「泉の波立ち」から転載。
わりと妥当な内容だと思うし、救命ボートの件や避難所の早期開放(早めの誘導)などはいい提案だと思う。山間の、川沿いの居住地区そのものを移転する話も、困難だとは思うが、これはダム建設のために水没予定の村全体を移転させるのと同じで、不可能ではないだろう。移住を拒否する家には、水害の際に水没しても文句は言わないと一札取ればいい。
(以下引用)無断引用だが、社会に裨益する内容なので拡散協力と考えてもらいたい。全文転載はマズいだろうから(気象庁への揶揄など)一部省略する。
わりと妥当な内容だと思うし、救命ボートの件や避難所の早期開放(早めの誘導)などはいい提案だと思う。山間の、川沿いの居住地区そのものを移転する話も、困難だとは思うが、これはダム建設のために水没予定の村全体を移転させるのと同じで、不可能ではないだろう。移住を拒否する家には、水害の際に水没しても文句は言わないと一札取ればいい。
(以下引用)無断引用だが、社会に裨益する内容なので拡散協力と考えてもらいたい。全文転載はマズいだろうから(気象庁への揶揄など)一部省略する。
2020年07月06日
◆ 熊本の水害(2020)
熊本の水害は、被害規模が甚大だった。天候は予想しがたかったようだが、被害を回避する手段はいくつもあった。
──
(略)
(2) 救命ボート
事前の予報がなかったとしても、当日に逃げる方法はある。それは、あらかじめ「救命ボート」を購入しておくことだ。
現場は山間の盆地で、川のそばであり、「ひどい豪雨になれば氾濫するのは当り前」という場所であった。もともと水害が予想されている土地なのだから、いざというときのために、救命ボートぐらいは用意しておくべきだった。
救命ボートといっても、海で漂流するような本格的なもの(約 50万円)である必要はない。釣り用のゴムボートで足りる。これなら、3~8万円ぐらいで購入できる。
https://amzn.to/2ZG44dM
これを、屋外に置いて、ヒモで柱に結びつけておけばいい。雨が降ると、これが浮かび上がる。あとは、これをヒモでたぐり寄せて、家に近づけてから、これに乗り移ればいい。そのまましばらく待っていれば、救命艇やヘリコプターがやって来るだろう。
→ ヘリやボートによる救助が続いた
→ 迫る濁流、必死の避難 (産経新聞)
(3) 避難所
前日の段階で「ヤバいな」と思った人もいたはずだ。といっても、豪雨前に気象庁の予報は出ていなかったので、事前に避難所は開設されていなかったようだ。
そこで、常設の避難所を用意しておくべきだろう。そうすれば、突発的な事態にも耐えられる。
( ※ どの地域でもそうするべきだ、とは言えない。だが、山間の盆地で、川のそばであれば、危険度が高いので、そういう地域では、そうするべきだろう。)
( ※ 学校の高階の一部を、その用途に当ててもいい。)
現状ではどうか?
避難所は事後的に設置されただけだろう。
施設は、調べてみたら、下記に一覧がある。
→ 熊本県人吉市の避難場所一覧 - NAVITIME
これは民間情報だ。これがあるから、何とかわかる。
一方、人吉市の公式ページ もあるが、PDF で重いので、現在、アクセス不能状態だ。わざわざ重い PDF にして接続不能にしてしまうのだから、呆れるしかないね。
なお、現状では、避難所の提供はひどい状況であるようだ。
なのに、あくまで被災地の自治体に任せて、そこに被災者を密集させる……というのが、政府の方針だ。ひどいものだ。コロナの感染を多発させる感染会を開くつもりなんだろうか。
(4) 地形
地形はどうだろうか? 現地の被害状況の写真もある。
→ 熊本豪雨15人心肺停止、9人不明 球磨川氾濫 | 福井新聞ONLINE
事前の水害予想地図(ハザードマップ)もある。
→ 熊本県洪水浸水想定について / 熊本県
これらを、Google マップと比較してもいい。
被害状況の写真を見たりして、「被害を避けるには高台への移転しかない」と思う人も多いようだ。たとえば、はてなブックマーク。
だが、現地写真やハザードマップを見れば、そうではないとわかる。現地で水没したのは、川のそばだけだ。川からかなり離れた土地では、田畑が冠水しないで緑の地面を見せている。
具体的には、球磨川から 500メートルぐらいの地域はあらかた水没している(川のそばでは特にひどい)が、球磨川から 700メートル以上 離れると、平地の田畑が緑の地面を見せている。(ここは別に高台ではない。)
