シャンティ・フーラの時事ブログさんのサイトより
https://shanti-phula.net/ja/social/blog/?p=122456
<転載開始>
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<転載開始>
山口薫・元同志社大学大学院教授は、正真正銘の経済学者で「公共貨幣」の世界的第一人者のようです。「公共貨幣」については、明日の記事で出てきます。
山口氏は、「会計システムダイナミックス」という手法を用いてマクロ経済モデルを分析してみたところ、中央銀行が信用創造でバブルを生み出したり、あるいは意図的な不況を創り出し、暴利を貪り、私たちを支配しているモデルができたようです。それを学会や米国議会ブリーフィングで指摘し、新しい貨幣制度「公共貨幣」を提案したところ、タブーに触れる問題ということで、同志社大学大学院教授を突然解雇されてしまったようです。
動画を見ていただけば分かりますが、山口氏はいわゆる"陰謀論者"だったわけではなく、「主流」を歩んでいた普通の研究者だったことが分かります。研究者が真面目に研究した結果、重大な真実に気づき、それを世に出したら職を追われる…、それでは大学の存在意義って何なのだろうと思います。
0:50
司会:それでは、今日は特別番組といたしまして、私が国家非常対策委員会の番組の中でご報告をさせていただきました山口薫先生がお越しいただきましたので、ご紹介させていただきます。
山口先生は、兵庫県淡路島のご出身で公共貨幣シカゴプランの問題の世界の第一人者でございます。また、村トピアの運動も続けておられた方です。
ただ、この公共貨幣の問題が、通貨をめぐる問題のタブーに触れる問題ということで、この研究のために山口先生は、同志社大学大学院教授を突然解雇されてしまいました。そして現在、その見直しを大学に強く求め、2回目の提訴に及んでおられます。
他方、この公共貨幣シカゴプランの問題は、1929年の大恐慌において議論されたテーマですが、2008年のリーマンショックと言われる世界金融危機以降、IMFリポートで採用評価がなされ、さらに最近はイングランド銀行でも検討されるほどのテーマになっております。まさに世界の最先端の議論と言えると思います。それでは山口先生、まず自己紹介とこれまでの研究の経緯についてご報告をお願いいたします。
山口薫先生:テレビをご覧の皆さん、はじめまして。ただいまご紹介いただきました同志社大学大学院ビジネス研究科教授の山口薫という風に、本当は紹介させていただきたいんですけれども、実は数年前に大学を追われまして、そういう自己紹介はできなくなりました。
本日は、こういうテレビに出演しないかというお誘いを受けたんですけれども、研究者として最初はちょっと戸惑ったわけです。でも私の研究成果をこういう風にして発表できるテレビ局というのはどこにもないので、思い切って招待をお受けして、ここで皆さんに研究成果をお話しさせていただきたいと思っています。
これまでの経過を簡単にということですので。私は世界のトップテンの1つだと言われているカリフォルニア大学バークレー校で数理経済学、或いは理論経済学を学びました。私が教えていただいた先生の中には、一般銀行論でノーベル賞をいただいたジェラルド ドブリュー先生、それから情報理論でノーベル経済賞をいただいたジョージ・アカロフ先生がいます。ジョージ・アッカロー先生の奥さんが現在、連邦準備制度議長のジャネット・イエレン先生です。ジャネット・イエレン先生は連銀の議長として非常に怖がられていますが、私がお会いした時のジャネット・イエレン先生は30代で非常にチャーミングで優しい方でした。
その後、カリフォルニア州立大学、それからサンフランシスコ大学、それからハワイ大学等で教鞭をとり、最終的には同志社大学のビジネススクールに招聘されたわけです。で、同志社大学ビジネス研究科で教えている時に、やっぱりビジネススクールですから、ビジネス戦略モデルをしないとダメだということで、私は複式簿記の会計システム、それとシステムダイナミックスを組み合わせた会計システムダイナミックスという新しいモデルの手法を開発して、それに基づいて企業の戦略モデルを教えていたわけです。
