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徽宗皇帝のブログ

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資本主義社会の「不正の勝利」
「クーリエ・ジャパン」所載の「ル・モンド」記事の一部で、残りは有料記事なので無視ww
要するに、富者が政治の実権を握り、政治における「所得再配分」機能を骨抜きにしたのが、現在の世界の最悪の格差社会化の原因だ、という話で、素直な目で近代史を見れば「雨の降る日は天気が悪い」に属する話だが、被支配階級の誰もがそれに目も口も耳も閉じ、それを学者が敢えて言うことも、資本主義世界では困難な、勇気ある行為なのである。

(以下引用)


『21世紀の資本』で知られるトマ・ピケティに師事し、アメリカの富裕層が巨額の脱税を犯しているという実態を暴いたフランスの若手経済学者ガブリエル・ズックマンが、新著『不正の勝利』を11月に出版した。かつて世界で最も平等な国のひとつだったはずのアメリカで格差が拡大している理由や、それを改善する富裕税の論拠などについて仏紙に語った。

1930年代のアメリカの所得税は90%


カリフォルニア大学バークレー校の経済学教授ガブリエル・ズックマン(32)は、いま世界で最も注目を集める経済学者のひとりだ。博士論文の指導教官は『21世紀の資本』(みすず書房)で知られるトマ・ピケティ。

ズックマンは、2020年の米大統領選で民主党の候補者指名の獲得を目指すバーニー・サンダースやエリザベス・ウォーレンに経済政策面でアドバイスをしている。2019年10月、同僚のフランス人経済学者エマニュエル・サエズとの共著『不正の勝利』をアメリカで出版し(フランス語版は2020年2月出版予定)、2018年にはフランス最優秀若手経済学者賞を受賞している。そのズックマンに話を聞いた。

──アメリカにはかつて、世界のお手本になるような公正な税制があったと新著『不正の勝利(原題:Triumph of Injustice)』(未邦訳)で指摘されています。これはいつのことですか?

アメリカ人は「累進課税は、ヨーロッパ人がやるようなこと」と思い込みがちです。しかしながら歴史的に見ると、アメリカは累進課税を最も強化した国であり、かつそれを最も弱めた国でもあるのです。

1930年代のアメリカでは、所得税の最高税率は90%でした。ほとんど没収同然の高さだったわけです。


ズックマンの新著『不正の勝利』
Photo: Ian C. Bates / The New York Times



第2次世界大戦中には、フランクリン・ローズヴェルト大統領が税率100%を提案したこともありました。所得の最高限度額を法律で決めようとしたのですが、連邦議会がそれに躊躇したので、結局、最高税率は92%に引き上げられて落ち着きました。

歴史上、非常に厳しい累進課税を実施したことがあるのはアメリカとイギリスで、欧州諸国では導入事例はありません。北欧ですら、アメリカのように相続税の限界税率を70~80%まで引き上げたことはないのです。唯一の例外が1945~48年のドイツです。それも当時のドイツがアメリカの占領下にあったことが原因でした。

アメリカ人は日本でも所得税の最高税率を80%という高さに設定しました。これが戦後の日本で、格差がさほど拡大しなかった主な要因です。日独両国では戦後、市場経済の復興と健全な民主主義の普及が進みましたが、そこには所得再分配の要素がきわめて強い税制もあったんです。

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