「播州武侯祠遍照院」から転載。
実にいい記事である。
中国関係の情報は、この国のマスコミ(欧米マスコミ経由のユダ金支配情報のみ)では正しい情報はほとんど流れてこない。ネットでの論者たちのほとんども、その尻馬に乗ってわあわあ騒いでいるだけだ。その中で、ヤスさんは、膨大なオルタナティブメディアに目を通し、正確な事実を捉えようと努力していることが下記記事から伺えるし、その言う内容も説得性がある。中国の政治と経済の現状については、現在もっとも優れた分析ではないか。
ところで、中国の「一人っ子政策」は破棄されたのだろうか。あの政策が続く限り、中国の今後の経済発展は無理だろう、と私は思うのだが。(つまり、極端な高齢社会にすぐになってしまうから。)かといって、中国の次はインドだとか、ミャンマーだとか、アフリカだとかも思えない。インドはカースト社会が続くかぎり経済発展は不可能だろうし、アフリカは平和な社会の実現と公教育の充実が先に必要だろう。(つまり、欧米の干渉を排除するのが先決だ。)ミャンマーについては詳しくは知らないが、仏教とイスラム教の対立が問題になりそうだ。過激な宗教闘争のある国は、発展しない。
(ところで、私は、仏教は本来は「生の哲学」であり、宗教ではない、と思っている。と言うより、私は「般若心経」以外の仏教の教えは知らないし、それだけで十分だと思っている。そして、それは宗教と言うより哲学だ、と思っている。まあ、悩むことがあれば「色即是空」と呟いてみることだ。そして、悩みを一掃して、すぐに「空即是色」と考え、この豊かな現実世界に戻るのである。「色即是空」とは、要するに、自分が存在しなければ、この世界は無いも同然、ということであり、「空即是色」は、しかし「自分」が無くなれば即座に消滅するこの世界は、私欲や僻見を離れて客観的に眺めれば無限に素晴らしい、ということだ。これが私の「般若心経」解釈だ。)
(以下引用)
ヤスの備忘録2.0 歴史と予知、哲学のあいだ より
上記文抜粋
・・・・・・・・・
天津の爆発事故の真相とは?
西塚 先日も株価の下落があって、そのあたりのこともお聞きしたいという方々もいらっしゃたんではないかと思いますが、この場はそういうテーマは、僕自身がよくわからないので(笑)、あまり取り上げないのですが、やはり中国ですよね、重要な要素は。僕のような素人でもそう思います。天津の爆発事故にしても、習近平と江沢民派の争いが絡んでるといった話もあります。まあ、ヤスさんのメルマガを読めばそのへんのことは詳しく書いてあるわけですが、簡単にかいつまんでお話しいただけますか?
ヤス 結論から言うとですね、今回の天津の爆発がありますね、あれは今いろんなところからの情報が出てきて、まず事故ではないと。あれは爆破なんだということが出てきました。習近平が進めようとしている腐敗撲滅・汚職撲滅の改革に対する抵抗勢力、すなわち江沢民という前の前の国家主席の一派ですね、それが引き起こしたということです。
なぜ天津で、なぜ爆破したのかというと、こういうことです。習近平というのは、ある意味でプーチンに似たタイプの男なんですね。エリツィン大統領はゴルバチョフの後に、ソ連が崩壊して初めて大統領になった人です。エリツィン自身は、欧米の利権にぐちゃぐちゃにコントロールされているような人物でもあった。だからロシアは、プーチンが首相になる1999年くらいまでは、惨憺たる状態だった。ロシア経済そのものが、海外から入ってきた、特にアメリカ系の資本の息がかかった、ロシア内部の「オリガルヒ」といわれるマフィアにほとんど国富が独占されたような状態で、言ってみればアメリカの植民地に近いような状態になり果てた国なんですよ。その中でプーチンは、まずエリツィンの子飼いとして出てきた。
プーチンは本当にイエスマンだったんですね。元KGBの中佐だったので、FSBという国家の安全保障を担うような部局の長官に抜擢された。その権力をベースにして、エリツィン政権につるんでる、当時のロシア経済を食い物にしてるような悪い連中を逆に守ってた立場なんですね。完全にイエスマンだった。それで、我々の既得権益を維持するにはあいつが一番いいだろうということで、大統領になった。でも大統領になったら、手の平を返したんです。
今までプーチンを大統領に押し上げていた、いわゆるオリガルヒといわれるロシア内部の既得権益層、または外資と結びついたどちらかというとマフィアに近い層を、まあ逮捕はするわ、資産没収するなど、彼らの持っているエネルギー系の企業を一回、国営に戻して、そして信頼できる人たちに全部預けるといった形で、どんどん国富を取り戻してったんですね。それがプーチンです。
どうも習近平も似たような人だという感じですね。習近平は、太子党と言われてますが、本当に意見を言わない。全部イエスマンで、まわりとの人間関係で摩擦を起こすということが、まずないというタイプの人だった。鄧小平が牛耳る前の1970年代の文化大革命の時代、毛沢東がまだ生きてる時代に、習近平のお父さんは副首相まで務めた人ですから、習近平は既得権益層ということで排撃されるんですね。下放されるんですよ。
文化大革命は何かというと、毛沢東原理主義ですね。だから習近平は、毛沢東に関してものすごく強い敵愾意識を持っていてもおかしくないんですけど、おくびにも出さない。毛沢東、および原始共産制みたいなものを賛美するようなことばかり言う。そうやって周囲と摩擦をいっさい起こさないで、イエスマンで上がってきた人なんです。だから、権力を取らせるんだったら、まあアイツが妥当な線だろうという存在だった。コントロールも効くし。
西塚 当時、李克強もいましたよね。どちらが主席になるかわからないという状況だったと思いますが。
ヤス 李克強は初めから胡錦濤派で、鄧小平の流れを汲む生粋の改革派なんですよ。李克強を国家主席にしたら、何をやるかがはっきりわかるわけですね。そうすると、改革に反する旧態依然とした、既得権益を得た共産党の保守派の敵対勢力があって、彼らから睨まれる。ところが習近平の場合は、どちらにも敵がいないという人。それでいざ総書記、国家主席になって何をやるかといったら、本当に手の平を返した。いきなり変わるんです。
西塚 そうなると、プーチンは今、国民の80%でしたっけ、支持率がある。それに近い感じで、習近平を中心に訴求力は高まりますね。
