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徽宗皇帝のブログ

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「日刊ゲンダイ」の岸田批判論
「阿修羅」所載の「日刊ゲンダイ」記事で反岸田政権の論だが、当面は岸田総理を肯定的に見ている私ではあるが公平を期すために載せておく。
言うまでもなく「日刊ゲンダイ」は反自民の論調を基本とする「野党マスコミ」であるので、その事実を頭に置いた上で、ここに書かれた内容や意見が適切かどうかは読者それぞれが判断すればいいことだ。で、書かれた「事実」の重要性がどれほどのものか、という判断が大事だろう。
私としては、DSやジャパンハンドラー、あるいは安倍・麻生という「内外の敵」あるいは「味方でもあり敵でもある存在」を抱えて日本の政治の舵取りをする困難さ(暗殺の危険も常にある)を考えれば、日刊ゲンダイ筆者のようなお気楽な口舌は無責任だと思うが、かつての安倍政権下でも全マスコミの中でほとんど唯一政権批判をしてきた功績は立派だと思う。だが同紙の言うように安倍政権と岸田政権がはたして同じかどうかは、今後の政治次第である。

(以下引用)岸田批判のポイントを箇条書きにしてほしい記事だが、私自身がそういう作業をやるのは面倒くさいので、やらない。まあ、一番分かりやすい「軍事費増強」に関して言えば、当然ながら水面下での米国の要求があるからやるのであって、それに従わないと政権維持が不可能になるわけだ。(軍隊による国家防衛という思想は人類全体の妄執であり、一種の原始的宗教でもある。まあ、弱い男が身体を鍛えれば女性や子供には勝てる、という程度の話だ。)米国の意思に背いて鳩山民主党崩壊の二の舞をしろ、とゲンダイ紙は言うのか。米国が支配している自民党政権では「日本独立」は不可能なのであって、それは総理が誰でも無理だろう。それは将来において自民党が下野した場合の政府課題だ。

 4年ぶりの政権選択選挙となった衆院選は、フタを開けてみればデタラメ三昧の自民党が追加公認も含めて絶対安定多数(261議席)を確保するア然の結果だった。岸田首相は「総裁選、組閣、そして解散・総選挙、スピード感を持って進めてきた」と手腕に自信をのぞかせ、「国民の信託をいただいた今、そのスピード感を政策の実行に向けていきたい」と言っていたが、何に対して信託を得たというのだろう。政権発足から1カ月が過ぎたが、この間やっていたのは選挙、選挙、選挙。ひたすら選挙戦に明け暮れていた。

 臨時国会は所信表明演説と代表質問だけで、野党が求める予算委員会の開催を拒否。首相就任からたった10日後には解散し、チャーター機まで飛ばして全国68カ所で遊説し、空っぽ政策のキャッチフレーズを叫んでいただけだ。

 立憲主義を蹂躙し、民主主義を破壊し、国家を私物化した安倍元首相ほど、あほう面じゃない。官僚が用意した原稿すらまともに読めず、たどたどしい日本語でゲンナリさせた菅前首相と比べれば聞けるしゃべりだ。9年ぶりに一見マトモな宰相が生まれ、あらゆる面でおかしくなったこの国を修正してくれるんじゃないか――。

 岸田政権に対する根拠のない漠然とした期待は間もなく打ち砕かれることになりそうだ。


寄稿で自殺に追い込んだ戦時独裁

 ノンフィクション作家の保阪正康さんが朝日新聞(5日付朝刊)で憲法をないがしろにしてきた安倍・菅政権を一刀両断し、返す刀で岸田を斬ったインタビューは戦争を知らない世代必読の重みがあった。

 保阪さんは安保法制で集団的自衛権行使を容認した安倍政権、日本学術会議の会員任命を拒否した菅政権を「典型的な行政の独裁の表れ」と指摘。戦前戦中の軍部独裁が引き起こしたとんでもない悲劇として、1943年の「中野正剛事件」を挙げていた。「戦時宰相論」を新聞寄稿した衆院議員中野正剛に首相の東条英機が激怒。司法大臣に中野逮捕を命令し、それができないと憲兵隊に命じて身柄を拘束。取り調べ後に中野は釈放されたものの、憲兵隊に監視される中、自殺した。「戦時を指導する首相は指導的な役割を果たさなければならない」と説いただけで、死に追い込む権力とは何なのか。

 そして、保阪さんは岸田をこう評していた。

<岸田文雄首相は憲法に反する「敵基地攻撃能力」の保有について「あらゆる選択肢を検討する」と否定せず、自民党の公約で軍事費の大幅増を掲げました。とんでもないことだと思います。専守防衛から敵地侵攻へ転じることは、まさに地続きの戦前への逆戻りです>