川のそばの盆地は、平地といっても、かなり傾斜があるようだ。川のすぐそばは低くて、川から離れるとどんどん高くなる。
だから、川のそばには住まないようにして、川から離れた平地(今は田畑になっている土地)に、移転すればいいのだ。
自治体主導で、集団移転の方向性を立てて、推進するべきだったと言える。(今すぐではなくとも長期的に移転する。)
こういう方針が何十年も前から取られていれば、今回のような大きな被害にはならなかっただろう。
(5) 事前放流
ダムの事前放流もあった方がいい。ただし今回は、気象庁の事前予報がなかったので、この方法は取られなかったようだ。
それでも、民間の予報会社の予報を知っておけば、いくらかは事前放流ができただろう。
また、梅雨期には、もともと長期的に水位を低くしておくべきだった、とも言える。(私ならそうしていた。直前に水位を下げるのでなく、あらかじめ標準の水位を下げておいた。)
実は、私が前から何度も言っていた「事前放流」は、すでに国が制度的に取り入れているそうだ。
※ 「事前放流なんか無意味だ」と批判する人もいたが、国はちゃんと事前放流をするようになったのである。……ただし、うまくやっているというには、まだ至っていないようだが。
(6) 新ダムは不要
今回の洪水のあった地域では、新ダムを作る計画があったが、地元の反対で頓挫していた。そこで、今回の水害を見て、「それ見たことか。ダムを作ってけば良かったのだ」と批判する人々も出ている。
しかし、これは妥当ではない。
なぜか? 新ダムは、球磨川の支流の一つである川辺川の水を溜めるものだが、たくさんある支流のうちの一つの支流でダムを作ったとしても、効果はたかが知れているからだ。(ほぼ無効だ、と言える。)
うまくいっても、水量は1~2割の減少になっただけだろう。今回のような多大な水量に対しては、効果はあまりにも限定的だ。「焼け石に水」に近い。新ダムがあったとしても、水害は避けられなかったのである。
(7) 治水工事?
新ダムを阻止していた知事の見解もある。代案として、治水工事を考えているようだ。
→ 蒲島知事「『ダムなし治水』できず悔やまれる」 熊本豪雨・球磨川氾濫 - 毎日新聞
知事は「堤防のかさ上げ」などの治水を考えているようだ。だが、これもまた見当違いだろう。
巨大な水害を人間の手で防ぐというのは、天に唾するようなものだ。おこがましい。東京ですら、「スーパー堤防を作るのは(数十兆円もかかるので)無理だ」という状況なのに、田舎の自治体が(数兆円もかかるような)治水工事など、できるはずがない。
三陸沖の地震対策でもそうだが、「津波を制御しよう」「水害を制御しよう」という堤防工事は、コストばかりがかかって、効果は限定的なのだ。愚の骨頂。そういうことはやめた方がいい。
それよりは、高台に移転する方がずっとマシだ。
特に、山間の盆地だと、高台にする必要もない。海辺の街とは違って、「ずっと遠くで標高の高い高台」まで移る必要はないのだ。「すぐ先にある、ちょっと高めの位置にある田畑」に移転するだけでいいのだ。
これなら、必要な工事費はほとんどゼロだ。最低限度の、水道工事や道路工事をするだけでいい。堤防工事のような、無駄な高コストの土木工事は必要ないのだ。
[ 付記 ]
あらゆる堤防工事が無駄だというわけではない。都会の密集地では、堤防工事は有効である。理由は下記。
・ 人口が多大である。
・ 移転先の空地はない。
・ 堤防の工事は小規模で足りる。
今回の事例(熊本)は、その逆だ。
・ 人口が僅少である。
・ 移転先の空地がある。
・ 堤防の工事は小規模では足りない。
このうち、最後の点は、次のことによる。
「山間の盆地を流れる細い川であるので、豪雨時には一挙に水量が大量に増える。狭い川幅に対して、大量の水が押し寄せて、川のそばの広い範囲が水没して、しかも、水深は深くなる」
都会では、こうならない。
「平地の下流を流れる太い川であるので、豪雨時には一挙に水量が大量に増えても、たかが知れている。太い川幅に対して、大量の水が押し寄せても、越水するぐらいで済む。川のそばの広い範囲が水没するとしても、その水は周囲にどんどん拡散していくので、水深は深くなることがない」
というわけで、都会では堤防工事をすれば、それで十分に有効となる。(完璧ではないとしても。)
──
──
(略)
(2) 救命ボート
事前の予報がなかったとしても、当日に逃げる方法はある。それは、あらかじめ「救命ボート」を購入しておくことだ。
