森山崇士(下の名の漢字はこんなだったか?)のツィートで知った記事の一部で、アフター・コロナの世界、特に世界経済を考察する手がかりになりそうなのでメモしておく。
なお、「ウッドショック」とは、新コロの影響などで木材価格が異常な高騰をしていることのようだ。これは木材だけの話ではなく、あらゆる生活必需品の世界的な価格高騰の先触れだろう。これは輸出国より輸入国の受けるダメージが大きい。つまり、「他国の生産品をあてにしていられない」状況がこれから来ると予測できるわけで、下の記事はその備えとしてのヒントになる。
先に「ウッドショック」の説明になる記事から転載する。少し長いが、「生産・加工」業というのはいろいろな「縛り」があって大変だと分かる。とにかく、「日本は貿易の世界での弱者である」という一点を知ればよい。つまり、海外貿易だけに頼らない経済システム(極論すれば鎖国経済)の構築が今後の課題となりそうだ。一国鎖国主義より、全世界的な「ブロック経済」化はかなり蓋然性が高そうである。
(引用1)
2021年4月、当社が把握している範囲ではありますが、杉や桧など国産建築用材の価格が2~3週間でおよそ2割も高騰しました。
国産材市場に携わっている人からは「木材が時価になるなんて」と驚きの声が上がっています。
そんなことが起こっている原因がウッドショック。
ウッドショックとは、輸入材の供給不足に端を発し、国産材を含む建築用材の供給が不安定になって価格が高騰している状態です。
ウッドショックのせいで着工が遅れるなどの影響も出始めていて、ネット上ではお施主様の「今は契約を見合わせた方がいい?」といった相談も見受けられます。
今回はこのウッドショックの背景と今後の見通し、お客様に対するアドバイスをまとめました。
家づくり検討中のお客様に対する結論は、ウッドショック下で建てるメリットは一切ないから急がないなら様子見を。
ただし「いつまでに建てたい」という期限があるならできるだけ早く契約した方がいいです。
詳しくは本文をご覧ください。
また最後には、中島工務店が直面している現状を率直にお話ししています。
ウッドショック下の工務店の実例のひとつとしてご覧いただければと思います。
この記事でわかること
●ウッドショックが起こった背景
●国産材の供給を簡単に増やせない理由
●今後の見通し
●家づくり計画中&契約済のお客様へのアドバイス
●中島工務店の現状
ウッドショックの背景 ①建築用材の半分が輸入材
ウッドショックは輸入材の供給不足から起こっていますが、その背景にはそもそも日本の建築用材の半分が輸入材だという事情があります。
林野庁の資料によると、令和元年(2019年)の製材用材の自給率は51.0%。
2020年の木造住宅着工数は約48万戸ですから、おおざっぱに言っておよそ24万戸分が輸入材でつくられていて、その木材が十分供給されていないことになります。
足りないベイマツ(おもにカナダ産)などの代わりに、多くの会社が杉や桧といった国産材を使い始めました。
買う人が増えたからといって国産材の供給量が急に増えたりはしませんから、もともと国産材を使っていた住宅会社・工務店と「限られた国産材」を奪い合うことに。
このように輸入材が不足→国産材を代用→国産材も不足という流れで、ウッドショックは起こってしまいました。
ウッドショックの背景 ②アメリカの木材需要が急増
では、なぜ輸入材が不足したのかというと、アメリカで木材需要が急増したのが理由のひとつです。
新型コロナの影響で経済が滞ったのはアメリカも同じでしたが、その対策として政策金利が実質0%という低金利になりました。
これにより住宅ローン金利も大幅に低くなり、たくさんの人が家を建て始めたのです。
家を建てるには木材が必要で、これまで日本に輸入されていた木材がアメリカで使われるようになりました。
日本でも必要なのにどうしてアメリカが優先されるの?と思いましたか。
理由は、アメリカの方が効率よく販売できるから。
日本向けは品質基準などが厳しいのですが、アメリカはそこまで厳しくありません。
品質が多少よくない木材でもまとめて買ってもらえるんですから、同じ値段なら売りやすい方に売りますよね。
こうして「限られた輸入材」をアメリカと奪い合うことになり、アメリカに優先的に供給される事態が起こりました。
なお、もともと日本で建築用材に使われる針葉樹の輸入量は、アメリカや中国の輸入量の1割ほどしかありません。
より市場が大きく、高く買ってもらえるアメリカや中国が優先されるのは当然といっていいかもしれません。
ウッドショックの背景 ③世界的なコンテナ不足
