トランプは中国に台湾を譲り渡す 2024年11月13日
内容をよく読むと、最後の方に、中国共産党系の金燦栄という学者が、トランプはアメリカンファーストと称して、同盟国を切り捨てる孤立主義に進む。そして、トランプは台湾に特別な感情を持っておらず、台湾をアメリカのための駒や取引材料にするから、台湾を中国に売り渡す可能性もある、と主張しているようだ。
渋谷司自身は、この見立てに対して懐疑的だが、確かにトランプが、台湾に対して特別な感情を持たず、単なる取引材料としてしか見ていないのは事実だろう。
ただ、事実上の同盟国として、F35など重要な米国製武器を多数保有していて、それが中国に渡ることは許されない。それに米国経済は台湾の半導体産業に依存しているので、台湾を中国に渡すことは巨大なデメリットだ。
トランプは、プーチンの盟友といえるほど親しい関係だが、プーチンは、ロシアの足下を見て元取引を迫っている中国に、強い不快感を抱いている。だから北朝鮮と連携するようになった。
そこで、米ロが手を組んで、対中対抗政策を行う可能性がある。
トランプという人物は、イデオロギーには関心がなく、ただ利権だけに関心を持つ人物である。民主主義、自由、人権には、たいした価値が存在しないと信じている。
だから、福音派の支持を集める目的で、女性の避妊、中絶を禁止する人権侵害法を平気で通した。彼の価値観には、ビジネスと取引しか存在しない。
娘婿のクシュナーの指示でユダヤ教徒に改宗した理由も、世界のユダヤ人ビジネスに迎合したいだけのことだ。だから、ユダヤ人、イーロンマスクを入閣させる。
そこには、イスラエルを支援すれば、世界中のユダヤ人から仲間として認められ、大きな利権が転がり込んでくるという打算だけがある。
トランプが2025年1月20日に大統領に就任した翌日から、アメリカのすべての民主党政策が放棄され、共和党政策に移行する。女性たちの人権は大きく後退するだろう。
全世界に対して、関税の引き上げが宣告され、最悪NATOも解散か撤退し、いきなりプーチンと会談して、クリミアを献上することと引き換えに、ウクライナ戦争を停止させるだろう。
NATO諸国、日本や台湾、韓国に対して、安全保障の対価を支払うよう要求し、同盟国としての好意的な姿勢を撤廃する。いいかえれば、NATO諸国、やアジア同盟国を事実上敵に回して、アメリカの利権最優先の孤立化政策を宣言する。
イデオロギー的関係を廃棄し、何もかもビジネスの利権、市場原理を最優先させる。
新自由主義者のイーロンマスクが入閣すれば、確実に非イデオロギーの市場原理社会がやってくる。
トランプ主義を端的に表現すれば、「取引主義」である。そこには民主主義、自由や人権の価値観が存在せず、市場原理だけが存在する。何もかも金儲けの価値観に変えられる。
台湾も金にならなければ、簡単に捨てられる。ただし、経済崩壊を起こしている中国は金を持っていないので、台湾を買うことはできないだろう。
だが、中国共産党は内部抗争=内戦を進行させていて、内戦のために、台湾侵攻や尖閣侵攻が利用される可能性は大いにある。
トランプは、正義には無関心であり、価値を見いだしていない。中国がアメリカに大きな利権を与えるなら、見返りに、尖閣や台湾を渡すことに大きな抵抗はない。
以前から、中国共産党との交渉に、尖閣諸島を取引材料にする可能性が指摘されてきた。
こうしたトランプの「孤立主義」に対して、これまで同盟国だった、NATO諸国、日本、韓国は、結局経済的圧迫からアメリカの敵に回らざるをえなくなる。
アメリカは唯我独尊の孤立国家に変わってゆくのである。あるいは、福音派やモルモン教、エホバやユダヤ教などの宗教国家に変貌する可能性もある。
台湾有事までも取引? 米国大統領に返り咲いたトランプ氏は外交・安保政策をどう変えるー 政権入り取りざたされるイーロン・マスク氏は何をする?
日本の対米盲従の保守勢力(統一教会に支配された勢力)は、CIAによる支援もアテにできなくなり、結局、日米合同委員会や安保条約、日本駐留米軍の撤退、廃棄に進むことになる。さらに、日本の核武装が大きく支持される事態となるだろう。
やっと戦後80年のアメリカによる軛から解放される日本は、再び、軍事専制国家に進むのだろうか?
