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徽宗皇帝のブログ

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劣化ウラン弾問題での「人権商売」屋の沈黙
「世に倦む日々」氏のNOTE記事である。そのまま転載するが、容量次第で一部省略する。

(以下引用)





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劣化ウラン弾批判者たちの劣化と沈黙 - 削除された広島市HPのFAQ記述

世に倦む日日
2023年3月31日 12:15

劣化ウラン弾について公正な標準知を提供していた広島市のHPが急に削除された。3/29 夜の出来事のようである。3/30 は朝からツイッターで騒ぎが起きていた。前回の記事で指摘したように、そのFAQの欄には「劣化ウラン弾が目標物に当たると爆発し、霧のようになった劣化ウランの細かい粒子が空中に飛散します。これを吸い込むと、化学的毒性により腎臓などを損傷するとともに癌などの放射線障害を引き起こします」と簡潔に核心が書かれていた。被爆地広島の市のサイトの公式整理であり、非常に意味が重く価値の高い、世界に対して影響力の大きな情報内容だった。劣化ウラン弾の無害化と正当化を図る小泉悠や高橋杉雄のプロパガンダを崩す上で、正しい根拠を提供し、有力な説得力となる決定版のリソースだった。




おそらく松井一實のところに上(岸田官邸)から差配が入り、市長の指示で削除を執行したのだろう(表面上の弁解は別に)。こうなるのではないかという予感はあった。小泉悠や高橋杉雄のプロパガンダが「正しい解説」として公共の電波で放送され、報道番組のキャスターによってオーソライズされ、大衆世論の常識知になるためには、広島市のHP記述は邪魔で不都合なのである。広島市HPの公式説明の存在によって、小泉悠と高橋杉雄の言説は反駁され否定される。プロパガンダとしての正体を暴露され無力化される。彼らにとっては放置できない情報戦の障害物なのだ。だから、裏から手を回し圧力をかけて削除したのだろう。同種の事件は昨年も発生し、公安調査庁のHPからアゾフ大隊=ネオナチとする記述が削除され、姑息で佞悪な情報工作として問題となった。




広島市は今回の措置について釈明するべきだろう。なぜ削除したのか、理由と見解を述べて説明責任を果たす必要がある。世界が注目している。先週(3/25)、広島市の被爆者7団体会見して声明を出し、「英国の行為は許されない」と非難した。今回の広島市のHP削除の事実は、広島の被爆者の意思と行動と信念を裏切るものだ。県被団協の理事長は「劣化ウラン弾は『核のゴミ』で作られた非人道兵器で、被爆者は許すことができない」と明言している。この認識と主張は広島市民全員が共有するものだろう。広島市を訪れる外国人観光客数は近年凄まじい勢いで増加し、昨年はヒルトンホテル開業に至っている。海外から見た広島市の観光価値は、何と言っても原爆が投下された悲劇に関わる厳粛なものであり、アウシュビッツと同じ意味での平和の世界遺産という点に違いない。




観光はただ享楽や満足だけを目的とする消費ではない。人が広島を訪れるのは、そこに聖地巡礼の特別な意味があるからで、平和の尊さを噛みしめ、被爆者の苦しみを通じて人間の尊厳の重さを確認できるからである。被爆地の自治体である広島市は、そのレゾンデートルを忘れずにずっと被爆者をサポートしてきたし、被爆地広島の意義と使命を世界に訴え、世界の人々から共感と支持を受けてきた。5月のG7サミットは、平和都市広島の価値をあらためて世界に発信する機会であり、広島を訪れようとする動機づけを高める機会である。そこは平和の祈りの町であり、dignity を発見し感得できる町だ。今回、広島市がHPから劣化ウラン弾の記述を削除した事件は、世界から尊敬を受けてきた広島市の dignity を殺ぐ政治的愚行であり、世界の平和主義の市民を失望させる瑕疵となったに違いない。




英国による劣化ウラン弾のウクライナ供与が発表され、この問題が大きな関心となって一週間が経過した。不思議なのは、劣化ウラン弾を長く告発してきた著名文化人たちが口を閉ざしている事実だ。劣化ウラン弾を批判してきたエバンジェリストと言うと、真っ先に念頭に浮かぶのは鎌仲ひとみと伊藤和子である。それに続いて、西谷文和、佐藤真紀、鎌田實、高遠菜穂子、小出裕章などの名前が上げられる。私はてっきり、今回の事件を受けて彼女たちが一列に並び、被爆者団体と声を合わせて抗議の会見を開き、英国・NATOの暴走を糾弾する絵が出現するものとばかり思っていた。核戦争へと流れて行く世界に警鐘を鳴らす絶好の機会であり、G7広島を前に核の武器利用に抵抗する場を作ることができる。マスコミが取材に集まり、報道映像が内外に拡散されて反響を呼ぶ。




