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徽宗皇帝のブログ

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ジンバブエの謎
ジンバブエが自国通貨の使用を停止したというニュースがあったが、そのジンバブエのハイパーインフレの根本的原因が、幾つかのまとめサイト記事を見ても今ひとつ納得できないので、探してみて、下の記事に出会った。この記事でもまだ納得するには至らないが、多くの「欧米からの情報」だけでこの問題に安易な答えを出すのは危険なようだ、という印象は受ける。

私がジンバブエのハイパーインフレを見て思うのは、第一に「貨幣経済」そのものの脆弱さであり、もう一つは「自由貿易」の陥穽というものだ。後者は「貿易依存の経済」と言い換えてもいい。つまり、ジンバブエが鎖国をしていた場合、これほどのハイパーインフレになることは可能だっただろうか、という疑問を私は持っているのである。
ジンバブエには農業資本が十分にあり、鉱物資源もある。仮に、この国が他国との貿易をゼロにした場合、(すなわち国内だけで商品の流通が行われた場合)「売る側」は、買い手がいなければ困窮するわけだから、どこかの時点で売値の高騰には歯止めがかかるはずだ。それがそうならないのは、売り手が「国外」にいた場合だけである。国外の売り手が絶対的に巨額な資本を持っていて初めて、「売らないでいつまでも待つ」ことができ、売値がどれほどキチガイじみた値段になろうと(つまりハイパーインフレになろうと)、売り手側は平気である、という事態が発生するのではないか。
それ以外の理由で、これほどのハイパーインフレが起こるメカニズムを説明できるかどうか、私は疑問に思う者である。
失業率95%というと、恐るべき混乱状態を想像するが、暴動も革命も起こっていない、という点も、私には奇妙に思える。単なる「恐怖政治」でそれが可能だろうか。あるいは、失業率95%でも国民が暮らしていけるというのは、「地上の天国」なのではないか、と私のような怠け者は想像してしまうのである。(笑)何しろ、人口のわずか5%だけが働けばいい、ということなのだから。ところで、ジンバブエの公務員は5%もいないのだろうか。そう考えると、この失業率95%という多分「欧米発」の情報も怪しいように思われるのである。

ある意味、今のジンバブエは「資本主義」と「自由貿易システム」の小さな実験室と考えてもいいのかもしれない。




(以下引用)

2013年11月5日火曜日

仕組まれたジンバブエのハイパーインフレ。独裁者ムガベの影で動く欧米、中国、北朝鮮、イランの思惑

ジンバブエは2013年1月29日、国庫金の残高がついに217ドル(20,000円)になりました。
 
ムガベ大統領の独裁政治による失策が重なり、この事態を招いたとされていますが、本当にそうでしょうか。
 
ジンバブエと言えば、独立以来33年間、ムガベ大統領が権力の座についており、ハイパーインフレがあまりにも有名になっています。
 
ジンバブエのハイパーインフレについて、一般的に言われている原因をまとめてみました。
1999年 コンゴの内紛への派兵に専念したことによって、経済、医療、教育が悪化した。

2000
年 白人農場の強制収容(白人の所有する土地を黒人に譲渡しなければならない法律)によって、白人が海外へ逃げ出した。白人が持っていた効率的な農業技術が失われたために、これまで国の経済の柱だった農業(かつてアフリカの穀物庫とも呼ばれていた)が崩壊し、食糧危機と外貨不足に陥る。部品を輸入に頼っていた工業部門にも外貨不足は影響し、経済は極度に悪化する。食糧不足とアメリカと欧米各国による経済制裁によりハイパーインフレが発生。

2007
年 国内の外資系企業に対し、保有株式の過半数以上をジンバブエの黒人への譲渡を義務付ける法案を通過させ、企業もジンバブエから撤退する。
さらに物資不足となり、物価はさらに高騰。

2007年 価格統制令(製品やサービスを強制的に安く売らせる、売らずに保管しても逮捕)を出したことで、企業は次々に倒産。
2008年 デノミ(通貨単位の切り下げ)を実施し、100億ジンバブエドルが1ジンバブエドルになる。
 
ジンバブエのインフレ率
 
2001年 132
2002年 139
2003年 385
2004年 624
2005年 586
2006年 1281
2007年 66212
2008年 355000
 