その過程で、この会計システムダイナミックスを用いてマクロ経済モデルを分析してみようということに思い至り、それで研究した結果、現在の貨幣制度というのは、我々が経済学部で教えていただいたものと全く違うことであると。つまり、中央銀行が無からお金を作り出して、そのお金で我々を支配していると。そういうモデルができたわけですね。そういうきっかけがこれまでの私の研究成果ですけれども。
その後、その研究成果をいろんな所で学会発表していただいたんですけれども、ある時に、ワシントンの米国議会ブリーフィングという所に招待されまして、そこでも実は私のモデルによると、今現在アメリカとか日本は政府債務で大変な危機的状況になっているんですけれども、貨幣制度を変えれば、消費税増税とかなしでも政府債務というのは解消できますという事をお話しさせていただいたわけです。
どうもそれが、世界中に広まって、日本にはああいう現在の金融システムと対立するような事をやっている研究者がいるということが知られて、それがさっきお話しさせていただいたような経過になったんではないかなと、そういう風に思っています。それがこれまでの簡単な私の研究結果です。
6:29
司会:はい。とりあえず、引き続きまして、今のお話しの中に無からの信用創造と。これは負債が信用創造の大きな役割を果たしているということだと思うんですけれど、それが今回の公共貨幣とかシカゴプランの研究の中に大きな重要な改革案として提示をされるようになってきているんだと思うんですけれど、この経済学の中の経済システムが一体どういうものなのかという事と、また、何がこの経済学の議論の中で欠けているのかということについて、簡単にご報告いただければと。
山口薫先生:はい。私が教えてもらったマクロ経済学という科目ですけれども、そこでは中央銀行というのがあって、その中央銀行が貨幣を供給していると。貨幣を供給することによって、その調整によって経済政策を運営していると、そういう風に教えてもらったわけです。
ところが、じゃあ、中央銀行というのはどういう銀行なのかというのは、一切そこでは教えられないわけですね。それを私が事実を知って驚愕したんですけれども、例えばアメリカの中央銀行と言われる連邦準備制度は100%民間所有の民間会社なんですね。日本の中央銀行と言われている日本銀行も、実は55%が政府所有と言われていますけれども、事実上、民間会社で、その証券はナスダックという株式市場で売買されているわけですね。
そういうことで、まず、中央銀行というのは、我々は政府の銀行だと、そういう風に思っていたんですけど、それは全く違って、民間会社であるということ。これにまず驚いたわけですね。
その次ですね。じゃあ、そういう中央銀行が自由に貨幣の供給をコントロールできるということなんですけれど、実は100%できないということがわかったわけですね。
じゃあ中央銀行は何をしているかと言うと、無からまずお金を作り出すわけです。どうやって作り出すかと言うと、誰かがお金を借りに来た時に中央銀行はお金を発行するというわけですね。じゃあ誰が借りに来るのかと言うと、まず政府、それから都市銀行がお金を借りに来るわけです。そういう風にして無からお金を作ることによって中央銀行自身が国債の金利とかそういう形で利子収入を得ていると。
次に、今度は都市銀行はそういう風にして中央銀行が作ったお金を元にして、今度はそのお金を準備金として中央銀行に預けて、そこからまた無からお金を作り出すわけですね。そういうことによって、都市銀行も金利を得ていると。
こういう風にして、中央銀行、民間の銀行と二重の銀行が無からお金を作って、それを経済に投入して経済を運営していると。そういうシステムであるということがわかったわけですね。
もちろん、このシステムが上手く機能していればいいんですけれども、こういう無からお金を作るという制度自身が、バブルを生み出し、またバブルがはじけて不況を作り出すと、そういう原因であるということがわかったわけですね。
実際に、1929年の大恐慌では、こういう風にして、民間銀行、中央銀行が無からお金を作り出すシステムがバブルを作って、それが崩壊して大恐慌を迎えたと。
そういうことに気がついた経済学者がいたわけです。シカゴ大学の8名の経済学者ですけれども、彼らが提案したのが、シカゴプランと言われているプランで、その内容は何かと言うと、銀行がそういう風にして無からお金を作り出してバブルを作ったり、それがはじけて不況になったりして経済を混乱させる、こういうシステムをやめましょうということを提案したわけですね。それが所謂、シカゴプランという考え方なんです。
