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徽宗皇帝のブログ

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沖縄(琉球)と中国と日本
「現代ビジネス」中の近藤大介という人の長い記事の一部である。沖縄を巡る状況についての関係者たちの様々な思惑がよく分かる。
その中には、中国を敵国扱いした「国防」問題が大きな比重を占めているが、沖縄(あるいは独立を仮定した場合の琉球)にとっては中国はけっして敵国ではない。琉球国にとってはかつての宗主国であり、冊封体制下で大きな恵みを受けていた存在である。
古代中世中国での宗主国とは属国を収奪するものではまったくなく、むしろ属国の「親」であり、恵みを施す存在であった。属国が贈答品を携えて朝貢に訪れれば、それに倍する答礼の品を与えて返すのが常であった。つまり、冊封体制とは、属国側にとってのメリットしかない貿易活動だったのだ。宗主国の利益は「天下諸国の親であることの誇り」だけ、と言っていい。今の日米関係における、宗主国が属国から収奪する、という体制とは真逆である。
日米関係の縮小版、つまり支配・被支配関係が日本と沖縄の関係だ。沖縄が日本政府を「外部の目」で見ることができるのは、こうした歴史的経験があるからだ。その目から見れば、防衛省の「中国敵視論」など、軍人が自分の頭で勝手に作り上げた幻想にしかすぎない。(と言うより、米国軍部から吹き込まれたことをそのまま喋っているだけのテンプレート弁論だろう。)下記記事引用部分冒頭の「政権に近いある人物」の談話など、その典型である。加藤良三の談話も同様だ。
まあ、現在の中国がかつての中国の王朝と同じ性格を持っているとまでは思わないが、たとえ沖縄が中国の領土になろうと、今の状況より悪くなるとは、私はまったく思わないのである。それほど、日本政府の沖縄に対する扱いはひどいものだ。
言うまでもなく、下の記事の「政権に近いある人物」「加藤良三」「ある沖縄県人」の三つの談話の中で、私は三つ目の「沖縄県人」の談話に100%同意する。これだけが沖縄県民の立場に立った、しかも「軍人たちが勝手に作り上げ、政治家たちを信じ込ませた幻想の世界戦略問題」などに汚染されていない、真に現実的な意見である。



(以下引用)

「以前は沖縄が日本に甘えていたが、現在は日本が沖縄に甘えている」

政権に近いある人物は、次のように解説する。


「4月26日から5月3日に、安倍首相は訪米を控えている。4月28日に安倍首相がオバマ大統領と日米首脳会談を開く直前に、同じく訪米する岸田外相と中谷元防衛相が、新たな『日米防衛協力のための指針』(日米ガイドライン)に日米揃って署名することになっている。


この首相、外相、防衛相の訪米は、今年の『安倍外交』のハイライトだ。そこで『普天間基地の移転作業は順調に進んでいます』とオバマ大統領に報告しないと、同盟国である日本の面目が立たない。


それに、辺野古への移転は、日本国全体の防衛のためだ。前回1997年の日米ガイドラインの時は、核ミサイル開発の脅威が増していた北朝鮮を仮想敵国に見立てて、指針を策定した。それが今回の仮想敵国は、急速に軍備増強を進め、とりわけ海軍力を増強させている中国だ。新たなガイドラインでは、『切れ目のない、実効的な日米防衛協力の強化』を謳うが、これは中国の海洋の脅威に日米が一体となって立ち向かうという意味だ。


中国の軍事費は、公開されているだけですでに日本の3.5倍に達していて、空母や原子力潜水艦の開発も進めている。習近平政権は本気で、尖閣諸島を占領しようと企んでいるのだ。


そんな中国に対抗する日米の前線基地になるのが、沖縄だ。だから日本政府としては、普天間基地の移設問題で、絶対に反対派の沖縄県民に妥協できないのだ」


先日、2001年から2008年まで駐米日本大使を務めた加藤良三・元プロ野球コミッショナーにお目にかかる機会があったので、この普天間問題について訊ねたら、やはり同様の答えだった。


「オバマ大統領は日本についての知識は必ずしも多くないが、普天間基地のことは懸念していて、日本政府の立場を支持している。私が駐米大使を務めていた時代に、当時のラムズフェルド国防長官が普天間基地を訪れて驚愕した。そして『住宅地帯の真ん中にあるこんな危険な基地は一刻も早く移せ』と命じた。オバマ政権はそれを引き継いでいるのだ。


普天間基地の移転を、日米政府の合意に基づいて粛々と進めていくことが、日本全体の国益のために重要だ」


日本政府の立場は十分に分かる。次に沖縄の立場はどうか。ある沖縄県人に聞くと、次のように説明した。


「翁長知事は就任以来、『アメリカ軍基地こそが沖縄発展の最大の阻害要因』と述べているが、その通りだ。昨年、沖縄を訪れた観光客は705万人で、前年比で62%も増加した。その最大の要因は、一部の沖縄県に返還されたアメリカ軍基地跡地を観光リゾートに再開発したことだ。イオンモール、ヒルトンホテル、フォーシーズンズホテルなど、国内外の有力なレジャー施設が、アメリカ軍基地の跡地に次々やってくる。この3月にも、米ユニバーサルスタジオが沖縄に進出すると発表したばかりだ。


昨年の沖縄県の収入に占めるアメリカ軍基地関連収入は、5.4%に過ぎない。逆に観光収入は、10.0%まで伸びた。この先、アメリカ軍が全面撤退すれば、沖縄が安全になって観光収入はさらに増えるのは確実だ。


日本政府は、尖閣諸島問題などを例に取って、日本全体の防衛上、沖縄のアメリカ軍基地が必要だと主張する。だがそれは、20世紀の冷戦時代の思考というものだ。アラスカ、ハワイ、グアムの3ヵ所から東アジアを防衛するというのが、21世紀のアメリカ軍の基本戦略だ。実際、アメリカは駐韓アメリカ軍を撤退させると宣言しているし、沖縄に1万5000人以上いるアメリカ軍の海兵隊員も、9000人をグアムなどに移転させることで合意している。


沖縄のアメリカ軍基地を必要としているのは、アメリカではなくて安倍政権なのだ。翁長知事は、『以前は沖縄が日本に甘えていたが、現在は日本が沖縄に甘えている』と述べているが、その通りだ」

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