2009129日、ジンバブエドルは発行されなくなった代わりに、USドルと南アフリカランドが法定通貨として使用されるようになった。

ジンバブエ、調べるのが本当に難しい。
BCCCNNなどの欧米メディアの取材は禁止されている。
ジンバブエ側から出てくる情報の量は乏しく、質が疑わしい。

 
中立的な情報が圧倒的に少ない。
 
いろんな疑問が湧いてきました。
 
ムガベは独裁者なのか。
 
失策は意図されたものではないのか。
 
ハイパーインフレは止められなかったのか。
 
これだけ失業率と貧困率が高いのに、治安が安定しているのはなぜか。
 
失策を重ね、経済も政治も混乱させ、国民を貧困に導いたムガベが、89歳で任期5年の大統領選挙に圧勝できるのか。 
 
ムガベについて
 
ムガベ大統領は、カトリック教徒として育てられ、マリスト会やイエズス会の学校で教育を受け、17歳で教師の資格を取ります。南アフリカのフォート・ヘア大学で英語と歴史学を学び、南アフリカ大学も卒業。ロンドンスクール・オブ・エコノミクスで経済学を学びました。
1964
年に逮捕され、10年間を獄中で過ごしながら法律を勉強した。
独立後、初代首相になってからは、白人社会との融和政策を進め、「アフリカでの黒人による国家建設のモデル」と称賛されます。
白人の協力も得つつ、順調な政治運営を行いました。
教育や医療に資金を充てたことで、低い乳児死亡率とアフリカ最高の識字率を達成し、ジンバブエの奇跡として国際社会から絶賛されています。
 
そのムガベ大統領が、独裁化し、おかしな政策を推し進め、国際社会から見放されることになります。
 
金などの資源は豊富で、かつては農業、工業、鉱業のバランスのとれた国だったジンバブエが、経済破綻し、失業率95%の悲惨な国へと変わっていきました。

白人農場の強制収容をすれば、白人は逃げ出し、経済は悪化する。
 
教育や医療に資金を充てれば、低い乳幼児死亡率と高い識字率を達成することができることを知っている人間のやることとは思えません。
 
そしてもう一つ、白人が逃げ出したことで農業技術が失われて食糧不足へ陥り、物価が高騰したことについて。
 
工業分野に比べ、農業分野は多くの複雑な知識を必要とすることはありません。特別な技術を用いていたとしても、雇用主を無くした農場を、これまで農業に従事してきた黒人が代わりに運営することができなかったのでしょうか。 
 
政策とは、その効果や影響を予測し、必要だと判断されたときに施されます。
 
経済への悪影響が予測できなかったのでしょうか。
 
白人が逃げ出すことを予測して、農場運営の対策を考えなかったのでしょうか。
 
考えなかったとしても、結果は出ます。
 
その結果から、原因を理解することのできるだけの学歴と経歴を持っているムガベだと思いますが、2007年に、外資系企業に対し、ジンバブエの黒人に株式の過半数以上を譲渡するように命じます。
 
同じことをまたやったのです。
その後の価格統制令についてもそうです。
まるでハイパーインフレと経済の破綻を狙っているかのようでもあります。
しかし、豊富な資源というもう1つの外貨収入軸がジンバブエにはあったので、インフレに歯止めを効かせる方法はあったはずです。
 
ここにアメリカ、ヨーロッパからの経済制裁が加わります。

ハイパーインフレを歯止めの効かないものにしたのは、欧米各国からの経済制裁です。
ムガベ退陣を狙った経済制裁であれば、狙いは大きく外れたことになります。
「私欲のためのコンゴ派兵を止めさせること」という表向きのメッセージはあったようです。
 
派兵後、コンゴ大統領は暗殺されております。
コンゴにはムガベの妻の名義で保有している鉱山があります。

コンゴ派兵に資金を注ぎ、ジンバブエ国内の経済が悪化して国民が疲弊しているとなれば、国際的に非難される理由にはなりますが、経済制裁を加える理由があったのでしょうか。
 