現場は山間の盆地で、川のそばであり、「ひどい豪雨になれば氾濫するのは当り前」という場所であった。もともと水害が予想されている土地なのだから、いざというときのために、救命ボートぐらいは用意しておくべきだった。
救命ボートといっても、海で漂流するような本格的なもの(約 50万円)である必要はない。釣り用のゴムボートで足りる。これなら、3~8万円ぐらいで購入できる。
https://amzn.to/2ZG44dM
これを、屋外に置いて、ヒモで柱に結びつけておけばいい。雨が降ると、これが浮かび上がる。あとは、これをヒモでたぐり寄せて、家に近づけてから、これに乗り移ればいい。そのまましばらく待っていれば、救命艇やヘリコプターがやって来るだろう。
→ ヘリやボートによる救助が続いた
→ 迫る濁流、必死の避難 (産経新聞)
(3) 避難所
前日の段階で「ヤバいな」と思った人もいたはずだ。といっても、豪雨前に気象庁の予報は出ていなかったので、事前に避難所は開設されていなかったようだ。
そこで、常設の避難所を用意しておくべきだろう。そうすれば、突発的な事態にも耐えられる。
( ※ どの地域でもそうするべきだ、とは言えない。だが、山間の盆地で、川のそばであれば、危険度が高いので、そういう地域では、そうするべきだろう。)
( ※ 学校の高階の一部を、その用途に当ててもいい。)
現状ではどうか?
避難所は事後的に設置されただけだろう。
施設は、調べてみたら、下記に一覧がある。
→ 熊本県人吉市の避難場所一覧 - NAVITIME
これは民間情報だ。これがあるから、何とかわかる。
一方、人吉市の公式ページ もあるが、PDF で重いので、現在、アクセス不能状態だ。わざわざ重い PDF にして接続不能にしてしまうのだから、呆れるしかないね。
なお、現状では、避難所の提供はひどい状況であるようだ。
《 球磨川氾濫で避難所は「キャパ超え」 災害とコロナ、両にらみの難しさ 》水害のときには、被害の地域は限定されているのだから、周辺の地域に避難所を設置して、そこに人を移転させればいい。そうすれば、問題はあっさり片付く。
市内を流れる球磨川が氾濫し、広い範囲で浸水した熊本県人吉市には15カ所の避難所が開設され、約1000人が避難した。「災害の規模が想定外の大きさで、避難所のキャパシティーを超えている。」
避難世帯同士の距離を保つ分、スペースが足りず、廊下や階段の踊り場も使わざるを得ない状況だ。
( → 毎日新聞 )
なのに、あくまで被災地の自治体に任せて、そこに被災者を密集させる……というのが、政府の方針だ。ひどいものだ。コロナの感染を多発させる感染会を開くつもりなんだろうか。
(4) 地形
地形はどうだろうか? 現地の被害状況の写真もある。
→ 熊本豪雨15人心肺停止、9人不明 球磨川氾濫 | 福井新聞ONLINE
事前の水害予想地図(ハザードマップ)もある。
→ 熊本県洪水浸水想定について / 熊本県
これらを、Google マップと比較してもいい。
被害状況の写真を見たりして、「被害を避けるには高台への移転しかない」と思う人も多いようだ。たとえば、はてなブックマーク。
だが、現地写真やハザードマップを見れば、そうではないとわかる。現地で水没したのは、川のそばだけだ。川からかなり離れた土地では、田畑が冠水しないで緑の地面を見せている。
具体的には、球磨川から 500メートルぐらいの地域はあらかた水没している(川のそばでは特にひどい)が、球磨川から 700メートル以上 離れると、平地の田畑が緑の地面を見せている。(ここは別に高台ではない。)
川のそばの盆地は、平地といっても、かなり傾斜があるようだ。川のすぐそばは低くて、川から離れるとどんどん高くなる。
だから、川のそばには住まないようにして、川から離れた平地(今は田畑になっている土地)に、移転すればいいのだ。
自治体主導で、集団移転の方向性を立てて、推進するべきだったと言える。(今すぐではなくとも長期的に移転する。)
こういう方針が何十年も前から取られていれば、今回のような大きな被害にはならなかっただろう。
(5) 事前放流
ダムの事前放流もあった方がいい。ただし今回は、気象庁の事前予報がなかったので、この方法は取られなかったようだ。
それでも、民間の予報会社の予報を知っておけば、いくらかは事前放流ができただろう。
また、梅雨期には、もともと長期的に水位を低くしておくべきだった、とも言える。(私ならそうしていた。直前に水位を下げるのでなく、あらかじめ標準の水位を下げておいた。)
実は、私が前から何度も言っていた「事前放流」は、すでに国が制度的に取り入れているそうだ。
