「東海アマ」ブログの前半(記事引用部分)だけ転載。東海アマ氏の感想はカット。引用された内容は非常に重大なものであり、日本国民全体がよく考える必要がある。
私はもちろん改憲に反対だが、その前に「憲法改正」という言葉を徹底的に排除すべきだと思っている。とくに野党は絶対に「改正」という言葉を使うべきではない。自民党提案のこれは「改悪」でしかないからだ。中立性のある「改定」という言葉を使うか、「これは『改悪』である」と徹底的に戦うべきだ。そうすれば国民もこれが「改正」なのか「改悪」なのか、真面目に考えるだろう。思想(思考)は言葉で作られるのである。
(以下引用)
岸田文雄が、安倍晋三ら自民党極右派の意向を汲んで、改憲について前向きに加速している。
岸田首相、改憲議論の進展期待 自民4項目の意義強調―衆院予算委 2022年02月02日
https://www.jiji.com/jc/article?k=2022020200800&g=pol
以下は岸田が述べた「自民党改憲四項目」についての小林節教授の指摘。その次に、自由人権協会が本質を突いた批判を提示している。
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恒例の自民党改憲運動がやって来た 嘘の塊の改憲4項目を読んでみよう 小林節 2022/02/05
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/300915
毎年正月になると、必ず、自民党が改憲運動に力を入れると言い出す。それは、改憲が党是である同党にとって、3月に党大会、5月に憲法記念日がやって来るからだろう。
しかも、昨年の総選挙で、改憲に前向きな維新と国民民主が議席を伸ばし、中国の覇権主義を背景に、世論調査の結果も改憲に好意的になっている。
だから、7月の参院半数改選で与党が勝利すれば、ようやく改憲を具体的政治日程に載せることができる。
そこで、自民党憲法改正「実現」本部のホームページを見てみたが、言っていることは旧態依然で変わっていない。
まず、現行憲法の三原則(国民主権、人権尊重、平和主義)は「守る」と言いながら、政治権力者たちが憲法を使って国民を管理する体制(改憲草案102条)を提案している。そのうえで、国民に「君が代と日の丸を尊重する義務」を課している(草案3条)。これは明らかに良心の自由(人権の核)の否定である。
さらに、明確に海外派兵の道を示している(改憲4項目の1、草案9条、9条の2)。これは米ロ中のように政策の手段として普通に軍隊を使用するということで、これを(平和主義に反する)「軍国主義」と呼ぶ。
加えて、改憲4項目はトリックの塊である。
つまり、①「自衛隊」加憲案は、「必要・最小限」と政府自身が定義してきた自衛を「必要」な自衛に拡大して、海外派兵の道を開く奇策である。
②「緊急事態条項」新設案は、現行の12条.13条の「公共の福祉」による人権制約で十分で、首相に全権を委任する憲法条項など不要である。
③「参院選の合区解消」案は、衆参ともに過疎区の世襲議員の議席を固定化する奇策である。
④「教育の充実」に至っては、自民党にやる気があるならば、今、法律と予算を制定すれば済むことで、本来、改憲のテーマですらない。
だから、今、改憲の決定権者である主権者国民としては、何よりもまず自民党の改憲4項目を一読してみる責任がある。
私は、真の論点は緊急事態条項よりも「海外派兵の是非」だと思う。だから、自民党はこの点を隠さず主権者国民に問いかけ、国民もその点を真剣に考えてみるべき時である。
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引用以上
憲法「改正」問題 ― 自民党改憲草案の4つの問題点 自由人権協会
http://jclu.org/constitution/issue/
一つ目は、憲法とは何か、について根本的な理解が間違っていること。憲法は、「権力を縛る鎖」です。「国民を縛る鎖」ではありません。
二つ目は、人権とは何か、についても根本的に理解が間違っていること。
人権は、憲法によって国から恩恵としてあたえられるものではありません。人間であることによって、すべての人が普遍的に、当然に持っている権利で、国家、政府等の公権力が侵してはならないものです。
どういうわけか、今の日本では「人権」という言葉にうさんくささを感じて反発する人がいます。「人権、人権」とうるさく騒ぐ連中は近所迷惑だ、周りの雰囲気を察して我慢するべきだ、みんながこうしようと多数決で決めたことには従え、と言われます。
しかし、少数派の人、主流ではない価値観を持っている人の人権を、多数の人の価値観で制約してよいわけではありません。
人権を持つ人々が暮らす社会では、お互いの人権が衝突したり、お互いの人権が守られる環境をつくるために譲り合ったりする必要も生じます。それでも、世界の民主主義国家の憲法は、たった一人の人権であっても、これを守ろうという考えを出発点に、その調整の方法を考えてきました。
