忍者ブログ

徽宗皇帝のブログ

徽宗皇帝のブログ

ビル・ミッチェル教授の現代政治経済史
「混沌堂主人雑記」記事で、内容は「気候変動危機」という、世界支配層の詐欺を大真面目に信じているか、信じているふりをしている大馬鹿思想もあるが、光る部分も多いので転載する。

2024 - 05/11 [Sat] - 18:38

cargo ブログ より

上記文抜粋
・・・・・・・・・・
ド左翼ビル・ミッチェル教授の政経史(超訳)
 
クリスタル・ボールやキムアイヴァーソンの後にThe Hillのメイン・キャスターとなったブリアナ・ジョイ・グレイが、MMT創始者のひとりビル・ミッチェル教授にインタビューしている。
(*ツイッターXから飛んできた人はごめんね。ミッチェルは日本のリベラル左派の嫌いなMMT派です。でもミッチェルはマルクスをMMTの源流の一つとしています)
私は、大メディアのなかでThe Hillを最も信頼できると考えている。キャスターの質が凄まじく高いことがその理由だ。
前任者のボールやアイヴァ―センも広範な知識を有する人材だったが、今回のグレイもハンパなく頭が良い。
日本のTVキャスターは、カメラの前で原稿を読み上げるだけの操り人形だが、本物は違う。
インタビューは、このミッチェルの著書に関する話題が中心となる。
▼Reclaiming the State: A Progressive Vision of Sovereignty for a Post-Neoliberal World ( October 15, 2017)
https://www.amazon.com/Reclaiming-State-Progressive-Sovereignty-Post-Neoliberal/dp/0745337325
インタビュー内容は、ド左翼のビル・ミッチェル教授の現代政経史といった感じだ。
「なぜリベラルはネオリベラルの侵略を許したのか?」がメイントピックとなっていて、トマ・ピケティの「商売右翼/バラモン左翼」のストーリーに近い印象だ。
日本では似たロジックを松尾匡・立命館大教授が発している。
https://x.gd/RDvUw
松尾教授のこの本は必読と言えるくらいお勧め
企業はいかにアメリカを堕落させたか
▼How Corporatists Corrupted America w/ the Left's Complicity (w/ Bill Mitchell)
https://www.youtube.com/watch?v=Z_9NMXH7eDs
(以下、1時間40分にわたる動画を超抄訳する)
70年台に金融資本主義が肥大化し、左翼的な「大きな政府」の物語は終わり、右翼のメディア支配と相まってインフレに対抗するためとした黒字財政の標準化が推し進められた。右翼は政府を資本の代理人に変え、民営化など小さな政府主義を推し進めた。
当時、左翼はアイデンティティ問題に気を取られていたため対抗できなかった。勿論これらも重要だが、階級闘争の政治(Class politics)を忘れアイデンティティ政治(identity politics:フェミニズムや人種論など)に移行したのだ。
そしてフリードマンとマネタリズムが現れたとき、左翼には対抗する手段や知識がなくなっていた。
第二次世界大戦以降、資本側は、共産主義化する労働者側に何かを与えなければ経済や政治が不安定化すると知っていた。そしてメディアを通じて与えたのがアイデンティティ政治だった。
その後フィリップス曲線に代表されるように、失業率の高い時はインフレにならず、失業率が低い時には過剰支出がインフレになるとしてインフレ問題が定義された。しかし70年台の高インフレの原因は、需要要因ではなく原油高に由来するコストショックだった。
この時ケインジアン達は何が起こっているのかうまく定義できなかったが、マルキシストたちはよくわかっていた。
オイルショックが世界に示したのは、石油を買うために国家所得の、そして賃金のいくらを犠牲にするかという、分配の闘争だったのだ。
当時労働組合はまだ強力だったため資本側に賃上げを要求し実現した。これがまたインフレを引き起こしたが、ケインジアンはこの力学を理解できていなかった。
フリードマンは「ケインジアンは支出するしか能がない」としてそのミスを左翼に対する批判材料に使った。
資本側は利益を確保するため、「共産主義者の労働組合が経済成長を阻害している」とプロパガンダを流した。
その結果、労働組合の権力を縮小させることに成功した。
戦後あらたに「中産階級」が誕生し、ローンやクレジットカードが拡がったことで大量消費の時代が到来した。
物質的に裕福になった中産階級は、ローンの返済に追われたこともあり60年台には労働闘争に興味がなくなっていったが、それこそが資本側の戦略でもあった。
