https://earthreview.net/hunger-deepens-in-besieged-gaza/
<転載開始>

2025年4月24日、ガザ地区ジャバリアの配給所に集まったガザの子どもたち。
今は配給所もほとんど機能していません。MEM
イスラエル軍は、今年 3月2日以来、ガザへの援助物資の搬入を完全にブロックしており、ガザの援助物資は国連による備蓄食料以外は、事実上、まったく入らない状況が続いています。
そんな中で、ついに数十人単位での「餓死者」が出たことが報告されています。
2025年5月3日のアルジャジーラ紙より
イスラエルによる容赦ない爆撃の中、包囲されたガザ地区への食糧、水、その他の重要な援助の厳しい封鎖が 3カ月目に突入し、少なくとも 57人のパレスチナ人が餓死した。
ガザの政府メディア局は土曜日(5月2日)、犠牲者の大半は子どもで、病人や高齢者も含まれると述べた。
このようなことが起こることは、先週から懸念されていたことで、4月25日に、国連世界食糧計画(WFP)が「ガザ地区の家族向けの食糧備蓄をすべて使い果たした」と発表していたからです。
報道「国連世界食糧計画のガザ地区の食糧備蓄が底をつく」より
国連世界食糧計画(WFP)はガザ地区の家族向けの食糧備蓄をすべて使い果たした。
本日 (2025年4月25日)、WFP はガザ地区の給食施設に、残っていた最後の食料を届けた。これらの給食施設は、 今後数日で食料が完全になくなると予想されている。
WFPはガザ地区のパン屋を支援し、手頃な価格のパンを配布してきたが、3月31日、小麦粉と調理用燃料が底をついたため、WFPが支援するパン屋 25軒すべてが閉店した。
もはや、ガザ、特にガザ北部では、いかなる食糧の入手も難しくなっていると見られます。
これにより最も影響を受けるのは成長中の子どもたちですが、極端な栄養失調は、あらゆる感染症に対しても身体が脆弱になることも意味し、そのほうも懸念されます。
もともとイスラエルが、このような、「あらかじめ餓死や病死を狙っていた」ということは、これまでの行動からわかります。
4月中旬には、イスラエル軍は、「ガザ地区にある国連の小麦粉配給センターを爆撃」しています(翻訳記事)。
同じ頃に、「ガザで唯一完全に機能していた病院を爆撃」しています(翻訳記事)。
国連の特使は 3月に、
「近代史上最速の飢餓作戦が進行している」
と警告していました。
そして今、本当に食べ物がなくなってしまいました。
誰かが、あるいはどこかの国が助けてくれるのかというと、この 3カ月を見ていればわかる通り、誰も助けには来ませんでしたし、これからもあまり期待はできなそうです。
このままでは、ガザのパレスチナ人の消滅につながってしまいます。
イスラエル側が 2023年から計画していた「民族浄化」(参考記事)が成されてしまうということです。
最近のガザの状況について、アルジャジーラの記事をご紹介します。
イスラエルによるガザ地区の完全封鎖で、パレスチナの子どもたちは飢餓に直面している
Palestinian children face starvation under Israel’s total Gaza blockade
aljazeera.com 2025/05/02
パレスチナの子どもたちは、イスラエルによるガザへの容赦ない爆撃と人道危機の下で暮らしている。
包囲されている沿岸地域への食糧、水、その他の重要な物資の供給をイスラエルが継続的に封鎖して 3カ月目に入る中、国連はガザ地区の何千人ものパレスチナの子どもたちが飢餓の脅威の増大に直面していると警告した。
国連児童権利基金(ユニセフ)は金曜日 (5月2日)、今年に入ってから 9,000人以上の子どもが急性栄養失調の治療のために入院したと発表した。
しかし、イスラエルが 3月初旬にパレスチナ自治区を全面封鎖して以来、さらに状況は悪化している。
「 2カ月間、ガザ地区の子どもたちは容赦ない爆撃にさらされ、生活必需品やサービス、命を守るケアを奪われてきました」とユニセフ事務局長キャサリン・ラッセル氏は声明で述べた。
「援助封鎖が日を追うごとに、彼らは飢餓、病気、そして死の危険に直面することになるのです。いかなる理由があってもこれを正当化することはできません」
イスラエルは 3月2日以来、ガザ地区のパレスチナ人へのあらゆる人道支援を阻止しており、国際的な非難を招いている。
国連世界食糧計画は先週、包囲により食糧供給が「枯渇した」と述べ、数千人のパレスチナ人が頼りにしている共同キッチンが閉鎖を余儀なくされると警告した。
ひとりのパレスチナ人の避難民の親はアムネスティ・インターナショナルにこう語った。
「その食べ物の栄養価が高いか低いか、新鮮か美味しいかなんて、私たちは気にしません。それは贅沢です。ただ子どもたちのお腹を満たしたいだけなんです。子どもを飢え死にさせたくありません」
イスラエル政府は、ガザ地区封鎖はパレスチナ自治政府組織ハマスに圧力をかけ、ガザ地区で捕らえられている捕虜を解放させるためだと述べている。しかし、今年初めにパレスチナ人捕虜とイスラエル人捕虜が交換された一時的な停戦以来、封鎖は新たな解放にはつながっていない。
一方、ハマス幹部のアブデル・ラーマン・シャディド氏は金曜日、イスラエルがパレスチナ人に対する「意図的な戦争兵器」として飢餓を利用しているとして非難した。
シャディッド氏は同団体のテレグラムチャンネルで発表した声明で、「子どもたちは爆弾だけでなく、ミルク不足で亡くなっている」と述べた。
法律専門家や人権団体は、占領国であるイスラエルには、国際法に基づき、ガザ地区のパレスチナ人に食糧やその他の支援を提供する義務があると指摘している。
法律専門家や人権団体は、この封鎖を第4条ジュネーブ条約違反だと非難している。
世界的な飢餓監視団体である総合食糧安全保障段階分類(IPC)システムによると、ガザではあらゆる年齢層の何十万人ものパレスチナ人が深刻な食糧不安に陥っている。
パレスチナ NGO ネットワークの代表アムジャド・シャワ氏はアルジャジーラ紙に対し、栄養失調に苦しむ子どもたちの治療に必要な物資が医療施設に不足しており、状況は急速に悪化していると語った。
「子どもたちのための食料も補給物資も医薬品もありません」とシャワ氏はガザ市からアルジャジーラに語った。「今後数日のうちに、さらなる犠牲者が出るのではないかと強い懸念を抱いています」と彼は付け加えた。
ガザ北部ベイトラヒヤのカマル・アドワン病院の小児科医であるアハメド・アブ・ナシル医師は、封鎖により状況はこれまで以上に悪化していると語った。
「子どもたちは成長期にあり、タンパク質や脂肪といった特定の栄養素を切実に必要としています」とナシル医師はアルジャジーラに語った。
「ガザ地区、特にガザ北部では、こうした栄養素が不足しています」
ガザ保健省の統計によると、2023年10月にイスラエルによるガザ戦争が始まって以来、5万2400人以上のパレスチナ人が殺害された。
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