国は近年、ダムや河川整備などの「ハード対策」だけでは相次ぐ豪雨災害への対応が難しいとして、流域全体で洪水対策に取り組む姿勢を打ち出している。私がこれまで何度も口をすっぱくして「事前放流をせよ」と主張してきたが、それがようやく、今年の6月から実施されるようになったわけだ。
全国の1級水系すべてのダムで、これまで洪水対策に利用してこなかった農業や発電用の「利水容量」を活用する運用を6月から始めた。計955のダムと国が協定を結び、大雨が予想される3日前からダムの水を事前放流する。
これにより、国は全国でこれまでの2倍の91億立方メートルの洪水対策容量を確保。球磨川水系でも四つの利水ダムが新たに洪水対策に活用できるようになり、従来の約1800万立方メートルから約2.6倍の約4750万立方メートルまで増えた。
とはいえ今回、いずれのダムでも事前放流は実施されなかった。大雨が予測できたのが前日夜で、間に合わなかったという
( → (時時刻刻)急速に浸水、最大9メートル 決壊・越水・あふれ、12カ所 熊本豪雨:朝日新聞 )
※ 「事前放流なんか無意味だ」と批判する人もいたが、国はちゃんと事前放流をするようになったのである。……ただし、うまくやっているというには、まだ至っていないようだが。
(6) 新ダムは不要
今回の洪水のあった地域では、新ダムを作る計画があったが、地元の反対で頓挫していた。そこで、今回の水害を見て、「それ見たことか。ダムを作ってけば良かったのだ」と批判する人々も出ている。
しかし、これは妥当ではない。
なぜか? 新ダムは、球磨川の支流の一つである川辺川の水を溜めるものだが、たくさんある支流のうちの一つの支流でダムを作ったとしても、効果はたかが知れているからだ。(ほぼ無効だ、と言える。)
うまくいっても、水量は1~2割の減少になっただけだろう。今回のような多大な水量に対しては、効果はあまりにも限定的だ。「焼け石に水」に近い。新ダムがあったとしても、水害は避けられなかったのである。
(7) 治水工事?
新ダムを阻止していた知事の見解もある。代案として、治水工事を考えているようだ。
→ 蒲島知事「『ダムなし治水』できず悔やまれる」 熊本豪雨・球磨川氾濫 - 毎日新聞
知事は「堤防のかさ上げ」などの治水を考えているようだ。だが、これもまた見当違いだろう。
巨大な水害を人間の手で防ぐというのは、天に唾するようなものだ。おこがましい。東京ですら、「スーパー堤防を作るのは(数十兆円もかかるので)無理だ」という状況なのに、田舎の自治体が(数兆円もかかるような)治水工事など、できるはずがない。
三陸沖の地震対策でもそうだが、「津波を制御しよう」「水害を制御しよう」という堤防工事は、コストばかりがかかって、効果は限定的なのだ。愚の骨頂。そういうことはやめた方がいい。
それよりは、高台に移転する方がずっとマシだ。
特に、山間の盆地だと、高台にする必要もない。海辺の街とは違って、「ずっと遠くで標高の高い高台」まで移る必要はないのだ。「すぐ先にある、ちょっと高めの位置にある田畑」に移転するだけでいいのだ。
これなら、必要な工事費はほとんどゼロだ。最低限度の、水道工事や道路工事をするだけでいい。堤防工事のような、無駄な高コストの土木工事は必要ないのだ。
[ 付記 ]
あらゆる堤防工事が無駄だというわけではない。都会の密集地では、堤防工事は有効である。理由は下記。
・ 人口が多大である。
・ 移転先の空地はない。
・ 堤防の工事は小規模で足りる。
今回の事例(熊本)は、その逆だ。
・ 人口が僅少である。
・ 移転先の空地がある。
・ 堤防の工事は小規模では足りない。
このうち、最後の点は、次のことによる。
「山間の盆地を流れる細い川であるので、豪雨時には一挙に水量が大量に増える。狭い川幅に対して、大量の水が押し寄せて、川のそばの広い範囲が水没して、しかも、水深は深くなる」
都会では、こうならない。
「平地の下流を流れる太い川であるので、豪雨時には一挙に水量が大量に増えても、たかが知れている。太い川幅に対して、大量の水が押し寄せても、越水するぐらいで済む。川のそばの広い範囲が水没するとしても、その水は周囲にどんどん拡散していくので、水深は深くなることがない」
というわけで、都会では堤防工事をすれば、それで十分に有効となる。(完璧ではないとしても。)
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