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徽宗皇帝のブログ

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「良識派」の想像力の欠如
「日経ビジネス」から池上彰のパキスタン(イスラム)レポートの記事の一つを転載。
池上彰という人物は、典型的な「表マスコミ」人間だという印象が私にはあり、あまり好感は持っていない。NHK的な中道派だろうから、右翼マスコミ人よりはややマシか、という程度だ。
下記記事に書かれていることも、いかにも「表マスコミ」の良識派が言いそうなことで、あまり感心もしないのだが、実際にパキスタンまで行って取材していることにだけは敬意を表さざるを得ない。しかし、何かを自分の目で見たところで、物事の深層や真相が分かるとは私は思わないのである。
はたして「教育水準が上がれば、みんな平和を求める」か。
私は、今の世界を騒がせているテロリストたちは、(思想によるテロリストではなく)「職業としてのテロリスト」を選んだ連中だと思っている。その点では、池上彰が言うように、貧困がテロリストを生むという考え自体は間違いではない、と思う。だが、問題は、誰が貧困国を貧困のままにとどめ、誰がテロリストを育て、利用しているのか、ということだ。
言うまでもなく、それは欧米先進国である。ユダ金である。
さらに言えば、教育水準が上がっても、その教育に付いて行けない層は必ずある。では、そういう層は「生活の手段」としてどう生きることができるのか。日本なら暴力団、外国ならギャングとして生きるしか、「栄耀栄華」を手に入れる道は無いのである。それとも、社会の最下層の奴隷的生活で満足するか。自分が、教育から落ちこぼれた、血気盛んな若者なら、アウトローとして生きるか、最下層の生活を選ぶか、想像してみれば良い。
こういう「良識派」の思考には、たいていの場合、そうした想像力が根底から欠如しているのである。
もちろん、そうした事はみな知っているが、「表マスコミ」の人間として口にはできない、ということも大いに考えられる。ならば、それは「良識人」ではなく、確信犯的な詐欺師でしかない、ということだ。(なお、「確信犯」という言葉は、誤用が一般的使い方として普及しているため、「誤用こそが正用」と看做すべきだろう。ここでもあえて誤用している。○○している、あえてね、と言うと、どこかのサッカー選手みたいだが。)



(以下引用)



教育水準が上がれば、みんな平和を求める


ソフト面のインフラでいえば、公教育の充実が、
パキスタンの社会を大きく変えます。

とりわけ女性向けの教育環境の整備はパキスタンの課題です。
パキスタンでは、貧しい家庭では、
女の子より男の子を学校に行かせたり、
学校が近くにないために女性をあまり外に出したくない風習から
通わせないといったことがあり、
十分な教育を受けられない人が多くいるからです。




パキスタンの識字率は低く国民全体で60%前後ですが、
女性の場合50%にまで落ち込みます。
学校教育を受けていない女性がいかに多いか、ということを示す数字です。

いまだに子どもが生まれても女の子だと
祝福されないケースがあるとも聞きました。
今回取材した、東部の中心ラホール市郊外の村で出会った
10代と20代の女性は、自分の誕生日を
教えてもらっていないと話しました。
誕生日を祝ってもらったことがないのです。
そんな彼女たちにとって、学校で科学や外国語を学ぶなど、
夢のまた夢です。




パキスタンの保守的な村では、子どもに教育など施す必要はない。
さっさと働いてもらった方がいい、ましてや女性に教育などいらない。
女は家の中にいるべきだ、という家庭が少なくないそうです。

パキスタンが近代化するには、女性こそちゃんとした
教育を受ける必要があります。家事の面でも、
読み書きそろばんができれば、家計を管理できますし、
裁縫や料理等の技術を習得すれば、家庭生活の水準は向上します。
さらに、一部の保守的なパキスタン社会では女性が
外に出て働くことをよしとしない風習がありますが、
女性が教育を受けることで、就業機会が増えれば、
こうした風習も変わっていく可能性があります。

今回、JICAが取り組んだノンフォーマル教育のプロジェクトでは、
学校教育に頼ってばかりだと、なかなか女性の教育水準を
上げるのが難しい、という実態を受けて、
村ごとに教育の場を用意して、
女性たちに気軽に役に立つことを教えるよう促しています。




日本の母子手帳から連想した、自分を記録する「マイブック」を
生徒となった女性たちに持たせ、自分自身のアイデンティティを
確立させながら、文字の読み書きを覚える仕組みを用意しました。
また、調理法や栄養学、エステや裁縫の技術といった、
女性が家庭や社会で役立てることができる実学も、
女性たちのニーズに合わせて学べるようになっています。

ノンフォーマルの教育を受けた女性たちは、
家で電気会社の請求書を読むことができるようになったり、
ちょっとした裁縫が出来るようになったり、
と家庭の益に直結する技術を身につけます。
結果、「女性も学校に行かせた方がいいぞ」という新常識を
パキスタンの家庭や社会に植えつけることもできるのです。



女性への教育があまりに遅れているパキスタンですが、
それが社会や経済の発展の阻害要因となり、
テロなどの温床となる貧困や不満を招いています。

パキスタンには、学校が足りていない地域がたくさんあります。
アフガニスタンと接した北西部地域はとりわけ貧しく、
学校に通えるのは家族の中でも長男だけで、
女子はもちろん次男、三男ともなると
高等教育を受けることは困難と聞きます。






農村部では、労働の担い手として、
次男三男はさっさと現場で仕事をさせられます。

明治時代の日本、とりわけ東北地方の困窮ぶりと似ています。
貧しい農家では子供は貴重な労働力と見なされ、
学校へ通わせる余裕がありませんでした。
かくして家を継げない次男三男は子どものころから
ひたすら働かされるのが当たり前でした。

けれども、貧しいから学校に行かせず、単純労働を子どもに強いる、
というのは典型的な負の連鎖です。
学校教育を受けさせて、読み書きそろばんや、
生活に必要な知識を学んで、さまざまな職業に就けるようにする。
結果、ひとりひとりが自立して生きられるようになり、
生活が豊かになり、消費市場が伸び、経済が発展するという
サイクルを創らねばなりません。

とりわけパキスタンでは、教育が、各家庭を貧困から脱出させる
一助になるだけでなく、テロの原因を根絶やしにし、
治安を改善する効果をもたらすのです。




パキスタンの主に北西部では、十分な教育を受けられず
仕事の見つからない若者たちがパキスタン・タリバンの活動に加わり、
社会不安を招き、時にはテロ活動を行っています。

なぜパキスタンの若者たちの一部が過激な行動に
参加してしまうのでしょうか? 
理由のひとつは、彼らが十分な教育と職業訓練とを
受ける機会を持っていなかったからです。

逆にいえば、教育と職業訓練とを受ける機会を、
教育機関を用意すれば、パキスタンの治安は必ず良くなります。
今回、東部のラホールのモスクに設けられた学校に通う
北西部出身の若者も、北部の首都イスラマバード郊外の職業訓練校に通う、
やはり北西部出身の若者も、異口同音にそう言っていました。

「だから、故郷にも職業訓練校を造ってほしいんです」

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