ヤス 問題はですね、今、習近平がやってる改革です。ひとつの大きな改革は、腐敗撲滅の改革です。共産党から汚職を徹底的に減らす。そして第二としては、国営企業を民営化する、リストラするという、次の改革が待ってると思います。重厚長大な輸出依存型の経済政策ではなく、内需依存型で、民間資本依存型の経済へと変える。それによって国民生活が安定してくるとですね、確かに習近平はプーチンに近い位置にいくんじゃないかと思うんですね。
そういう習近平政権に、やはり江沢民一派はすごく抵抗するわけですね。そして今回、これはいろいろなところに出てきてる情報ですが、年に2回、北戴河(ほくたいが)会議というのがある。河北省の北戴河という市があって、そこが避暑地になってる。そこにいわゆる7名の政治局長が、まあ中国の最高支配者たちとその家族ですね、それからかつての政治局常務委員のOB、およびその家族が、みんな集結するんです。それで2週間くらいかけて会議をやる。そこで、領導という形で、OBのほうから強い圧力と要求が課せられるわけですね。
西塚 要するに、既得権益側に有利なように、こうせい!という話ですね。
ヤス こうせい!という話。それを利用して今回、習近平は北戴河会議で、江沢民に対して宣戦布告をする予定だった。まず、我々は腐敗はいっさい許さないんだと。それから、江沢民一味でも、逮捕するにやぶさかではない、ということを宣言する。それを江沢民一派が、早いうちに北戴河に入って根回しをし、そういう情報を掴んだので、それを引っ繰り返す計画を練っていた。
さらに、もうひとつ大きなことをやろうとしていた。天津から北戴河まで移動する列車がある。中国の政治局長メインの最高幹部クラスは、列車で移動してくるつもりだったんですが、それを爆破して、習近平もろとも暗殺しようという計画があったというんですね。
西塚 本当に映画みたいな話ですね(笑)。
ヤス それを習近平のほうは事前に察知したと。察知したんで、北戴河会議を中止してしまったんですね。中止したので、あわてたのは江沢民派ですね。列車を爆破しようとしてたので、膨大な証拠がある。その証拠を隠ぺいするために、列車の鉄道路線および近隣にある天津もろとも爆破した、というのが今回の真相だということらしいです。
西塚 だとすれば、前に中国の列車事故で、車両ごと埋めちゃったという事件がありましたが、それに通じるムチャクチャな発想ですね。
ヤス ムチャクチャな発想ですよ(笑)。
西塚 また、北京では世界陸上をやってましたね。北戴河で離れてたからよかったですが、近かったら、危なかったというか、何があったかわからない。やることのスケールがでかいというか、別に褒めてるわけはじゃありませんが、かなりムチャクチャです。でも、ヤスさんが紹介してくれたビデオとか、メルマガでもそうですが、中国内部からの報道として、そういう情報が外部に出はじめてるというのは興味深いですね。押さえきれなくなってるのか、うがったことを言えば、習近平に利するような内容なので、あえてそのままリークさせてるのかわかりませんけれども…
ヤス これね、ふたつの見方があるんですね。ひとつの見方は、今回の天津の大爆発というのは、習近平政権にとってすごく大きな痛手だろうという見方です。今回ほら、戦勝70周年記念ってやってますでしょ。
西塚 安倍が断った。
ヤス 安倍が断った。オバマも断った。ただ、プーチンとかパク・クネとかね、周辺諸国の首脳は出るわけです。北京で行なわれるんですけど、セキュリティ上、北京空港は使わないということになってたんです。どこの空港を使って要人が移動するかというと、実は天津空港を使うことになっていた。だから、天津は、北京で行なわれる70周年記念行事を支える重要なバックボーンのひとつとして考えられていたんですね。そこをやられたということは、記念行事をね、習近平が十分指導する力がないのではないかという、政治力の弱さを露呈させた。習近平が赤っ恥をかいたんだと。だからこれは、習近平政権にとって極めて大きな痛手であると。これからは、習近平は中国の指導部内部で求心力をなくして、どんどんダメになっていくという見方があるわけです。
もうひとつの見方はまったく逆で、習近平はこれを機に権力の集中を進めて、今まで鄧小平以降は集団指導体制だったんだけれども、鄧小平時代の一極集中型の体制に戻す、その過程をどんどん加速させるというね、習近平にとっては最終的には有利に作用するのではないかという見方があるんです。その証拠に、江沢民父子と側近中の側近といわれる人物が今、軟禁状態にある。
それともうひとつ。中国の権力構造というのはこうなんですね。13億5000万人の人口がいて、8660万人の共産党員がいる。その上に幹部になる中央委員がいるんです。中央委員になってくると、地方都市の支配層になる。たとえば、四川省共産党書記長みたいになる。そのような地方都市および中央の政界の幹部になるような人たちというのが、216人くらいいる。その中央委員を養成する学校があるんですね。要するに共産党幹部候補生学校ですよね。中央校と言いますが、これは北京にあります。その中央校の入り口に、江沢民が書いた毛筆のサインを模した石碑があるんです。それが最近、撤去された。
西塚 それは、もう象徴的ですね。
ヤス そうなんですよ。江沢民一派というのは、どうもいなくなりつつある。そうなることによって、やはり習近平政権の権力はどんどん増してくるだろうと。
中国頼みの世界経済
西塚 話がずれてはいけませんが、中国は多民族国家なので、内部問題があるといろいろ困ったことが起こるわけですが、日本にとって一番困るのは、中国の経済もそうなんですが、難民だと。中国が内乱状態になったときに、とてつもない数の難民が発生する。そうすると、間違いなく日本に押し寄せてくる。しかし日本の政府はおそらく抑えられないだろうと。そうした恐怖が一部にあります。
だから、むしろ共産党は、習近平が権力を集中的に把握して抑えてくれているほうが、実は世界、特に東アジアにとっては安全なんじゃないかという話があります。そういった意味では、習近平が巨大な権力を集中させて、とりあえず習近平が睨みを利かせている間は、隅々まで一応コントロールできることになるので、あのような巨大なわけのわからない国は、まだそのほうが安心だという言い方はできませんか?
