サウジ、「原油輸出を人民元で決済」構想
3月16日 日本経済新聞
ロシアがドル決済システムの国際銀行間通信協会(SWIFT)から除外されたことで、米国と友好的ではない国々は、基軸通貨ドル依存体制のリスクをかみしめている。
そもそも中国は、通貨覇権のドル一極集中への挑戦として人民元をドル、ユーロ、円、ポンドに次ぐ国際通貨とすることを通貨戦略としてきた。
そこにロシアも協調してきた。ロシア中央銀行は外貨準備の一部をドルから金に換えた。さらに、同国の公的金準備量が2000トンを超えたところで買いの矛先を人民元に向けた。さすがにルーブルを国際通貨として認知させることは現実的ではなく、人民元を支えることにより中ロ協調でドル一極支配体制に風穴を開けるもくろみが透ける。
その矢先に勃発した対ロシア経済制裁により、中国側もドル依存体制からの脱却を急ぐ。そこで、ロシア以外の有力協力国として浮上してきたのが原油供給国のサウジアラビアだ。巨額の決済を人民元建てにするとの構想が原油市場では流れる。既に、2020年には英BPが上海先物取引所で人民元建てにより中東産原油を引き渡すなどの事例が出ているからだ。
背景には「ペトロ人民元体制」を構築する構想がある。新型コロナウイルスにより世界的原油需要が激減したことは、中国が巨大な購買力に物言わせて人民元決済を迫る機会となった。米ウォール・ストリート・ジャーナル紙も書いたことで、ウォール街の話題にもなっている。
サウジアラビアも米国への不満を募らせていた。アフガニスタン撤退、核合意に関してイランに接近、ワシントン・ポスト記者殺害疑惑などが要因だ。
対して中国は友好的で、習近平(シー・ジンピン)氏のサウジ訪問も年内に予定されている。
(抜粋)
コメント