日本政界に、大谷翔平のようなカリスマ的指導者が登場してくると、そうなる可能性が高い。(今のところ見当たらない。日本人は小さくなっている)
トランプ再選で日本は「5つの悪夢」に襲われる 前回よりも思い通りにしやすくなる可能性も 東洋経済 11月13日 ダニエル・シュナイダー
前略
悪夢1:貿易戦争と経済摩擦
トランプは、すべての輸入品に一律10%の関税をかけ、中国からの輸入品にはさらに50~60%の関税をかける計画を繰り返し発表している。
彼は何十年もの間、保護貿易主義を主張してきた。「経済的には驚異的だ」とトランプは最近のブルームバーグ・ビジネスウィークとのインタビューで語っている。「そして、これは交渉に有利だ」。
トランプはまた、ドルと円、人民元の為替レートの格差を狙い、1985年9月のプラザ合意のような大規模なドル切り下げを行う意向を示している。
ブルームバーグによれば、日本と中国は貿易黒字を助けるために意図的に通貨安を維持してきたという。「日本はそうやって作られた。中国もそうだった。私たちは非常にまずい立場にいると思う」とトランプは宣言した。
トランプのメインターゲットは中国だ。だが、それは日本にも組織的な影響を及ぼし、対中国の貿易戦争に参加するか、あるいは、中国の広大な市場との関係を維持するかの選択を迫られることになる。
貿易制裁を「手段」として使っていく
中国にとどまらず、トランプの動きは保護主義とアメリカのナショナリズムというイデオロギーの上に成り立っている。共和党大会でのバンスの演説を聞いてほしい。
「私たちは、無制限のグローバル貿易のためにサプライチェーンを犠牲にすることをやめ、より多くの製品に『Made in the U.S.A.』という美しいラベルを貼るつもりだ。私たちは再び工場を建設し、アメリカ人労働者の手で作られた、アメリカ人家庭のための本物の製品を作るために人々を働かせるつもりだ。そして、中国共産党がアメリカ市民を犠牲にして中産階級を築くのを阻止するのだ」
トランプはまた、貿易制裁を、他の分野で自らが望むことをさせるために、他国を圧迫する手段として使っている。サミュエルズもスミスも、トランプがこの手段を使って日本に在日アメリカ軍の経費の大部分を負担させるだけでなく、アメリカ軍を撤退させるとまで脅すだろうと予測している。
トランプの顧問は、反中国を重視するためには日本が「カギ」になると言っているが、「日本を見捨てると脅して、もっと圧力をかける動きを止めることはできないだろう」とMITのサミュエルズは言う。
第1次トランプ政権時の貿易摩擦は何とかなったが、今回は「安倍首相のようなトランプをなだめる手腕を持つ日本の政治家はいない」(サミュエルズ)。
経済ナショナリズムは海外からの直接投資にも及んでいる。日本はこれまで、投資や工場をアメリカに移すことで何とか対処してきた。しかし、そのゲームも終わりを告げ、USスチールを買収する日本製鉄の入札の扱いが試金石となるだろう。
「トランプが買収を阻止する、という公約から手を引くとは思えない」とCFRのスミスは言う。トランプはこの件に関してディールメーカーになるだろうという期待にもかかわらず、イデオロギー的でキリスト教ナショナリストのトランプは、現在公約(買収阻止)に固執している。「日本に関しては、ディールメーカーではないトランプを相手にすることになるだろう」と彼女は予測する。
悪夢2:韓国からのアメリカ軍撤退と金正恩との取引
トランプ前政権の高官によれば、トランプは2020年に再選していれば、韓国からアメリカを撤退させる用意があったという。
今回再選すれば、トランプが再びその方向に動いても不思議ではない。日本の指導者たちは、1970年代にまでさかのぼるこのような計画を、日本自身の安全保障を脅かすものとして長い間見てきた。
韓国からの兵力撤退は、北朝鮮の金正恩総書記との戦略的交渉への回帰を伴う可能性が高い。トランプは共和党大会の演説で、金正恩との取引というやり残したことをやり遂げたいという考えを示した。
「私は(金正恩と)とても仲良くなった」とトランプは支持者たちに語った。「戻ったら、彼と仲良くなる。彼も私が戻ってくるのを望んでいる。彼は私を恋しがっているだろう」。
実際、日本に届くミサイルの発射実験は中止されなかった。
「日本にとっての本当の悪夢は、大陸間弾道ミサイル(ICBM)計画がなくなるという検証可能な保証と引き換えに、アメリカが北朝鮮に核武装した短・中距離兵器能力を受け入れることだ」とサミュエルズは話す。
この”ロマンス”を断ち切るために全力を尽くした安倍前首相はもういない。一方、韓国はアメリカから見放された場合、自国の核能力を開発しようと素早く動くだろう。
こうした理由から、韓国は「私の悪夢のシナリオのリストの上位にある」とスミスは話す。「特に、トランプによるプーチンへの友好的な口説きが加わればなおさらだ」。そこで、次の危険が迫ってくる。
