さて、世界的な金利低下がずっと続いている。
これ自体が、実は「資本主義の終焉」の兆しではないだろうか。
金利低下とは、「金を借りる人がいない」ということだ。金のある人から言えば、「投資先が無い」ということだ。別の言い方をすれば「発展性のあるビジネスが無くなった」ということだ。
これは、これまでの「金融資本主義」の終焉を意味するのではないか。だから、銀行はひたすら国債だけを買い込むことでお茶を濁しているのだろうが、それだけでは経営者への高額配当も銀行員の高額給与も維持できなくなるだろう。もちろん、経営不振になれば、これまでは政府が助けてくれたが、あまりに度重なると国民が黙ってはいないだろう。
つまり、金融資本主義は世界的に終わり、となる日が近づいていると私は見ている。
下記コラムの筆者などが言うような「プラズマ」が何とかで、フリーエネルギーで経済的ブレークスルーが起こる、などという「神頼み」の妄想より、「経済的な成長(永遠の2%物価上昇)の無い社会での新しい経済体制」(実体経済に基づく富の公正な再配分システム)を考察するほうが、現実的で確実な思考だろう。
(以下引用)
コラム:資本主義の「病気」がもたらす長期金利低下
田巻 一彦
[東京 16日 ロイター] - 米欧日の長期金利が低下の一途をたどっている。市場では、ユーロ圏経済の低迷や原油安を発端にしたリスクオフ心理の波及などが原因として指摘されているが、世界経済を俯瞰してみれば、高いリターンが期待できる投資先が少なくなっているということではないだろうか。
ある意味で資本主義の「病気」とも言え、この停滞感を突破するには、低コストのエネルギー源の開発などの抜本的なイノベーションが不可欠だと考える。
<10年日本国債は一時0.225%>
16日の東京市場で、日本国債の10年最長期債利回りJP10YTN=JBTCは一時、0.225%と過去最低水準を更新した。
15日のNY市場で10年米国債利回りUS10YT=RRは一時、1.756%と1年8カ月ぶりの低水準を付け、30年債US30YT=TWEBは2.393%までいったん低下し、過去最低水準を更新した。
15日の欧州市場では、スイス中銀の対ユーロ相場上限の撤廃を受け、同中銀によるユーロ建て国債買入減少の思惑から、フランス、ベルギーの国債価格が下落した。だが、10年独国債利回りDE10YT=TWEBは過去最低の0.402%を付け、10年イタリア国債利回りIT10YT=Tも1.74%と過去最低の1.71%近くで取引された。
<懸念される世界的な需要不足>
米欧日の長期金利低下には、多様な要因が指摘されている。短期的には、15日のスイス中銀による対ユーロ相場上限の撤廃と利下げで、米国債や独国債に資金が流入したことや、スイスフラン高につれた円高の進行で、日本株に売りがかさんだなどのマネーフローの波及が影響したと言えるだろう。
また、年初から進んでいる急ピッチの原油安で、ロシアなどの産油国経済が圧迫を受けるとの観測から、通貨と株価の同時安が進行。合わせて米シェール業者の発行したハイイールド債や関連するプロジェクトファイナンスへの懸念から、リスクオフ心理が広がり出したことも、世界的に株価の下押し要因として意識されている。
さらに欧州中銀(ECB)の量的緩和決断観測の背景にある欧州経済の低迷や、中国経済の不透明感の高まりも、世界的な需要不足に対する不安感を強めている。
ただ、こうした多様な現象を俯瞰して見れば、米欧日の中銀による超金融緩和政策でマネーが過去最大規模に膨れ上がっているにもかかわらず、高いリターンを見込める投資が実物経済に見当たらず、様々なマーケットに流れ込んだマネーも、結局のところ、最近の原油や非鉄金属などの価格急落を見て、安全資産に流れ込んでいるということではないか。
少なくとも、実物経済には高いリターンを見込める事業が少なくなっている可能性が高いと言えるだろう。
<世界的な長期金利低下を予見していた水野氏>
このような未曽有の世界的な超低金利現象を「予見」していた経済学者が日本にいる。日本大学・国際関係学部の水野和夫教授だ。昨年3月に刊行され人気書籍の上位にランクインした「資本主義の終焉と歴史の危機」の中で、「金利はすなわち、資本利潤率とほぼ同じだと言える」とし、「利潤率が極端に低いということは、すでに資本主義が資本主義として機能していない証拠だ」と主張している。
そのうえで「資本利潤率の著しく低い状態の長期化は、企業が経済活動をしていくうえで、設備投資を拡大することができなくなったということ」で、「裏を返せば、設備投資をしても十分な利益を生み出さない設備、つまり過剰な設備になってしまうことを意味する」と分析している。
この水野教授の指摘に説得力を持たせるような現象が米国で起きている。米連邦準備理事会(FRB)は、今年4─6月にも利上げに踏み切るとの観測が盛り上がっていたが、米長期金利は2%台から1.7%台まで低下している。
これまでの経験では、利上げ観測が台頭すると、その背後にある景気上向きのトレンドをマーケットがとらえ、長期金利は上昇基調に入る。
だが、足元の米債市場が示しているメッセージは、他の実物投資に向かうよりも、米国債投資にマネーを向けた方が効率的だ、ということだ。つまり、米景気はFRBが予想しているトレンドよりも下振れした推移を示す可能性があるということにほかならない。
<長期停滞の回避に必要なイノベーション>
米欧日の長期金利が、過去の水準よりも低いトレンド線に推移して新たな均衡(ニューノーマル)を形成するようなら、それは低成長が長期化することを意味する。したがって現在進行中の長期金利の低下基調を「一時的現象」として、軽視するのは世界経済の長期的な構造変化の動きを無視することになるだろう。
