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徽宗皇帝のブログ

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これからの日本のグランドデザイン 本論(1)産業と経済3
まず、「収入を増やす方法」は、根本的に言えば、「どこかで必要とされている品を作り出し、運び、売る」ことだと考えていいだろう。現在の世界で「必要とされている品」はもちろんあるだろう。それを適切に作ることができた企業は「儲かる」だろう。では、何かを必要としている人々に金が無かったらどうなるか。企業活動そのものが成り立たなくなるわけだ。
前の「幼児や老人や病人の世話をする仕事」で論じたことが、形を変えてここで出てくる。世界には物資を必要とする人々が無数にいる。ところが、その人々は金が無い。これが世界的現象だとしたら、はたして「儲かる仕事」などはあるのか。もちろん、「富裕層向けの産業」を推進すればいい、という発想はすぐに出てくる。だが、富裕層は数は少ないし、彼らの消費など限られたものだ。超贅沢品を購入するかもしれないが、同じものを二つも三つも必要とするわけではない。
20世紀中盤までは「中流社会」が膨大な層を成していた。彼らは大量生産品の良き購買者であったわけだ。ところが、コンピュータ革命によって、世界的に「中流層が消失する」という事態が起こってしまったのである。つまり、金があってもほとんど物を買わない大富裕層と、金が無いので「100円ショップ」的なところでしか物を買わない貧困層の二極に世界が分裂してしまったわけである。
世界的に広がった1%対99%の戦いの原因を多くの人は1%の強欲のためだと思っているだろうし、それも大きな原因だが、実は「コンピュータ革命」による経済構造変化こそが、世界を1%と99%に分離してしまったのであって、必ずしもそれは1%が意図したものでもなかったのではないか。だからこそ、富裕層の中から富裕層への課税強化を自発的に求める声さえあるのだろう。それは必ずしも偽善ではなく、「世界の二極化」のもたらす悲惨な結果を予測する者が富裕層にもいる、ということではないだろうか。
とすれば、富裕層を全員ギロチンにかけて首を切れば問題は解決するわけではない、ということになる。
そして、「コンピュータ革命」をやめて、コンピュータ以前の世界に戻すことももちろん不可能だ。ではこのアポリア(難問)の解決策はあるのか。刮目して次回を待て! www

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