忍者ブログ

徽宗皇帝のブログ

徽宗皇帝のブログ

見えない「大量破壊兵器」としての諜報組織とテロ組織
前の記事に書いた私の考えを導いたのは、あるいは「混沌堂主人雑記」で読んだ、下の引用記事かもしれない。世界政治を考える、優れた「補助線」になる論文だと思うので、転載する。

(以下引用)

2024 - 12/31 [Tue] - 12:11

寺島メソッド翻訳NEWS  より

上記文抜粋
・・・・・・・・・・・
米国政府の「超兵器」!!CIAの別働隊NED(全米民主主義基金)が、アジア含め世界中で破壊活動を展開!!
<記事原文 寺島先生推薦>
Washington’s Unstoppable Superweapon
筆者:ブライアン・バーレティック(Brian Berletic)
出典:Internationalist 360° 2024年12月23日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2024年12月31日
地政学的緊張が高まるにつれ、米国は最も強力な武器を振るっている。その武器とは軍事力ではなく、自国の利益にかなうように国家や地域を再編する、洗練された政治・情報統制網である。
ここ数カ月、西側諸国の報道機関全体においても、ロシアと中国の優れた軍事力を認める声が高まっている。ロシアが初めて中距離弾道ミサイル「オレシュニク」を使用したことで、ロシア(そしておそらく中国)が西側諸国の現在欠いている強力な軍事力を有していることが認められたのだ。
NATOがウクライナに武器を供給し、訓練し、支援するという共同の努力にもかかわらず、ロシアの特別軍事作戦(SMO)が進行する中で、ウクライナ軍は接触線全体にわたって加速度的に後退を続けている。
しかし、この新しい視座が浸透するなか、米国は依然として強力で、これまで比類のない、そして未だに対抗手段のない超兵器を保有していることを実証した。米国はその兵器を利用して、アラブ世界全体に、シリア経済とシリア・アラブ軍の両方をゆっくりと着実に空洞化させる状況を作り出し、2024年12月中旬に、シリアを制圧しようとする米国支援のテロリストを何年も阻止してきた両者に完全崩壊をもたらした。
シリアの経済や軍隊、そして政府が崩壊しただけでなく、国連のテロ組織一覧に掲載されているテロ組織がダマスカスで権力を掌握し、シリアの路上で民族的、宗教的、政治的な反対者に対して公然と残虐行為をおこなったことを世界中の多くの人々が歓喜した。
こんなことになったすべての原因は、米国当局が有する対応不可能な「超兵器」と、世界的な情報と政治空間に対するその支配力にある。
米国当局の超兵器:政治干渉、捕獲、そして統制
オレシュニク・ミサイルほど魅力的ではないが、米国当局が持つ超兵器は、実際には何倍も強力で、防御するのはさらに困難である。
この兵器は、長年にわたる米国中央情報局(CIA)による政権転覆作戦として始まり、現在では全米民主主義基金(NED*)として知られる組織へと変貌を遂げた。
NEDは、地球上の居住可能なすべての大陸の何百もの組織や計画、反対派組織、政党に資金を提供する子会社網 (フリーダム・ハウス、国際共和党研究所 (IRI)、全米民主研究所 (NDI)) と、関連する政府組織 (USAID*) および民間財団 (オープン・ソサエティ、オミダイア・ネットワーク) を監督している。
中東:イランとの戦争の戦場構築
近年、米国は2011年の「アラブの春」の何年も前から、扇動者の軍隊を訓練し、彼らが母国に戻り、それぞれの政府を打倒するよう指導していた。米国が支援するこれらの扇動者が作り出した政治的混乱は、同様に米国が支援する武装過激派によって利用され、政治的圧力に屈しない政府を暴力的に倒してきた。
NEDのウェブサイトでは「世界中で自由を推進する」と主張しているが、その政治的干渉は国家全体、さらには地球上の地域全体を不安定化させ、破壊し、数十万人の死者と数百万人の避難民をもたらした。これらの国々に残されたものは、内部で争い続ける破綻国家、または標的となった国の最大の利益を犠牲にして米国当局の利益に完全に奉仕する従属政権に変貌し、時にはその両方が組み合わさった状態になっている。
この地域自体は、この地域における米国の覇権に対する抵抗の中心であるイランとイランが支援する国々を包囲し、孤立させ、最終的には標的にして打倒することを目的とした非常に意図的な形をとっている。
ヨーロッパにおけるNED:「民主的な」ロシアの創造