10:10
ところがこの考え方自身は、その銀行制度から利益を得ている銀行家の虎の尻尾を踏んだという形になったので、その後、このシカゴプランというのはタブー視されてきたわけですね。それからずーっと経済学では、シカゴプランという名前は消えてしまったわけです。私もアメリカで経済学を勉強したんですけれども、シカゴプランという考え方、或いは、銀行が無からお金を作って、それで暴利を得ているという、そういう考え方は全然知らなかったわけですね。
それが冒頭でお話ししましたように、自分で実際に会計システムダイナミックスという新しいモデルの手法を開発して、それでマクロ経済のモデルを作って分析してみると、確かにそういうことが言えるということがわかったわけですね。
そういうことで、現在のシステムというのは、そういう貨幣が内政的に膨れ上がったり、収縮したりすることで、不況、好況になると。それで失業とか所得の不平等とかが出てくる。こういうシステムになっているということに気がついたわけです。
11:20
(中略)
15:30
司会:どうもありがとうございます。
元々、シカゴプランの説明は、後で質問していただこうと思うんですけど、1つ確認をさせていただきたいのは、経済学が、いろいろ議論されているものが、多分、間違った前提というか、間違った方向で議論されているんじゃないかと、古典派とか新古典派とか、アダム・スミスとか新古典派というか、今で言えばフリードマンとか、あの考え方。また、ケインズの考え方もまた間違っているという部分もあるんじゃないかと思うんですけれど、という風に、山口先生はご著書の中で書かれているんですけど、具体的にどんな所が間違っているのか、何の点が欠け落ちているのか、その点を簡単にご報告いただければと思います。
山口薫先生:まず先ほど言いましたように、貨幣を誰が作っているのか。その貨幣は中央銀行が作っているという風に教えられるんですけれども、中央銀行はそこで貨幣を制御できるという風に教えるわけですね。だから最近の日本のアベノミクスでいきますと、中央銀行が量的緩和で国債を買ってジャブジャブとお金を市中に流せば貨幣が増えるから、中央銀行が貨幣を制御できるから、それで経済が回復してくると。そういう風に教えられるわけですけれども、実際中央銀行が増やしているのは、ベースマネーと言われるその基本的な部分だけなんですね。そのベースマネーを元にして、民間銀行が信用創造して、マネーサプライというのができるわけです。
ところが、貨幣が財政的に決められるという理論に立脚しますと、日銀が準備金、ベースマネーを増やせばマネーサプライも増えていくと。マネーサプライが増えると、いずれは2%のインフレになって日本経済が活性化されると、そういう風になるわけです。
それを主張しているのは、今、日銀に集まっているリフレーションと言われる経済学者ですね。ところが1929年の大恐慌の後に、アーヴィング・フィッシャーという貨幣改革を提案した最初の著名な経済学者は、その考え方は、つまり、リフレーション理論というのは間違っているいう風に、すでに1929年の恐慌を分析して、そういう風に結論付けいているわけですね。にもかかわらず、その考え方がずっとシカゴプランということでタブー視されてきて、今で全然表に出てこなかった。そこが、今の現代の経済学の根本的なところだと思うんですね。
ところが最近、金融危機から脱却できないということで、金融資本サイドの経済学者たちもこれに代わる救済策というのは、もしかすればシカゴプランのような貨幣改革じゃないかなと、もうそろそろタブーの箱から引き出してもいいんじゃないかなというようなことを、特にアデア・ターナーというイギリスの金融庁長官が主張し始めたわけですね。
彼が主張し始めた結果、バンクオブイングランド、イングランド銀行も、実は銀行は無からこれを作っていると。それが今の不況の大元凶だという風なことを言い出したわけで、ついここ数年なんですね。それで一気に経済学の見方が崩れてかかってきていると。今はそういう状況にいるということですね。