ヤス まさに、そうですね。それ以上にですね、今回の株価の下落でわかったのは、中国なしで世界経済は成り立たないということが、はっきりしたことです。あの国に頑張ってもらわないと、どうしようもないところまできてるってことなんですね。
西塚 よく日本のネトウヨも含めて、中国と戦争になる云々と言ってますが、あり得ないということですね。中国もよくわかっているわけで、今戦争して、どれだけの不利益を被るか、お互いにですね。おそらくあり得ないと思うんです。極端に言えば、いかに戦争を回避するかということしかなくて、米中にしても、その間のいろいろな駆け引きなり、民衆に対する何かアピールはあるかもしれませんが、基本的には戦争しない方向にいくんじゃないかなと思います。甘いですかね。それこそ、想定外の「ブラックスワン」が起きるとすれば、僕はやはり中国だと思うのですが、抑えが効かなくなるという、ヤスさんが言う「ツナミ」ですが…
ヤス そうです。日本にも中国にもアメリカにも、やはり好戦的なアホがいるんですね。
西塚 ああ、アホ(笑)。
ヤス もう、イデオロギーの中でしか生きていないというタイプの人たちがいるわけですよ。そういう人たちって、日本の指導層の中にもかなり入り込んでますから。
西塚 あ、指導層にもいますかね?
ヤス いますよ! 今の安倍政権ってどうなのかってね。現実が見えているのかってことです。すごく怖いものがありますね、今。だから、コントロール不能な戦争に入ってくるというね、可能性は排除できないと思うんですよ。
ちょっと株価の問題でいきますとね、やはり世界経済は中国経済なしでは成り立たなくなってきたということがはっきりした。僕は内外の経済記事や海外レポートを読むんですが、意外にですね、いわゆるアベノミクスというのは、これからどんどん成功して、中国とか他の国とは関係なく独自の成長軌道に乗るんではないかと。
アメリカの失業率にしてもどんどん下がってる、FRBのイエレン議長が利上げということを語るぐらいに、アメリカの景気がよくなっている。シェールオイル革命によって、エネルギーの自給も達成できるようになってるし。とういうことでは、アメリカ自身もね、中国とか世界経済に依存せずに、世界を牽引できるような経済へとまた成長しつつあるんではないか。
ユーロ圏に関しても今、ギリシャで相当もめてるけども、ユーロ圏の中心になってるドイツを見ろと。毎年、4%くらいの経済成長をずっと続けていて、成熟した経済なんて言われながらもね、まだまだ伸びしろがあるではないかと。そうすると、ギリシャ問題みたいな問題を解決していくと、今後はユーロの盟主としてのドイツがユーロ圏を引っ張っていって、また成長軌道に乗るんではないかというような楽観的なシナリオが、思っていた以上に強いなという感じがしてたんですね、今まで。
つまり先進国経済は、ヨーロッパもアメリカも日本もそうですけど、中国に対して依存なんかしてないんだと。中国というのは当然いいお客さんなんだけど、中国なしではダメかというとそうではない。我々はもう復活して、いわゆる新たな成長軌道に乗る準備段階にある。また国によっては、もうすでに成長軌道に乗ってるんだという楽観的な認識があったんですね。今回の株価の暴落というのは、それを打ち砕いたんですよ。
株価の暴落そのものは、大したイベントではないなと思うんですね。中国は元を切り下げたわけですね。その切り下げが、中国政府がいかに経済を悲観してるかということのサインではないか、兆候ではないか、ということを世界のマーケットは感じてね、それで過剰反応した。みんな売りにまわった。
西塚 昔の言い方で言えば、中国がくしゃみすると世界が風邪をひくみたいな感じに、実はなってるということですね。
ヤス そうです。だから、あれほど大きな暴落を演出した市場そのものが、自分たちがいかに中国マーケットのちょっとした動きに反応せざるを得ないか、ということを再発見したということです。
西塚 そうですよね。みんな資本家が、投資家も含めて、自らが動くわけですから、語るに落ちるというか、みんな反応したわけですからね。いかに重要視してるかという証拠ですよね。
ヤス そうなんですよ。その反応した本人が、エーッ!とびっくりしてる。やはりこんなに依存度が高いのかと。その結果、市場のみならず世界経済に対する認識が大きく変わってきたと思うんです。今までだったら、先のような楽観的なシナリオも成り立ってたんだけども、実は完璧に中国頼りなんだと。アメリカにしろドイツにしろ日本にしろ、自ら成長を創り出して牽引するだけのモメンタムがもうなくなっている。どうも先進国というのは、やはり成長限界にぶち当たったんだろうと。だから外部の中国という力に牽引されて、やっとの経済なんだと。
じゃあ、なんで先進国の経済がもってるかというと、巨大な金融緩和という方法で通貨を刷ることによって、需要を無理矢理に金融的に嵩上げすることによってなんとかもってると。
西塚 数字合わせですよね、単純に。実体ではないですよね。
ヤス 実体じゃない。だから実体経済の成長って実はないんではないか。実体経済の成長のように見えてたけども、中国によって牽引されてただけで、あとは金融緩和とか、政策によってパンパンに風船が膨らまされた状態。だとすれば、ちょっとした何かがあった場合にね、要するに先進国経済がいかに成長限界で立ちいかなくなっているかということを、露呈するような事件がひとつでもあれば、もう市場はボーン!と破裂する。一気にまた大暴落を起こす。そうした認識が、どうも僕は一般化してきてるのではないかと思いますね。
アメリカの凶暴性を日本人は知らない
西塚 と同時に、おうかがいしたいのですが、たとえば日本のGDPが下がってるにもかかわらず、企業の利益が上がってる。
ヤス ええ、ええ。
西塚 あれは株主なんですかね。利益が不当にですね、本来は働いている人に還元されなければいけないものを超えて、搾取されていると。今、アメリカはどうなってるのかなあ。普通の、働いている人たちの意識として、今どんな感じなんですか?