この「長期停滞」の動きを変えるには、どうしたらよいのか。
水野教授は「より速く、より遠くへ、より合理的に」という資本主義を駆動させてきた理念を逆回転させ、「よりゆっくり、より近くへ、よりあいまいに」という理念に基づき、ゼロ金利、ゼロ成長の下で豊かさを意識できる社会に転換すべきだと述べている。
私は、この部分でやや意見を異にしている。最新の宇宙物理学では、宇宙に存在しているのは、従来から言われていた漆黒の闇(ダークマター)ではなく、多様な波動を持ったプラズマという説が登場している。
この説に従えば、宇宙空間からこのプラズマを取り出してエネルギー化することができれば、ほとんどコストなしでエネルギーを利用できるようになり、現在の経済構造が一変することになるだろう。
このような抜本的なブレークスルーが、どこかの分野で起きれば、長期停滞を回避できると思うのだが、楽天的に過ぎるだろうか。
(引用2)「阿修羅」記事の或るコメント中の引用記事である。
ユーロ圏の12月CPI改定値は前年比-0.2%、物価下落が確定
2015年 01月 16日 20:10 JST
[ブリュッセル 16日 ロイター] - 欧州連合(EU)統計局が16日に発表した12月のユーロ圏消費者物価指数(CPI)改定値は、前年同月比で0.2%低下、前月比では0.1%低下で、速報値から変わらなかった。市場予想とも一致した。
ユーロ圏の物価は2009年以来初のマイナスに転じた。物価下落が確定したことを受け、欧州中央銀行(ECB)が来週、国債の買い入れを含めた量的緩和(QE)策に踏み切る、との見方が強まりそうだ。
ユーロ圏のCPI伸び率が前回マイナスとなったのは、2009年10月で、このときにはCPIは前年同月比で0.1%低下していた。
原油の国際価格急落を反映し、12月はエネルギー価格が前月比で3.3%下落し、前年同月比では6.3%下落した。輸送用燃料は前年同月比10.8%下落し、暖房用油は前年同月比20.4%下落した。
ただ、エネルギーと未加工食品を除くコアCPIは前月比0.3%上昇、前年比0.7%上昇。上昇率は10月、11月と同じとなった。
焦点:原油急落はプラス要因、FRB年央利上げシナリオ揺るがず
2015年 01月 16日 20:01 JST
[ニューヨーク/サンフランシスコ 16日 ロイター] - 原油価格の急落など不安定な市場、米インフレ見通しの弱さを背景に、投資家は米連邦準備理事会(FRB)の利上げ時期予想を先送りしている。しかしロイターがFRB高官に行ったインタビューでは、原油安で逆に、年央前後の利上げ開始への決意が強まっていることが分かった。
FRBの高官や顧問らはインタビューで、米経済は6─9月の緩やかな政策引き締めへの準備ができていると発言。利上げペースについては、おそらくゆっくりとしたものになり、市場の反応次第と述べた。
景気回復へのFRB高官の自信の源は、原油価格下落が米経済にとって明らかにプラスであることを示すFRB内部の分析資料だ。
同資料はまた、長期のインフレ期待が低下していることについて、2%のインフレ目標達成への信頼が失われたことを意味しないと指摘。
逆に、市場ベースのインフレ期待がこのところ低下しているのは、物価が制御不能になることはないという投資家の信頼感の表れという。
FRB当局者の最近の公式発言を見ても、ここ数カ月のインフレ期待の大幅な低下をほとんど気にしていないことがうかがえる。
米アトランタ地区連銀のロックハート総裁は今週、記者団に対して「インフレ期待の数値を注視しているが、何らかの行動が必要だとは考えていない。私の見通しを大きく変えるものでもない」と述べている。
今回のロイターのインタビューでも、昨年の力強い雇用拡大を踏まえると、年央の利上げはむしろ慎重なアプローチ、との声が聞かれた。
また、海外から予想外の逆風があっても、米経済が回復軌道から外れることはないと確信している、とも声も上がった。
しかし市場では、世界的なデフレや景気低迷への警戒感が強まっており、先物トレーダーの間では、少なくとも10月までは利上げはない、との予想が大勢。利上げ開始時期を12月と予想する向きもある。
<原油安、むしろ利上げの理由>
賃金が伸び悩むなど国内物価は弱含んでいるが、インタビューでは、新興市場が安定すればインフレは上向く、とのFRBの確信が揺らいでいないことが浮き彫りとなった。むしろ、ガソリン価格の下落が低・中所得層に及ぼす影響は、引き締めを後押しする可能性がある。
米リッチモンド地区連銀のラッカー総裁は12日、ロイターのインタビューで「エネルギー価格の急激な変動は永遠に続くわけではない」と指摘。「(インフレの小幅な下振れという)一時的な事象の先を見据えて、金利を引き上げるというのは、無理なことではない」と述べた。
インフレ率は依然として、FRBの2%目標を0.50%ポイント下回っており、原油安とドル高を背景に今後、一段と低下する可能性がある。ただFRBは、原油価格は最終的には安定すると予想。米経済は成長を続け、あと数年もすればインフレ率も加速に転じると見ている。
(Jonathan Spicer記者、Ann Saphir記者 翻訳:吉川彩 編集:加藤京子)
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKBN0KP14520150116
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