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徽宗皇帝のブログ

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国家経営の重い責任
「櫻井ジャーナル」記事だが、ウクライナ問題理解のための必要知識が分かりやすく書かれた好記事である。特にカザフスタンでの「反乱」鎮圧に関する記述は、ウクライナ問題理解の「補助線」として貴重だ。つまりロシアは常にこういう周辺状況の中で「国家の生存」を維持しているわけで、平和な日本の人間がマスコミ情報だけに踊らされて「プーチンは戦争狂の独裁者だ!」と喚くことの愚劣さが分かるだろう。

(以下引用)

2022.02.25

 
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 ​ロシア軍がチェルノブイリ原発を制圧した​と伝えられている。攻撃されない場所を拠点にするためだとする人もいるが、現在の状況はロシア軍が圧倒している。ロシア軍によると、ウクライナ軍の軍事施設74カ所をミサイルで破壊、ボロディミル・ゼレンスキー大統領はウクライナが孤立していると訴えていると伝えられている。ウクライナの一部勢力が原発を「ドゥームズデイ・マシーン」として使う、つまり放射性物質を環境中へ撒き散らすことを防ぐ、あるいは撒き散らすと脅すことを防ぐ意味もあるだろう。



 ロシアのウラジミル・プーチン政権が軍事作戦の実行を決断したのはアメリカのウェンディ・シャーマン国務副長官とロシアのセルゲイ・リャブコフ外務次官がジュネーブで安全保障問題について話し合った1月10日の後だろう。



 プーチン政権はアメリカ/NATOに対し、ウクライナをNATOへ加盟させず、モスクワを攻撃するシステムをロシアの隣国に配備しないように求めているほか、ロシアとの国境近くで軍事演習を行わず、NATOの艦船や航空機をロシアへ近づけないようにとも言っている。さらに定期的な軍同士の話し合いを実施、ヨーロッパへ中距離核ミサイルを配備しないことも要求。そして、それらを保証する文書を作成するように求めている。



 こうしたロシア政府の要求をアメリカ政府は拒否、リャブコフ次官は交渉が袋小路に入り込んだと表現した。双方の問題への取り組み方が違い、交渉を再開する理由が見つからないともしている。この段階でロシアはアメリカ/NATOとの交渉に見切りをつけたと見られたが、その後も会談は続いた。



 シャーマンとリャブコフが会談する直前、1月2日にカザフスタンの旧首都アルマトイで暴力的な反政府活動が始まり、暴動へエスカレートする。救急車やパトカーが放火されるだけでなく、市庁舎も放火される事態になった。この地区では非常事態が宣言され、夜間外出禁止令が出されている。



 その際、カシムジョマルト・トカエフ大統領は外国が介入していると非難、CSTO(集団安全保障条約)に平和維持部隊を派遣するように求め、認められた。CSTOの動きは迅速で、短時間に暴動を沈静化させることに成功、撤退していった。なお、CSTOの加盟国はカザフスタンのほか、アルメニア、ベラルーシ、キルギスタン、ロシア、タジキスタンが含まれている。



 何者かがクーデターを目論んだと見られているが、失敗に終わった。1月6日にはカザフスタンの安全保障会議で議長を務めていたカリム・マシモフが解任され、反逆罪で逮捕されたと伝えられている。未確認情報として、ヌルスルタン・ナザルバエフ前大統領の甥も反逆罪で拘束されたともいう。



 1月10日には取り調べを受けていた治安当局の大佐が飛び降り自殺、やはり捜査の対象になっていたジャンブール州の警察署長も自殺したと伝えられている。暴動の背後には大きな組織、あるいは国が存在していた可能性がありそうだ。カザフスタンでトカエフ政権が倒され、親米政権が誕生していたならシャーマンとリャブコフの会談でアメリカは優位に立てただろう。



 その後、1月14日にホワイトハウスの報道官を務めているジェン・サキはロシア政府がウクライナの東部地区、つまりドンバス(ドネツクやルガンスク)の周辺で「偽旗作戦」を行おうとしているとする情報があると発言したが、ウクライナで戦争の準備を進め、挑発的な行為を続けてきたのはアメリカにほかならない。これは本ブログでも繰り返し書いてきたことだ。



 昨年11月にアントニー・ブリンケン国務長官がロシアを恫喝、ロード・オースチン国防長官はウクライナを訪問。この月にはネオ・ナチの一派である「右派セクター」を率いるドミトロ・ヤロシュを参謀長の顧問に就任させたと伝えられている。ウクライナの親衛隊はヤロシュの部下がコントロールしている。



 そして​11月30日にプーチン大統領はNATOがウクライナの「レッド・ライン」を超えたなら、ロシアは行動せざるを得ないと警告​した。ウクライナに超音速ミサイルが配備されたなら、5分でモスクワへ到達すると指摘、そうしたことは容認できないとしたわけだ。その後、プーチンはロシアにも自衛の権利があると発言している。



 昨年12月にはアメリカ軍の偵察機が黒海の上空を何度も飛行、民間航空機の飛行ルートを横切るなどロシアに対する脅しを繰り返し、ウクライナ軍はアメリカ製の兵器を誇示してロシアを挑発した。そして12月の終わりにバイデン政権はウクライナに対する2億ドルの追加支援を承認する。そしてカザフスタンのクーデター未遂だ。



 アメリカやNATOは1月7日にロシアが設定した「レッド・ライン」を拒否、1月13日にジェイク・サリバン国家安全保障補佐官はロシアがウクライナへ軍事侵攻する可能性が高いと発言する。



 それに対し、1月24日にウクライナの国防大臣がロシアの軍事侵攻は迫っていないと発言、26日には外務大臣がロシアはいつでも攻撃できるとした上で、全面侵攻する準備はしていないと語った。有力メディアの「予定稿」にどう書いてあったか不明だが、ロシアの攻撃を全面侵攻と言うことはできない。ゼレンスキー大統領は、軍事侵攻が迫っているとする警告はウクライナ経済を危険な状態にしているとしていた。



 クリミアを含むロシア南部で演習していた部隊が所属基地へ戻り始めたと2月15日に伝えられたが、​2月17日にはウクライナ軍によるドンバス(ドネツクやルガンスク)へのミサイル攻撃が激しくなり​、学校も標的になっていたことが現地での取材で判明している。そこでドンバスの住民はロシアへ避難したという。



 2月18日にウクライナ国家安全保障国防会議の議長を務めるオレクシー・ダニロフは「ドンバス解放」の命令は出ていないと発言しているが、攻撃は始まっていた。ロシアはウクライナの軍や親衛隊への命令がNATOの司令部から出ていると考えているようだ。



 そして2月21日、プーチン大統領はドンバス(ドネツクやルガンスク)の独立を承認、ウクライナに対し、クリミアとセバストポリがロシア領だと認めること、次にウクライナはNATO加盟を断念すること、第3にルガンスクと入植について話し合うこと、最後にウクライナは非武装化(攻撃的な軍事施設や兵器を持たない)して中立を宣言することを求めた。



 バラク・オバマ時代からロシアとの軍事的な緊張を煽ってきたアメリカ/NATOだが、今のところロシアとの軍事的な衝突は避けている。アメリカ軍の上層部がロシア軍との軍事衝突を認めないだろうが、結果としてウクライナは孤立した。こうした状況を作ったアメリカの好戦派(いわゆるチキン・ホーク)を世界の人びとは見ている。


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