もう一つの例はウクライナだ。ガーディアン紙の報道によると、独立中立のウクライナを打倒しようとする米国NED*の取り組みは2004年という早い時期に始まった、という。2014年にも同じ作戦が繰り返され、そのときは成功した。この作戦にはNED*の資金援助を受けた政治活動家だけでなく、ネオナチなどの武装過激派も参加し、キエフでは米国上院議員らが舞台に上がって彼らを応援していた。
NED* が資金提供した政治介入によって標的国の政治的独立が損なわれる目的は、その国自体を政治的に掌握するだけでなく、その国をその地域内の他の掌握された国々とまとめ、米国の主な敵対国に対する統一戦線を形成することにある。
ヨーロッパでは、その敵とは明らかにロシアだ。
デイモン・ウィルソン氏は、NED* の会長兼最高経営責任者に就任する前は、大西洋協議会の執行副会長を務めており、NATOとロシアの間の「中間地域」と呼ばれる場所の解消について語っていた。これらの「中間地域」とは、NATO とロシアの間の緩衝地帯を提供する中立国にほかならない。
ウィルソン氏は2018年に大西洋協議会でおこなった発言の中で、次のように認めている。
「この戦略は、ヨーロッパに新たな分断線を作ることを意図したものではありません。その目的は、不安定で脆弱な地域を、安定して繁栄した自由なヨーロッパという確固たる基盤の中に固定することであり、長期的には、この視座には民主的なロシアの創造も含まれています。
しかし、モスクワの改革への道は、キエフやキシナウ、エレバン、トビリシでなされる選択から始まる可能性があります」と。
これは自身の真意を認めた発言だ。ウクライナやモルドバ、アルメニア、ジョージアの打倒と政治的掌握は、ロシアをさらに包囲し孤立させ、NATOとロシアの間の緩衝地帯を排除し、最終的にはロシア自体を打倒し政治的に掌握することを意図している。
「民主的なロシア」とは、「NED* が資金提供している組織や報道配信、機関、政党によって管理・運営され、米国とNATOが押し付けた“民主主義”に従属しているロシア」という意味の婉曲的な表現にすぎない。
ウィルソン氏が2018年に述べた発言は、ロシアに対する米国とNATOの政策だけでなく、ウィルソン氏が現在会長兼最高経営責任者を務めるNED*内での行動にも反映されている。
アジアにおけるNED:中国に対する統一戦線の構築
NED*の「アジア」ウェブページは、現在では「透明性」という幻想を支えていた財務情報開示すらすべて削除して、16か国で338以上の計画が運営されており、2023年度だけで少なくとも5170万ドルの資金が調達されている、と自慢している。
NEDのこのページは、地域の選挙への関与や野党の結成、さらには分離主義の推進を公然と認めている。
このページでは、国際法で中国の新疆ウイグル自治区として認められている地域を「東トルキスタン」と呼んでいるが、これはワシントンDCに設立され拠点を置く「東トルキスタン亡命政府」が主張する実在しない地域である。
米国政府による中国の分離主義支援は、国連憲章第2条の「すべての加盟国は、その国際関係において、武力による威嚇又は武力の行使を、いかなる国の領土保全や政治的独立に対するものも、また、国際連合の目的と矛盾する他のいかなる方法によるものも慎まなければならない」という規定に明らかに違反している。
米国政府はワシントンDCに分離主義者をかくまっているだけでなく、NEDを通じて、公然と分離主義を追求する多くの組織に資金を提供している。これには、米国NEDの助成金受給者である世界ウイグル会議(WUC)も含まれており、同会議はウェブサイトで「WUCは、東トルキスタンの中国占領に対する非暴力的かつ平和的な反対運動を宣言する」と公然と述べている。
米国政府からNEDを通じて資金提供を受けているWUCは、新疆を中国から分離させることを企て、国際法に違反する陰謀を公然とおこなっている。WUCはこれを「平和的な反対運動」としておこなっている、と主張しているが、それでもその分離主義は、現在シリアに拠点を置く「東トルキスタン・イスラム運動」(ETIM)などの過激なウイグル分離主義者による暴力的なテロ行為と合致しており、国連のテロリスト一覧に掲載されているテロ組織ハヤト・タハリール・アル・シャーム(別名ジャバト・アル・ヌスラ戦線)と長年共に戦い、今や中国を標的にすることを公然と誓っている、とテレグラフ紙が最近報じた。
NEDの現在の「アジア」ウェブページを見れば、その取り組みがアジア全域の個々の国の政治的掌握だけに焦点を当てているのではなく、中国に対抗する地域統一戦線の構築も目指していることが十分に明らかである。