三つ目は、「集団的自衛権」を認めることが引き起こす危険を隠し、現在の9条が日本にもたらしている平和の恵みを帳消しにしようとしていること。
自民党改憲草案は9条を改正して「集団的自衛権」を認めようとしています。
しかし、「集団的自衛権」とは「自衛」という名前がついていますが、その中身は「軍事同盟」です。
「集団的自衛権」を認めて他国と「軍事同盟」を結べば、第三国が地球の反対側で日本の同盟国に攻撃した場合でも、日本はその第三国に反撃することになります。
そうなると、その第三国にとって日本は「敵国」となりますから、日本は、国際法上、直接、その第三国から攻撃されてもやむを得ないこととなるのです。
四つ目は、「日本の憲法改正手続が極めて厳しく、民意を反映するためにその条件を緩和しよう」という主張がおかしいこと。
各院の総議員の3分の2以上の賛成で国会が改正案を発議し、国民投票を実施して、その過半数の賛成を要するという日本の憲法改正手続は、実は、世界の憲法改正手続の中で、「ひどく厳しい」ものではありません。
あるとき多数派となった集団が安易に憲法を改正し、その結果、少数者の人権が侵害されたり、多数派少数派に限らず国民が共通に大事に思っている価値が簡単に否定されたり、国民一人一人が生きていくうえで極めて重要な利益が侵されたりすることがないよう、改正に慎重さを求め要件を厳しくすることは、世界の多くの国が採用している「智恵」です。
本当のところは、今の改正手続の緩和を先行させようと主張する人々は、自分たちの考える憲法改正に賛同者が少なく実現しそうもないと考えたので、要件の方を緩和しようとしているのです。
シュートが決まらないのは、ゴールが小さすぎるからだと言って、ゴールを何倍にも大きくしようとしているのです。要件を緩和したあとに憲法のどこを改正しようとしているのかをよく見極めなければなりません。
一言で言えば、この自民党改憲草案は、世界の民主主義国家でいう「憲法」ではありません。JCLUのQ&Aが、みなさんの話のタネとなり、憲法を考える出発点となれば幸いです。
1年後、10年後の日本をつくるのは、私たちすべての国民です。悔いのないように、「日本国憲法改正草案」を真剣に考えましょう。
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引用以上
私はもちろん改憲に反対だが、その前に「憲法改正」という言葉を徹底的に排除すべきだと思っている。とくに野党は絶対に「改正」という言葉を使うべきではない。自民党提案のこれは「改悪」でしかないからだ。中立性のある「改定」という言葉を使うか、「これは『改悪』である」と徹底的に戦うべきだ。そうすれば国民もこれが「改正」なのか「改悪」なのか、真面目に考えるだろう。思想(思考)は言葉で作られるのである。
(以下引用)
岸田文雄が、安倍晋三ら自民党極右派の意向を汲んで、改憲について前向きに加速している。
岸田首相、改憲議論の進展期待 自民4項目の意義強調―衆院予算委 2022年02月02日
https://www.jiji.com/jc/article?k=2022020200800&g=pol
以下は岸田が述べた「自民党改憲四項目」についての小林節教授の指摘。その次に、自由人権協会が本質を突いた批判を提示している。
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恒例の自民党改憲運動がやって来た 嘘の塊の改憲4項目を読んでみよう 小林節 2022/02/05
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/300915
毎年正月になると、必ず、自民党が改憲運動に力を入れると言い出す。それは、改憲が党是である同党にとって、3月に党大会、5月に憲法記念日がやって来るからだろう。
しかも、昨年の総選挙で、改憲に前向きな維新と国民民主が議席を伸ばし、中国の覇権主義を背景に、世論調査の結果も改憲に好意的になっている。
だから、7月の参院半数改選で与党が勝利すれば、ようやく改憲を具体的政治日程に載せることができる。
そこで、自民党憲法改正「実現」本部のホームページを見てみたが、言っていることは旧態依然で変わっていない。
まず、現行憲法の三原則(国民主権、人権尊重、平和主義)は「守る」と言いながら、政治権力者たちが憲法を使って国民を管理する体制(改憲草案102条)を提案している。そのうえで、国民に「君が代と日の丸を尊重する義務」を課している(草案3条)。これは明らかに良心の自由(人権の核)の否定である。
さらに、明確に海外派兵の道を示している(改憲4項目の1、草案9条、9条の2)。これは米ロ中のように政策の手段として普通に軍隊を使用するということで、これを(平和主義に反する)「軍国主義」と呼ぶ。
