と)同様に、デフレでありました」
レクチャーの後の質疑応答で、麻生氏が切り出した。大恐慌以来の惨状にあって時のルーズベルト大統領はニューディール政策で乗り切ろうとしたものの、企業経営者の設備投資意欲の減退が30年代の末まで尾を引いたうんぬんの知識を披露。しかるのち、こう続けたというのである。
「(米国の)難問を解決したものは何だったか? 戦争です! 第2次世界大戦が、米国にとっての解決になりました。デフレマインドにとらわれた日本の経営者も、考え方を切り替えて設備投資を始めるべきだ。私たちはトリガーを求めている。それが最大の関心事です」
対するクルーグマン氏は、第2次大戦が大きな財政刺激策になった事実を認めつつ、次のように返した。戦争を待ち望んででもいるかのような麻生氏が、見事にたしなめられた構図と言うべきか。
「イエス、言うまでもなく、私たちは戦争ではない方法で、そうしたこと(財政刺激)を成し遂げようとしているのです」
またぞろ漢字も読めないアホぼん大臣の脱線、で済ませるわけにはいかない。今月15日、つまり熊本がマグニチュード6.5の大地震に襲われた翌日の記者会見で、菅義偉官房長官が憲法に「緊急事態条項」を盛り込みたい意向を明言したからである。
政府が状況次第で国民の人権を制約し、三権の分立を一時停止できるとする条項だ。大災害時における権力の集中等は災害対策基本法で十分に認められているし、先の東日本大震災でも、復興に必要なのは政府でなく自治体の裁量権だとの認識が、被災地では常識になっているにもかかわらず。
大災害と見れば便乗し、利用することばかりを最優先。経済成長のためなら戦争を期待して恥じない。こんな政権には一刻も早くお引き取り願おう。
斎藤貴男ジャーナリスト
1958年生まれ早大商卒業、英国・バーミンガム大学大学院修了(国際学MA)。『日本工業新聞』入社後、『プレジデント』編集部、『週刊文春』の記者を経て独立。弱者の視点に立ち、権力者の横暴を徹底的に批判する著作を出し続けている。消費税の逆進性を指摘する著作も多数。「機械不平等」「安心のファシズム」「戦争のできる国へ 安倍政権の正体」「ちゃんとわかる消費税」など。
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