悪夢3:トランプはウクライナを見捨て、ロシアを受け入れる
トランプと彼の伴侶であるバンスは、ウクライナへの最新の軍事支援策を阻止しようとした主要勢力だった。
ウクライナの戦況を逆転させる決定的な軍事的優位性をロシアに提供した。そして今、ウクライナの降伏に等しい和平交渉を強行しようとするロシアの努力を支援し、仕事を終わらせる準備が整った。
このプーチンへの支持は、アジアに資源をシフトし、ヨーロッパにウクライナ支援の負担を強いる必要性についてのレトリックにまみれている。バンスはフォックス・ニュースに対してトランプは戦争終結に向けて交渉すると語り、「そうすればアメリカは本当の問題、つまり中国に集中できる」と付け加えた。
プーチン政権はこのメッセージをはっきりと理解した。「彼(バンス)は平和と援助停止を支持している。実際、ウクライナへの武器供与を止めれば、戦争は終結するのだから」と、ロシアのセルゲイ・ラブロフ外相は語った。
ロシアの侵略に反対すると主張する共和党議員もいるが、バンスは常にもっと直接的だ。「正直に言うと、ウクライナがどうなろうと知ったことではない」と彼は2022年のロシア侵攻後に語っている。
悪夢4:台湾海峡の危機
バンスとトランプを中心とする新右翼イデオローグは、中国を外交政策の焦点としている。彼らの中には、台湾を支配しようとする中国への抑止力を強化する必要性を説き、ウクライナに送られた武器が台湾に流れるべきだと主張する者もいる。
実際には、台湾はそのような兵器を受け取る能力も興味もない。また、台湾の指導者たちは、ウクライナでロシアが勝利すれば、モスクワの支援を受けた中国が台湾戦線でより攻撃的になることを助長するだけだと繰り返し述べている。
第2次トランプ政権は、中国との衝突の可能性を高め、中国に対する軍事行動に参加するよう日本に圧力をかけるかもしれない。しかし逆に、おそらくトランプ自身のアメリカ・ファーストのイデオロギーにより一貫して、台湾を放棄することになるかもしれない。
トランプはブルームバーグのインタビューでも(これが初めてではないが)その点を明らかにしている。トランプは台湾が「我々の半導体ビジネスの約100%を奪った」と攻撃しており、台湾を擁護する気はないと言える。
「台湾は我々に何も与えてくれない。台湾は9500マイルも離れている。中国からは68マイル離れている」。MAGA支持者が国を支配することになる
悪夢5:権威主義的で機能不全に陥ったアメリカ
民主的なアメリカの信頼性と安定性に依存している日本にとって、おそらく最も不安な悪夢は、トランプ勝利後にアメリカが完全な混乱に陥り、連邦政府が機能不全に陥るという見通しである。
ヘリテージ財団が策定したトランプ政権の詳細計画「プロジェクト2025」では、連邦官僚機構全体が大規模に粛清される。専門職は解雇され、MAGA運動の忠実な支持者と入れ替わる。
「同盟国にとって、誰のところに行けばいいのか、誰を信用すればいいのかがわからなくなる」とスミスは心配する。「そのような機能不全は致命的だ」。
日本は、自由で開かれたインド太平洋(FOIP)のような概念に具現化された、アメリカと共有する価値観や規範に基づいて、世界における自らの役割を組み立ててきた、とサミュエルズは指摘する。トランプ主義の下では、「世界の他の国々は、アメリカがハンガリーのように見え、フランスやイギリスのように見えなくなるだろう。アメリカの民主主義の衰退は、日本にとって悪夢だ」。
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一部引用以上
アメリカはアメリカンファーストによって世界を敵に回し、世界はアメリカの軛を逃れて、それぞれ勝手な軍備増強に走ることが示されている。
とりわけ、NATO、日米安保条約や米韓安保条約が事実上廃棄されるとなると、たちまち、各国が核ミサイル開発に走ることは避けられない。
日本の右翼政党は大喜びし、わずか数十日で核ミサイルを配備するだろう。
以前、安倍晋三が三菱重工関係者(安倍晋三の実兄は、三菱グループトップ)との会席で、「日本は三日で核ミサイルを配備できる」と豪語したことがある。
実は、福島第一原発4号機の爆発で明らかになったことは、日本の原発で、日常的に兵器用高純度プルトニウム製造が行われている可能性を、槌田敦教授が指摘した。
つまり、日本政府は相当以前から、日本の核ミサイル製造を秘密裏に準備している可能性があるので、安倍晋三による「三日で核ミサイル配備」との言葉が出てきたのである。
トランプのアメリカンファースト戦略は、同盟国の崩壊を招き、日本の核武装を推進する可能性がある。また、アメリカによる中ロの抑制、タガが外れることで、世界は、文句なしに第三次世界大戦に進むだろう。