マスコミに載らない海外記事さんのサイトより
http://eigokiji.cocolog-nifty.com/blog/2025/01/post-9f480f.html
<転載開始>
2025年1月23日
Moon of Alabama

 2017年5月、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領はル・フィガロ紙のインタビューに応じ、アメリカ大統領が提案する政策の嗜好に関する自身の経験を説明した。  
私は既に三人のアメリカ大統領と話した。大統領は入れ替わるが、政治は常に同じだ。なぜかご存じだろうか? 強力な官僚機構のためだ。大統領に選出された際、何らかの考えを持っているかもしれない。その後、ブリーフケースを持った人々がやって来る。彼らは身なりがよく、私と同じようにダークスーツを着ている。ただし、赤いネクタイは別で、彼らは黒か濃紺のネクタイをしている。彼らは物事の進め方を説明し始める。すると、瞬時に全てが変わる。これはどの政権でも起こることだ。
 ドナルド・トランプの第2期大統領就任後、それが実現するまでにたった二日しかかからなかった。選挙運動中に約束した通りに、ウクライナ戦争を終わらせるためロシアとの関係改善を目指す代わりに、トランプはロシアとの公開「対話」を開始したが、そのことでこの二つの目標はどちらも不可能になったようだ。

 彼は次のようにTruth-Socialに投稿した
ドナルド・J・トランプ @realDonaldTrump - 2025年1月22日 15:46 UTC

 私はロシアを傷つけたいわけではない。私はロシア国民を愛しているし、プーチン大統領とは常に非常に良好な関係を保ってきた。極左によるロシア、ロシア、ロシアデマにもかかわらず。我々が第二次世界大戦に勝利するのをロシアは支援し、その過程で約6000万人の命を失ったことを決して忘れてはならない。とは言え、経済衰退しているロシアとプーチン大統領に私は大きな恩恵を与えるつもりだ。今すぐ和解し、このばかげた戦争を止めなさい。状況は悪化する一方だ。すぐに我々と「取り引きしなければ、アメリカや他の参加国にロシアが販売する全てのものに、高水準の税金や関税や制裁を課す以外に選択肢はない。私が大統領だったら決して始まらなかっただろうこの戦争を終わらせよう。簡単な方法でも困難な方法でも可能だ。そして簡単な方法の方が常に優れている。今こそ「取り引き」をする時だ。これ以上命を失ってはならない!!!
 こんなデタラメをドナルド・トランプに吹き込んだ際に、ダークスーツを着た連中が一体何を考えていたのか不思議に思う。

 第二次世界大戦での勝利にロシアが「協力」したわけではない。ロシアが勝利したのだ。アメリカや他の国々は勝利に協力したに過ぎない。

 クレムリン報道官のドミトリー・ペスコフは正しく答えた。  
「ファシズムとの戦いにおける主な負担や、ファシズムとの戦いにおける勝利の最大の代償は、わが国ソ連が支払った」とペスコフは強調した。「アメリカは確かに協力した。大きな貢献をした。しかし、一つ注意すべき点がある。アメリカは常に金を儲けている。アメリカにとっては常に商売が全てだ」
 ソ連は二次大戦で6000万人の命を失ったわけではなく、その半分以下、つまり兵士約1100万人と民間人1500万人の命を失った。

 ロシア経済は衰退していない。

 経済に対するプーチン大統領の「懸念」に関し、匿名情報源から推測しているロイターでさえ、以下を認めざるを得ない。  
2022年のウクライナ侵攻後、欧米諸国が複数回に渡り制裁を課したにもかかわらず、ロシア経済は石油、ガス、鉱物の輸出に牽引され過去2年間にわたり力強く成長している。
 現在ロシアのインフレ率は通常よりやや高い。しかし、労働力不足により賃金はインフレ率を上回る伸びを示し、全般的繁栄が広がっている。  
ロイター通信記者に問われ、経済に「問題ある要素」があることは認めたが、経済は高いペースで発展しており、「全ての軍事的要求を段階的に」満たせるし、福祉や社会的ニーズも全て満たせるとクレムリン報道官ドミトリー・ペスコフは述べた。

 「問題はあるが、残念ながら、今や問題は世界のほぼ全ての国に付きまとうものだ」と彼は語った。「状況は安定していると評価されており、安全域もある」
...
 ロシアのGDPは2022年に縮小した後、2023年と2024年には欧州連合やアメリカより高い成長率となる。だが、今年は中央銀行と国際通貨基金は1.5%未満の成長を予測しているが、政府はやや明るい見通しを描いている。
 「ロシアからアメリカに売られるもの全てに高水準の税金、関税、制裁を課す」とトランプが脅しているのは、彼の無知を如実に示している。ロシアがアメリカに今も売っている唯一の価値ある製品は、アメリカの原子力発電所を稼働させるのに必要な濃縮ウランだ。それにトランプは好きなだけ課税、関税、制裁を課すことが可能だ。

 ロシアの他のエネルギー輸出にも彼は制裁を課すかもしれない。だが、それは諸刃の剣だ
 
トランプ大統領が提案する関税と制裁はアメリカと同盟諸国に逆効果をもたらしかねない。  
  • エネルギー価格:ロシア・エネルギー輸出の減少は世界の石油・ガス価格を急騰させ、欧米諸国の消費者に打撃を与えかねない。
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  • 地政学的再編:積極的制裁により、欧米諸国の管理外で並行する金融・貿易体制の構築が加速され、アメリカの影響力が弱まる可能性がある。
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  • 経済的反動:製造用金属など、ロシアの特定原材料に依存しているアメリカ産業は、コスト上昇と供給の混乱に直面する可能性がある。
 ロシアでは誰も、もちろんプーチン大統領も、交渉を始めようとするトランプの試みを真剣に受け止めないだろう。

 トランプ大統領がウクライナ問題で和平合意を実現したいなら、ネオコンの影の実力者連中の意見を拒否し、筋の通ったことを言うって人々を見つける必要があるだろう。

 これまでやってきたように、モスクワに対してトランプが無意味に吠えれば、むしろ退屈そうなあくびで対応されるだろう。

 ウクライナとの和平協定締結に同意しなければロシアに対して新たな制裁を課すというドナルド・トランプ大統領の脅しに、ロシア政府は不快感を示している。

 木曜日「特に新たな要素は見当たらない」とクレムリンのドミトリー・ペスコフ報道官がロシア・メディアに語った。トランプ大統領は「制裁を好み」、第一期の大統領任期中にも制裁を頻繁に使ったと報道官は付け加えた。

 ロシアの独立系メディア「メドゥーザ」によると「トランプ政権の最初の任期中にしたように、ロシアは、アメリカと対等かつ慎重な対話を行う用意がある。我々はまだ受け取っていないシグナルを待っている」とペスコフ報道官は述べた。

記事原文のurl:https://www.moonofalabama.org/2025/01/trumps-opener-to-russia-falls-flat.html#more

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