◆またしても東京入管で収容者の人権を踏みにじる事件
かねてから日本の入国管理局が外国人収容者を非人道的に扱っていることは問題視されていましたが、またしても、のっぴきならない事件が起こり、どうしてこんな国になってしまったんだと頭を悩ませています。
●参照:【2019/3/12】緊急搬送が必要な収容者を救急車に乗せることを拒む東京入管 現地情報まとめ #FREEUSHIKU
3月12日の夜、東京入国管理局に収容されているクルド人男性のチョラク・メメットさんが体調不良を訴え、一時は救急車がやってきました。ところが、入国管理局は建物を施錠し、救急隊員が建物に入るのを拒み、「看護師は見守っているので大丈夫だ」と言って追い返して、頑なに救急車には乗せなかったというのです。
この話はネット上でたちまち大騒ぎになり、こうしちゃいられないと40人くらいの人が現地に駆けつけたそうです。あいにく、僕は明石市長選の取材中で関西にいるため、現地からツイートしている人たちの情報をもとにまとめているのですが、黙っちゃいられないので記事にしました。同時に、現地にはHBOL編集部の人間も向かいました。
◆いったい何が起きたのか?
チョラク・メメットさんは、かれこれ1年以上も入国管理局に収容され続けている人だといい、3月12日の夜に体調不良を訴え、まったく動けない状態になってしまったそうです。そして、それを聞いた家族が救急車を呼んだと言います。
家族によると、メメットさんはあまり弱音を吐かない性格だといいますが、「もたないかもしれない」と打ち明けたといい、体調がとても心配されています。
入国管理局としては、仮病かもしれず、脱走してしまった時には責任が取れないということがあるのかもしれませんが、本当にヤバかった時に死んでしまうリスクの方がよっぽど深刻です。
これまでも体調不良を放置して収容者を死なせてしまった悪い意味での「実績」があるので、いくら不法入国で逮捕したとはいえ、病院で診察を受けるぐらいの人権はあるはずです。
入国管理局で働く職員たちは、不法入国を取り締まる権限はあっても、収容者の命を奪う権限などないはずです。すぐさま救急車に乗せるべきなのは明白です。
現地から情報を発信している人たちによれば、入国管理局の中には医師は不在。救急隊員には「看護師が見守っているから大丈夫だ」と説明して追い返したのに、肝心の看護師は直後に帰宅していたことが発覚。救急隊員も「話が違う」と怒っていたそうですが、23時13分、119番に電話をかけても対応してくれないので、救急相談センターに電話をかけ、再び救急隊員が現場に到着。しかし、こちらもいつの間にか救急車を呼んだご家族や支援者がいる場所とは反対側の出口からいなくなってしまっていたそうです。サイコパス国家です。
そして、HBOL編集部のスタッフが現地に到着した午前2時の段階で、日本人、クルド人で約50人程度の支援者が外で抗議行動をしていましたが、警察官が何人も入り口に仁王立ちしている状態だったそうです。もちろん、メメットさんはまだ病院に行けていません。
◆改正入管法施行の目前の人権無視
一度でも法を犯したものには、たとえ死にそうになっても診察してもらえないほどに人権が守られないニッポンという国。
こんな状態で2020年には東京オリンピックを開催しようとしていて、外国人観光客を増やし、さらには外国人労働者も増やそうしているのです。
入管法を改正しようと言った時にも、入国管理局に収容されている外国人の人権が守られていない問題は国会でも議論されましたが、安倍政権はまったく無視。外国人労働者を奴隷のように働かせる改正案を強行採決しました。
しかし、その奴隷となる外国人が逃げ出して不法入国状態に陥り、入国管理局に収容されたら、今回のように体調を崩し、命の危険が迫っても対処してもらえないのです。いつから日本はこんなに酷い国になってしまったのでしょうか。
しかも、こうした問題が騒動になるほど、「法律を犯さなければいいじゃないか」と言い出すネトウヨが現れ、まさに今、体調不良を訴えて死にそうになっている外国人に対して非人道的な冷たい言葉を投げかける始末です。
入国管理局の前で訴えている人たちは、なにも病気になった外国人を釈放してシャバの空気を吸わせてやれと言っているわけではありません。救急車を呼ぶべきレベルの外国人が医者の診察を受ける権利ぐらい与えろと言っているのです。病気になったら病気を治療するぐらいの人権は守るべきだという、ごくごく基本的な最低条件の話をしています。
平気な顔をして人を殺すようになったら世の中はおしまいです。「おもてなし」なんて言葉を二度と使ってくれるなという話になります。どんな罪人だろうと病気になって死にかけた時に診察を受ける権利ぐらいはあるはずです。それとも外国人は死刑も同然なのでしょうか。
◆野党議員も動き始めている
この問題には、ネトウヨが大嫌いな国会議員の有田芳生さんが対応しています。
”入管の説明では薬が届くのは明日の夕方(遅すぎる)、それまでに発作が起きれば外部病院に移すといいます。夕方の説明では診察を行い、薬を外部医院から求め、本人は自室ベッドにいて各方面に電話をかけているということでした。さらに情報を集めて対応します。”(有田芳生議員のツイート)
また、日本共産党の小池晃議員も対応しています。
”現在の東京入管の対応について、法務省入国管理局警備課に問い合わせ、必要な治療を受けさせることを要求しました。法務省側は医師が適切に対応しているといいますが、家族に経過をきちんと説明するよう要求しました。ひきつづき報告するように求めています。 ”(小池晃議員のツイート)
本当なら与党である自民党の議員こそ問題視して、この問題に熱心に取り組むべきですが、今の自民党に期待できないのがとても残念です。騒動になったことで、いろんな人が動き出していますが、午前2時の段階で収容者はまだ入管の中におり、病院にいけてません。
一刻も早く医師の診察を受け、とにかくチョラク・メメットさんが無事であることを祈るばかりですが、万が一のことが起こったら、日本の信用が世界的に失墜することは避けられないことでしょう。日本が極東アジアの野蛮な国として、ヤバい国々の仲間入りを果たすことになります。
現地から最新情報を伝えてくれている人たちがいるので、随時、情報を更新してまいりたいと思います。こうしている間にピエール瀧さんが麻薬取締法違反で逮捕されたという速報も届いているのですが、それより今は人命最優先です。人の命を蔑ろにする国が先進国であるはずがないので、人権というものをまるで考えていないとしか思えない入国管理局の職員たちが人を殺してしまう前に、どうにか解決されることを願いたいと思います。
<文/選挙ウォッチャーちだい 撮影/HBO取材班>
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