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徽宗皇帝のブログ

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共和党の聖書「Atlas shrugged」と日本のネトウヨ
「琥珀色のざれごと」から転載。
文中に引用されているのは町山智浩の「最も危険なアメリカ映画」の一節。
アイン・ランドの「肩をすくめたアトラス」(私はこの邦訳題名はあまり良くないと思っている。「Atlas shrugged」なら、「アトラスは肩をすくめた」とすべきではないか。つまり、「この地球を支えているのは知的巨人である俺たちエリートなのだ。俺たちが肩をすくめたら、その肩に載っているお前ら凡人どもはみな即死するのだぞ」という、エリートたちの傲慢な宣言なのである。あるいは、アトラス=エリートたちを批判する凡人たちに対する答えが「アトラスは肩をすくめた」なのである。)については、アメリカで聖書に次いで売れた本だ、というのはたしか副島の本かブログで読んだ記憶がある。


(以下引用)ここに書かれている「エリート」の言葉は、ネトウヨに多く見られる言説である。






 また『摩天楼』(1949年)の項では、この映画の原作者アイン・ランドという作家のことが紹介されているのです。



 1957年、アイン・ランドは『水源』とほとんど同じテーマで、邦訳が二段組み1200ページを超える大作『肩をすくめるアトラス』を発表する。
 舞台は、社会正義的な福祉国家になった未来のアメリカ、「反競争法」なる法律で、市場経済が自由に行なわれなくなっている。公共の福祉に反する財産の独占は禁止され、雇用者は自由に労働者を解雇できない。経済的な発展は停滞している。
 主人公のジョン・ゴールドは、この平等社会でやる気を失くした知的エリートたちをコロラドの山中に集め、テレビをハイジャックして、知的エリートたちのストライキを宣言する。ここから邦訳で65ページも演説が続くが、内容は『水源』とだいたい同じ。
 ——我々、知的エリートは諸君らに奉仕するのをもうやめる。我々、優れた者たちの恩恵を受けて暮らす「寄生虫」どもは生存競争という自然の法則に反している。世間の道徳は、他人のために自分を犠牲にすることを善としているが、それは怠惰な「たかり屋」たちが知的強者を搾取し利用するために作ったカルトである。本当の道徳、本当の善とは、自分の幸福を追求すること、すなわち「利己主義」である。だから、自尊心のある者は、この社会に協力することをやめて、我々の必要さを奴らに思い知らせるのだ——(町山さんの抄訳)
 ジョン・ゴールドの演説は『公共の福祉』の全否定だ。しかし、この本がアメリカで聖書に次ぐロングセラーになっているという事実は重要だ。先進国で唯一公的医療保険制度がないアメリカで、オバマが国民皆医療保険制度を実現しようとしたとき、ティー・・パーティという保守系運動が起こって、「貧乏人の保険料をどうして金持ちが負担しなければならないんだ」と反対したが、彼らの心にはジョン・ゴールドがいる。




 途中まで、「なんだか『と学会』で紹介される自費出版本みたいな内容だな」と思いながら読んでいたのですが、こんな狂った選民思想本が「聖書に次ぐロングセラー」になっているのか、アメリカって……
 自分たちが、「知的エリート側」にいると考えている人が、こんなに多いなんて。
 ちなみにこの『肩をすくめるアトラス』は2011年に映画化されたそうですが、日本では未公開です。まあ、そりゃそうか、と。

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