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<転載開始>
今回の衆院選を受け、米ニューヨーク・タイムズは「日本の有権者は自民党を罰したようだ」「日本政治はこの数年で、最も不安定な時期を迎える」と報じた。自民党総裁選で注目を集めた勢いで解散総選挙を乗り切ろうとした石破茂・首相の目論見は大きく外れ、恨みを募らせた反主流派との政争が始まる。発火点と見られるのは高市早苗・前経済安保相だ。高市氏を支持する反主流派がここぞとばかりに“石破降ろし”に動いた結果、石破首相退陣。さらには高市新党結成で自民党分裂といったシナリオも想定される。そして、その先にあるのは政界大再編だ──。【全4回の第4回】
【政界再編図】プレイヤーは149人、自民・立憲民主の「大連立」も 今後の政界は右派・中道・左派の3大グループに分かれるか
自民と立憲の大連立の可能性
高市新党が飛び出せば、それを引き金に政界全体を巻き込む大再編につながっていく。
自民党が過半数を確保して政権を維持するには大きな連立の組み替えを迫られるわけだが、すでにその事態に備えている様子が窺える。
森山裕・幹事長は連立組み替えの可能性について、選挙中から「政策的に一致することができれば、会派を同じくして日本の発展のために一緒に頑張るということも大事なことだ。拒むことはあってはならない」と前向きな発言をしている。
掲載の図は、これから起こる政界再編に向けた149人のプレイヤーの立ち位置を示した相関図だ。
石破政権で主流派に属する自民党議員が言う。
「現在の主流派には、高市氏や彼女を担ぐ旧安倍派の連中が生き残ると、いつまで経っても党のイメージが刷新されないという懸念が根強くある。であればむしろ、高市支持派にはさっさと出ていってもらって、右寄りの日本保守党や参政党を取り込むなり組むなりしてもらえばいい。その時は、維新や国民民主との連立に組み替えても過半数には届かない状況になるので、立憲民主に手を突っ込んでいくことになるだろう」
まさかの野党第一党の立憲民主との「大連立」という話だが、専門家や関係者の話を総合すると、今後の政界がその大連立を中心に、右派・中道・左派の3大グループへと再編されていく可能性が十分にある。
まず、政治ジャーナリストの宮崎信行氏は、「自民と立憲民主との大連立の実現性はある」と見る。
「立憲民主の期限付きの連立参加は考えられます。自公が少数政権になった場合、来年の参院選までの間、来年度予算を成立させる限定的な連立はなくはない。
民主党政権時代の東日本大震災の時は、民主、自民、公明の3党で復興基本法を成立させたことがある。当時の自民党政調会長で合意をまとめたのが石破首相だった。また立憲民主の野田佳彦代表も首相時代に民自公で消費税率を10%に引き上げる3党合意を結んだ。連立を協議する人脈はある」
立憲も野田vs枝野で分裂
2007年には自公が参院過半数割れに追い込まれ、政権運営に苦慮するなかで、福田康夫首相と当時民主党代表だった小沢一郎氏の間で、大連立の成立寸前まで協議が進んだこともあった。民主党内の猛反発で実現には至らなかったが、その小沢氏が現在は立憲民主・野田代表の後ろ盾である。
そして政治評論家の有馬晴海氏は“令和の大連立”に向けた動きをきっかけに立憲民主の党内に亀裂が走り、現在の政界の枠組みを大きく塗り替えるかたちの「保守勢力同士の連立」となる可能性を指摘する。
「総選挙で躍進した立憲民主党には民主党時代から続いている党内の左右対立がある。保守・中道の議員は自民党と連携できるはずですが、労組系の左派議員は自民党とは組めない。立憲丸ごとでは自公との連立には踏み込めない。成功するかは自民党側の仕掛け人次第ですが、自民党が分裂した場合はそれを契機に、立憲民主党も野田氏ら保守・中道系の議員と枝野幸男・元代表を中心とする左派リベラルの議員に割れる可能性が高い。そうすれば、自民と立憲民主の保守中道議員が本格的な保守勢力同士の連立に踏み込むことができるでしょう」
自民党からは高市新党で右派の議員が分離して日本保守党など保守勢力が形成され、自民党の残った議員が立憲の保守・中道議員と合流する。そして立憲の左派グループは社民党やれいわ、共産党と左派ブロックを形成するという構図だ。維新をはじめとする他の野党も党内に亀裂がある。
今回の総選挙は、そうした政界大再編という“本当の大嵐”の序章なのだ。
(了。第1回から読む)
※週刊ポスト2024年11月8・15日号
<転載終了>
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