NED* は、「民主的統一の促進」という婉曲的な表現で次のように宣言している。
「中国は地域および世界で大国として台頭し、その経済的影響力によって、この地域の各国政権にとって強力な支援および影響力を持つようになった。中国はその大きな経済力を利用して、民主主義と人権の尊重はいかなる潜在的な友好諸国にとっても必須条件ではなく、望ましい特徴でもないことを示唆している。
アジアの民主主義諸国は、民主主義の価値や法の支配、ルールに基づく制度を守り、維持し、地域で高まる非自由主義的な傾向に効果的に対抗する必要性を認識し、国際的に認められた規範と価値の擁護と維持において協力し、より大きな責任を負う方法を模索している」と。
また、以下のようにも述べている。
「そのため、NED* は、アジアの民主主義諸国家間の民主的統一と協力の強化、および民主主義活動家間の地域的連帯と協力の強化と拡大に焦点を当てたさまざまな取り組みを支援している。具体的には、NED* とその中核機関は、対話を促進し、支援を構築し、民主主義の規範と価値観を守るための指導力の強化を促進するために、地域の主要民主主義諸国である友好諸国を支援している。また、報道機関の自由や自由で公正な選挙、デジタル面の安全保障と保護、基本的人権などの主要な民主主義の問題に関して、民主的な声を増幅し、交流を促進し、地域の連帯を強化するために活動する、民主主義と人権の活動家と擁護者の地域網を支援している」と。
これらすべては、米国NED*が、米国国務省の中国を標的とした偽情報を熱心にオウム返しする地域的な反中国運動を作り上げ、地域の住民を中国嫌いにし、同時に、ロシアに対してヨーロッパでおこなったのと同じように、中国周辺のアジア全土への米国の影響力と支配を拡大しようとしていることを認める長期的な視野のもとでのやり方である。
ICS(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)とSCO(上海協力機構)は、米国を拠点とするソーシャルメディア配信業者に代わる多極的な配信業者を立ち上げる取り組みを主導し、米国や欧州の検閲や操作の及ばないところで世界の他の国々が情報を共有できるようにすることができる。現在、ロシアと中国のソーシャルメディア配信業者は、国際的な使用ではなく国内向けに最適化されている。
最後に、BRICS は、地域および国家のNGO透明性法の促進や、この危険を暴露し、立法を通じてこれに対抗する行動をとる加盟国を支援する協議会の創設を通じて、米国 (および欧州) の干渉を暴露し、対峙する取り組みを主導することもできる。これには、標的となった国を米国の政治および情報統制に従わせることを目的とした米国の脅迫や制裁、その他の強制措置に対する保護の提供が含まれる。
これらすべての措置は、国連憲章の核心原則に沿って、多極化した世界における国家主権の強化と国家の自決権の維持を目的としている。米国の全米民主主義基金は、名目上でさえ、世界中で「民主主義」を推進している組織であると見せかけているが、民主主義は自決権の手段のひとつであるべきであるし、全米民主主義基金が資金提供するものはすべて、全米民主主義基金の資金が流入する国々ではなく、米国当局によって、そして米国のために決定されている。
NEDは米国当局が持つ最大の「超兵器」である。国家の政治や情報、学術の領域に侵入し、占領するその能力は、世界中で米国の覇権を阻む最大の通常軍さえも回避する。NEDは世界中の国家や地域の不安定化と破壊に関与し、ロシアが設計し配備できるいかなるミサイルよりも大きな被害をもたらしている。真に多極化した世界の未来は、米国国家とウォール街のすべての兵器、特に最も広範囲で効果的な兵器から身を守ることにかかっている。
米国NEDがどのようにこれをおこなっているかの一例は、2020年10月にタイの視聴者を対象に開催された「Beyond Boundaries」Facebookの実況配信の催しである。この催しは「中国におけるウイグル人の状況と私たちが彼らを助ける方法」と題され、元NED従業員で現在はNED*の助成金受給者である「ウイグル人権計画の対外関係担当部長」であるルイザ・グレーブ氏が出演した。
その調整係には、タイ国内を狙ったNED資金による破壊活動に参加し、推進したとされる「民主化活動家」のネティウィット・チョティパットパイサル氏が含まれていた。
このフェイスブック実況配信の催しの目的は、中国がタイにとって最大の貿易相手国、投資国、観光地、そしてタイ初の高速鉄道建設を含む生活基盤整備の友好国であるにもかかわらず、中国に対して受容的なタイ国民を継続的に攻撃することだった。
