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徽宗皇帝のブログ

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高齢者とIT機器
カマヤンのツィッターで知った記事だが、記事全体が非常に面白く、IT機器の苦手な高齢者やIT機器開発関係者(企業トップも含む)は是非読んでおくべきだと思う。今のような高齢社会で、高齢者を無視した新製品は自分で市場を縮めているようなものである。


(以下引用)容量関係で一部のみ転載。



「Amazonのプライムビデオが難しい」というおかんの言い分を聴いてみた


Tsutomu Sogitani


2019/03/19 09:05




    大阪の実家に帰った時、リビングのテレビの裏側を見たらAmazonのFire Stick TVが挿してありました。このFire Stick TVをテレビに繋ぐと、Amazonのプライムビデオを観ることができるようになります。



    プライムビデオには、Amazonプライムの会員であれば、追加費用を払うことなく楽しめる映画やドラマ、アニメなどが豊富に揃っています。さらに個別に追加金額を払うとほとんどの映像コンテンツを観ることができるという、まさにTSUTAYAキラーなサービスです。


    うちのおかんは月に2~3回は映画館に行くほどの映画好きなので、プライムビデオのメインターゲットといえるでしょう。本来ならプライムビデオで映画三昧の毎日を送っていてもいいはずです。


    しかしながら、Fire Stick TVを挿しているにもかかわらず、プライムビデオを一度も使っていませんでした。初期設定をした私の弟が一通り使い方を説明したようなのですが、「なんだか難しい」という印象を持ってそのまま遠ざかってしまったようです。


    さらにいえば、その前日に私が「Amazonのプライムビデオが便利で面白いよ」と教えた時には、「何それ?便利なん?」と言っていました。そのため、まさか実家のテレビにFire Stick TVが差さっているとは思ってもいなかったのですが、おかんはそもそも、Fire Stick TVとか、プライムビデオとか、そういうサービスの存在自体を認識していなかったようです。


    おかんといっても、40代である私のおかんはもう71歳なので、一般的にはおばあちゃんにあたる年齢だと思いますが、年齢の割にはそんなにITに弱いわけでもありません。iPhoneを愛用し、LINEやYoutube、Google Map、カメラ、カレンダー、路線案内など、8~10種類ほどのアプリを日常的に使っています。もちろん最初は誰かに教えられて使い始めたのだと思いますが、使い方に戸惑っている様子もありません。


    また、ハードディスクレコーダーを日常的に使っており、地上波や衛星放送の気になる番組を大量に録画して保存しています。必ずしも優れたインターフェースとはいえないハードディスクレコーダーをそれなりに使いこなしているわけです。


    Amazonのプライムビデオは、WiFiと接続する初期設定などを除けば非常にシンプルで、あまり迷うところがないようにも思えます。リモコンも、選択、決定、戻る、再生、停止、早送り、巻き戻しがある程度です。


    このように、それなりにアプリやデバイスを使えるおかんが、Amazonのプライムビデオが難しいといって使おうとしないのはなかなか面白い現象だと思い、操作方法を教えながらその様子を少し観察してみました。

    入力切り替えの発想がない

    まずプライムビデオを使う以前の問題で、「画面を表示させるやり方がわからない」という問題がありました。


    Fire Stick TVはテレビのHDMI端子に接続して使うデバイスです。これをHDMI端子に接続すると、プライムビデオがテレビに映るようになります。



    しかし、当然接続しただけで画面が写るわけではありません。テレビのリモコンなどを使って、画面の表示を「テレビ」から、「HDMI」や「入力2」に切替えなければなりません。この「画面表示切替え」という概念がおかんにはありません。


    実は、おかんが愛用しているハードディスクレコーダーも表示の切替えをしてから使っています。しかし、こちらはテレビもレコーダーもAQUOSで、リモコンが一体化しており、「テレビ/ビデオ」という選択ボタンだけで表示切替えができるようになっています。つまり、表示切替えという概念を理解しなくても使えるようになっているわけです。


    だから、プライムビデオを見る時に必要な「画面表示の切替え」という行為は、おかんにとっては未知の概念なわけです。最初に表示を切替えないといけないという発想自体がそもそもないので「プライムビデオの表示のさせ方が分からない」となってしまうのです。


    これにはラベルの問題もあるでしょう。画面の表示切替えを選ぶと出てくるラベルが「Amazonプライムビデオ」ではなく「入力3」というラベルなので、一度目の説明だけでは覚えきれず、自力では再現できなくなったのだとも考えられます。

    まず何をしていいかわからない

    プライムビデオを最初に立ち上げると、配信中のオススメの映画やドラマ、アニメなどがタイル状に敷き詰められて表示されます。



    この画面が出てきたときに、おかんは難しそうな表情をしました。いきなりの情報の壁に圧倒されて「これは面倒くさそうだ…」という思考の壁ができてしまったようです。画面上部のグローバルナビゲーションの存在にも気が付いていないようでした。


    実はおかんは、15年以上前からパソコンは使っており、Amazonや楽天で買い物をすることはできます。そして今はiPhoneを使っています。しかしながら、テレビの画面上で何かを操作するということには慣れていません。ハードディスクレコーダーを操作する程度です。


    例えばパソコンのマウスポインタのような、操作対象や選択対象が明示されているインターフェース要素があれば、「まずはこれを操作すればいいのか」と思いつくのでしょう。しかしプライムビデオのインターフェースにはそのようなものがなく、ただグロナビの「ホーム」がオレンジ色になっているだけです。


    このような状態なので、おかんからすれば「最初に何をしていいか分からない」という状態になってしまうのでしょう。

    ボタンがボタンに見えていない

    「何をしていいか分からない」というおかんに対して、次に「リモコンで操作してみて」と言ったのですが、まずリモコンで何を触っていいか分からない状態に陥っていました。


    プライムビデオのリモコンはこんなデザインになっています。



    ※「Fire TV Stickの使い方と設定方法」より


    とてもシンプルで洗練されているように思うのですが、上部の丸い部分が操作のためのボタンと認識できなかったようです。「この丸が操作ボタンで、上下左右に動かせるんやで」と説明をしても、何がどうなっているのか、その仕組みを一度では理解できないようでした。さらに真ん中の丸が決定ボタンなのですが、これもボタンには見えなかったようで、どう扱っていいか戸惑っていました。


    そういえば私自身も最初、これが操作用のボタンには見えませんでした。上にマイクのアイコンが付いているので、音声を認識するための収音装置か何かのように思いました。カチカチと音がするのですぐに押せると気付き、実際に使ってみるなかで自然に操作体系を学習していきました。


    私たちがアプリケーションなど、繰り返し使うタイプのインターフェースのデザインを考えるとき、見た目がゴチャゴチャするのを避けるために、「触れば分かるだろう」という判断で一度では理解できないデザインを選択することがあります。しかしこれは、デザイナーが思っている以上に慎重になるべきなのでしょう。


    確かに、リテラシーが高い、あるいは自分はリテラシーが高い自信がある人は、触って失敗しながら学習していく傾向があります。しかしリテラシーが低い、自信がない人はそうは行動しません。分からないものを触って確かめようとは判断せず、分からないものには触らないでおこうと判断します。なぜなら、分からないものを触ることで、元に戻れなくなったり、面倒なことが発生したりすることを恐れるためです。









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