このラリーレース場は、一般市民の居住する公道で行われていて、住民の私権を大きく侵害し、レース指定道路については、ほぼ丸一日閉鎖され、周辺住民は通行を禁じられ、買い物さえ許されなくなる。
私も、11月23日、普段、呼吸トレーニングで利用している源根林道周辺コースに立ち入れなくなり、別の山に向かうしかなくなった。
こんな住民の生活を邪魔するような公共事業が許されるのだろうか? ラリー事業が住民の移動という基本的人権を侵すことに対し、それを正当化できる理由があるのだろうか?
日本の裁判判例では「公共の福祉に供する公益事業」に対しては、一定の受忍が正当化されている。
「事業」は私権を侵してはならないが、公共の福祉に供する範囲では許されるというのが、民法の考え方で、「権利の濫用」は民法第一条以下、民法の大原則として公布されている。
権利濫用の禁止とは?
公共の福祉
民法における公共の福祉の規定は、公共の福祉に適合しない権利の行使は認めないという基本原則を示すものです。
第二十九条
①財産権は、これを侵してはならない。
② 財産権の内容は、公共の福祉に適合するやうに、法律でこれを定める。
③ 私有財産は、正当な補償の下に、これを公共のために用ひることができる。
つまり、「公共の福祉」という正当な理由があり、正当な補償が行われる範囲において、私有財産や私権を侵すことがある……ということを民法が定めている。
だから、公道ラリーレースが「公共の福祉」に適うものであるなら、通行権など、住民の私権を制限できる法的根拠といえるわけだが、公道ラリーが公共の福祉であると決めつけるには、あまりにも疑問が多い。
一部の住民にとっては、迷惑でしかない代物だ。「絶対に認めない!」と強硬にラリーレース道路指定を拒否した場合、主宰者は、いったいどんな法的措置を講ずるのだろう?
たぶんだが、レース指定公道の住民に対しては、高額の補償を行うしかないだろう。「金を払ったのだから、出入りを禁ずる」というしかない。裁判で争って、主宰者が「公共の福祉事業」であると主張しても、認められない可能性が強いと思う。
しかし、実際には、住民は一方的に泣き寝入りを強いられている可能性がある。
もしも、私がレース公道沿線住民だったなら、私がラリーを認めるわけがないので、強硬に反対することになり、私一人の力でも、レース開催を阻止できるかもしれない。
公道ラリーレースは、「住民の福祉」とは無縁の、自治体や主宰者の金儲けにすぎないからだ。
そもそも、豊田市は、トヨタ自動車の膝元であり、自動車産業の活性化=金儲けに利用したいと思い、豊田市は、力関係によって、それに迎合するしかない。
恵那市は、2004年に赤字続きのため、100億円かけたグリーンピア施設を2億円かけて取り壊した。恵那市民は100億円の負債を押しつけられることになった。だから私の住む蛭川村は、恵那市との合併予定を取り消し、中津川市と合併した。
人口46000名だが勤労者は約3万人だから、一人当たり、33万円の負債を負担しなければならなくなった。それにも懲りずに、恵那市は市民の福祉とは無縁の世間受けの良い無駄事業をやりたがる。とにかく恵那市の計画には思慮不足が目立つ。
中津川市も、地方都市の例外に漏れず、無駄事業が大好きだが、前任者の箱物主義を否定したかと思うと、ヒトマチテラスと称した同じ内容の事業を再開建設してしまった。
市長在任の実績としての宣伝事業が最優先という発想はまるで変わっていない。
こんな自己顕示欲の強い、自治体首長の趣味によって、公道ラリーレースが開催された。
私は、車の爆走が大嫌いなので、公道ラリーを敵視しているのだが、もう少し広げて、公道を占有し、私権を制限するイベントとして、公道マラソン・サイクルロードレースなどの競技について一般的な問題を提起したい。
警視庁が、マラソンなどの公道開催に関する指標を示している。
