私が前々から言っていることを英国フィナンシャルタイムズ記者が言っているのだから、私の経済観というか、経済勘もなかなかたいしたものではないか。まあ、ギリシャはデフォルトによって得しかしないというのは当然の話である。借金踏み倒しで損をするのは貸した側、得をするのは借りた側に決まっている。(笑)借金踏み倒しをすれば村八分にするぞ、と言われても、その村にいることで借金はどんどん積み上がっていくのだから、村八分大いに結構、ではないか。
グレグジットという聞き慣れない言葉が出てくるが、おそらくギリシャのEUからの離脱ということだろう。GREXIT、つまり「GREEKのEXIT」から作った言葉だと思う。ネットで調べるより、推測した方が早いし面白いから、そう推測しておく。
「これら2つのシナリオを比べていたら、酩酊状態は醜さとは異なり、徐々に消え去る性質だと言ったウィンストン・チャーチルの言葉を思い出した。1つ目のシナリオはとにかく醜く、常に醜悪であり続ける。2つ目のシナリオは二日酔いをもたらすが、その後は必ず素面になる。」
は、このままだと面白みが感じられないのではないか。
これはチャーチルの有名な逸話で、チャーチルが二日酔い状態で議会答弁をした時、それを野党の婦人議員に厳しく咎められて、
「私の二日酔いは明日になれば醒めるが、あなたの醜さはそうはいかない。そちらの方が問題でしょう」
とか言って大騒ぎになったという出来事である。フェミニストが「男性至上主義者の豚め!」と怒りそうな話だが、咄嗟にこういう言葉が出てくるチャーチルの頭の回転の良さには感心する。
安倍一派の答弁や野次とはだいぶレベルが違うのではないか。
(以下引用)
決断迫られるギリシャ、失うものは何もない 債権団の提案を拒否し、デフォルトした方が得策(Financial Times)
http://www.asyura2.com/15/hasan97/msg/711.html
ギリシャの首都アテネの議会に掲げられたギリシャ国旗〔AFPBB News〕
決断迫られるギリシャ、失うものは何もない 債権団の提案を拒否し、デフォルトした方が得策
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/44039
2015.6.16 Financial Times JBpress
(2015年6月15日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
さあ、ついにこの局面が訪れた。ギリシャのアレクシス・チプラス首相が提案を受け入れるか否かの二者択一を迫られた。首相はどうすべきなのか。
チプラス氏は2019年1月まで選挙に直面せずに済む。今どんな行動方針を決めるにせよ、その方針は向こう3年以内に実を結ばなければならない。
■提案受諾は二重の自殺
最初に、2つの極端なシナリオを対比しておこう。債権者の最終提案を受け入れるか、あるいはユーロ圏から去るか、だ。提案を受け入れることで、チプラス氏は6カ月以内に国内総生産(GDP)比1.7%に相当する財政再建に同意しなければならない。
筆者の同僚のマーティン・サンドゥブは、そのような規模の財政再建がいかにギリシャの成長率に影響を与えるか試算した。筆者は債権者が要求している通り、丸4年間の財政再建策を盛り込むよう、この試算の範囲を広げてみた。
双方向のプロセスである財政政策とGDPの相互作用に関してサンドゥブが立てたものと同じ前提に基づくと、4年間の累計でGDPの水準に12.6%の打撃が及ぶという数字が出た。ギリシャの対GDP債務比率は200%に近づき始める。
筆者の結論は、トロイカのプログラムの受諾は二重の自殺に相当するというものだ。ギリシャ経済にとって、そしてギリシャ首相の政治的キャリアにとっての自殺である。
では、正反対のシナリオである「Grexit(グレグジット)」は、それよりましな結果を生むだろうか。もちろん、そうなる。それには3つの理由がある。
■グレグジットの方が好ましい3つの理由