山口氏は、「会計システムダイナミックス」という手法を用いてマクロ経済モデルを分析してみたところ、中央銀行が信用創造でバブルを生み出したり、あるいは意図的な不況を創り出し、暴利を貪り、私たちを支配しているモデルができたようです。それを学会や米国議会ブリーフィングで指摘し、新しい貨幣制度「公共貨幣」を提案したところ、タブーに触れる問題ということで、同志社大学大学院教授を突然解雇されてしまったようです。
動画を見ていただけば分かりますが、山口氏はいわゆる"陰謀論者"だったわけではなく、「主流」を歩んでいた普通の研究者だったことが分かります。研究者が真面目に研究した結果、重大な真実に気づき、それを世に出したら職を追われる…、それでは大学の存在意義って何なのだろうと思います。
注)以下、文中の赤字・太字はシャンティ・フーラによるものです。
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元同志社大学大学院教授 無からお金を作り出す民間銀行の信用創造【NET TV ニュース.報道】国家非常事態対策委員会 2016/09/07
配信元)
YouTube 16/9/7
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司会:それでは、今日は特別番組といたしまして、私が国家非常対策委員会の番組の中でご報告をさせていただきました山口薫先生がお越しいただきましたので、ご紹介させていただきます。
山口先生は、兵庫県淡路島のご出身で公共貨幣シカゴプランの問題の世界の第一人者でございます。また、村トピアの運動も続けておられた方です。
ただ、この公共貨幣の問題が、通貨をめぐる問題のタブーに触れる問題ということで、この研究のために山口先生は、同志社大学大学院教授を突然解雇されてしまいました。そして現在、その見直しを大学に強く求め、2回目の提訴に及んでおられます。
他方、この公共貨幣シカゴプランの問題は、1929年の大恐慌において議論されたテーマですが、2008年のリーマンショックと言われる世界金融危機以降、IMFリポートで採用評価がなされ、さらに最近はイングランド銀行でも検討されるほどのテーマになっております。まさに世界の最先端の議論と言えると思います。それでは山口先生、まず自己紹介とこれまでの研究の経緯についてご報告をお願いいたします。
山口薫先生:テレビをご覧の皆さん、はじめまして。ただいまご紹介いただきました同志社大学大学院ビジネス研究科教授の山口薫という風に、本当は紹介させていただきたいんですけれども、実は数年前に大学を追われまして、そういう自己紹介はできなくなりました。
本日は、こういうテレビに出演しないかというお誘いを受けたんですけれども、研究者として最初はちょっと戸惑ったわけです。でも私の研究成果をこういう風にして発表できるテレビ局というのはどこにもないので、思い切って招待をお受けして、ここで皆さんに研究成果をお話しさせていただきたいと思っています。
これまでの経過を簡単にということですので。私は世界のトップテンの1つだと言われているカリフォルニア大学バークレー校で数理経済学、或いは理論経済学を学びました。私が教えていただいた先生の中には、一般銀行論でノーベル賞をいただいたジェラルド ドブリュー先生、それから情報理論でノーベル経済賞をいただいたジョージ・アカロフ先生がいます。ジョージ・アッカロー先生の奥さんが現在、連邦準備制度議長のジャネット・イエレン先生です。ジャネット・イエレン先生は連銀の議長として非常に怖がられていますが、私がお会いした時のジャネット・イエレン先生は30代で非常にチャーミングで優しい方でした。
その後、カリフォルニア州立大学、それからサンフランシスコ大学、それからハワイ大学等で教鞭をとり、最終的には同志社大学のビジネススクールに招聘されたわけです。で、同志社大学ビジネス研究科で教えている時に、やっぱりビジネススクールですから、ビジネス戦略モデルをしないとダメだということで、私は複式簿記の会計システム、それとシステムダイナミックスを組み合わせた会計システムダイナミックスという新しいモデルの手法を開発して、それに基づいて企業の戦略モデルを教えていたわけです。
その過程で、この会計システムダイナミックスを用いてマクロ経済モデルを分析してみようということに思い至り、それで研究した結果、現在の貨幣制度というのは、我々が経済学部で教えていただいたものと全く違うことであると。つまり、中央銀行が無からお金を作り出して、そのお金で我々を支配していると。そういうモデルができたわけですね。そういうきっかけがこれまでの私の研究成果ですけれども。