歴史的に、左翼はコスモポリタニズムなど国際的視点を重視してきた。例えば過去にはインターナショナルな労働者の団結を目指した。
EUも左翼が欲してきたものだが、これこそが法的枠組みに新自由主義を取り入れた先進的形態といえる。
彼らは国民国家が軍事的紛争や人種差別、ファシズム[eg.ナチス]を生み出すと信じた。
しかし通貨は国家的(デモス)なもので国際的に拡張することはできない。気候変動への対処などは国境を超えることはできるが、人々はお互いの世話をするために働きたいと考えるためグローバル化はできないのだ。
現在、EUは20カ国で共通通貨ユーロが使えるが、金融危機の時にドイツやフランスなどの富裕国はポルトガルやスペインなどの国に財政移動(支援)するのを嫌がった。そこに[当初目指していたものとは逆説的に]人種的な嫌悪も重なった。
イタリアやギリシャ、フランスなどそれぞれのEUの国々の人には強烈な、国固有の文化がありデモスが存在する。EUの枠組みはデモスを破壊したのだ。
もし世界通貨を持ちたいのなら、世界統一政府を作り、統一された中央銀行を作らなければならない。
しかしそこで誰が組織の決定を下すのだろうか?アメリカ人ではない誰かだとしたら?[*インタビュアーのグレイはアメリカ人]
資本主義は国境を越えた搾取のシステムであるため、第三世界に利益をもたらす分かち合いなどしないことは明白だ。
【グレイの質問】新自由主義に対抗するため、ナショナリズムではない主権国家観(sovereignty)を強調することは左翼に受け入れられるべきで、それはMMTの労働者階級を保護する等とした主張とも合致する。
気候変動などの問題は、私的利益を優先するシステムでは解決できない。リソースをどのように割り当てるかが重要だ。
戦後、人々は政府を資本の代理人にさせてしまったが、左翼はその問題に焦点を当てるべきであり、そのためには政府を再びコントロールしなければならない。
気候変動への対応とともに生産と所有のシステムも進化させる必要がある。
【グレイの質問】左翼側から見ると、右派は純粋なポピュリストとしての感情やアメリカ第一主義、または反グローバリズムの感情を抱いているようにも見えるが、それらは主流のリベラル・メディアからは正当なものではなく極端なナショナリズム(Jingoism)や排外主義(xebophobia)、またはレイシズムと見なされる。
左翼は、バーニー・サンダースやジェレミー・コービンが推進した左派ポピュリズムを肯定しことで人々を右翼側に導くことになるのではないか。
メディアのバイアスは右側に寄っている。しかし誰もが2019年のイギリスの総選挙ではコービンが潰されると思っていたが、躍進した。それは多くの若者がコービンの労働党に投票したからだ。
ルパート・マードック[*FOXやTIMES、WSJ、The Sun、NY Post、Sky TVのオーナー]のタブロイド紙はコービンを全力で批判したが、実際の選挙ではあまり影響を与えなかった。
若者が進歩主義を支持したのはソーシャル・メディアのおかげだ。若者は毎朝マードックから新聞を買うことはない。
これは私と左翼にとって楽観的に思えることだ。
しかしイーロン・マスクやザッカーバーグがTwitterやFacebookを乗っ取っていったように、この新しいメディアが再び右翼の手先になりつつある
問題は左翼の資金が圧倒的に不足しているということと、左翼の構造が複雑だということだ。
右翼は単純で、利益のために権力を維持したいという力学で成り立つ。
右翼は的を絞ったメッセージに資金を提供できる一方で、左翼は無数の哲学的な闘いやアイデンティティの戦いに巻き込まれてしまう。
これはとても重要なポイントだ。
右翼は資金集めのため企業の力を利用しているが、左翼は土曜の朝のスポーツイベントでケーキ屋を出店して資金を集める。
コーク兄弟[*石油/金融系コングロマリット、右翼・リバタリアン]は数十億ドルを寄付し、権力エリートを代表する。ケーキ屋はあなたと私のような市民を代表するのだ。
問題は、この企業の資金が英労働党や米民主党にも流れ込み、その資金に依存していることによって危機にさらされていることだ。
【グレイの質問】では、国家を取り戻すにはどうすればいいのでしょう。あなたは本の1章の最後で、「反動的なナショナリズムと進歩的なグローバリズムに二分されている」と書いた。そして「どちらも問題があるが、急進的右翼と新自由主義者双方に根本的な代替案を提供する国家主権観に基ずく進歩的開放的ビジョンがある。経済の民主主義的管理、完全雇用、社会正義、富裕層から貧困層への再分配、生産様式の社会生態学的変革が可能だ」とある。いったいどうやったら可能なのですか?(笑) 例えば現在は大統領選の真っ最中だが…。
これは今すぐに可能だという話ではない。私は左翼の学者としての役割を果たし、現在起きていることを知ってもらう必要があると考えている。
