(以下引用)
男性器露出が「人権」に
混乱が映す日本の近未来
性的少数者(LGBT)の権利擁護が国際的な潮流となっているが、その“先進国”である米国では深刻な混乱や弊害が生じている。日本でも性的指向・性自認を理由とする差別を禁止する、いわゆるLGBT法案の成立を目指す動きが活発化しているが、今の米国の姿は日本の「近未来」を映し出している。(編集委員・早川俊行)
米ロサンゼルスのコリアンタウンにある韓国スタイルのサウナ施設「ウィ・スパ」。この施設を利用した女性客が撮影した動画がソーシャルメディア上で拡散し、騒動を巻き起こしたのは今年6月のことだ。
動画には、女性客が受付の男性店員に怒号を浴びせる様子が映っている。トランスジェンダー女性が女性専用エリアに入り、男性器を露出したことに怒りを爆発させたのだ。
「彼は男よ。女性じゃない。そこには少女たちもいた。女性を不快にさせているのに、あなたたちは何もせず、彼を擁護するのね」
女性客は他の客がいる前で「ペニス」という言葉を何度も繰り返すほど興奮していた。だが、スパは「企業による差別を禁じた州法を順守する」との声明を発表し、トランス女性の女性施設利用を禁じることはできないとの見解を示した。
地元紙ロサンゼルス・タイムズも、社説で「トランスジェンダーの客が女性エリアで裸になる権利を擁護したことは正しい」と、店の対応を全面的に支持。その上で「誰にもスパを利用する権利があるが、皆が安心できるという保証はない」と主張した。トランス女性が男性器を女性に見せることは基本的人権であり、スパを利用したい女性はそれを我慢すべきだと言わんばかりだ。
これまでの常識では、見知らぬ女性に男性器をさらす者は変質者として扱われた。ところが、今はその者が女性と自認していれば、そうした行為も権利として認められ、逆に異を唱えた者が差別の加害者とみられてしまうのだ。
スパの前では、店の対応に抗議するデモが2度行われたが、いずれも過激なLGBT活動家や極左集団「アンティファ」メンバーらによる暴力的なカウンターデモに遭い、負傷者や逮捕者を出す衝突に発展した。異論を暴力で封じ込めようとする勢力が存在することで、一段と反対しにくい風潮が生まれている。
ところが、騒動は驚くべき事態へと発展する。このトランス女性は公然わいせつ罪の常習犯で、性犯罪者として登録されている人物だったのだ。
地元検察はスパで起きた事件をめぐり、このトランス女性を公然わいせつ罪で訴追した。現場にいた女性4人と未成年の少女1人の証言によると、このトランス女性の男性器は半勃起していたという。女性の前で性器を露出して性的興奮を覚えた可能性がある。
このトランス女性は2018年にも、プールの女子更衣室で男性器を露出して逮捕される事件を起こしている。この時、ロサンゼルス郡保安官事務所は、他の警察機関に配布した内部資料で、このトランス女性は「女性更衣室・シャワーに出入りするために女性と称している」と、トランスジェンダーの立場を悪用する危険人物だと断じていた。
日本でもLGBT法案が成立すれば、温泉や銭湯の女湯にトランス女性が入ってくる恐れがある。こうした懸念に対し、法案を支持する勢力は、温泉・銭湯などの施設管理者が運用でトランス女性の女性専用施設利用を制限すればいいと反論している。
だが、性犯罪者にルールを悪用されるリスクがあることを知りながら、ロサンゼルスのスパがトランス女性の女性施設利用を禁止しないのは、LGBT差別を禁じた法律を根拠に訴訟を起こされたくないからだ。訴えられて多額の賠償金を支払わされるのを避けるには、女性の安全を二の次にせざるを得ない。
差別の定義が曖昧な法律がいったんできると、極端なトランスジェンダー擁護の風潮が「暴走」し、常識的な運用ができなくなってしまうことを、米国の事例は示している。
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