その後、その研究成果をいろんな所で学会発表していただいたんですけれども、ある時に、ワシントンの米国議会ブリーフィングという所に招待されまして、そこでも実は私のモデルによると、今現在アメリカとか日本は政府債務で大変な危機的状況になっているんですけれども、貨幣制度を変えれば、消費税増税とかなしでも政府債務というのは解消できますという事をお話しさせていただいたわけです。
どうもそれが、世界中に広まって、日本にはああいう現在の金融システムと対立するような事をやっている研究者がいるということが知られて、それがさっきお話しさせていただいたような経過になったんではないかなと、そういう風に思っています。それがこれまでの簡単な私の研究結果です。
(続きはここから)
6:29
司会:はい。とりあえず、引き続きまして、今のお話しの中に無からの信用創造と。これは負債が信用創造の大きな役割を果たしているということだと思うんですけれど、それが今回の公共貨幣とかシカゴプランの研究の中に大きな重要な改革案として提示をされるようになってきているんだと思うんですけれど、この経済学の中の経済システムが一体どういうものなのかという事と、また、何がこの経済学の議論の中で欠けているのかということについて、簡単にご報告いただければと。
山口薫先生:はい。私が教えてもらったマクロ経済学という科目ですけれども、そこでは中央銀行というのがあって、その中央銀行が貨幣を供給していると。貨幣を供給することによって、その調整によって経済政策を運営していると、そういう風に教えてもらったわけです。
ところが、じゃあ、中央銀行というのはどういう銀行なのかというのは、一切そこでは教えられないわけですね。それを私が事実を知って驚愕したんですけれども、例えばアメリカの中央銀行と言われる連邦準備制度は100%民間所有の民間会社なんですね。日本の中央銀行と言われている日本銀行も、実は55%が政府所有と言われていますけれども、事実上、民間会社で、その証券はナスダックという株式市場で売買されているわけですね。
そういうことで、まず、中央銀行というのは、我々は政府の銀行だと、そういう風に思っていたんですけど、それは全く違って、民間会社であるということ。これにまず驚いたわけですね。
その次ですね。じゃあ、そういう中央銀行が自由に貨幣の供給をコントロールできるということなんですけれど、実は100%できないということがわかったわけですね。
じゃあ中央銀行は何をしているかと言うと、無からまずお金を作り出すわけです。どうやって作り出すかと言うと、誰かがお金を借りに来た時に中央銀行はお金を発行するというわけですね。じゃあ誰が借りに来るのかと言うと、まず政府、それから都市銀行がお金を借りに来るわけです。そういう風にして無からお金を作ることによって中央銀行自身が国債の金利とかそういう形で利子収入を得ていると。
次に、今度は都市銀行はそういう風にして中央銀行が作ったお金を元にして、今度はそのお金を準備金として中央銀行に預けて、そこからまた無からお金を作り出すわけですね。そういうことによって、都市銀行も金利を得ていると。
こういう風にして、中央銀行、民間の銀行と二重の銀行が無からお金を作って、それを経済に投入して経済を運営していると。そういうシステムであるということがわかったわけですね。
もちろん、このシステムが上手く機能していればいいんですけれども、こういう無からお金を作るという制度自身が、バブルを生み出し、またバブルがはじけて不況を作り出すと、そういう原因であるということがわかったわけですね。
実際に、1929年の大恐慌では、こういう風にして、民間銀行、中央銀行が無からお金を作り出すシステムがバブルを作って、それが崩壊して大恐慌を迎えたと。
そういうことに気がついた経済学者がいたわけです。シカゴ大学の8名の経済学者ですけれども、彼らが提案したのが、シカゴプランと言われているプランで、その内容は何かと言うと、銀行がそういう風にして無からお金を作り出してバブルを作ったり、それがはじけて不況になったりして経済を混乱させる、こういうシステムをやめましょうということを提案したわけですね。それが所謂、シカゴプランという考え方なんです。
