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徽宗皇帝のブログ

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「日本はアメリカの支配から解放される」か
エマニエル・トッドの新刊の紹介記事の一部だが、長い記事なので前半は省略する。
ここに書かれた部分にもずべて同意するわけではないが、有名な西洋人学者としてはまともな内容だろう。そして、日本人にとっても、この「公平な見方」は参考になるかと思う。


(以下引用)

日本は「アメリカの支配下から解放されるだろう」

「西洋の敗北」という問題に取り組むには、「日本の本質とは何か」というこの問題を念頭に置かなければならない。西洋の敗北は今や確実なものとなっている。このまえがきと同時に2024年7月初めに書いた「日本語版へのあとがき」でも、それがどれほど確実なことなのかを示した。しかし、一つの疑問が残る。日本は「敗北する西洋」の一部なのだろうか。この問いに数行で答えることはできないが、簡単に私の見解を述べよう。


 西洋の危機の核心は、アメリカ、イギリス、フランスにある。そもそもこれらの国においては、政治的危機がすでに如実に現れている。ウクライナ戦争の当事国としてはあまり重要ではなかったフランスだったが(兵器の生産が少なすぎる)、この最終段階に来て重要な当事国になってきた。というのも、フランスは西洋同盟諸国の中でも、対ロシア制裁の影響で、経済と政治体制が最初に崩壊しそうになっている国だからだ。対ロシア制裁は、ヨーロッパ経済をストレス状態に陥れた。マクロン大統領の非合理的な行動、国民議会(下院)の解散、そして解散に伴って生じるカオス状態の原因の一部は、この戦争が引き起こした大衆層の生活水準の低下に見出すことができる。


 イギリスの保守党の転落や、アメリカのトランプと老いぼれたバイデンの常軌を逸した対立もまた、自由民主主義国家の解体によって引き起こされた内部の負のダイナミズムから生じたものである。フランスのメディアの取材では何度も述べてきたが、西洋の敗北は、ロシアの勝利を意味するわけではない。それは、宗教面、教育面、産業面、道徳面における西洋自身の崩壊プロセスの帰結なのだ。

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 日本は、ドイツ以上に2つ目の「西洋」、つまり「自由主義の伝統は持たないが近代的な西洋」に属している。しかし日本もまた危機に直面している。この点に関しては同様のことがロシアにも中国にも言えるが、非常に低い出生率がそれを示している。日本はドイツと同じく、NATOが崩壊することでアメリカの支配下から解放されるだろう。しかし日本はそれによって、韓国とともに、中国と独力で向き合わなければならなくなる。


 ユーラシアの西側におけるNATOの崩壊が引き起こす日本の状況については、今後私もコメントを求められる機会が訪れるだろう。しかし今すぐに言えるのは、アメリカとの関係にはかなり慎重になるべきだということだ。アメリカが同盟国として信頼性がかなり低いことに今日のウクライナは気づいているわけだが、日本にとっては、中国との地理的な近さがアメリカとの同盟を必要不可欠にしている。ロシアは(NATOの馬鹿げた言説とは逆に)ヨーロッパにとって脅威ではない。それは日本にとって中国が東アジアの脅威であるのとは異なる。

脱西洋化が進むと「日本の立ち位置」はどうなる?

 最後に、これから脱西洋化が進むと思われる世界の中での日本の立ち位置について、短い見解を述べておこう。


 西洋は、ロシアに制裁を科すことで、世界の大半から拒絶されていること、非効率的で残忍な「新自由主義的(ネオリベラリズム)資本主義」や、進歩的というよりも非現実的な「社会的価値観」によって、自らがもはや「その他の世界」を夢見させる存在ではなくなったことに気がついた。中国だけではなく、インド、イラン、サウジアラビア、アフリカも、結局はロシアの「保守主義」、そして「国民国家の主権」というロシア的な考え方(もちろんそれは、ロシアの歴史の一部と考えられているウクライナに適用されるわけではない)をより好むようになったのだ。

 この戦争において、「多極的な世界」というロシアのビジョンは、西洋が中心となる「均一な世界」というビジョンと対立している。西洋モデルの政治的観点からすると、均質的であるべき世界──リベラル、資本主義、LGBTなど──の覇権的中心地はアメリカだ。


 私は、日本の地政学的文化の深い部分では「諸国家はみな同じ」というビジョンは受け入れられないのではないかと考えている。「均一な世界」というアメリカのビジョンは、日本的観点からすると、敢えて言えば「馬鹿げたもの」だからだ。日本には、「それぞれの民族は特殊だ」という考え方があり、むしろ「それぞれの国家の主権」というロシアの考え方の方が日本の気質にも適合している。


 実際はドイツでも、「すべての民族は同じ」という考え方は馬鹿げたものと見られるだろう。ドイツでは「すべての民族は同じ」という考え方は表面的に受け入れられているだけなのだ。受け入れることで、第二次世界大戦における自らの人種差別的な残虐行為を忘れることができるからである。日本では私が考えるに、「独自の歴史」という感覚は「本能的」なもので、しかも「リアル」なものだ。


 西洋の敗北は、日本が「独自の存在」としての自らについて再び考え始める機会になるはずである。さらに、日本が西洋の一部としてではなく、ネオリベラルの極西洋(アメリカ、イギリス、フランス)と「その他の世界」の仲介役として自らを捉える機会にもなるはずだ。


(大野舞訳、 『 西洋の敗北 日本と世界に何が起きるのか 』より「まえがき」を全文転載)


(エマニュエル トッド/文藝春秋 電子版オリジナル)

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