もっとも、私はかなり昔にSF作家ハインラインの短編で、革命的な発明は大企業の手によって抹殺され封印されるという話は読んだことがあるので、「やっぱりね」という感想である。
(以下引用)長いので前半は省略。
19世紀後半から20世紀にかけて、石油がエネルギーの中心的存在となりました。つまり、石油を支配することは、世界を支配することとほぼ同じ意味を持ちます。
実際のところ、石油に依存しない、無料かつ無尽蔵のフリーエネルギーを生み出す技術が存在するのですが、こうした技術が世に出ることはありません。

フリーエネルギーを生み出す技術は複数ありますが、ここではトリウム・プラズマ電池(TPB)について紹介しましょう。
1990年代から、フリーエネルギーが可能であると主張する科学者が出始めました。彼らは、実際に現象を示すだけではなく、そこに明確な理論があることを論文で公表しました。
これに興味を示した米国エネルギー省は、4000万ドルもの助成金を出しました。さすがの先見の明です。「これは革新的な技術だ。費用面で援助するからもっと深く研究しなさい」というエネルギー省からのメッセージでしょう。
しかし2000年代になって、TPBが本格的に形になってきて、世間の注目を浴び始めた頃、事情が激変しました。これまでTPB研究を推奨してきたエネルギー省が、むしろその研究開発を禁止するような動きを見せ始めました。
TPB技術を完成しその普及に向けて動いていたMITのマロブ博士、発明家のデゲウス博士など、TPB研究者の不審死が相次ぎました。

TPBを知る科学者にとって、フクシマの原発事故はTPBの普及を再考するきっかけになりました。

すでに、絶対メルトダウンを起こさないトリウムによる原発が可能なのに、なぜいつまでも危険なウラン型の原発なのか。
まず、トリウムについて、軽く見ていこう。

トリウムは周期表で、こんなに下のところにあるので、ほとんどの人にとって、あまりなじみのない元素でしょう。


トリウムは、ウランよりも豊富で安く、処理も簡単です。しかもウランよりも20倍エネルギー収率がいいし、ウランよりも安定、かつ安全。
率直に言って、トリウムには欠点がありません。実際、中国、ノルウェー、インドはすでにトリウム原発に切り替えました。しかしアメリカの影響力が強い西側では、トリウムは使われていない。

これは軍事的な理由によります。トリウムは、核爆弾の製造や原子力潜水艦の動力として使えません。そのため、政治的に敵対する国に対してトリウム原発の技術を供与しても、それを軍事転用されるリスクがないのですが、しかし、その理由ゆえに、トリウムでは困る人が一部にいます。ウラン燃料の原子炉ならプルトニウムが生成するので、これを軍事利用できます。そういう人がトリウムよりもウランを優先しているわけです。

ともかく、2000年代初め頃はTPB技術が花開いた時期で、科学者たちはこの技術を隠すよりはオープンにして、より多くの人に知ってもらおうとしました。公衆の面前でしばしば公開実験が行われ、そのパフォーマンスは驚くべきものでした。安定した電圧で出力が可能で、直流/交流の調整も問題ない。しかもコンパクトで携帯可能だし、排ガスはゼロ、騒音もゼロ。核分裂なしで(核融合で)エネルギーを出力し、100年以上の動作が可能だという、驚くべき性能です。

靴箱サイズのTPBで一般的な戸建て住宅5軒分に電力供給できる。ランクルぐらいのサイズのTPBなら、300ユニットの病院やマンションに電力供給できるし、戸建て住宅サイズのTPBなら、ひとつの市全体に電力供給できる。

新幹線を敷設するとして、TPB技術を使えば、送電線がいりません。従来型の新幹線は、実は地元の電力のおかげで走っています。しかしそういう外部電力がいらないとなれば、国境を越えた新幹線を作ることも可能になってきます。
そればかりではありません。

石油、石炭、天然ガスによる火力発電所をなくすことも可能です。これにより、CO2を大幅に削減することもできます。
言うまでもなく、これは地球の未来にとってすばらしいことです。
しかし石油で富を得る人にとって、実に不都合なことです。
そこには、お金がからんでいます。それも、途方もなく莫大な額のお金が。

たとえば、アメリカの自動車5000万台がガソリンではなく、TPB電池を使ったとすると、毎日8億5千万ドル以上の燃料税収入が減少します。
米国の運営予算の30~40%は燃料税(ガソリン、ディーゼル燃料など)による収入に依存しています。

これは日本も似たり寄ったりで、「ガソリンは税金のかたまり」です。

しかし新しいテクノロジーが出現し、その収入がなくなったらどうなるか?
数十億ドルの損失ということになります。

石油産業は、年間6000億ドルもの富を生み出します。
そして、この富の85%を一部のエリート層がごっそり持っていきます。
そのエリート層とは、具体的には、ブッシュ家、チェイニー家、ロックフェラー家などです。

つまり、構図は以下のようになります。
石油による支配で世界の富の大半を独占する億万長者にとって、ときどき出現する革新的な科学者は非常に厄介です。
フリーエネルギーなど石油利権の優位性を根底から突き崩すような発明に対して、彼らはどのように対処するか。
たとえば、マスコミを使って総攻撃します。世界を支配している人たちは、マスメディアの所有者でもあるので、あることないことでっち上げて新技術を叩きます。「ニセモノの技術だ!」「フリーエネルギーなどという陰謀論者がまた出たぞ!」とか、技術そのものをおとしめたり、あるいはその科学者の信用や名誉を傷つけるようなデマを流したりする。
金でどうにかなる研究者なら、その新技術を特許ごと買い取ることもある。「10億やるから、お前ちょっと黙れ」と。で、買い取った技術は、当然外に出さない。タンスで塩漬けにしておく。永遠に。
メディアの攻撃にも屈せず、金でどうにもならないなら、殺す。実はこれが一番簡単なんだ。
殺し屋を雇うにも相場があって、プロの殺し屋なら、ひと仕事10万ドル、アマチュアなら5万ドルなんだとか。「プロの殺し屋って何だ?国家資格じゃあるまいし」と思われるかもしれないけど、元グリーンベレーとか元米軍レンジャー部隊にいたとか、そういう「腕に覚えのある」殺し屋をプロといいます。
生かしておけば数十億ドルの損失になりかねないところ、殺し屋に10万ドル払ってひと仕事してもらうだけで、そのリスクを回避できる。実に簡単です。
とにかく、これまで多くの科学者があっけなく殺されてきました。



さて、TPB技術もこんなふうに封じ込められ、世に出ることはなかったけれども、タンスで塩漬けになっているわけではありません。

サンディア国立研究所という、一応「国立」となってるけど、事実上民間の軍事会社があって、そこで軍事兵器に応用されています。

TPB技術を使って、たとえば、魚雷が無制限に航行できるようになったり、戦車が燃料の補給なしに、しかも騒音なしに移動できるようになったり、航空機が数週間も空中にとどまることができるようになりました。

TPB技術を平和的に活用すれば、たとえば僻地や自然災害などの被災地域に電力供給が可能になるなど、人類の福祉に貢献できる技術なのに、あろうことか、この技術が、軍事にだけ使われているという、最悪の状態です。

一時期、界隈で「パナソニックはTPB技術を保有していて、世界最初の充電不要ケータイを製造するだろう」と言われていました。しかし今に至るも、この話が実現したという話は聞かない。単なるうわさ話かもしれないし、本当に技術を持っているのかもしれない。しかし仮に技術を持っているのが本当だとしても、そんな技術を実装した商品は、彼らが絶対に許さないだろう。
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