「田中宇の国際ニュース解説」の少し前の記事で、長文なので序論と結論というか、最初と最後だけ載せる。中間部分はむしろ抜いたほうが世界の今後の見通しについての田中の予測がクリアになるのではないか。文中のエスタブはバスタブの親戚ではなく、エスタブリッシュメント(上級国民、国家支配層)の田中的略語。
まあ、エスタブとは結局はDSの道具なのだが、田中は頑なにDSという言葉を使わないようだ。
しかし、ここに書かれた「今後の世界の見通し」は、かなり蓋然性は高いと思う。老婆心というか、老爺心で説明すれば、蓋然性とは「蓋(けだ)し然(しか)るべし」=「おそらくそうなるだろう」の意味で、そうなる可能性の高さのこと。下の「ボウル」は盥と訳すべきだろう。
ゴッタムの三人の賢者たち ボウルに乗って海に浮かんだ ボウルがもっと丈夫だったら もっと長い歌ができたでしょう |
(以下引用)
言論統制強まる欧米2024年1月21日 田中 宇
EUの大統領にあたる欧州委員長のフォンデアライエンが、先日行われたダボス会議の講演で「今後の2年間の最大の懸念事項は、戦争でも気候変動でもなく、ニセ情報(disinformation and misinformation)についてだ」と述べた。 私がこの発言に関して分析が必要だと思った点は、ウクライナ戦争や地球温暖化問題よりも「ニセ情報の取り締まり」が重要だと言っていることと、「今年」とか「いま」でなく「今後2年間」と言っていることだ。 (Watch: EU President Demands Globalist Control Over All Information)
近年のニセ情報をめぐる話は、正邪や善悪が逆転していて説明が複雑になる。EU政府が「ニセ情報」と呼んできたものの多くは、実のところニセ情報でなく、それと正反対の「正しい情報」だ。真のニセ情報は、EU政府や欧米のエスタブ権威筋マスコミ、ネット大企業・左翼リベラルなどが「正しい情報」として発表・喧伝してきた情報の方だ。 オルタナティブメディアや、保守派の政治運動家たちの中には、権威筋側の発表・喧伝がウソや歪曲であると正しく指摘する勢力がいて、それはしだいに増えている。 欧米の政府やエスタブ権威筋は、自分たちのウソ・ニセ情報発信がバレないよう、オルタメディアや保守派が発した正しい情報に「ニセ情報」のレッテルを貼り、SNS登録抹消や刑事罰などの取り締まりや非難・懲罰を強めている。欧米のエリートは「ニセ情報」の濡れ衣で言論統制し、自分たちの支配を延命させている。 (The Establishment Is Unmasking Itself)
正邪反転のニセ情報による言論統制は、地球温暖化問題、ウクライナ戦争(ロシア敵視)、新型コロナ関連(ワクチンや都市閉鎖、マスク義務など)、欧米の違法移民受け入れの是非、欧米の左派リベラルと保守派の政治対立、その一環としての今秋の米大統領選挙(民主党側が再び選挙不正をやる可能性)、中国敵視や多極化無視、ガザ戦争(イスラエルとハマスのどちらが悪いか)、DEI(米国のジェンダーや人種をめぐる差別問題解消のふりをした政争、共和党支持者への弾圧)などで行われている。 (Republicans Score Major Win Against DEI In A 'Purple' State)
これらの分野では往々にして、欧米のエスタブ権威筋が「ニセ情報」と呼んで非難懲罰している情報の方が実は正しくて、政府や権威筋が「正しい情報」として発している情報の方が間違っていてニセである。 人々に間違ったことを信じさせ、信じない人を懲罰するのは全体主義や共産主義の手法だ。正邪反転のニセ情報は、前回のNZの記事で紹介したインチキ全体主義の策でもある。反転ニセ情報の言論統制(情報全体主義)が席巻する分野はしだいに拡大している。 (エスタブ自滅策全体主義の実験場NZ)
(中略)