ヤス アメリカ経済は、数値そのものから見るといいんですよ。3%から4%に達するという成長率で、失業率もどんどん下がってはいるんですね。今まで、アメリカの失業率は一番高いときで10%近かった。オバマ政権になってどんどん下がって、今は4%台になってる。見かけの数値上は景気がいいという状態。ただ、現場のアメリカ人の書いたレポートとか、僕の友だちの現地のアメリカ人に聞くと、景気がいいなんてまったくのウソだと。我々はいかに苦しんでいるかということしか聞かない。
そのように格差が生まれてる。格差が生まれている根源にあるのは、労働分配率という概念なんですけど、いわゆる経営者がいくら取って、労働者がいくら取るという、労働分配率の悪さですね。
西塚 そうですね。ほとんどが不労所得に近い形で、株主がみんな持ってっちゃいますからね、ごっそり。前にヤスさんと飲んだときも、浅薄な知識で言いましたが、韓国のサムソンだろうが現代だろうが、97年に国が破綻して以降、株主がほとんど外資で、売り上げをごっそり持っていく。そうした配当がある月はだから赤字になったりする。かなり悲惨な状態だというふうに…
ヤス うん。ただね、日本の大企業もそうなんですよ。たとえば、キャノンというのは日本の企業なのかということですね。80%を超えてるのは外人投資家ですよ。日本の市場の企業はほとんどそういう状態ですから。
西塚 日本もそうですか。
ヤス サムソンと同じ状態ですよ、今。だってね、日本の株式市場の80何%だったかな、外国の投資家ですよ。
西塚 それで今回ですね、僕は詳しくないので教えていただきたいのですが、改正農地法が参議院を通過して可決しました。今までは、農地を所有する法人は、まず日本人じゃなきゃいけないし、役員の過半数は農業従事者だと。それが緩和された。農業従事者以外の議決権要件も4分の1以下から2分の1未満になった。しかも外資への規制がありません。そして、農業新聞などを除いてほとんど内容が報道されません。僕は、これはかなりヤバイのではないかと思いますが。そのへんは、いかがですか?
ヤス だからそれは、やはりここがキモだとして、TPPあたりでも改革が迫られていた部分なんです。かなり前からそうですね。いわゆる外資系企業ないしは外国の投資家による、農地の取得の権利を与えろということです。
西塚 集団的自衛権とか安保法制案がどうのこうのでごちゃごちゃしてましたが、影で法律が通っちゃった。僕は右翼でも何でもないですが、右翼的に言えば「亡国の道」といったような法律が裏で進んでいると感じましたね。
ヤス 完全に亡国ですよ、本当に。それによって何がやってくるかというと、農業系って中国じゃないんですね。モンサントなどのいわゆる外資系の大手農業資本がやってくる。アメリカ系ですよ。
西塚 中国を見てると、どさくさで大金持ちになって、共産党幹部なんか何十億、何百億じゃないですか、それでいい水がほしいと言って、日本を買いあさったりするという、それはなんか可愛いというか、まだわかるんだけれども、もっと着実に、虎視眈々とやってるグローバル企業のほうが、ちょっと恐ろしい感じですね。
ヤス 怖いですよ。だからね、僕は深刻に日本人に危機を感じるのは、アメリカに対する認識の甘さですよね。やはり、多くの日本の人たちの意識というのは、まだ冷戦構造のときのアメリカなんですね。冷戦構造のときは、確かにアメリカには親としての側面があった。ソビエトというのはすごく巨大な脅威で、大国でしたから。アメリカ自身がすごい脅威を感じてた。そのために同盟国との結束を固めて、えらい妥協をしてきた。日本に対しても相当な自由が与えられた。
ただ、それはアメリカの本来の姿ではない。いみじくもプーチン大統領が4月16日にね、ロシア国民に向けて声明で言いましけどね、アメリカは同盟国を求めていないと。アメリカが求めている外国勢力は家来だと言ったんですね。その通りなんですよ。だからね、いかにアメリカが凶暴な国であるかという認識を、やはり我々ははっきりと持たなければならない。
僕が非常に残念なのは、日本で英語の読み書き、および英会話ができる人が少ないということなんですね。日本国内で報道されてる、特に新聞・テレビのレベルの報道では、アメリカの実体は絶対にわからない。いかに凶暴な国なのかということは、現地のメディアのしっかりとした情報を掴まないとわからないわけですよね。
西塚 さらに言うと、アメリカのメディアには、ガンガン報道するメディアがいっぱいあるんですね。
ヤス いっぱいある。アメリカは、それこそインターネット大国であるというのは事実で、代替メディア、英語ではオルタナティヴ・メディア(Alternative Media)と言うんですが、それがすごく豊かなんですね。それじゃ、そのオルタナティヴ・メディアはチンケなものかというと、そうじゃないんですよ。地上波でも流れる。
西塚 たとえば、ちょっとスピリチュアル系に寄っちゃうと、『Coast to Coast AM』なんかは、3000万人の聴取者がいるというじゃないですか。あれはちょっと驚きましたね。
ヤス そうそう。それからですね、僕もよく見る『Gaiam TV』ってあるんですけど、これはアメリカで出ている英語圏のスピリチュアル系の番組、ビデオから何でも一定料金を払えば見られるんですが、あれなんかもすごいクオリティが高いしね。それから、僕もけっこう好きで見てるアレックス・ジョーンズの『INFOWARS.COM』ですけど、陰謀系などと言うんですが、逆に見るとですね、主流じゃなければないほど、やはり実証にこだわる。いかに事実があってというふうに、細かい実証にこだわる。
西塚 そうですよね。誹謗・中傷がくるのがわかってますからね。
ヤス そう。だからむしろね、主流がおかしいんです。実証が非常に危うい。
実にいい記事である。
中国関係の情報は、この国のマスコミ(欧米マスコミ経由のユダ金支配情報のみ)では正しい情報はほとんど流れてこない。ネットでの論者たちのほとんども、その尻馬に乗ってわあわあ騒いでいるだけだ。その中で、ヤスさんは、膨大なオルタナティブメディアに目を通し、正確な事実を捉えようと努力していることが下記記事から伺えるし、その言う内容も説得性がある。中国の政治と経済の現状については、現在もっとも優れた分析ではないか。
