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徽宗皇帝のブログ

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沖縄基地問題の前提的知識など
沖縄の基地問題について論じる場合には、これまでの経過・歴史を知る必要があるかと思うので、沖縄の基地問題に興味のある人のために、簡単なダイジェストをしておく。典拠は「沖縄の素顔」(新崎盛暉編 テクノ社)。編者の新崎盛暉氏は沖縄大学教授である。要約文の文責は徽宗皇帝にある。

① 日米両政府は、基地を安定的に維持し、民衆の基地反対運動を抑えるために、一貫して、沖縄社会が基地に依存せざるをえなくなるような政策をとってきた。

② 戦争直後、米軍基地に土地を奪われた農民は、基地で働かざるをえなくなり、基地関連企業、米軍関連企業も生まれてきて、県民所得の約3分の1が基地関連収入で占められる状況が作り出された。

③ ベトナム内戦への介入に失敗したアメリカは、基地維持の高いコストに悩みはじめ、米軍支配への民衆の反抗もあって、沖縄の(単独)支配権を放棄し、日本政府の協力の下に沖縄基地を維持する政策に転換する。(徽宗注:これが「祖国復帰」の内実である。)

④ 沖縄返還後、日本政府は、軍用地の使用料を大幅に引き上げ、基地交付金や基地周辺整備事業費という名目の迷惑料を地方自治体にばらまき、日米地位協定上はアメリカが負担すべき基地労働者の人件費を肩代わりしてその待遇改善を図るなどの基地維持政策をとってきた。その結果が、現在の沖縄の公共事業依存体質、中央政府依存体質である。

⑤ 沖縄返還後の経済規模拡大や観光産業の発展によって、軍用地料、基地労働者の賃金、基地交付金、米軍人軍属の消費といった基地関連収入の割合は県民所得の5~6%、観光収入の2分の1以下となっている。

というわけで、米軍基地が出ていっても、県民所得は5~6%しか下がらない、ということだが、いや、それでも大きいし、現在、それで生活している人間はどうなるのだ、という声もあるだろう。もちろん、基地が出ていった場合の基地労働者や軍用地地主に対するアフターケアは必要だが、基地撤去で沖縄経済が崩壊するということにはならないだろう。こんな島国で基地以外に何の産業がある、というのも知恵の無い話であり、それなら、沖縄と同程度の島はすべて貧困にあえぐことになる。
たとえば、現在の医療崩壊の日本なら、沖縄を医療先進県にし、老後を沖縄で過ごすための設備を大規模に作っていけば、それも一つの産業になりうるはずである。あるいは沖縄独自の亜熱帯農産物を主とする農業改革によっても経済は発展するはずだ。普天間基地の跡地に大遊園地を作って世界中から観光客を呼ぶのもいい。最初から駄目だと考えていては何も始まらない。あと10年もたてば、あの頃は基地が無ければ生活できないと考えていたのが笑い話になるかもしれないのである。フィリピンはクラーク基地、スービック基地を撤去して、その後は大発展しているという話である。
少なくとも、基地が無くなれば、アメリカの戦争のために沖縄から飛行機が飛び立ち、無辜の民を大量殺害しているという「加害者への加担」という良心の痛みからは救われることになる。
まあ、そんな良心など子供の寝言だとおっしゃるなら、それもよいだろう。それは人それぞれである。米軍によるイラクの子供たち、アフガニスタンの子供たちの殺害に対して、何も感じないという人間でも、この社会では人間と見なされてはいるようだから。

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