グレグジットの最も重要な効果は、ギリシャが馬鹿げた財政再建を放棄できることだ。ギリシャはそれでも小幅なプライマリーバランス(利払い前の基礎的財政収支)の黒字を出す必要があり、それには一度限りの調整が必要になるかもしれないが、それだけだ。
ギリシャはすべての公的債権者――国際通貨基金(IMF)、欧州中央銀行(ECB)、欧州安定メカニズム(ESM)、欧州債権国からの2国間融資――に対してデフォルト(債務不履行)することになる。だが、数年後に市場に対するアクセスを取り戻すという戦略的な目的を持ち、民間ローンの元利払いはすべて継続する。
2つ目の理由は、リスクの低減だ。グレグジットの後は、誰も通貨変更のリスクを心配する必要がなくなる。また、ギリシャはすでに公的債権者に対してデフォルトしており、民間投資家の信頼を取り戻すことに懸命になっていることから、全面的なデフォルトの可能性は大幅に低下している。
3つ目の理由は、経済の対外ポジションに対するインパクトだ。
欧州北部の小さな経済国と異なり、ギリシャは比較的閉ざされた経済国だ。GDPの約4分の3は国内での生産だ。
残りの4分の1のうち、大半は通貨切り下げで恩恵を受ける観光業から来る。
通貨切り下げの総合的な効果は、アイルランドのような開かれた経済で行われた場合の効果には遠く及ばないものの、有益であることに変わりはない。3つの効果のうち、短期的に最も重要なのは最初の効果だが、長期的には2番目、3番目の効果が大きい。
グレグジットには、もちろん、落とし穴がある。主に、非常に短期的な観点での落とし穴だ。新通貨を突然導入すれば、大混乱する。政府は資本規制を導入し、国境を閉鎖せざるを得ないかもしれない。そうした1年目の損失は大きなものになるが、混乱が収まった後、経済は急速に回復するだろう。
■酔っ払いはいずれ素面になるが・・・
これら2つのシナリオを比べていたら、酩酊状態は醜さとは異なり、徐々に消え去る性質だと言ったウィンストン・チャーチルの言葉を思い出した。1つ目のシナリオはとにかく醜く、常に醜悪であり続ける。2つ目のシナリオは二日酔いをもたらすが、その後は必ず素面になる。
だから、もしこれが選択肢だったとすれば、ギリシャ人はグレグジットの方を好む合理的な理由を持つことになる。だが、これは今週下される決断ではない。選択肢は、債権者の提案を受け入れるか拒否するか、というものだ。グレグジットは、提案を拒否した場合の潜在的な(ただし、確実ではない)結果なのだ。
もしチプラス氏が提案を拒否し、最終期限――6月18日に予定されているユーロ圏財務相会合――に間に合わなければ、7月と8月に期日を迎える債務返済でデフォルトする結果になる。
その時点では、ギリシャはまだユーロ圏内にとどまっており、ECBがギリシャの銀行に供与する流動性を許容可能な限度以下に絞った場合に限って、ギリシャはユーロ圏離脱を余儀なくされるだろう。これが起きる可能性はあるが、避けられない結果ではない。
ユーロ圏の債券者はその時点で、ギリシャの債務減免について協議することが自分たち自身の利益になると判断する可能性が多分にある。各国の立場を考えてみればいい。
■ギリシャがデフォルトすれば、仏独だけで1600億ユーロの大損
もしギリシャが公的部門の債務すべてをデフォルトすることになれば、フランスとドイツだけで、およそ1600億ユーロの損失を被ることになる。ドイツのアンゲラ・メルケル首相とフランスのフランソワ・オランド大統領は史上最大の金銭的な敗者として歴史に名を残すことになるだろう。
債権者は現在、債務減免に関するいかなる交渉も拒否しているが、ひとたびギリシャがデフォルトし始めたら、状況は変わるかもしれない。
交渉すれば、すべての人が恩恵を受ける。減額された債務負担の元利を払うための財政再建はより容認できるものになるため、ギリシャはユーロ圏にとどまるだろう。一方の債権者は、そうでなければ確実な損失の一部を取り返すことができる。
要するに、ギリシャは今週の提案を拒否することで、本当の意味で損をしようがないのだ。
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