ところで、中国の「一人っ子政策」は破棄されたのだろうか。あの政策が続く限り、中国の今後の経済発展は無理だろう、と私は思うのだが。(つまり、極端な高齢社会にすぐになってしまうから。)かといって、中国の次はインドだとか、ミャンマーだとか、アフリカだとかも思えない。インドはカースト社会が続くかぎり経済発展は不可能だろうし、アフリカは平和な社会の実現と公教育の充実が先に必要だろう。(つまり、欧米の干渉を排除するのが先決だ。)ミャンマーについては詳しくは知らないが、仏教とイスラム教の対立が問題になりそうだ。過激な宗教闘争のある国は、発展しない。
(ところで、私は、仏教は本来は「生の哲学」であり、宗教ではない、と思っている。と言うより、私は「般若心経」以外の仏教の教えは知らないし、それだけで十分だと思っている。そして、それは宗教と言うより哲学だ、と思っている。まあ、悩むことがあれば「色即是空」と呟いてみることだ。そして、悩みを一掃して、すぐに「空即是色」と考え、この豊かな現実世界に戻るのである。「色即是空」とは、要するに、自分が存在しなければ、この世界は無いも同然、ということであり、「空即是色」は、しかし「自分」が無くなれば即座に消滅するこの世界は、私欲や僻見を離れて客観的に眺めれば無限に素晴らしい、ということだ。これが私の「般若心経」解釈だ。)
(以下引用)
ヤスの備忘録2.0 歴史と予知、哲学のあいだ より
上記文抜粋
・・・・・・・・・
天津の爆発事故の真相とは?
西塚 先日も株価の下落があって、そのあたりのこともお聞きしたいという方々もいらっしゃたんではないかと思いますが、この場はそういうテーマは、僕自身がよくわからないので(笑)、あまり取り上げないのですが、やはり中国ですよね、重要な要素は。僕のような素人でもそう思います。天津の爆発事故にしても、習近平と江沢民派の争いが絡んでるといった話もあります。まあ、ヤスさんのメルマガを読めばそのへんのことは詳しく書いてあるわけですが、簡単にかいつまんでお話しいただけますか?
ヤス 結論から言うとですね、今回の天津の爆発がありますね、あれは今いろんなところからの情報が出てきて、まず事故ではないと。あれは爆破なんだということが出てきました。習近平が進めようとしている腐敗撲滅・汚職撲滅の改革に対する抵抗勢力、すなわち江沢民という前の前の国家主席の一派ですね、それが引き起こしたということです。
なぜ天津で、なぜ爆破したのかというと、こういうことです。習近平というのは、ある意味でプーチンに似たタイプの男なんですね。エリツィン大統領はゴルバチョフの後に、ソ連が崩壊して初めて大統領になった人です。エリツィン自身は、欧米の利権にぐちゃぐちゃにコントロールされているような人物でもあった。だからロシアは、プーチンが首相になる1999年くらいまでは、惨憺たる状態だった。ロシア経済そのものが、海外から入ってきた、特にアメリカ系の資本の息がかかった、ロシア内部の「オリガルヒ」といわれるマフィアにほとんど国富が独占されたような状態で、言ってみればアメリカの植民地に近いような状態になり果てた国なんですよ。その中でプーチンは、まずエリツィンの子飼いとして出てきた。
プーチンは本当にイエスマンだったんですね。元KGBの中佐だったので、FSBという国家の安全保障を担うような部局の長官に抜擢された。その権力をベースにして、エリツィン政権につるんでる、当時のロシア経済を食い物にしてるような悪い連中を逆に守ってた立場なんですね。完全にイエスマンだった。それで、我々の既得権益を維持するにはあいつが一番いいだろうということで、大統領になった。でも大統領になったら、手の平を返したんです。
今までプーチンを大統領に押し上げていた、いわゆるオリガルヒといわれるロシア内部の既得権益層、または外資と結びついたどちらかというとマフィアに近い層を、まあ逮捕はするわ、資産没収するなど、彼らの持っているエネルギー系の企業を一回、国営に戻して、そして信頼できる人たちに全部預けるといった形で、どんどん国富を取り戻してったんですね。それがプーチンです。
どうも習近平も似たような人だという感じですね。習近平は、太子党と言われてますが、本当に意見を言わない。全部イエスマンで、まわりとの人間関係で摩擦を起こすということが、まずないというタイプの人だった。鄧小平が牛耳る前の1970年代の文化大革命の時代、毛沢東がまだ生きてる時代に、習近平のお父さんは副首相まで務めた人ですから、習近平は既得権益層ということで排撃されるんですね。下放されるんですよ。
文化大革命は何かというと、毛沢東原理主義ですね。だから習近平は、毛沢東に関してものすごく強い敵愾意識を持っていてもおかしくないんですけど、おくびにも出さない。毛沢東、および原始共産制みたいなものを賛美するようなことばかり言う。そうやって周囲と摩擦をいっさい起こさないで、イエスマンで上がってきた人なんです。だから、権力を取らせるんだったら、まあアイツが妥当な線だろうという存在だった。コントロールも効くし。
西塚 当時、李克強もいましたよね。どちらが主席になるかわからないという状況だったと思いますが。
ヤス 李克強は初めから胡錦濤派で、鄧小平の流れを汲む生粋の改革派なんですよ。李克強を国家主席にしたら、何をやるかがはっきりわかるわけですね。そうすると、改革に反する旧態依然とした、既得権益を得た共産党の保守派の敵対勢力があって、彼らから睨まれる。ところが習近平の場合は、どちらにも敵がいないという人。それでいざ総書記、国家主席になって何をやるかといったら、本当に手の平を返した。いきなり変わるんです。
西塚 そうなると、プーチンは今、国民の80%でしたっけ、支持率がある。それに近い感じで、習近平を中心に訴求力は高まりますね。