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ところがこの考え方自身は、その銀行制度から利益を得ている銀行家の虎の尻尾を踏んだという形になったので、その後、このシカゴプランというのはタブー視されてきたわけですね。それからずーっと経済学では、シカゴプランという名前は消えてしまったわけです。私もアメリカで経済学を勉強したんですけれども、シカゴプランという考え方、或いは、銀行が無からお金を作って、それで暴利を得ているという、そういう考え方は全然知らなかったわけですね。
それが冒頭でお話ししましたように、自分で実際に会計システムダイナミックスという新しいモデルの手法を開発して、それでマクロ経済のモデルを作って分析してみると、確かにそういうことが言えるということがわかったわけですね。
そういうことで、現在のシステムというのは、そういう貨幣が内政的に膨れ上がったり、収縮したりすることで、不況、好況になると。それで失業とか所得の不平等とかが出てくる。こういうシステムになっているということに気がついたわけです。
11:20
(中略)
15:30
司会:どうもありがとうございます。
元々、シカゴプランの説明は、後で質問していただこうと思うんですけど、1つ確認をさせていただきたいのは、経済学が、いろいろ議論されているものが、多分、間違った前提というか、間違った方向で議論されているんじゃないかと、古典派とか新古典派とか、アダム・スミスとか新古典派というか、今で言えばフリードマンとか、あの考え方。また、ケインズの考え方もまた間違っているという部分もあるんじゃないかと思うんですけれど、という風に、山口先生はご著書の中で書かれているんですけど、具体的にどんな所が間違っているのか、何の点が欠け落ちているのか、その点を簡単にご報告いただければと思います。
山口薫先生:まず先ほど言いましたように、貨幣を誰が作っているのか。その貨幣は中央銀行が作っているという風に教えられるんですけれども、中央銀行はそこで貨幣を制御できるという風に教えるわけですね。だから最近の日本のアベノミクスでいきますと、中央銀行が量的緩和で国債を買ってジャブジャブとお金を市中に流せば貨幣が増えるから、中央銀行が貨幣を制御できるから、それで経済が回復してくると。そういう風に教えられるわけですけれども、実際中央銀行が増やしているのは、ベースマネーと言われるその基本的な部分だけなんですね。そのベースマネーを元にして、民間銀行が信用創造して、マネーサプライというのができるわけです。
ところが、貨幣が財政的に決められるという理論に立脚しますと、日銀が準備金、ベースマネーを増やせばマネーサプライも増えていくと。マネーサプライが増えると、いずれは2%のインフレになって日本経済が活性化されると、そういう風になるわけです。
それを主張しているのは、今、日銀に集まっているリフレーションと言われる経済学者ですね。ところが1929年の大恐慌の後に、アーヴィング・フィッシャーという貨幣改革を提案した最初の著名な経済学者は、その考え方は、つまり、リフレーション理論というのは間違っているいう風に、すでに1929年の恐慌を分析して、そういう風に結論付けいているわけですね。にもかかわらず、その考え方がずっとシカゴプランということでタブー視されてきて、今で全然表に出てこなかった。そこが、今の現代の経済学の根本的なところだと思うんですね。
ところが最近、金融危機から脱却できないということで、金融資本サイドの経済学者たちもこれに代わる救済策というのは、もしかすればシカゴプランのような貨幣改革じゃないかなと、もうそろそろタブーの箱から引き出してもいいんじゃないかなというようなことを、特にアデア・ターナーというイギリスの金融庁長官が主張し始めたわけですね。
彼が主張し始めた結果、バンクオブイングランド、イングランド銀行も、実は銀行は無からこれを作っていると。それが今の不況の大元凶だという風なことを言い出したわけで、ついここ数年なんですね。それで一気に経済学の見方が崩れてかかってきていると。今はそういう状況にいるということですね。
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