「混沌堂主人雑記」から転載。
引用文は「戦闘教師ケン」さんのもの。
日本社会の腐敗構造を非難する人は多いが、その改善策について具体的な考察をしている人は少ないので、なかなか貴重な文章だと思う。
選挙制度が一番の問題だと思うが、下の考察では「不正選挙」の観点がまったく抜けているようで、そこが抜けていたらまったく現実的な意味が無いのではないか。
党名簿順位に基づく「単純比例代表制」が本当に望ましいのかどうかも疑問だ。つまり、党自体の党員支配権力が強くなりすぎて、党員の自由意思が束縛されるように思う。現在の自民党みたいに、上の者の意志で党のすべてが決まる、という有様は、まともな代表制民主主義とは思えないが、「単純比例代表制」はそれに通じるのではないか。
政治家と有権者の個人的癒着を断つためには、立法と行政の支配・被支配関係を断つだけでもいいような気がする。
選挙制度を改革するにしても、「単純比例代表制」を解決策とする以外の方法もたくさんありそうだ。要するに、「カネのかかる選挙」を改善し、有権者と政治家の個人的癒着を法的に重く処罰するという方向でもいいわけで、何かひとつだけが解決策だと決めつける必要は無いだろう。
他の部分については、「そうかもしれない」とは思う(特に政官癒着の改善案は、いいと思う。)が、これも何か大事なものが抜け落ちているような気がする。まあ、「気がする」だけで、深い考察はしていないので、私自身の考察の今後の参考にしたい。
(以下引用)
日本社会の腐敗構造について・補
「日本社会の腐敗構造について」の補足になる。腐敗を無くすことは不可能としても、その影響を最小限にするためにできることはある。
政官業報の「腐敗テトラゴン」構造を理解すれば、その癒着関係を一つずつ絶ってゆくことが近道であると推定することができる。
最大の問題は選挙制度だ。政治家個人がカネと票を集めなければならない選挙区制度では、政治家が有権者に利益誘導(公共調達、公共事業、公的融資、補助金等)する代償としてカネと票をもらうシステムになっており、投票率の低さも相まって有効に機能している。
法律上は、公職選挙法、収賄罪、あっせん利得罪などがあるものの、殆ど機能していないことを鑑みても、これらの罰則を強化したところでまず効果は無いだろう。
政治家と有権者の個人的癒着を断ち切るためには、党員の事前投票によって党名簿の順位を決める単純比例代表制が望ましい。ただし、この場合でも、企業団体による政党への献金も禁止あるいは制限する必要はあろう。これにより政業の癒着を絶つ。
次に政官の癒着。これは、政権党が行政府の出す法律案を丸呑みする代償として、行政が利益誘導(公共調達、公共事業、公的融資、補助金等)することで成り立っている。立法府に行政監督権がある以上、「どこまでが監視でどこからが利益誘導か」という判断は常に残る。だが、英国のように政治家と官僚の接触を厳しく制限し、その交渉内容を必ず記録して公文書に残すようにすれば、政治側からの要求は全て明白となろう。もちろん公文書管理法や情報公開法の改善は不可欠だ。
これによって政治側からの不当要求を減らせば、逆に政治側は行政側の立法提案を丸呑みする必要は無く、少なくとも「貸し借り」の関係を弱めることはできるだろう。
そして官業。財界は政治家を通じて行政から利益誘導(公共調達、公共事業、公的融資、補助金等)を受ける代償として、官僚に天下りポストを用意する。民主党政権時に、天下り規制を強化したものの、自民党に政権が戻ってほぼ有耶無耶にされてしまったが、このこと自体が「癒着テトラゴン」の存在を示している。
これを抑止するためには、まず省庁に降格制度を設け、全員が定年まで勤め上げられるシステムを構築し、比較的早い段階から年金を受給できるようにする必要がある。この場合、「官優遇」の非難は起きようが、官僚の天下りによって生起される癒着構造が社会に与えているダメージを考えれば、やむを得ない措置だろう。
最後にマスゴミ。日本の大手メディアは、「記者クラブ」「クロスオーナーシップ」「再販制」「電波許可制」などによって政府から得た独占的権利をもって市場を占有しており、これが他社の参入を拒んで権力との一体化をなしている。従って、この4つの特権を廃止し、市場競争を促せば大半の問題は解決されるだろう。民主党政権は、これにメスを入れようとしたため、徹底的に攻撃された。それを考えると、現行システムでの漸進的改革は難しいかもしれない。
引用文は「戦闘教師ケン」さんのもの。
