幸徳秋水、愛国心を論ず
<<その 1 >>
●版図拡張!国威発揚!国旗に栄光あれ!・・・帝国主義者の”愛国心”なるものは旺盛だ。
●英国は南アを、米国はフィリッピンを討った。ドイツは膠州、ロシアは満州を奪った。
フランスはファショダを征服し、イタリアはアビシニアに侵攻した。
帝国主義の向かうところに軍備あり、力づくの外交あり。
●つまり、帝国主義とは”愛国心”のタテ糸に”軍国主義”のヨコ糸を織り込ませる政策にあらずや?
いったい”愛国心”、”愛国主義”とは、何ものなのであろうか?
<<その 2 >>
●子どもが、井戸に落ちそうなのをみれば、だれしも思わず助けの手をさしのべる、それを惻隠の心という。
惻隠の心や慈善の心は、だれかれを差別するものではない。
●ところが、”愛国心”なるものは、いったん英国が”敵”となると、英国人のためを祈っただけで
「愛国心がない」などと罵られる。
自分以外の他者への同情惻隠の心を禁じる”愛”とは、まことの”愛”であろうか?
●つまり、”愛国心”とは憎悪にほかならない。他国に対する憎悪である。
まことの意味で「国を愛する心」ではないのである。
”愛国主義者”とは、他国を憎悪しているだけで、国を愛する心なんぞ持ってはいないのだ!!
◆◆幸徳秋水著「帝国主義」(山泉進 校注)岩波文庫より・・・・すこし意訳してあります。
「偏狭なナショナリズム」とは、「愛国心」ではなく、「外国に対する憎悪」のことです。
コメント