NED* が資金提供している野党勢力も、進行中のタイと中国の高速鉄道計画を含む、タイと中国の協力を完全に阻止することに重点を置いている。その最も明白な例は、億万長者の野党指導者タナトーン・ジュアンルーンルアンキット氏が米国を訪問し、米国務省、NED* 傘下のフリーダム・ハウスを訪問し、アリゾナ州に拠点を置くハイパーループ・ワンの代表者と会談した後、タイに戻って中国が建設する高速鉄道計画を非難したことだ。
タナトーン氏は、タイは代わりに現在は廃止された「ハイパーループ*技術」に投資すべきだと主張した。ある公開発表で、タナトーン氏は「過去5年間、我々は中国を重視しすぎていたと思う。その重要性を減らし、欧州、日本、そして米国との関係の金鉱を取り戻したい」と主張した。
*ハイパー・ループ・・・真空状態のチューブ内で車両を磁力で浮遊させて高速移動させる次世代の輸送形態
タナトーン氏は、2019年のタイ総選挙で敗北した後、タイの路上でNEDが支援する抗議活動を率いた。その後、同氏の政党は選挙でより良い結果を残したが、それはタイにおいては情報空間全体が保護されていないため、そこにNEDが腐食的な影響を及ぼすことができたからだった。
現在、タイでも東南アジア全域でも、中国が客観的に見てより良い未来を提供しているにもかかわらず、米国は、NEDや破壊的な政治的反対派勢力網、報道配信機関、さらには米国が支配する政党によって、依然として不当な影響力を行使しており、この地域の本来明るい未来は、2014年以前のウクライナのように不安定な立場に置かれている。
フィリピンはすでに米国によって完全に占領され、中国と対峙し、対立するために利用されており、台頭するアジアは依然として、欧州や中東と同様に地域戦争に巻き込まれる可能性に直面している。
米国の超兵器に対する防衛
ロシアと中国はともに、米国による当該国の政治的掌握という「超兵器」に対する有効な防衛策を考案した。
両国は、海外から資金提供を受けているいわゆる「非政府組織」(NGO)に対して透明性を要求するか、あるいはそれらを全面的に禁止するかのいずれかをおこなっている。
両国はまた、米国国務省と連携して標的国の世論や国家への帰属意識を操作する米国に拠点を置くソーシャルメディア配信業者を制限または禁止し、自国の国内ソーシャルメディア配信業者により、情報の流れを監視することで、それぞれの情報空間の安全を確保している。
両国には、それぞれの価値観を推進する強力な国内報道産業と、自国の立場を世界中の視聴者に伝える国際報道配信機関がある。
しかしながら、両国がこれまでできなかったのは、この専門知識を友好諸国に広めることであった。
両国は、すでに、空域や国境、海岸を含む伝統的な国家安全保障領域を防衛するために、友好諸国に幅広い防衛体系を販売している。しかし、どちらの国も、これらの輸出品に国家の情報空間を防衛する手段を組み込んでいない。実際、両国はこれまで、そもそも国家の情報空間を防衛することが21世紀において極めて重要であることを伝えることができていない。
ロシアと中国は、各国がそれぞれの情報空間内に設置し、監視できる即利用可能なソーシャル・メディア網を輸出することで、米国を拠点とする業界網に取って代わり、自国内の情報の流れに対する管理を再び確立できる。これにより、シリコン・バレーや米国国務省提携企業に委ねるのではなく、各国とその国民が、どの情報を共有できるか、できないかを決定できるようになる。
同様のパッケージを提供して、各国がロシアのRTやスプートニク、中国のCGTNのような国際的な報道配信機関を立ち上げるのを支援するとともに、米国務省のフルブライトやヤング・リーダーシップ・イニシアチブのような計画に相当する、米国当局やウォール街の利益ではなく、その国の最善の利益を反映する地元の報道関係者や教育者、将来の政治家や外交官を育成するための国内教育回路を構築するのを支援することもできるだろう。
BRICSの主要加盟国であるロシアと中国
一見すると、NED や世界中の政治および情報空間を管理しようとする米国のその他の取り組みは、まったく「武器」には見えない。しかし、よく調べてみると、これらは 21 世紀に使用された最も破壊的な「大量破壊兵器」であることがわかる。これらは世界の平和や安定、繁栄に対する深刻な脅威である。同様に、これらを暴露し、防御するために真剣な努力を払う必要がある。

拍手

PR

コメント

コメントを書く