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徽宗皇帝のブログ

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「飛び地」を守ることの困難さと、撤退する勇気
「櫻井ジャーナル」記事で、ロシアのヘルソン撤退の軍事作戦としての意味を詳しく書いていて説得性がある。合理的な内容だ。
ヘルソン地区が軍事的要所と言われていて、ロシアの撤退は「敗走だ」とする西側マスコミの論調があったが、下に書かれているように、ここをロシア側が守る場合、地理的条件から困難が多く、被害が拡大する可能性があるなら、撤退は賢明で、戦略的にその決断は称えるべきだろう。

(以下引用)

2022.11.13

 
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 ロシア軍は11月11日、ウクライナの南部にあるヘルソン地域の西岸(右岸)から約3万人と言われる部隊を東岸へ撤退させたと発表した。アメリカの統合参謀本部は撤退を完了させるまで数週間を要すると見ていたが、2日で終わらせたことになる。撤退した部隊の一部はウグレダルなど他の重要な戦闘地域へ回されているようだ



 西側の有力メディアは「ヘルソン奪還」と宣伝しても良さそうだが、それほど騒いでいないようだ。事前に聞いていた「ロシア軍敗北」のシナリオが崩れたのかもしれない。撤退の速さに対応できなかったのかもしれない。



 NATOが指揮している「ウクライナ軍」はヘルソンよりドニエプル川の上流にあるカホフカ・ダムや橋に対するHIMARS(高機動ロケット砲システム)などによる砲撃を続け、破壊を目論んでいるとも言われていた。ダムが爆破されて洪水になると大きな被害を受ける。そうした事態を避けるための撤退だとも言われていた。



 しかし、撤退の理由はそれだけでなかったようだ。西岸の部隊へ物資を供給するためには川を渡る必要があり、橋が破壊されると補給が難しくなる。川を背負うということは「背水の陣」であり、リスクが高い。「ウクライナ軍」はヘルソン周辺へ兵力を集中させていたようなので、ドニエプル川西岸のロシア軍を包囲し、殲滅するつもりだった可能性が高い。その作戦は始動する前に潰れてしまった。撤退後に橋を破壊するとドニエプル川が「堀」のように機能し、東岸の安全が高まる。



 勿論、ドニエプル川西岸を「死守」するという選択肢もあったが、ロシア側にも少なからぬ犠牲者が出ることは避けられない。そうした事態になった場合、動員に応じた若者の親はクレムリンに対する非難を強めることが予想され、戦争継続は難しくなる。アメリカやイギリスの政府はそれを狙った可能性があると分析する人もいる。



 本ブログでも繰り返し書いてきたが、ウクライナの東部から南部にかけての地域はステップ(大草原)が広がり、隠れる場所はわずかに存在する木々の間。しかも地面はぬかるんでいる。ロシア軍は地面が凍結して木々の葉が落ちる冬にならないと戦車を投入できない。



 部分的動員で集めた兵士のうち約8万人はすでにドンバスへ入り、そのうち5万人は戦闘に参加しているというが、約32万人は訓練中。冬が到来する頃には、その32万人も投入されるはずだ。



 それに対し、ロシアとの戦争を指揮しているジェイク・サリバン国家安全保障担当大統領補佐官はロシア軍との戦闘をちらつかせている。ルーマニアに派遣されている第101空挺師団に所属する4700名を含むアメリカ軍4万人、ポーランド軍3万人、ルーマニア軍2万人がウクライナへ入って戦闘に参加するというのだが、それでロシア軍が怖気付くことはない。ロシアにとってウクライナでの戦争は国の存亡がかかっているのだ。



 アメリカの統合参謀本部はジョージ・W・ブッシュ政権がイラクを先制攻撃を決めた2002年以来、戦争に慎重な姿勢を維持している。大義がなく、作戦が無謀だというのだが、これはウクライナでも同じ。政府はメンバーを自分たちに従う軍人へ交代させてきたが、それでも組織としては慎重だ。



 サリバン大統領補佐官のほかジョー・バイデン大統領自身もロシアとの戦争に積極的だが、それ以外にビクトリア・ヌランド国務次官やアントニー・ブリンケン国務長官も仲間だ。



 いずれもネオコンだが、ヌランドは父方の祖父母がウクライナからの移民、ブリンケンの父方の祖父もウクライナ出身で、いずれもユダヤ系だ。サリバンはエール大学時代、ローズ奨学生としてイギリスのオックスフォード大学へ留学している。セシル・ローズの系譜、つまり帝国主義人脈に属していると言える。ちなみに、この人脈が中国を侵略するために明治維新を仕組んだ。

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