まあ、公道レースといえども、生身の人間によるレースは一種のリクレーションや市民的競技として市民権を得ていて、「公共の福祉」の範疇に入れることを支持する人は多いだろう。だから駅伝について、地元住民から出る苦情はあまり聞かない。
しかし、これがエスカレートして、レース仕様車による道交法を大きく逸脱したレースとなると、私には「公共の福祉」に反する行為としか見えないのだ。
ときには、公道から飛び出して、100mくらい暴走して民家に突っ込むことだってあるのだから。
確かにモナコGPやマン島レースなど、海外での公道自動車レースは歴史的に容認されているのだが、レース当日の、住民の私権が制限されるという問題について、明確な法的解釈がされているかというと、ネット上を探しても見つからない。
今回のラリージャパンレースでは、私権制限を突破する車によって、レースが中断に追い込まれた。どうも意図的なレース妨害のようだ。
ラリージャパンで無許可車両が検問強行突破でコース侵入 WRC取材歴30年のラリージャーナリスト「明らかに妨害が目的…人をあやめる犯罪行為」と糾弾 11/23(土)
事件が起きたのは、SS12区間で、たぶん恵那市内で山岡に近い区間だ。住居も多数ある。
恵那警察は運転者に事情を聞いただけで、検問を強行突破し、レースを中止に追い込んだにもかかわらず、逮捕拘束はしていない。
結局、レースと私権制限の間に、明確な判例基準が成立していないせいだろう。刑事事件として立件できなかったようだ。
もしレースが合法的開催とすれば非合法な妨害目的の侵入者は刑法違反で検挙されなければならないが、それが行われず、レース主宰者は「民事訴訟」を行うと表明しているに留まる。
まあ、請求金額はたぶん1000万円を超えると思われるが。ちなみに、地元車ではなく横浜ナンバーと報道されている。
ただ、この民事裁判は、レースが合法で、自治体、地元住民の全合意の上に行われたものでないかぎり、被告側は、「非合法」であるとの主張を行うにちがいない。
もしかしたら、主宰者側が負ける可能性だってゼロではないだろう。公道ラリーレースの目的が「金儲け」であって、一方的な私権制限を住民に強要しているとすれば、民法は、主宰者の権利を保障していないといわざるをえない。
私の総合的見解としては、すでに長年の実績が、「既成事実=習慣」として容認されている競技である駅伝やマラソンくらいは、住民の娯楽に供されると解釈して、「公共の福祉」の範疇に入れてもよいと思う。
しかし、ロードバイク競技については、やや微妙で判断に迷う。公道ラリーに関しては、レース公道住民への補償を前提にしないかぎり、通行の自由を侵害する私権制限は許されるべきではないと思う。
全住民の補償と合意があれば、可能かもしれないが、今回のように私のハイキング権利を侵害した事実に関しては、怒りを覚える。
ラリーレース、自動車レースに関しては、人によっては私のように嫌悪感を抱く人間がいることを忘れてもらっては困る。
私は、名古屋に住んでいたとき、さんざん暴走族に悩まされてきた。人を出し抜いて走る快感という発想に嫌悪感を抱くのだ。
私は、発泡スチロールが実用化された1960年代に、これを見て、「これを車に大きなバンパーとして取り付ければ、交通事故人身被害や追突事故被害が大きく軽減されるはず」と思い、すべての自動車産業が発泡スチロール製バンパーを採用することを期待した。
ところが、「発泡スチロール製安全バンパー」を採用した自動車会社は皆無だった。「そんなものをつければかっこ悪い」 「売れなくなる」と経営者たちは見向きもしなかった。
自動車会社は、資本主義の掟に従って、大衆の競争意識に迎合し、「売れる車」だけを作り「安全な車」を拒否したのだ。
これで、私は資本主義社会の本質を思い知らされた気がした。
今回の、公道ラリーレースも、大衆の競争意識ばかりを煽り立て、爆走をはやし立て、高額の見物料を徴収している。結局、資本主義なのだ。