新自由主義者の計画は一夜にして現れたものではない。現在の形に進化するまでに30年、40年もかかった。
社会をある種の集合的存在と認識するビジョンから、ただの個人の集まりとして見るのに何年もかかった。
進歩的なビジョンが必要とするのは再教育だ。
私の役割はその一端を成しており、MMTの教育を介して知識やビジョンを与えることだ。
「政府が支出しても税金はかからない」という考えを教える必要がある。
おカネがなくなるわけでも、政府がなくなるわけでもない。
政府にはあなたを助ける能力があり、そしてそれはこの話のほんの一部だ。
通常、教育が社会を変えるには一世代かかる。
私達は今、その丘を登りつつある。
【グレイの質問】私はバーニー・サンダースの大統領選[*おそらく2020年]の選挙スタッフとして働いていた。その最中に私達はどれほどMMTに賛成するのかを話し合っていた。私はMMTが国民を納得させるには壮大過ぎて、私達がクレイジーで極端な社会主義者(Loony Socialist)と捉えられるのではないかと危惧していた。莫大な税金をかける必要はないですが、私がMSNBC[*中道・ネオリベ系メディア]に出演するたびに叩かれるので、現実的な課税方針、支払い方法を教えてほしいと思う。とくにインフレが亢進するなかではこの議論は重要だ。
アメリカでは現政権が民主党だが、なぜその権力を行使しないのかということだ。
つまり政権の座にいる時こそ教育を始めなければならないのに、それができていない。
そればかりか主流経済学のナラティブに固執してしまい、議論の土壌を整えなかった。
社会民主党でも労働党でも社会主義でも良いが、彼らは資本に取り込まれてしまっていて、それこそが問題だ[*「資本に取り込まれる(co-opted by capital)」はマルクス主義者的な表現]。
この問題を解決するためには草の根運動に戻る必要がある。草の根レベルで政治プロセスをコントロールしなければならない。
過去、我々が福祉国家を形成し、労働組合を組織したのは、当時、労働者の社会状況が耐えがたいほどに悪化したからだ。
現在、我々は同じ状況に向かっている。経済状況は不安定で、気候変動問題もある。生活水準が低下し、中産階級が再び追いやられるつつあることを国民が認識する地点に向かっている。
我々は反撃しなければならない。
そして反撃のための唯一の手段はローカルな組織を通じてとなる。
【グレイの質問】人々が共和党・民主党の政治に失望し、反グローバリズムの機運が生まれ、MAGAがどこからともなく現れたが、左翼バージョンもあると思う。あなたがそのリーダーだったらどんなメッセージを発するでしょう。
私はインターナショナリストであると同時にローカリストだ。地球の一部であると感じている。
まずIMFと世界銀行を廃止して新しい多国間機関の設立を提唱するだろう。
物質的に豊かな国の富みが物質的に貧しい国にも行きわたるようにしたい。
気候変動の解決などでは私はインターナショナリストだが、ローカリストとしては、例えば次のようになる。
オーストラリアではCovidパンデミックの初期に防疫・医療機器が手に入らない事態に陥った。国内で製造しておらず中国製に頼らざるをえなかったが、当地の工場も閉鎖され船舶輸送も停止されていた。
グローバル・サプライチェーンの構築は、危機の際に対応できない脆弱性を含んでいた。
あまりに長距離のグローバル・サプライチェーンを地理的に管理可能な範囲内に収める必要があるのだ。
これは食糧安全保障のためでもある。エネルギー消費を抑え脱成長型(degrowth)の経済に移行し、食料を地元で生産する必要がある。
【グレイの質問】右翼はグローバリストやダボス会議、国際金融機関を時々反ユダヤ主義とも結びつけながら批判するのに、なぜかIMFや世界銀行を批判しませんね。
IMFの新自由主義は世界のコンセンサスとなったが、IMFはそもそも固定相場制の国々の外貨獲得を容易にするようケインズらによって作られた機関だった。
1971年にニクソンが金ドル兌換を停止した後は、IMFはすでに役割を失っている。
彼らは、今では新自由主義の走狗となり、途上国に厳しい条件つきのプログラムを押しつける、つまり外貨準備が尽きたなら公共の教育や医療資金を削減させ、自給自足で持続可能な農業を、自然破壊的な、輸出用の換金作物に変えるよう押しつける新自由主義のマシーンとしての機関になった。[*筆者注:スティグリッツやマイケル・ハドソン、アン・ぺティフォーもまったく同じことを言っている 連載「全体主義からの脱獄」 まとめページ | cargo official blog powered by ameba (ameblo.jp)]
私たちはこれを改革し、廃棄し、条件なしで富裕国から貧困国への分配を促すものにしなければならない。
