言うまでもないが、岡氏は自分が「中国のような国は嫌だ」という感情で中国をディストピアと言っているのであり、それは「自由な表現や自由な意思表示ができない」ことがおそらく一番の理由だろう。そして、中国人の大半は、中国の物質的生活向上を大きく評価した結果が「世界一幸福な国」ということなのではないか。つまり、評価基準が違うのだと思う。
まあ、私としてはむしろ中国国民に近い思想である。つまり、生命を維持することが何より大事であり、国家は「国民の生命を維持させ、生活を向上させるのが第一義」だということだ。芸術家が「自由な表現」(反政府思想や反政府活動含む)ができるかどうかなど、どうでもいい。そもそも、その「表現されたもの」の8割は糞であるのが普通だろう。自由主義がキチガイの領域まで行った「無法国家」アメリカを見て、あなたはそう思わないだろうか。
(以下引用)
「世界一幸福な国」
中国は、世界に先駆けて、「完全な民衆コントロール政策」を淡々と行っていました。以下は、2018年4月の記事ですが、中国の人々が「信用ポイント制」で立場や身分が変動していく報道を取り上げたものです。
[記事] 未来世紀チャイナが作り出す中国式ディストピア : 人々はシミュレーションゲームのような「変動するポイント制度」による信用システムの中で生きていく
In Deep 2018年4月3日
簡単に言えば、
「中国政府の気に入る行動をすることでポイントアップ」
「その逆でポイント減算」
というものです。以下は、2018年4月3日の米ABCニュースからの抜粋で、このようなものです。
(ABCニュースより)
> …すなわち中国 14億人の市民に対して「得点付け」することで、良い個人行動と見なされた人たちに高い評価を与え、「体制に不服従である」ことに対して処罰を下すという試みだ。 ABC
結果として、ポイントが著しく下がり、ブラックリストに入ると、それはどんな著名人や有名人であっても、以下のようになります。
> …そのため、リウ氏は星付きの各付けホテルに宿泊することはできない。また、家を買うもできないし、休日に遠方への旅行に行くこともできない。さらには、彼の 9歳の娘を私立学校へ入学させることもできないのだ。 ABC
このようになる政策が継続しているのだと思われます。
それだけに、昨年 11月から中国各地で起きて、それがゼロコロナ政策を撤廃に導いたと「西側のメディアでは報道されていた」白紙運動というものも、非常に怪しく感じていました。
中国のエリート大学の学生たちなら、こんなものに参加したことが少しでもわかった時点で「完全なブラックリスト入り」することは確実に知っていると思います。
中国の顔認識システムは世界一であり、マスクをしていようが何だろうが関係ありません。突きとめられます。
以下の記事は、白紙運動というものが終わった後のものです。
[記事] 白紙運動に参加した若者たちが「次々と忽然と消え」、共産党の元最高エリートたちが次々と「病死」する中、今後の中国で起きることは?
In Deep 2023年1月19日
ともかく。
このような中国は、どの側面からどう見ても「超絶ディストピア」であることは間違いないわけです。
そんな国に生きていて、「幸せだなあ」と感じることがあると思われますでしょうか。
それが起きていたのです。
これは、今年 3月終わりの報道だったのですが、ちょっと訳がわからないなり疑心暗鬼なりで、一切ふれたことがなかったのですが、
「国際調査で、幸福だと感じている人が最も多い国は中国だと発表されていた」
ことがあったのです。
調査したのは、中国ではありません。
調査組織としては世界最大規模のフランスにある多国籍市場調査コンサルティング会社であるイプソス社によるもので、3月20日に発表された、「世界の幸福度 2023年レポート」(こちらにあります)が、それを示しているのです。
中国の国営メディアのほとんどが、喜々としてこれを報じていました。以下は中国国営のグローバルタイムズの記事からの抜粋です。
2023年3月29日のグローバルタイムズより
最近の国際調査では、中国本土の人々の幸福度が近年大幅に向上していることが示されており、ある調査報告では中国人が世界で最も幸福度の高い国の一つであることが示唆されている。
多国籍市場調査コンサルティング会社イプソスが 3月20日の国際幸福デーに先立って発表した「世界の幸福度2023年レポート」によると、調査対象となった 32の国と地域の中で中国人が最も幸福度が高く、中国人回答者の 91%が幸福度が高いと回答した。国民は、概ね満足しており、10 年前と比べて 12%増加した。
「国がディストピアになればなるほど、人々は幸福を感じるのかよ」
と、さすがにどう捉えていいのかわからない面もありますが、あるいは唐突に、「中国ワクチンになんかそういうのが……」などという蒙昧な考えまで浮かびましたが、そういう幸福度に関しての調査結果があったというお話でした。
ただまあ、今後の世界の傾向として、
「国家に従順であれば幸福に生きることができる」
という感じは拡大するのかもしれません。
多くの国では、大部分の人たちは基本的に国家に従順ですので(たとえば、コロナワクチン接種率を見ると国家への従順度がわかります)、将来的には、国家に対しての信頼度ゼロというような人間は駆逐されていくのでしょうね。たとえば、私のような。
なお、そのイプソス社の「世界の幸福度 2023年レポート」で、幸福度の高い上位 5カ国は以下でした。パーセントは、「調査した中で、自分は幸福だと答えた人の割合」です。
幸福度の高い上位 5カ国
中国 91%
サウジアラビア 86%
オランダ 85%
インド 84%
ブラジル 83%
下位の 5カ国は以下のようになっています。
幸福度の低い 5カ国
トルコ 61%
日本 60%
ポーランド 58%
韓国 57%
ハンガリー 50%
日本と韓国は、下位グループに入っていました。
まあ、ともかく、最近こういうことがあったことをお伝えしたいと思いました。
最近は、人間というものの思考のメカニズムや、その考え方自体に疑問がわき起こることが多いですが、なんか妙な「変化」が人の心に起きているのですかね。
これは中国に限ったことではなく、日本でも感じます。
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