だから、私は、見物客たちがラリーカーのまねをして暴走に快感を求めるようになるに違いないと感じ、こんなものは社会秩序を悪化させるだけだと確信した。
危険を売り物にして、車を売るためのレースを開催する自治体や自動車会社に対して、私は不快感を禁じ得ない。
NHKから国民を守る党の党首、カピバラ孝志の「陰謀論」に多くの人が惑わされ、斎藤元彦元知事に票を入れてしまいました。
この陰謀論がどのようなものかは、冒頭の動画の解説が良くまとまっています。そして、『兵庫県知事選でおきたこと』という記事には、この陰謀論に人々が巧妙に絡めとられていった経緯が見事に記されています。
現実問題として、斎藤元彦氏の知事選挙を請け負った「株式会社merchu」の代表取締役、折田楓氏の記事の魚拓が取られており、“金銭が動いていれば、買収や事前運動など多くの公選法違反に該当してくる”と考えられています。
この件について郷原信郎氏は、“折田氏が、軽率にも、SNSを活用したネット選挙運動での活躍を自慢するブログを書いてしまったことが、せっかく大逆転勝利を収めた斎藤氏を再び奈落の底に落とすことになっている。…斎藤知事が公選法違反で処罰され公民権停止となって失職する可能性は相当程度高いと言わざるを得ない。”としています。
また、カピバラ孝志候補者は「斉藤元彦候補者の選挙スタッフと話をし、状況を確認しながら選挙運動を行っていたと公言」しているのですが、立憲民主党の小西洋之参議院議員によれば、“一般論として候補者Bが候補者Aの当選のために街宣車、拡声器、選挙ビラ、政見放送などを使用することは数量制限等に違反し公選法の犯罪となる。当選者AがBと共犯関係にあればAは失職し公民権停止となる。”ことを総務省に確認したとのこと。要は、不正な方法を駆使して選挙に勝利した可能性が極めて高いわけです。
“続きはこちらから”の動画は、全体像を理解する上で必須のものです。今回の選挙は、パソナに代表される新自由主義陣営による「新しい既得権益」と従来の「既得権益」の戦いであったわけで、古い体質の大手メディア側は敗北し、パソナ側が勝利したというだけのことです。
動画の5分30秒のところで、「兵庫県知事選挙において斎藤くん陣営には西村康稔と明石倫理法人会会長・朝比奈秀典がバックにガッツリ付いています。」というコメントを紹介しています。このコメントの内容は正しいと思います。
16分16秒のところで、2021年7月18日の兵庫県知事選挙について書かれた『「維新流」「パソナ流」が侵食する関西と厚労行政』を紹介しています。
記事の要点を記すと、“パソナグループが本社機能を移転する候補地として白羽の矢が立ったのが、西村康稔氏の選挙区でもある淡路島だ。昨年秋、コロナ禍の深刻化のなかで、20年もの長期に渡り兵庫県知事として君臨してきた井戸敏三氏の評判は地に落ちていた。2020年10月には、2000万円以上するトヨタの高級車「センチュリー」に切り替えたことが発覚。切り替えたのは1年以上も前のことであったが、ある日突然、一部のマスコミが火をつけ、瞬く間に、近年類を見ないほどの大バッシングを招いた。井戸知事は、この大炎上を受けて今季限りの引退を表明。2020年11月、自民党の二階俊博幹事長、西村氏、南部靖之・パソナグループ社長が永田町の一室に集い、カジノを含む統合型リゾート(IR)に猛反対していた井戸知事の後継を排除し、知事候補として、総務省事務次官の黒田武一郎を内定。一方で総務省から大阪府に出向し、財政課長を務めていた斎藤元彦氏が、県知事選に出馬意向で松井一郎維新新代表や吉村洋文・大阪府知事に相談していたことが明らかになり、保守分裂を危惧した黒田氏が立候補を辞退した。”とあります。
カジノを含む統合型リゾート(IR)に猛反対していた井戸知事の「既得権益」側がパソナグループに代表される「新しい既得権益」側に、2021年の兵庫県知事選挙に続いて、またも敗れたということなのです。