最近、プーチン露大統領が、自国の選挙の公正さを言う際に「米国では2020年の大統領選で、コロナ対策を口実に郵送投票を使った選挙不正をやってトランプを負けさせた。ロシアの選挙は郵送でなく直接投票なので不正がない」と述べている。 プーチンは、以前より明確に米国の選挙不正を指摘し始めた感じだ。プーチンは、今秋の米大統領選でさらに大胆な不正が行われ、世界の人々にバレていくことを予測して、米国の選挙不正を指摘し始めた可能性がある。 プーチンも、欧米エスタブによる反転ニセ情報策の標的にされている。米国側の人々の多くが、プーチンの言うことなんか信用できないという考えに洗脳されている。軽信者には何を言ってもムダ(むしろ逆効果)、ピンときてる人にだけビンビン響く状況になっている。多くの軽信者が騙しに気づいてピンとくるとしたら、それは今後の2年間ぐらいであり、だから今後の2年間が大事だともいえる。 (US elections falsified - Putin)
今後の2年間に、欧州でもいくつか選挙がある。それらの選挙で、AfDやルペンなどの右派に政権を奪われず、エリート支配を維持できれば、その後もエリートは欧州の支配を維持できる。欧州政界も、これからの2年間が正念場なのだろう。米国だけでなく欧州でも、右派の当選を阻止するための選挙不正が遂行・活発化するかもしれない。中露など非米側が、民主主義を誇らしげに語る米欧を嘲笑する傾向が強まる。多極化と非米化が進む。 (BRICS and Global South Challenge ‘Globalist Elites’ With Multipolar World - Analyst)
フォンデアライエンが、反転ニセ情報を使ったインチキな言論統制策を上位に置き、ウクライナ戦争や温暖化問題を下位に置いた理由はほかにもある。 ウクライナは敗北と腐敗が露呈し、欧州エスタブが対露戦争を全面支援し続けると、欧州人がエスタブを嫌悪し支持しなくなる傾向に拍車をかける。温暖化問題も、排出規制で欧州人の生活悪化やインフレと不況がひどくなっており、温暖化対策を減退しないとエスタブの支持が低下する。 フォンデアライエンら欧州エスタブは、支配力維持のため、ウクライナ支援や温暖化対策の優先度を下げ、失敗している政策を縮小せねばならない。縮小すれば、右からの反対論や、エスタブが作ったウソ構造を指摘する声も減り、強く言論統制しなくてもエスタブ支配を延命できる。これらの軟着陸も2年ぐらいかかりそうだ。 (Seeking Green Utopia, The US And EU Are Quietly Killing Vital Industries)
欧州エスタブは失策を縮小して軟着陸させたい。だが、それを阻止する勢力もいる。ウクライナではゼレンスキー大統領が必死の延命策をやっており、欧州の足抜けを妨害している。温暖化に関しても過激な運動家たちが欧州を徘徊し、これまたエスタブたちの足抜けを許さない姿勢を貫いている。 ゼレンスキーや温暖化問題の活動家の黒幕には、隠れ多極派に乗っ取られた米諜報界がいて、欧州の失策の縮小を阻止して自滅に引きずり込もうと策略を練っている。 (Lavrov Says West Is Aware Zelensky Getting 'Out Of Control')
エスタブ支配を維持するには、次のパンデミックを起こしてインチキ全体主義を一気に強化するのも手っ取り早い。次のパンデミが起きたら自動的に世界を全体主義の体制に転換するWHOのパンデミ条約も用意されている。 しかし、この策にも落とし穴がある。それは、WHOを支配してパンデミ全体主義を隠然と率いるのが中国共産党であることだ。欧米エスタブが、自分たちの支配を維持するために次のパンデミックの発動に賛成すると、それは中共の世界支配につながってしまい、欧米エスタブが中共に覇権を奪われる結果になる。 全体主義化した欧米エスタブは、すでに、中国共産党とさして変わらぬ独裁者ではあるのだが。 (WHO Head: 'Global Compliance' Needed For Next Pandemic)
さらに深く考えると、WHOのパンデミ条約に象徴される、出口のない暗澹とした構図(幻影?)を人々に見せるオーウェル1984の真似事も、米国側の人々を自暴自棄にして過激化して米欧覇権の自滅を加速させる隠れ多極派の策なのかもしれない。 暗澹とした構図を真に受けず、馬鹿野郎と一蹴し、思考を放り投げて飲みに行ってしまうのが良いともいえる(今の若い人は飲みに行かないんだっけ。暗澹。笑)。 (Escobar: How The West Was Defeated) |
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