ヤス 問題はですね、今、習近平がやってる改革です。ひとつの大きな改革は、腐敗撲滅の改革です。共産党から汚職を徹底的に減らす。そして第二としては、国営企業を民営化する、リストラするという、次の改革が待ってると思います。重厚長大な輸出依存型の経済政策ではなく、内需依存型で、民間資本依存型の経済へと変える。それによって国民生活が安定してくるとですね、確かに習近平はプーチンに近い位置にいくんじゃないかと思うんですね。
そういう習近平政権に、やはり江沢民一派はすごく抵抗するわけですね。そして今回、これはいろいろなところに出てきてる情報ですが、年に2回、北戴河(ほくたいが)会議というのがある。河北省の北戴河という市があって、そこが避暑地になってる。そこにいわゆる7名の政治局長が、まあ中国の最高支配者たちとその家族ですね、それからかつての政治局常務委員のOB、およびその家族が、みんな集結するんです。それで2週間くらいかけて会議をやる。そこで、領導という形で、OBのほうから強い圧力と要求が課せられるわけですね。
西塚 要するに、既得権益側に有利なように、こうせい!という話ですね。
ヤス こうせい!という話。それを利用して今回、習近平は北戴河会議で、江沢民に対して宣戦布告をする予定だった。まず、我々は腐敗はいっさい許さないんだと。それから、江沢民一味でも、逮捕するにやぶさかではない、ということを宣言する。それを江沢民一派が、早いうちに北戴河に入って根回しをし、そういう情報を掴んだので、それを引っ繰り返す計画を練っていた。
さらに、もうひとつ大きなことをやろうとしていた。天津から北戴河まで移動する列車がある。中国の政治局長メインの最高幹部クラスは、列車で移動してくるつもりだったんですが、それを爆破して、習近平もろとも暗殺しようという計画があったというんですね。
西塚 本当に映画みたいな話ですね(笑)。
ヤス それを習近平のほうは事前に察知したと。察知したんで、北戴河会議を中止してしまったんですね。中止したので、あわてたのは江沢民派ですね。列車を爆破しようとしてたので、膨大な証拠がある。その証拠を隠ぺいするために、列車の鉄道路線および近隣にある天津もろとも爆破した、というのが今回の真相だということらしいです。
西塚 だとすれば、前に中国の列車事故で、車両ごと埋めちゃったという事件がありましたが、それに通じるムチャクチャな発想ですね。
ヤス ムチャクチャな発想ですよ(笑)。
西塚 また、北京では世界陸上をやってましたね。北戴河で離れてたからよかったですが、近かったら、危なかったというか、何があったかわからない。やることのスケールがでかいというか、別に褒めてるわけはじゃありませんが、かなりムチャクチャです。でも、ヤスさんが紹介してくれたビデオとか、メルマガでもそうですが、中国内部からの報道として、そういう情報が外部に出はじめてるというのは興味深いですね。押さえきれなくなってるのか、うがったことを言えば、習近平に利するような内容なので、あえてそのままリークさせてるのかわかりませんけれども…
ヤス これね、ふたつの見方があるんですね。ひとつの見方は、今回の天津の大爆発というのは、習近平政権にとってすごく大きな痛手だろうという見方です。今回ほら、戦勝70周年記念ってやってますでしょ。
西塚 安倍が断った。
ヤス 安倍が断った。オバマも断った。ただ、プーチンとかパク・クネとかね、周辺諸国の首脳は出るわけです。北京で行なわれるんですけど、セキュリティ上、北京空港は使わないということになってたんです。どこの空港を使って要人が移動するかというと、実は天津空港を使うことになっていた。だから、天津は、北京で行なわれる70周年記念行事を支える重要なバックボーンのひとつとして考えられていたんですね。そこをやられたということは、記念行事をね、習近平が十分指導する力がないのではないかという、政治力の弱さを露呈させた。習近平が赤っ恥をかいたんだと。だからこれは、習近平政権にとって極めて大きな痛手であると。これからは、習近平は中国の指導部内部で求心力をなくして、どんどんダメになっていくという見方があるわけです。
もうひとつの見方はまったく逆で、習近平はこれを機に権力の集中を進めて、今まで鄧小平以降は集団指導体制だったんだけれども、鄧小平時代の一極集中型の体制に戻す、その過程をどんどん加速させるというね、習近平にとっては最終的には有利に作用するのではないかという見方があるんです。その証拠に、江沢民父子と側近中の側近といわれる人物が今、軟禁状態にある。
それともうひとつ。中国の権力構造というのはこうなんですね。13億5000万人の人口がいて、8660万人の共産党員がいる。その上に幹部になる中央委員がいるんです。中央委員になってくると、地方都市の支配層になる。たとえば、四川省共産党書記長みたいになる。そのような地方都市および中央の政界の幹部になるような人たちというのが、216人くらいいる。その中央委員を養成する学校があるんですね。要するに共産党幹部候補生学校ですよね。中央校と言いますが、これは北京にあります。その中央校の入り口に、江沢民が書いた毛筆のサインを模した石碑があるんです。それが最近、撤去された。
西塚 それは、もう象徴的ですね。
ヤス そうなんですよ。江沢民一派というのは、どうもいなくなりつつある。そうなることによって、やはり習近平政権の権力はどんどん増してくるだろうと。
中国頼みの世界経済
西塚 話がずれてはいけませんが、中国は多民族国家なので、内部問題があるといろいろ困ったことが起こるわけですが、日本にとって一番困るのは、中国の経済もそうなんですが、難民だと。中国が内乱状態になったときに、とてつもない数の難民が発生する。そうすると、間違いなく日本に押し寄せてくる。しかし日本の政府はおそらく抑えられないだろうと。そうした恐怖が一部にあります。
だから、むしろ共産党は、習近平が権力を集中的に把握して抑えてくれているほうが、実は世界、特に東アジアにとっては安全なんじゃないかという話があります。そういった意味では、習近平が巨大な権力を集中させて、とりあえず習近平が睨みを利かせている間は、隅々まで一応コントロールできることになるので、あのような巨大なわけのわからない国は、まだそのほうが安心だという言い方はできませんか?