もしIMFがアフリカや東欧、南米に押しつけているプログラムを、過去に発展途上段階にあった西欧に施したら我々は先進国になれなかっただろう。
【グレイの質問】我々のほとんどは資本家ではなく労働者であり、ビリオネアではなくどちらかというとホームレスのほうに近い。しかしアイデンティティ政治に焦点を当てて現実を覆い隠すことでごまかしてきた。勝利のメッセージを奏でる必要があるが、現在、私達には投票する政党がない。
アイデンティティ政治は「分断と征服(Divide & Conquer)」のために利用されてきた。
オーストラリアでは1970年台にこの考えが導入されたが、失業にあえぐ労働者を批判で分断するために左翼が持ち込んだのだ。
中産階級は毎日仕事に行き、生活のために懸命に働くが、失業者は何もせず失業保険を貰ってるだけじゃないかと問題をすり替えたのだ。
アイデンティティ政治は常にそのように利用され、左翼は騙されてきた。
学者も注意をそらされた。
学者の研究は労働者階級から離れた問題に転用されるようになった。
1973年に左翼のジェイムズ・オコナーが「国家の財政危機(The Fiscal Crisis of the State)https://www.routledge.com/The-Fiscal-Crisis-of-the-State/OConnor/p/book/9780765808608 」という本を書いたが、これは政府の資金が底をつくという物語を左翼が採用してしまった最初の例となる。
最近CIAの文書が開示され明らかになったことだが、1970年台にフランスのマルクス主義者らがアメリカを旅し影響を受けたことで欧州のマルクス主義が完全に変容してしまったことがあるが、そのツアーに資金提供していたのがCIAだった。
それと逆のことを我々はやるべきではないか。
例えば気候変動問題において、スコットランドの緑の党はグリーンボンドを創設し金融市場を巻き込むことに成功した。
【グレイの質問】The HillのRisingでの私の共同司会者はリバタリアンだが、彼ら保守派も気候変動が事実だと考え始めている。気候変動否定派は減っている。
ところで、あなたの「資本主義によって気候変動は解決できない」という主張に関して教えてほしい。
グリーン・ニューディール運動やグリーン成長の考えにはフラストレーションを感じる。これらの運動に金融市場が資金を投じるというのが今の主流の左翼のナラティブである。
しかし私達が利益を上げるためには何かをしなければならないが、利益は特定の階級に吸い上げられ、下層階級は彼らのアジェンダに奉仕せざるをえないのが資本主義の本質だ。
世界が経済成長を優先し続けることができるとは思わない。
我々が現在消費しているのは、資源キャパシティの1.7倍に相当するが、これは続けられないのだ。
マルクスに戻るが、資本主義と資本蓄積の論理では私達は成長し続けなければならないとされるが、この二つは同時には実現できない。
脱成長というと、途上国や貧しい人々への悪影響が懸念されるが、これは非常にゆっくりと進む。
何十年も何世代もかかる話だ。
私は現在コミュニティ農場に住んでおり電気は太陽光で、電気代はむしろマイナスだ。ささやかながら脱成長に貢献している。
しかしアメリカの中産下級のことを考えると、巨大な家に住み、戦車のような四輪駆動のSUVに乗って子供を送り迎えし、さらにはヨットを保有しようとしている。
これには劇的な縮小が必要で、フットプリントを減らすだけでなく、貧困国の人々が物質的な安全を確保できようにすべきだ。
私は物質主義に反対しているわけではないが、富裕国の中産階級は消費を縮小させなければならない。
終焉が来る前に環境に適応していかなくてはならないのだ。
以上。
私は、ミッチェル教授の脱成長(degrowth)の考え方をいまいち理解していない。
こちらの彼のブログ(https://billmitchell.org/blog/?p=61664)でも語られているが、まだ納得できない。
どうも斉藤浩平論の亜種のようにも感じてしまい、俺たち貧乏人のことをわかっていないのではないかと感じるのだ。
ミッチェルは岸田の財政政策を評価していた(https://x.gd/Ibuf8)が、まったく日本の経済の実情、つまり日本政府の官僚の醜悪さ、彼らの嘘と捏造を理解していないと感じる。
日本の中間層とはすなわち先進国基準では貧乏人のことだ。
対外的に公表される日本の公的指標は嘘に彩られている。
彼らは、オーストラリア人のようにシンプルな良い人達ではないのだ(私は4年間シドニーに住んでいた)。
・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・
抜粋終わり

拍手

PR

コメント

コメントを書く