安全保障理事会に経済制裁案が提出された際には、中国とロシアは「内政問題」ということで反対し、却下されました。
与党の弾圧、法案の強行、言論の制圧、国民へ向けた暴力。
 
ムガベは独裁者の定義に当てはまります。

80
年代には反ムガベ派武装勢力を鎮圧する際、市民ら推定2万人を虐殺する事件がありました。

ムガベによる弾圧のすさまじさが、人々に恐怖を植え付けているようです。
力によって民意を支配しているのです。
この人権侵害も、経済制裁の理由となっているようです。
 
前回の選挙ではムガベの退陣が争点となっており、ツアンギライが勝利する見通しが強かったものの、弾圧により、ツアンギライは出馬を辞退することになりました。
この選挙で、200人以上が殺害されています。
 
ツアンギライ首相は、ムガベの政敵として知られています。

今年、トラックに衝突され、奥さんを無くしました。
入院しているツアンギライをムガベは見舞いに行っています。
 
これまで、4度、暗殺未遂を経験しているそうですが、当然犯人は確実に殺しに来ているわけで、4度も死なずに乗り越えていることも怪しさがあります。
2013731日の選挙で、各国から不正が行われないよう監視される中、ムガベは61%の得票率で圧勝しました。

ツアンギライは大きな不正があったと主張しており、欧米もこの結果に、公平な選挙が行われていない可能性を指摘しています。
 
アフリカ連合や、南部アフリカ共同体はこの結果を指示しているようです。
 
ムガベを指示する人も確かにいるようです。
白人を嫌う人達、農地を割り当ててもらい利益を上げた人達がそうです。

殺されるのが怖いからムガベに投票した人もいると思われます。
89歳で5年の任期、過去の失策、暴力による支配、独裁を深刻な問題と考えると、ムガベには投票しないのが普通だと思います。
ハラレに住むジンバブエ人の何人かに聞きましたが、ツアンギライに投票したという人はいましたが、ムガベに投票した人には会っていません。
 
前回の選挙のように死者が出ていないことから、平和的な選挙だったことは間違いないようですが、公正な選挙であったかどうかは、突き止める方法がありません。
ムガベ=独裁者という強烈な印象がジンバブエを取り巻く情勢を見え辛くしています。

ムガベが独裁者であることは間違いないです。
 
しかしジンバブエはそれ以外の問題も抱えます。
 
ハイパーインフレの最も大きな要因は、欧米からの経済制裁です。
 
そして現在は、ジンバブエは紙幣を管理する機能を失い、USドルが流通しています。
 
これは、アメリカ経済に完全に依存させられる状態になったことを意味します。
 
ジンバブエには、金、プラチナ、クロムの他に、ウランの鉱山もあります。
 
イランとウランの取引についての密約を交わしたとの報道もあります。
 
中国との仲は良く、北朝鮮も歩み寄っています。
今も制裁を続け入国制限や、資産凍結を行っている国もあります。

標的になる理由を持った国です。
欧米、オーストラリア、中国、北朝鮮、イラク、アフリカ諸国、国内政党、、、
 
複雑に入り混じった思惑が、「独裁者ムガベ」の陰に隠れます。 
 
ムガベの行動が本人の意思によるものか、何かしらの圧力を受けているものなのかは、我々には分かりませんが、不自然さは確かにあります。
現地で最も不自然に感じるのは、治安の良さです。
失業率が高く、人々が貧困に陥った国では、国民の怒りの矛先は、政府へと向かいます。
 
デモや暴動が起きたり、モノを奪い合ったり、治安が悪化するのが自然ですが、ムガベが再選した後も、特に大きなデモなどは起きておらず、治安は良いです。
 
それどころか、ハイチや南アフリカに比べると、物乞いが圧倒的に少ない。
 
確かに物乞いはいますが、ハラレの中心部ではほとんど見かけませんでした。
 
失業者で溢れ返っている印象もありません。
 
伝え聞くジンバブエの情報と、体感的な治安のギャップに不気味さすら感じます。
真実は手の届くところにありません。
中立的な情報があまりにも少なく、答えを得ることができません。
ハイパーインフレは仕組まれた、とまで強く主張はしませんが、一般に言われているような、「独裁者ムガベがバカだった」からインフレが起きたことは否定したいと思います。



 

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