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徽宗皇帝のブログ

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ウクライナとガザに見る西側諸国の政治喜劇
「イスラエルによるパレスチナ自治区ガザへの空爆、地上作戦は国際法違反か」。山添拓議員(共産)の質問に対し、岸田文雄首相は「現実の状況をしっかり確認できない立場にあるわが国として、法的な判断をする立場にない」と述べて明言を避けた。


というわけで、これほど明白な戦争犯罪が行われている状況で、「判断する立場にない」のなら、岸田には総理大臣の資格は無い。誰が判断するというのだ。日本の政治のトップである岸田が判断せずに誰が判断する。「日本は判断する立場にない」と言いながら、明らかにイスラエル側に立っているではないか。






ウクライナ侵攻が「国際法違反」なら、ガザ侵攻も同じでは? 岸田首相は「判断する立場にない」とかわした

2023年11月9日 12時00分
 イスラム組織ハマスを掃討する名目で、イスラエル軍がパレスチナ自治区ガザへの侵攻を拡大している。戦闘によるガザ側の死者は既に1万人を超えた。過剰な報復で国際法違反だという批判が広がる中、日本政府はその評価を避けている。ロシアのウクライナ侵攻を「国際人道法違反」と断言したのとは対照的だ。二重基準の先に、安定した国際秩序があるのだろうか。(安藤恭子、山田祐一郎)

◆ロシアに対しては「断じて許容できない」

5日、イスラエル軍の攻撃を受けたパレスチナ自治区ガザ中部の難民キャンプで生存者を捜す人たち=AP

5日、イスラエル軍の攻撃を受けたパレスチナ自治区ガザ中部の難民キャンプで生存者を捜す人たち=AP


 今月1日の参院予算委員会。「イスラエルによるパレスチナ自治区ガザへの空爆、地上作戦は国際法違反か」。山添拓議員(共産)の質問に対し、岸田文雄首相は「現実の状況をしっかり確認できない立場にあるわが国として、法的な判断をする立場にない」と述べて明言を避けた。
 3日にイスラエルとヨルダン川西岸のパレスチナ自治区を訪れた上川陽子外相も同様だ。オンライン形式で記者団の取材に応じ「わが国として確定的な法的評価を行うことは控えたい」と話した。会見に先立つイスラエルのコーヘン外相との会談では「テロ攻撃」とハマスを非難していた。
 一方、昨年来のロシアのウクライナ侵攻を巡っては、岸田首相は「明白な国際法違反で、断じて許容できない」と表明。昨年4月、キーウ近郊で多数の民間人殺害が発覚した際には「罪のない市民を殺害するのは戦争犯罪だ。(ロシアの)侵略、戦争犯罪を許してはならないとの思いをわが国として厳しい行動で示していきたい」と強い言葉で記者団に語ってもいた。

◆世界で強まるイスラエルへの反発

 こうした日本政府の姿勢は一貫性がなく、イスラエルに甘い二重基準に見える。世界に目を向ければ、ガザ情勢の深刻化に伴い、国連機関や各国からイスラエル批判は強まっている。
 イスラエルの攻撃による被害は国連機関にも及んでいる。ガザで人道支援活動をする国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)職員の死者は今月7日までに89人に達した。国連のグテレス事務総長はイスラエルの空爆を「明確な国際人道法違反」と表明し、即時停戦を求めてきた。
 中東系の移民が多い南米の国々も反発し、ロイター通信によると、ボリビアは10月31日、イスラエルとの国交を断絶。コロンビアとチリはそれぞれ駐イスラエル大使を召還した。世界各地で、イスラエル批判のデモも起きている。
イスラエルとハマスの衝突で深刻な人道危機に瀕しているガザ地区。南部ラファでは食料の配給に人が押し寄せた=AP

イスラエルとハマスの衝突で深刻な人道危機に瀕しているガザ地区。南部ラファでは食料の配給に人が押し寄せた=AP


 今年先進7カ国(G7)議長国を務める日本は、外交で「法の支配」を重点事項に掲げてきた。5月の広島サミットでも、ウクライナ侵攻などを踏まえ「法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を堅持し強化する」とする首脳宣言を取りまとめた。
 今月7、8両日に東京で開かれたG7外相会合はガザの人道危機に対処するため戦闘の「人道的休止」を支持することなどで一致したが、イスラエルの攻撃が国際法違反かどうかの判断には踏み込まなかった。

◆外務省は「二重基準」ではないと言うが…

 「法の支配」を重視するなら、日本はロシア同様、ガザに惨状をもたらしているイスラエルの攻撃に対しても、もっと厳しく対応すべきではないか。「こちら特報部」の取材に対し、外務省の笹田拓志・中東1課首席事務官は「ロシアは一方的な侵攻だが、今回のイスラエルの行動はハマスのテロ攻撃から始まった点で異なる」として「二重基準」との批判に反論した。
 その上で「国際人道法に基づく一般市民の保護、とりわけ人道的な物資搬入とアクセスの確保、そのための戦闘休止が大事ということは、日本政府として一貫してイスラエルに要請してきた」と説明する。

