なお、タイトルで分かるように、この戦争はイスラエルによる一方的な虐殺であり、「イスラエル・パレスチナ戦争」ではない。イスラエル脚本による芝居であり、本物の芝居との相違点は、登場人物が本当に殺されることだ。
<記事原文 寺島先生推薦>
Hamas’ Attack on Israel Is Puzzling出典:ポール・グレイグ・ロバーツの個人ブログ 2023年10月9日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2023年10月13日
イスラエル・パレスチナ間の紛争について見解を聞かれる。確かにこの紛争は、ウクライナ・ロシア間の紛争から目を逸らせるもののように思える。人々(つまり「注意を払っている人々」)が不審に思っているのは、なぜパレスチナの人々がイスラエルにこんな風な攻撃を仕掛けたのか、だ。というのも、こんな攻撃を仕掛ければ、ネタニヤフ首相にパレスチナ人に残されていた僅かな土地を手に入れ、ガザ地区を破壊し、ひとつの国に2つの国家があるという問題を解決させる口実を与えることになるからだ。パレスチナの人々がイスラエルの人々を殺し、人質に取ったのだから、イスラエルを非難できる人などいようか?
パレスチナ側が背信行為をおこなったという公式説明は耳にしたが、攻撃そのものについての説明は聞いていない。この行為は背信行為以上のものだったはずに違いないと思える。読者の皆さんと同意見なのだが、私もハマスがイスラエル側の作戦にまんまと嵌ってしまったことを奇妙に思っている。さらには、この攻撃について何か腑に落ちないところがあることについても、皆さんと同意見だ。ドローンやあんなにも多数のロケットが、イランから、あるいはウクライナからだという声もあるが、どうやってガザ地区に運び込まれたのだろうか? さらには、ハマスの戦闘員たちはどうやってイスラエルに入ることができたのだろうか?
ハマスによる今回の攻撃は、9-11を彷彿とさせるものだ。国家安全保障体制が確立している米国のどの組織も、2001年9月11日の同時多発テロを防げなかったのと全く同様に、米国がイスラエルのために設置した防空システムであるアイアン・ドームはじめ、イスラエルの国家安全保障体制も全く機能しなかった。おかしなことに、ハマスの戦闘員たちは、全く検出されることなく、陸・海・空からイスラエルに侵入した。おかしなことに、大量の武器が、全く検出されることなく、イスラエルをとおってパレスチナに運び込まれた。こんな都合のいい落ち度があったとは到底信じられない。イスラエル国内で安全保障面全般のこの落ち度についての責任を取らされる人が出てくるだろうか? 見ものだ。米国では9-11の安全保障面での落ち度の責任を問われた人は誰もいなかった。この事実こそ、我々に様々なことを考えさせてくれるべきものだ。
分かる術がないので、推測するしかない。イスラエル側に動機はある。イスラエルはパレスチナ人たちの残された土地を盗み取れる。それ以外の動機として考えられるのは、イスラエルがこの紛争をさらなる激しい戦争に拡大することにより、今度こそレバノン南部の水資源を手に入れることができるようになることだ。さらに、このイスラエルの動きにより、シリアやイランは煮え湯を飲まされることになるだろう。石油価格が高騰し、世界に混乱をもたらすことになるだろうからだ。戦争に勝利し、パレスチナ問題を終わらせることができれば、ネタニヤフが抱えている法的問題や政治問題が追及されることはなくなるだろう。考えてみれば、イスラエル側の動機はたくさんある。
しかし、この攻撃を可能にした安全保障面での落ち度という点はどうなのだろう? なぜネタニヤフは、イスラエルの警備体制を止めることによって、ハマスがイスラエルを攻撃することを可能にさせたのだろう? そんなことを考えるのは意味のないことかもしれないが、イスラエルがこのような状況を利用して、残されたパレスチナの土地を手に入れられると考えれば、あながち意味のないことではない。9-11後の状況が、ネオコンがかねてより準備していた中東への戦争を仕掛けられる状況を作り出したのと同じように。
難しい問いは、なぜパレスチナ人たちがイスラエルを攻撃するという自爆的行為にふみきったか、だ。ハマスにはイスラエルを打倒できる見通しなどなかったはずなのに。このことも推測するしかないが、今回のことは、初めから終わりまで全てイスラエルの工作だった可能性がある。イスラエルがハマスをけしかけたのかもしれない。ちょうど、FBIがトランプ支持者や愛国者勢力をけしかけることで彼らが国内テロリスト呼ばわりされるようになったのと同じように。イスラエルの工作員たちは、イスラエルがパレスチナ人たちを迫害していることを大きく宣伝する。ネタニヤフは神聖なモスクを爆撃することで、その工作に手を貸す。工作員らは、イランからの武器とイスラエルの警備体制を妨害するためにはイランからの装置、これがあれば可能になる攻撃計画を思いつく。工作員らは慎重にことを進める。その際、彼らが当てにするのは、パレスチナの人々の積年の怒りや傷であり、無理だと思っていたハマスの根拠を実行に踏み切らせられるという見通しだ。
こんな推測で十分な説明がつく、などとは思っていない。だが、調査がおこなわれた結果、このような推測が、この先、展開されるであろうどんな公式説明よりもより真実に近いことが証明されたとしても、驚きはしない。
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