豊洲移転は、新国立競技場の当初計画の破綻と同様、ここでも
無責任体制による失敗の連鎖が明るみに出ようとしている
2016年8月29日 月曜日
◆豊洲新市場、移転延期でも解決できない根本的欠陥 8月29日 週刊ダイヤモンド
?一つ目は、動線計画の致命的なまずさだ。商品が市場の「血液」だとすれば、その滞留は、市場の「死」を意味し、到底許されるわけがないのだが、リスクは挙げると切りがない。
?例えば、豊洲の建物の外周に設置された「バース」と呼ばれる荷物の積み降ろし場所。冒頭にあるように、トラックの長方形の荷台から荷物を降ろすには、側面からの方が効率ははるかに良い。ところが豊洲は、トラック後部にある小さな扉からの荷降ろしを想定した造りになっている(写真(2))。
?現在の築地でも「毎営業日、戦争のような忙しさで魚介類を運び出し、何とか競りの時間に間に合わせている」(市場関係者)のが実情だ。ここで荷降ろしの手段を制限すれば、まず市場の入り口で商品が詰まってしまう。競りの時間の遅れは、生鮮食品にとってはまさに、命取りとなる。
?他にも、各地から商品を仕入れて市場に運ぶ卸売業者と、これらを仕入れる仲卸業者の売り場スペースが、豊洲では別々の棟に分断される。両者をつなぐのは、「アンダーパス」と呼ばれる地下の細い通路しかない。
?現在築地では、両者の距離は近くて地続きだ。そのため、フォークリフトや「ターレ」と呼ばれる電動車両で「互いにあうんの呼吸で荷物を配送し合う」(別の市場関係者)ことが可能だ。だが、豊洲では動線が物理的に大きく制約される上、「互いが運搬をどのように担うのか、現時点で何も決まっていない」(同関係者)。
さらに豊洲には3~6階建ての建物が並ぶため、築地にはなかった建物内での上下の移動が生じるが、エレベーターは少なく、スロープには傾斜がある上、急カーブで危険だ。現在築地では、魚介類を詰めた発泡スチロールの箱が縦横に積まれた隙間を縫って、おびただしい数のフォークリフトやターレが所狭しと行き交う。豊洲の構造は、こうした実情をまったく踏まえていないのである。
日建設計に丸投げ
最悪の動線計画
日本の食文化を破壊
?そして二つ目の問題は、豊洲の水産仲卸売場の床の積載荷重の限度が、1平方メートル当たり、わずか700キログラムしかないことだ。
?荷物を満載したターレは2トン、フォークリフトは4トンの重量になる。ただでさえ床の上に荷物が積まれた中を、こうした車両が激しく行き交えば、重量オーバーとなってしまう。
?都は反論のために設けたウェブサイトで「フォークリフト周辺の床に重量が分散されるので問題ない」としているが、「フォークリフトが走る床は、積載荷重を1.5トンにするのが普通だ」と、建築エコノミストの森山高至・一級建築士は指摘する。店舗スペースがただでさえ狭いといわれる中、床に積む荷物まで制限できないだろう。
?なぜ、こうも拙劣な計画が具現化したのか。それは都が、市場関係者のニーズをくまずに豊洲移転を計画し、細部の詰めは設計を請け負った日建設計に丸投げしたからだ。その証拠に、設計会社の選定方法は、発注者が請負側の提案を審査するだけのプロポーザル方式だった。新国立競技場の当初計画の破綻と同様、ここでも無責任体制による失敗の連鎖が明るみに出ようとしている。
?東京の胃袋・築地市場の老朽化は否めない。だが、このまま豊洲移転を強行すれば、築地が連綿と育んできた豊かな日本の食文化が破壊されることになる。
(私のコメント)
昨日の「たけしのTVタックル」豊洲移転問題をやっていましたが、すでに出来上がっている豊洲新市場の設計のまずさが問題になっている。新国立競技場にしても設計プランが二転三転して混乱しましたが、1000億円程度で出来るものが2000億円近くに予算が膨らみ続けている。
築地の豊洲移転でも4000億円の移転予算が6000億円と膨らみ続けていますが、それにもかかわらず床面強度不足などの問題があちこちから出てきている。日建設計と言うどこかで聞いたような設計事務所が設計したそうですが、築地の現場の人たちの意見を反映されているとは思えない設計だ。
築地は銀座からすぐそばの場所にあり、東京ドーム6個分の用地であり、東京の再開発利権の温床になっている。将来は超高層ビルが林立するような大規模再開発が行われるので、都議会のボスたちも動き回っているのだろう。口利き次第で築地の跡地の再開発の仕事がもらえるからだ。
だから魚河岸の移転は二の次の問題であり、既成事実化してしまう事が最優先されて、魚河岸としての機能性は無視された建物が出来てしまった。豊洲はアクセスにも問題があり、豊洲への橋は大渋滞して魚河岸としての機能は落ちるだろう。マグロをさばくにも入口は1メートルしかない。
十分の情報を公開して公開コンペで選ぶべきなのですが、非公開のままプロジェクトを進めて、密室で業者が決められていく。新国立競技場もそれでゴタゴタを繰り返した。政治家と役人が東京都の税金を自分たちのために使って行ってピンハネをするからコストが高くなって行く。
出来上がったものを見ると、非常に使い勝手が悪くて、テナントは直ぐに出て行ってしまって廃墟のようになっているハコモノは全国に溢れてる。議会の議員たちは設計の専門家でもなく、不動産の専門家でもなく、専門業者に丸投げされて、現場の意見を聞こうとはしない。
誰が最高責任者なのかもわからず、何か問題が起きれば責任はたらいまわしにされて、責任は誰も問われない事になっている。もちろん名目上の責任者はいるが何の権限も持たない飾りだ。会社にも名誉会長や相談役とかいますが彼らは絶大な権限を持っていても責任は問われない。表向きは何の権限も持っていない事になっているからだ。
新国立競技場も名目上は文部科学省が発注者になるのでしょうが、オリンピック担当大臣がいたり、オリンピック組織委員会会長がいたり、誰が責任者か最終的に分からない。有識者会議や第三者委員会と言っても色がついた委員では意味がない。
築地の移転問題も広く情報を公開して問題点を洗い出して決めて行けばいいのであり、本来は都議会で討議すべきなのでしょうがボスが全てを仕切って、議会に出た時はすべてが決まってしまっている。築地市場も専門家がいろいろ検討した事になっているが、市場が移転した後は問題が続出するでしょう。
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