<敵を想定しその敵地を侵攻するという狂気は、一度始めると際限がなくなるのです。そうした魔性を分析しぬいていれば敵基地攻撃論などという考えが出てくるはずがありません>

<憲法が国政の大前提としている議論の大切さを考えれば、首相指名された後、予算委員会も開かないで解散総選挙に打って出た岸田首相の姿勢は、安倍、菅両政権による憲法をないがしろにする政治と同種と見なさざるを得ません。極めて残念です。現在の政治で最も問われていることは、どうしたら憲法を、どうしたら参政権を、どうしたら立法府を生かすことができるか、だと思います>


成り行き、運、マスコミに救われた“無の男”

 岸田は党内最古参のハト派の派閥「宏池会」を率いてきた。終戦直後の吉田茂元首相の「軽武装・経済重視」政策を引き継ぐ。「ハト派の宏池会」という虚像があまりにも大きくなりすぎてはいないか。

 政治評論家の森田実氏は言う。

「宏池会の領袖といえば、創設者の池田勇人は『国民所得倍増計画』の実現で知られ、大平正芳は日中国交回復に尽力。宮沢喜一は非常に真面目に平和主義に向き合った。宏池会のそうした系譜から、マスコミは岸田首相に対して総じて甘い評価をしていますが、実態はどうか。思想信条は正反対のはずの安倍元首相の路線に乗っかり、右側の支援を受けて総裁選を勝ち抜いた。宏池会の伝統を守っているように映りますが、うわべだけ。学術会議の任命拒否問題は大平派の流れをくめば、とても許されないのに、岸田首相は『一連の手続きは終了した』で終わり。実績もなければ方針もないナッシングの男なんです。成り行きと運、そしてマスコミの甘さに救われてきた」

 歴史家に「安倍・菅と同種」と断じられた岸田の危うさを嫌というほど見せつけられることになるのか。

 確かに、この1カ月で岸田の化けの皮はみるみる剥がれてきている。ご多分に漏れず、言うことがコロコロ変わる。総裁選で格差是正による中間層復活を目指す「令和版所得倍増計画」をブチ上げたが、すぐにうやむや。「分配強化」は「成長も分配も」「成長と分配の好循環」へとすり替わり、「分配なくして次の成長なし」から「成長なくして分配なし」へ。格差を拡大し、この国の経済をズタズタにしたアベノミクスをあっという間に踏襲した。金融所得課税の強化も、株価下落と財界の反発にビビって封印だ。


「分配」は子ども給付でオシマイ

 立正大名誉教授の金子勝氏(憲法)はこう言う。

「岸田首相が掲げる『新しい資本主義』の本質は、コロナ禍で傷ついた大企業や富裕層への手厚い保護です。原発再稼働を前提とするクリーンエネルギーにしろ、デジタル化推進にしろ、投資で経済を回すということでしかない。一方で、コロナ禍で生活がままならない低所得者層には目を向けず、社会保障改革には全く切り込みません。高齢者の医療費2割負担も生活保護基準の引き下げも見直そうとしない。18歳以下の子どもに一律10万円を支給する案を公明党が押し込もうとしていますが、『分配』についてもこの一回限りの支給でオシマイにするつもりでしょう」

 シャッポが代わっただけのペテン政治が続けば、ロクな未来はない。こんな自民党政権を継続させて、あろうことか、単独で安定多数を与えた選挙の禍根は近い将来、悲劇的な形で露呈するだろう。

「岸田首相はこの先、何をするにも矛盾だらけになってしまうのではないか。足元では安倍元首相や麻生副総裁の顔色をうかがわざるを得ない上、外交面ではシビアな現実的対応を決断しなければならない局面が想定されます。米国との関係で言えば、米中対立の延長線上で軍事的な取り組みを要求される可能性がある。ハト派路線で進もうとすれば、米国ににらまれること必至で、岸田政権が沈没しかねない。白いハトが灰色になり、やがて真っ黒になっていく過程を見せられることになるかもしれませんが、本人はあまり苦しまずにそのプロセスを通過してしまう危なさを感じます。『岸田は終わった』などと揶揄されながらも生き残ったゆえんです」(金子勝氏=前出)

 岸田が聞かれてもいないのに「敵基地攻撃能力の保有」に言及したのは、衆院選公示日に北朝鮮が弾道ミサイル発射を受けてのことだった。

 その瞬間、岸田は福島県内で第一声、松野官房長官は地元入り。官邸ツートップが都内におらず、危機管理意識の低さを非難されたばかりだった。生き延びるためにはあっさり転向する岸田の本質がここにも垣間見える。

 野党が路線対立でグチャグチャになれば、嘘とゴマカシの政治がまだまだ続くことになる。
 

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