◆子ども4200人以上が犠牲になっているのに

 そうはいっても、ロシアへの対応とは強度もスピードも差が明白だ。昨年2月24日に始まったウクライナ侵攻では、約1週間後の同年3月4日、日本などG7の外相は共同声明で、一般市民に対するロシアの継続的な攻撃を非難した。林芳正外相(当時)は同月の会見で「軍事行動は軍事目標に限定すべきだ。これに反する攻撃が行われたとすると、国際人道法に違反することになる」と指摘した。
 国際人道法は、武力紛争の際に適用される原則や規則を網羅したもの。この中でジュネーブ諸条約が、民間人(文民)の住民を攻撃対象とすることを禁じている。また、軍事目標に対する攻撃でも巻き添えによる民間人の死傷が過度となることは「無差別攻撃」として禁止されると規定する。
 イスラエル軍によるガザへの空襲や地上侵攻では、子ども4200人超を含む1万人以上が死亡したと発表されている。これらの攻撃は、国際人道法に違反するとは言えないのか。

◆あらわになった「米国追従」

 立命館大の越智萌准教授(国際刑事司法)は「個々の攻撃の詳細を分析する必要がある」と説明する。一方で「1万人を超える被害を正当化できるほどの軍事的利益というものがあり得るのかという議論がある。日本やG7には、今後、違法な行為が起きないような予防的措置や、既に起きたことの検証、責任の追及の必要性を主張することが求められている」と指摘する。
 「日本のパレスチナ情勢への態度に影響を与えているのは米国の姿勢だ。米国やG7加盟国がイスラエルの自衛権に対する支持を強固に表明しているため、独自の判断を示せずにいる」と話すのは、東大中東地域研究センターの鈴木啓之特任准教授(中東近現代史)。日本は1973年の第1次石油危機を受け、エネルギーの安定的な確保のため、中東諸国との間で欧米とは異なる友好関係を作り上げていた。だが「90年の湾岸危機や2003年のイラク戦争を機に強まった米国追従の姿勢を今回、露呈することになった」と説明する。
 「日本は、中東諸国から欧米諸国とは異なる立場を示し、独自外交を展開してくれるのではないかという期待を持たれていた」。しかし、人道目的での休戦を求める国連総会決議で棄権し、ガザへの攻撃が国際人道法違反かどうか判断を示さずにいる。鈴木氏は「期待が失望に変わりつつある」と危ぶむ。日本に求められる役割とは何か。「人道主義に基づいて人命をいかに救うのか。失われた人命に対し、武力ではなく国際的な司法の枠組みの下で公正な解決を提案することが必要だ」と強調する。

◆ご都合主義に日本国内からも批判

 イスラエル軍のガザへの攻撃を批判する動きは、日本国内でも強まっている。G7外相会合を前に、日本の市民団体6団体が6日、「即時停戦」への働きかけを求める要請文を外務省に提出。病院や学校、難民キャンプへの空爆や救急車への攻撃などについて「自衛権の範疇はんちゅうを超えた『国際人道法違反』にあたる」と主張した。
G7外相会合の記念撮影を終えた上川陽子外相(中央)と米国のブリンケン国務長官(中央左)ら=8日、東京都港区の外務省飯倉公館で(代表撮影)

G7外相会合の記念撮影を終えた上川陽子外相(中央)と米国のブリンケン国務長官(中央左)ら=8日、東京都港区の外務省飯倉公館で(代表撮影)


 提出団体の一つ、認定NPO法人「ヒューマンライツ・ナウ」の伊藤和子副理事長は「現地は深刻な状況で1日の猶予もない。国連安保理で停戦に向けた合意形成が実現しない中、G7の外相会合が行われる以上、即時停戦という力強いメッセージが必要だ」と訴える。
 「犠牲になっている人が多くいて国際人道法違反は明らかなのに、イスラエルに指摘できないのはダブルスタンダード(二重基準)以外の何物でもない」。ロシアへの態度と比較した上で、日本政府の姿勢を批判し、こう強調する。「人権侵害は、どの国で起きようとも平等に裁かれなければいけない。ダブルスタンダードが続けば、国際社会をさらに分断する」

◆デスクメモ

 ガザでの民間人被害が次々報告される中「状況が確認できず、法的な判断をする立場にない」と言われても、逃げにしか聞こえない。「どんな形で報復してもいい」という国際法の規定はない。「法の支配」を掲げるなら「法の恣意しい的運用」を容認していいはずがない。(北)

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