加えて、改憲4項目はトリックの塊である。
つまり、①「自衛隊」加憲案は、「必要・最小限」と政府自身が定義してきた自衛を「必要」な自衛に拡大して、海外派兵の道を開く奇策である。
②「緊急事態条項」新設案は、現行の12条.13条の「公共の福祉」による人権制約で十分で、首相に全権を委任する憲法条項など不要である。
③「参院選の合区解消」案は、衆参ともに過疎区の世襲議員の議席を固定化する奇策である。
④「教育の充実」に至っては、自民党にやる気があるならば、今、法律と予算を制定すれば済むことで、本来、改憲のテーマですらない。
だから、今、改憲の決定権者である主権者国民としては、何よりもまず自民党の改憲4項目を一読してみる責任がある。
私は、真の論点は緊急事態条項よりも「海外派兵の是非」だと思う。だから、自民党はこの点を隠さず主権者国民に問いかけ、国民もその点を真剣に考えてみるべき時である。
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引用以上
憲法「改正」問題 ― 自民党改憲草案の4つの問題点 自由人権協会
http://jclu.org/constitution/issue/
一つ目は、憲法とは何か、について根本的な理解が間違っていること。憲法は、「権力を縛る鎖」です。「国民を縛る鎖」ではありません。
二つ目は、人権とは何か、についても根本的に理解が間違っていること。
人権は、憲法によって国から恩恵としてあたえられるものではありません。人間であることによって、すべての人が普遍的に、当然に持っている権利で、国家、政府等の公権力が侵してはならないものです。
どういうわけか、今の日本では「人権」という言葉にうさんくささを感じて反発する人がいます。「人権、人権」とうるさく騒ぐ連中は近所迷惑だ、周りの雰囲気を察して我慢するべきだ、みんながこうしようと多数決で決めたことには従え、と言われます。
しかし、少数派の人、主流ではない価値観を持っている人の人権を、多数の人の価値観で制約してよいわけではありません。
人権を持つ人々が暮らす社会では、お互いの人権が衝突したり、お互いの人権が守られる環境をつくるために譲り合ったりする必要も生じます。それでも、世界の民主主義国家の憲法は、たった一人の人権であっても、これを守ろうという考えを出発点に、その調整の方法を考えてきました。
三つ目は、「集団的自衛権」を認めることが引き起こす危険を隠し、現在の9条が日本にもたらしている平和の恵みを帳消しにしようとしていること。
自民党改憲草案は9条を改正して「集団的自衛権」を認めようとしています。
しかし、「集団的自衛権」とは「自衛」という名前がついていますが、その中身は「軍事同盟」です。
「集団的自衛権」を認めて他国と「軍事同盟」を結べば、第三国が地球の反対側で日本の同盟国に攻撃した場合でも、日本はその第三国に反撃することになります。
そうなると、その第三国にとって日本は「敵国」となりますから、日本は、国際法上、直接、その第三国から攻撃されてもやむを得ないこととなるのです。
四つ目は、「日本の憲法改正手続が極めて厳しく、民意を反映するためにその条件を緩和しよう」という主張がおかしいこと。
各院の総議員の3分の2以上の賛成で国会が改正案を発議し、国民投票を実施して、その過半数の賛成を要するという日本の憲法改正手続は、実は、世界の憲法改正手続の中で、「ひどく厳しい」ものではありません。
あるとき多数派となった集団が安易に憲法を改正し、その結果、少数者の人権が侵害されたり、多数派少数派に限らず国民が共通に大事に思っている価値が簡単に否定されたり、国民一人一人が生きていくうえで極めて重要な利益が侵されたりすることがないよう、改正に慎重さを求め要件を厳しくすることは、世界の多くの国が採用している「智恵」です。
本当のところは、今の改正手続の緩和を先行させようと主張する人々は、自分たちの考える憲法改正に賛同者が少なく実現しそうもないと考えたので、要件の方を緩和しようとしているのです。
シュートが決まらないのは、ゴールが小さすぎるからだと言って、ゴールを何倍にも大きくしようとしているのです。要件を緩和したあとに憲法のどこを改正しようとしているのかをよく見極めなければなりません。
一言で言えば、この自民党改憲草案は、世界の民主主義国家でいう「憲法」ではありません。JCLUのQ&Aが、みなさんの話のタネとなり、憲法を考える出発点となれば幸いです。
1年後、10年後の日本をつくるのは、私たちすべての国民です。悔いのないように、「日本国憲法改正草案」を真剣に考えましょう。
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引用以上
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