ヤス まさに、そうですね。それ以上にですね、今回の株価の下落でわかったのは、中国なしで世界経済は成り立たないということが、はっきりしたことです。あの国に頑張ってもらわないと、どうしようもないところまできてるってことなんですね。
西塚 よく日本のネトウヨも含めて、中国と戦争になる云々と言ってますが、あり得ないということですね。中国もよくわかっているわけで、今戦争して、どれだけの不利益を被るか、お互いにですね。おそらくあり得ないと思うんです。極端に言えば、いかに戦争を回避するかということしかなくて、米中にしても、その間のいろいろな駆け引きなり、民衆に対する何かアピールはあるかもしれませんが、基本的には戦争しない方向にいくんじゃないかなと思います。甘いですかね。それこそ、想定外の「ブラックスワン」が起きるとすれば、僕はやはり中国だと思うのですが、抑えが効かなくなるという、ヤスさんが言う「ツナミ」ですが…
ヤス そうです。日本にも中国にもアメリカにも、やはり好戦的なアホがいるんですね。
西塚 ああ、アホ(笑)。
ヤス もう、イデオロギーの中でしか生きていないというタイプの人たちがいるわけですよ。そういう人たちって、日本の指導層の中にもかなり入り込んでますから。
西塚 あ、指導層にもいますかね?
ヤス いますよ! 今の安倍政権ってどうなのかってね。現実が見えているのかってことです。すごく怖いものがありますね、今。だから、コントロール不能な戦争に入ってくるというね、可能性は排除できないと思うんですよ。
ちょっと株価の問題でいきますとね、やはり世界経済は中国経済なしでは成り立たなくなってきたということがはっきりした。僕は内外の経済記事や海外レポートを読むんですが、意外にですね、いわゆるアベノミクスというのは、これからどんどん成功して、中国とか他の国とは関係なく独自の成長軌道に乗るんではないかと。
アメリカの失業率にしてもどんどん下がってる、FRBのイエレン議長が利上げということを語るぐらいに、アメリカの景気がよくなっている。シェールオイル革命によって、エネルギーの自給も達成できるようになってるし。とういうことでは、アメリカ自身もね、中国とか世界経済に依存せずに、世界を牽引できるような経済へとまた成長しつつあるんではないか。
ユーロ圏に関しても今、ギリシャで相当もめてるけども、ユーロ圏の中心になってるドイツを見ろと。毎年、4%くらいの経済成長をずっと続けていて、成熟した経済なんて言われながらもね、まだまだ伸びしろがあるではないかと。そうすると、ギリシャ問題みたいな問題を解決していくと、今後はユーロの盟主としてのドイツがユーロ圏を引っ張っていって、また成長軌道に乗るんではないかというような楽観的なシナリオが、思っていた以上に強いなという感じがしてたんですね、今まで。
つまり先進国経済は、ヨーロッパもアメリカも日本もそうですけど、中国に対して依存なんかしてないんだと。中国というのは当然いいお客さんなんだけど、中国なしではダメかというとそうではない。我々はもう復活して、いわゆる新たな成長軌道に乗る準備段階にある。また国によっては、もうすでに成長軌道に乗ってるんだという楽観的な認識があったんですね。今回の株価の暴落というのは、それを打ち砕いたんですよ。
株価の暴落そのものは、大したイベントではないなと思うんですね。中国は元を切り下げたわけですね。その切り下げが、中国政府がいかに経済を悲観してるかということのサインではないか、兆候ではないか、ということを世界のマーケットは感じてね、それで過剰反応した。みんな売りにまわった。
西塚 昔の言い方で言えば、中国がくしゃみすると世界が風邪をひくみたいな感じに、実はなってるということですね。
ヤス そうです。だから、あれほど大きな暴落を演出した市場そのものが、自分たちがいかに中国マーケットのちょっとした動きに反応せざるを得ないか、ということを再発見したということです。
西塚 そうですよね。みんな資本家が、投資家も含めて、自らが動くわけですから、語るに落ちるというか、みんな反応したわけですからね。いかに重要視してるかという証拠ですよね。
ヤス そうなんですよ。その反応した本人が、エーッ!とびっくりしてる。やはりこんなに依存度が高いのかと。その結果、市場のみならず世界経済に対する認識が大きく変わってきたと思うんです。今までだったら、先のような楽観的なシナリオも成り立ってたんだけども、実は完璧に中国頼りなんだと。アメリカにしろドイツにしろ日本にしろ、自ら成長を創り出して牽引するだけのモメンタムがもうなくなっている。どうも先進国というのは、やはり成長限界にぶち当たったんだろうと。だから外部の中国という力に牽引されて、やっとの経済なんだと。
じゃあ、なんで先進国の経済がもってるかというと、巨大な金融緩和という方法で通貨を刷ることによって、需要を無理矢理に金融的に嵩上げすることによってなんとかもってると。
西塚 数字合わせですよね、単純に。実体ではないですよね。
ヤス 実体じゃない。だから実体経済の成長って実はないんではないか。実体経済の成長のように見えてたけども、中国によって牽引されてただけで、あとは金融緩和とか、政策によってパンパンに風船が膨らまされた状態。だとすれば、ちょっとした何かがあった場合にね、要するに先進国経済がいかに成長限界で立ちいかなくなっているかということを、露呈するような事件がひとつでもあれば、もう市場はボーン!と破裂する。一気にまた大暴落を起こす。そうした認識が、どうも僕は一般化してきてるのではないかと思いますね。
アメリカの凶暴性を日本人は知らない
西塚 と同時に、おうかがいしたいのですが、たとえば日本のGDPが下がってるにもかかわらず、企業の利益が上がってる。
ヤス ええ、ええ。
西塚 あれは株主なんですかね。利益が不当にですね、本来は働いている人に還元されなければいけないものを超えて、搾取されていると。今、アメリカはどうなってるのかなあ。普通の、働いている人たちの意識として、今どんな感じなんですか?
