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徽宗皇帝のブログ

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高度資本主義の中のビジネスと「創作」
「miyearn ZZ labo」というサイトから転載。サイト名の英語綴りは間違っているかもしれない。
バブル崩壊後のメディア企業(マスコミや出版界)の状況がよく分かって興味深い。
特に、ビジネススタッフとクリエイターの人間的関係がもの凄く希薄になっているというのは、広義の「メディア作品」(漫画・小説・映画etc)の質に大きく関係してくるように思う。
もちろん、昔からビジネススタッフ(たとえば編集者)は会社側の人間であり、その利害を最優先にするのは当たり前の話であった。だからクリエイターはその理不尽な仕打ちに恨みを持つことも多かったわけである。しかし、それと同時に、たとえば漫画「編集王」の編集者たちのように、クリエイターの作品の質を上げるために命がけの努力をするスタッフもいたはずだ。好きでなければそもそもそういうクリエィティブな世界に入らないはずだし、入った以上は自分が関係した「作品」の質にこだわらない人はほとんどいないだろう。あの「作品」の成立には自分も関与した、と胸を張って言いたいだろうからだ。
だが、今や、スタッフが企業の論理しか考慮しなくなったとしたら、そこから生まれる「作品」の質も、それに応じたレベルのもの、つまり電通的な大衆観(馬鹿で無知な大衆)に合わせた作品になるしかないだろう。とすると、最初から一般公開を考えず、つまりビジネスを無視して創作活動をするという「ヘンリー・ダーガー」の行き方(生き方)が、これからは純粋クリエイターの道になるかもしれない。



(以下引用)



バブル崩壊後の世界

(町山智浩)そう。「バブルの頃はあんなにみんなであったかくものを作れていたのに……」っていうことがあって。で、たとえば「コミックの初版部数はいまは5千部が限界だよ。普通だよ」っていうセリフが出てくるんですね。でもね、それだと作者に入る印税っていうのは20万円なんですよ。

(赤江珠緒)ええーっ! そうか。5千部で。

(町山智浩)これ、生活できないですよ。でも、いま電車に乗っても、誰も漫画も本も読んでいない時代だから、しょうがないですよね。だからこのバブル崩壊から26年間、ずーっと撤退戦なんですよ。出版とか、映画も、テレビも、ラジオも。音楽業界も、家電メーカーも。26年間、ずーっと撤退戦を続けて、ギリギリで耐えているんですよね。で、「クールジャパン」とか言ってるけど、ふざけんじゃねーよ、バカ!って思いますけど。

(赤江珠緒)本当だなー(笑)。

(町山智浩)いま、日本映画はヒットしても30億円を超えるのは年間に数本しかなくて。通常は15億円でヒットって言われているんですよ。これ、制作費5億円が限界ですよ。

(赤江珠緒)そうですよね。うん。

(町山智浩)下手なテレビ以下なんですよ。日本の映画って。こんな撤退戦の中だから、余裕がないから、どんどんひどくなっていってるんですよ。制作の現場がね。かつての、仕事によって心と心が密接につながっていく擬似家族的な関係っていうものも、仕事の倫理とかも、もう本当に痩せ細っていって。もう枯れてしまっているんですよ。現在、日本って。だから、僕なんかたとえばいま、記事を書いていますけども。メールのやり取りだけで、1回も顔を合わせたことがない編集者とかいっぱいいるんですよ。

(赤江珠緒)はー!

(町山智浩)で、原稿を送っても、なんの内容に関してのコメントもないまま、いきなり打ち切ったりね。

(赤江・山里)ええーっ?

(町山智浩)まあ、講談社ですけどね(笑)。あと、単行本の装丁のデザインを僕に見せないまま出したりね。

(赤江珠緒)ええーっ!?

(町山智浩)だから要するに、描き手とのつながりが作れない状態になっちゃっているんですよ。編集者とかが。でも、その頃の講談社っていうのは10年以上赤字が続いて、慢性的な経営危機にあったから、余裕がなかったんだと思うんですよ。

(山里亮太)なるほど。

(町山智浩)でも、いま現在、仕事の場における人間関係って荒野ですよ。荒野とか砂漠みたいになっているんですよ。ネットのせいもありますけど。で、そういうのって人間関係全体が家族とか全てに向かって、日本全体に広がっていると思うんですよ。砂漠のような人間関係が。そこから生まれてきたのが、この『重版出来!』に出てくる永山絢斗くんなんですよ。

(赤江珠緒)ああー、そうですね。人に関心がないとかね。うん。

(町山智浩)そう。彼は親から捨てられて、誰ともつながらないまま生きてきて。友達もいなくて。人間の心が全くわからない、まさにそういったバブル崩壊後26年で生まれてきた人間なんですよ。だから、彼の描く漫画には彼が抱えている、その圧倒的な孤独とか恐怖感とか絶望とか無力感がいっぱいなんですよね。

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