カナダから輸入できないならヨーロッパから運べば?と言いたいところですが。
確かに欧州材をたくさん使っている住宅会社もありますが、そこでもウッドショックは起こっています。
背景には世界的なコンテナ不足があります。
新型コロナの影響で、世界的に海運業が一時大幅に落ち込みました。
各国の経済停滞、ロックダウンなどによって荷物の取扱量が大幅に減少し、船会社の多くがコンテナを返却・売却する事態に。
幸いヨーロッパや中国はいち早く経済が持ち直し始めましたが、だからといってコンテナを急に増やすことはできません。
結果的に海運がコロナ前の状態に戻っておらず、ヨーロッパの木材は陸路で運べる地域に供給されるようになりました。
もともとヨーロッパではEU圏内への供給を優先していますが、EU圏内に加えて中東などへの輸出が増えているそうです。
国産材の供給を増やせない理由 ①国内林業の減産体制&補助金事情
ウッドショックのおおまかな背景をお話ししましたが、「需要が増えて価格が高騰してるなら国産材の出荷量を増やせばいいじゃない!」と思いませんか。
普通は需要が増えたら供給も増やすのが商売です。
見方を変えれば”稼ぎ時”ですもんね。
ところが、国産材市場にはそうはいかない事情がいくつかあります。
ここからは山や製材業者と密接に連携した家づくりをしている中島工務店が関係者に聞いたお話の一部をご紹介します。
国産材の自給率は上昇傾向ではありますが、大幅な伸びが期待できる状況ではありません。
そのため、国内林業全体としては減産体制にありました。
予測される需要に合う程度の量を供給するよう調整しているということです。
日本の山は急峻で、国産材を伐り出すにはかなりコストがかかります。
木材の自給率が下がったのも、1964年の木材輸入自由化以降、安価な輸入材との価格競争に負けたのが理由です。
実際、国内林業は多くが補助金頼みで経営しています。
補助金なしで伐り出しても赤字になるため、補助金を利用しながらあらかじめ決められた量を伐り出しているのが実情です。
つまり、需要が急に増えても補助金がなければ赤字だから伐り出せないというわけです。
これが国産材の供給量をすぐに増やせない理由のひとつです。
(以下引用)
2021-06-01 16:32:17テーマ:新潟の風土 越後森林館にて、ウッドショックの状況下における、
新潟県産材の川上・川中・川下の関係者の
意見交換会が行われました。
川上とは伐採する側。林業関係者。
川中とは加工する側。製材・プレカット。
川下は、それを使う側。地域工務店・設計事務所になります。
業界はウッドショックで大変なことになってますが、
この会合に来る川下の人間は、
住学の県産材利用検討グループの人が多く集まった。
国産材利用、県産材利用に積極的なところが多く、
悲壮感がゼロ。
むしろこれを契機に、どのような可能性があるのか、
新潟県の川上・川中の状況はどうなっているのか、
情報を得ようという動機で参加しているようです。
知りえたことを箇条書きで説明します。
① 新潟県は林業が盛んではない。
森林面積が日本で6番目に多いけれど、
人工林面積は22番目。
その差は 林業が盛んでないことを意味している。
新潟は米どころであり、林業よりも稲作農業が重要視されていたことも影響するとの意見も聞かれました。 もし人工林が多いようであれば、今でも管理伐採をしなければならないが、
人手不足でできなくて、荒れた山が広がっていたことだろうとの意見もある。
② 広葉樹の資源が豊富。
人工林が少ない代わりに、広葉樹林が他県より豊富である。
熱帯雨林材の伐採が制限され、ラワンべニアが今後消滅が懸念される。
代替品として、新潟産のブナ(スノービーチ)は、化粧合板として、競争力がある。
合板が開発途中であるが、他県への販売可能な製品として、育って欲しく期待しています。
③ 構造材の杉は、地域間競争が激しい。
新潟は、大規模な製材会社が数社しか存在してなくて、零細の製材所が多いのが特徴。
つまり、秋田・岐阜・和歌山・奈良などの他の産地に負けている。
県が主体となり、村上と加茂の2拠点に、共同の製材拠点を整備したがが、
10年程度で破綻した失敗事例があり、そこからの閉塞感で手が打てていない。
④ 川中の製材会社増産中。
引き合いが強まって、残業をして増産で対応している。
平常時よりも130%の生産水準で、要求に応えようとしている。
ありがたいが、働き方改革の流れもあり、限界も近い。
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