ヤス アメリカ経済は、数値そのものから見るといいんですよ。3%から4%に達するという成長率で、失業率もどんどん下がってはいるんですね。今まで、アメリカの失業率は一番高いときで10%近かった。オバマ政権になってどんどん下がって、今は4%台になってる。見かけの数値上は景気がいいという状態。ただ、現場のアメリカ人の書いたレポートとか、僕の友だちの現地のアメリカ人に聞くと、景気がいいなんてまったくのウソだと。我々はいかに苦しんでいるかということしか聞かない。
そのように格差が生まれてる。格差が生まれている根源にあるのは、労働分配率という概念なんですけど、いわゆる経営者がいくら取って、労働者がいくら取るという、労働分配率の悪さですね。
西塚 そうですね。ほとんどが不労所得に近い形で、株主がみんな持ってっちゃいますからね、ごっそり。前にヤスさんと飲んだときも、浅薄な知識で言いましたが、韓国のサムソンだろうが現代だろうが、97年に国が破綻して以降、株主がほとんど外資で、売り上げをごっそり持っていく。そうした配当がある月はだから赤字になったりする。かなり悲惨な状態だというふうに…
ヤス うん。ただね、日本の大企業もそうなんですよ。たとえば、キャノンというのは日本の企業なのかということですね。80%を超えてるのは外人投資家ですよ。日本の市場の企業はほとんどそういう状態ですから。
西塚 日本もそうですか。
ヤス サムソンと同じ状態ですよ、今。だってね、日本の株式市場の80何%だったかな、外国の投資家ですよ。
西塚 それで今回ですね、僕は詳しくないので教えていただきたいのですが、改正農地法が参議院を通過して可決しました。今までは、農地を所有する法人は、まず日本人じゃなきゃいけないし、役員の過半数は農業従事者だと。それが緩和された。農業従事者以外の議決権要件も4分の1以下から2分の1未満になった。しかも外資への規制がありません。そして、農業新聞などを除いてほとんど内容が報道されません。僕は、これはかなりヤバイのではないかと思いますが。そのへんは、いかがですか?
ヤス だからそれは、やはりここがキモだとして、TPPあたりでも改革が迫られていた部分なんです。かなり前からそうですね。いわゆる外資系企業ないしは外国の投資家による、農地の取得の権利を与えろということです。
西塚 集団的自衛権とか安保法制案がどうのこうのでごちゃごちゃしてましたが、影で法律が通っちゃった。僕は右翼でも何でもないですが、右翼的に言えば「亡国の道」といったような法律が裏で進んでいると感じましたね。
ヤス 完全に亡国ですよ、本当に。それによって何がやってくるかというと、農業系って中国じゃないんですね。モンサントなどのいわゆる外資系の大手農業資本がやってくる。アメリカ系ですよ。
西塚 中国を見てると、どさくさで大金持ちになって、共産党幹部なんか何十億、何百億じゃないですか、それでいい水がほしいと言って、日本を買いあさったりするという、それはなんか可愛いというか、まだわかるんだけれども、もっと着実に、虎視眈々とやってるグローバル企業のほうが、ちょっと恐ろしい感じですね。
ヤス 怖いですよ。だからね、僕は深刻に日本人に危機を感じるのは、アメリカに対する認識の甘さですよね。やはり、多くの日本の人たちの意識というのは、まだ冷戦構造のときのアメリカなんですね。冷戦構造のときは、確かにアメリカには親としての側面があった。ソビエトというのはすごく巨大な脅威で、大国でしたから。アメリカ自身がすごい脅威を感じてた。そのために同盟国との結束を固めて、えらい妥協をしてきた。日本に対しても相当な自由が与えられた。
ただ、それはアメリカの本来の姿ではない。いみじくもプーチン大統領が4月16日にね、ロシア国民に向けて声明で言いましけどね、アメリカは同盟国を求めていないと。アメリカが求めている外国勢力は家来だと言ったんですね。その通りなんですよ。だからね、いかにアメリカが凶暴な国であるかという認識を、やはり我々ははっきりと持たなければならない。
僕が非常に残念なのは、日本で英語の読み書き、および英会話ができる人が少ないということなんですね。日本国内で報道されてる、特に新聞・テレビのレベルの報道では、アメリカの実体は絶対にわからない。いかに凶暴な国なのかということは、現地のメディアのしっかりとした情報を掴まないとわからないわけですよね。
西塚 さらに言うと、アメリカのメディアには、ガンガン報道するメディアがいっぱいあるんですね。
ヤス いっぱいある。アメリカは、それこそインターネット大国であるというのは事実で、代替メディア、英語ではオルタナティヴ・メディア(Alternative Media)と言うんですが、それがすごく豊かなんですね。それじゃ、そのオルタナティヴ・メディアはチンケなものかというと、そうじゃないんですよ。地上波でも流れる。
西塚 たとえば、ちょっとスピリチュアル系に寄っちゃうと、『Coast to Coast AM』なんかは、3000万人の聴取者がいるというじゃないですか。あれはちょっと驚きましたね。
ヤス そうそう。それからですね、僕もよく見る『Gaiam TV』ってあるんですけど、これはアメリカで出ている英語圏のスピリチュアル系の番組、ビデオから何でも一定料金を払えば見られるんですが、あれなんかもすごいクオリティが高いしね。それから、僕もけっこう好きで見てるアレックス・ジョーンズの『INFOWARS.COM』ですけど、陰謀系などと言うんですが、逆に見るとですね、主流じゃなければないほど、やはり実証にこだわる。いかに事実があってというふうに、細かい実証にこだわる。
西塚 そうですよね。誹謗・中傷がくるのがわかってますからね。
ヤス そう。だからむしろね、主流がおかしいんです。実証が非常に危うい。
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