日本社会の腐敗構造を非難する人は多いが、その改善策について具体的な考察をしている人は少ないので、なかなか貴重な文章だと思う。
選挙制度が一番の問題だと思うが、下の考察では「不正選挙」の観点がまったく抜けているようで、そこが抜けていたらまったく現実的な意味が無いのではないか。
党名簿順位に基づく「単純比例代表制」が本当に望ましいのかどうかも疑問だ。つまり、党自体の党員支配権力が強くなりすぎて、党員の自由意思が束縛されるように思う。現在の自民党みたいに、上の者の意志で党のすべてが決まる、という有様は、まともな代表制民主主義とは思えないが、「単純比例代表制」はそれに通じるのではないか。
政治家と有権者の個人的癒着を断つためには、立法と行政の支配・被支配関係を断つだけでもいいような気がする。
選挙制度を改革するにしても、「単純比例代表制」を解決策とする以外の方法もたくさんありそうだ。要するに、「カネのかかる選挙」を改善し、有権者と政治家の個人的癒着を法的に重く処罰するという方向でもいいわけで、何かひとつだけが解決策だと決めつける必要は無いだろう。
他の部分については、「そうかもしれない」とは思う(特に政官癒着の改善案は、いいと思う。)が、これも何か大事なものが抜け落ちているような気がする。まあ、「気がする」だけで、深い考察はしていないので、私自身の考察の今後の参考にしたい。
(以下引用)
日本社会の腐敗構造について・補
「日本社会の腐敗構造について」の補足になる。腐敗を無くすことは不可能としても、その影響を最小限にするためにできることはある。
政官業報の「腐敗テトラゴン」構造を理解すれば、その癒着関係を一つずつ絶ってゆくことが近道であると推定することができる。
最大の問題は選挙制度だ。政治家個人がカネと票を集めなければならない選挙区制度では、政治家が有権者に利益誘導(公共調達、公共事業、公的融資、補助金等)する代償としてカネと票をもらうシステムになっており、投票率の低さも相まって有効に機能している。
法律上は、公職選挙法、収賄罪、あっせん利得罪などがあるものの、殆ど機能していないことを鑑みても、これらの罰則を強化したところでまず効果は無いだろう。
政治家と有権者の個人的癒着を断ち切るためには、党員の事前投票によって党名簿の順位を決める単純比例代表制が望ましい。ただし、この場合でも、企業団体による政党への献金も禁止あるいは制限する必要はあろう。これにより政業の癒着を絶つ。
次に政官の癒着。これは、政権党が行政府の出す法律案を丸呑みする代償として、行政が利益誘導(公共調達、公共事業、公的融資、補助金等)することで成り立っている。立法府に行政監督権がある以上、「どこまでが監視でどこからが利益誘導か」という判断は常に残る。だが、英国のように政治家と官僚の接触を厳しく制限し、その交渉内容を必ず記録して公文書に残すようにすれば、政治側からの要求は全て明白となろう。もちろん公文書管理法や情報公開法の改善は不可欠だ。
これによって政治側からの不当要求を減らせば、逆に政治側は行政側の立法提案を丸呑みする必要は無く、少なくとも「貸し借り」の関係を弱めることはできるだろう。
そして官業。財界は政治家を通じて行政から利益誘導(公共調達、公共事業、公的融資、補助金等)を受ける代償として、官僚に天下りポストを用意する。民主党政権時に、天下り規制を強化したものの、自民党に政権が戻ってほぼ有耶無耶にされてしまったが、このこと自体が「癒着テトラゴン」の存在を示している。
これを抑止するためには、まず省庁に降格制度を設け、全員が定年まで勤め上げられるシステムを構築し、比較的早い段階から年金を受給できるようにする必要がある。この場合、「官優遇」の非難は起きようが、官僚の天下りによって生起される癒着構造が社会に与えているダメージを考えれば、やむを得ない措置だろう。
最後にマスゴミ。日本の大手メディアは、「記者クラブ」「クロスオーナーシップ」「再販制」「電波許可制」などによって政府から得た独占的権利をもって市場を占有しており、これが他社の参入を拒んで権力との一体化をなしている。従って、この4つの特権を廃止し、市場競争を促せば大半の問題は解決されるだろう。民主党政権は、これにメスを入れようとしたため、徹底的に攻撃された。それを考えると、現行システムでの漸進的改革は難しいかもしれない。
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