ところが、豈に図らんや、彼女たち劣化ウラン弾批判文化人が音無しの構えなのだ。鎌仲ひとみはTWアカウントを持っている。私をフォローしていた。が、今日現在(3/31)に至るまで何も発言せず沈黙している。10年前、地域情報誌に登場した鎌仲ひとみは、「98年、湾岸戦争で使われた劣化ウラン弾による白血病に苦しむイラクの子どもたちと出会ったことがきっかけで『被ばく者』の声を聞く旅が始まった」と冒頭に自己紹介を述べている。彼女が世に出た出発点が劣化ウラン弾問題で、イラクの被害者を取材して真実を伝えた業績だった。以後、ジャーナリストおよび映画監督としての仕事の中身は、ほとんど被曝の人体影響に関わるものである。意地悪な言い方になるかもしれないが、敢言すれば、劣化ウラン弾告発で名を上げ、放射線被曝の警告と啓発で飯を食ってきた人だ。




なぜ、今、声を上げないのだろう。ヒューマンライツ・ナウ副理事長で弁護士の伊藤和子もそうだ。20年近く前、彼女がNY大ロースクールに留学していたとき、すなわち帰国して人権NGOを設立する前のことだが、NYでイラク戦争反対の平和運動を展開し、森住卓らと協力してNYで告発の写真展を開催している。その記事が日本民主法律家協会のHP上に残っている。貴重な証拠資料だ。そこからイラク戦争帰還兵との接触と交流が始まり、劣化ウラン弾で被曝した元アメリカ兵の調査と報告の活動に本腰を入れて行く。2006年には大月から共著で『ヒバクシャになったイラク帰還兵』出版、元アメリカ兵の劣化ウラン弾被害の実態を日本社会に周知させるエバンジェリストとなった。彼女もまた、若き日に劣化ウラン弾問題に深く関わった原点があり、その活躍を通じて大物の人権派弁護士に成長した経歴を持つ。




だが、どうやら、今はジェンダーとLGBTと反中反ロ以外には興味関心がないらしい。伊藤和子が何も発言しないので、せっつく意味で、3/26にヒューマンライツ・ナウのTWアカウントにリプライ付けして「反対や抗議はしないんですか」と質問を試みた。鎌仲ひとみと逆で、伊藤和子は私のアカウントをブロックしている。おそらく、私に敵意を持つしばき隊のシンパだからだろうと原因を想像する。すると、その反応と効果だろうが、伊藤和子本人のアカウントに、3/27に1件、3/28に1件、劣化ウラン弾配備に反対し英国を批判する投稿が載った。が、それは表面を撫でた形式的な一般論で、熱がなく、いかにもアリバイ・エクスキューズのエビデンスをパッチアップした動機臭が漂う。10年前の、正義に燃える反戦反核の闘士の姿が見られない。伊藤和子はすっかり変わってしまった。しばき隊化し、ポリコレ無双となり、親米反中の反動となった。




残念である。残念だが、これが日本の「リベラル左翼」の平均的な思想像であり、日本と西側の「現代左翼」のメインストリームであり、例外でも異端でも個性派でも何でもない。社会主義を捨て、戦後民主主義を捨て、この20年の間にこうなった。変節して奇形で胡乱な左翼になった。日米安保を積極支持し、中国に憎悪を燃やす左翼に変身した。今の日本共産党の党員や支持者たちと同じビヘイビアモデルだ。西谷文和のTWアカウントにも劣化ウラン弾の言及はない。典型的な左翼ジャーナリストの表象だが、この人も「イラクの劣化ウラン弾」の言論活動で身を立てた一人の印象が濃い。西谷文和は、イラク戦争20年の節目にも何も言葉を残していない。もう一人、「イラク人道支援ワーカー」を肩書にしている高遠菜穂子。彼女も、劣化ウラン弾について何もメッセージがない。一体、この人たちは何なんだろうと思う。不信と憤りを覚える。


(以下省略)

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