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徽宗皇帝のブログ

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安保条約と日米防衛指針と日本国憲法のトリレンマ(三すくみの矛盾)
「播州武侯祠遍照院」ブログ所載の「日々坦々」記事から抜粋転載。
「昭和の妖怪」岸信介を孫崎亨は評価しすぎだと思うが、安保条約に10条を入れたのはお手柄だったと言える。案外、米国自体、自分たちの「日本占領」が70年も続くとまでは考えていなかったから、気軽にこの条項を入れたのではないか。何しろ、安保締結後、60年後も自分たちが生きているかどうかも分からないのだから、その頃には安保は用済みだろうと思っていた可能性もある。それが、「日本側の懇願で」植民地状態が延々と続くことになろうとは。(笑)
なお、「日米防衛指針(ガイドライン)」が、それより上位の条約である安保の内容を大きく逸脱し、安保を「逆規定」する状態になっていることについて、「世に倦む日々」氏が興味深い指摘をしているので、それを(引用2)として転記しておく。


(以下引用)



(以下、要約&書き起こし)

オスプレイ問題で地位協定では双方が合意しない限り変えられないとの議論のあとで・・・。

53:00~

孫崎
一回安保条約を破棄すれば現行の日米地位協定も切れる。そして、新しい安保条約の下に新たな地位協定をつくればいい。
今の地位協定で米軍の配置を変えようとしても、米軍がNOと言えば何もできない。安保条約自体を一度破棄することによって、もう一度我々の意向が入った地位協定を作ることができる。

55:00~ 
山田元農相の質問
安保条約を詳しくは読んでないですけれども、あの中に破棄できるようになっているわけですね?

孫崎
そうです。

山田
どういう場合に破棄できるんですか?

孫崎
10年経ったら、通告すればいいんです。そしたら一年後に破棄できるんです。通告だけでいんです。
それを岸(信介元首相)さんが盛り込んだんです。1970年以降はもうそれでいい。岸さんの時はまだできなかった。だから、1970年以降の政治家にできるように仕組んだんだと思います。

山田
それをずっと更新されてきたわけですね。

孫崎
いや、だから今も止めると言えばいいんです。
鳩山総理が「俺は1年後にやめる」という通告をすれば終わるんです。

山田
それが一番地位協定を変えるのに早いですね。

孫崎
そうだったんです。いや、わたし今の話は、実は私の頭でわかっていたのではなくて、2日前にツイッターの人から電話があったんですよ。

「先生の本を今読んでいるんだけれども、岸さんがこういうことをやったというけれども、岸さんが10年で止めるということをいい、それが地位協定とこういう関係になっているというのを、あなた何で言わないんですか」って言われたんですよ。

私、気が付かなかったんだと・・・。だからツイッターというのはいろんな人がいろんな事を教えてくれるんですよね。

(以上、要約&書き起こし)



実は、この10条の問題というのは1ヶ月前、CNM(市民ネットメディアグループ)のメンバーで、大阪の『討論barシチズン』で討論会をやったときに藤島利久氏からの発言で初めて知ったことだった。

米国の意に沿わない政治家はことごとくパージされ対米従属が続いている、というような議論が続いている時の中で出てきた。


21:33~
藤島
日米安保条約の10条には決定的なことが書いてある。
・・・
この条約はどちら片方の国が破棄したくなったら、なんの齟齬もなく通告をし、1年後には解除できると書いてある。

だから我々は、日米安保条約の10条通告をできる、すなわち日米安保条約をいらないと発言できる総理大臣を選挙でつくる政権を樹立すればいい。

管理人
生田弁護士が言っていた、日米安保を守るために、反対する裁判長は排除され地方へ飛ばされてきた。

藤島
「原発が大関」、「横綱は日米安保条約」でそれを守る為に裁判所の仕切りを全部やられ、そのためにCIAが暗躍した。
・・・


参照:
日米安保条約
第十条
 この条約は、日本区域における国際の平和及び安全の維持のため十分な定めをする国際連合の措置が効力を生じたと日本国政府及びアメリカ合衆国政府が認める時まで効力を有する。
 もつとも、この条約が十年間効力を存続した後は、いずれの締約国も、他方の締約国に対しこの条約を終了させる意思を通告することができ、その場合には、この条約は、そのような通告が行なわれた後一年で終了する。

『日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約』(外務省HPより)


今後、自主独立をする上でも、藤島氏がいうように、この第10条を通告できる骨のある政治家を当選させ、総理大臣にして実行してもらう事でしか、真の日本の米国支配の属国として植民地としての関係に終止符を打つことはできないだる。

この条文に仕掛けを作った岸元首相も、まさか、2012年の今日に至るまで変わってないことなどは予想だにしていなかっただろう。




(引用2)「世に倦む日々」より。



発表された新しい日米防衛指針(ガイドライン)について、それを報じた4/28の朝日の1面記事はこう書いている。「今回の指針改定は(略)日米安全保障条約の事実上の改定といえるほどの内容だ。78年の最初の指針は『日本有事』、97年に改訂された指針では朝鮮半島有事を想定した。日本政府はいずれも『極東』の範囲を超えないと説明した。(略)しかし今回は、地理的制約を取り払い、『アジア太平洋地域及びこれを超えた地域』と地球規模での協力をうたった。これは安保条約の枠組みを超える内容だ」。また、2面では柳澤協二にこうコメントさせている。「前回の改定は、憲法と日米安全保障条約という枠の中だった。今回は憲法の解釈を変え、日米安全保障条約の範囲も超えている」。日米ガイドラインの報道を見ながら、特に強く気づかされたのは、今回の措置が日米安保条約の改定だということだった。このガイドラインと今国会で成立させる安保法制は、日本国憲法を改定した中身を先取りしているだけでなく、日米安保条約の改定も先取りしている。現行の日米安保条約の条文と全く無関係と言っていい、超越し拡大した日米軍事同盟の中身が埋まっている。すなわち、このガイドラインの合意と制定によって、条約は全くの紙切れになったと言って等しい。日本国憲法と同じく、日米安保条約もスポイルされた。

この点について逆の方向から注目したい。日本国憲法も、日米安保条約も、当然、政策文書であるガイドラインより上位に位置するものであり、法体系的には日本国憲法と日米安保条約に則って安保法制とガイドラインが整備、規定されなくてはいけない。そうでなくては法治国家とは言えない。この矛盾について、日本国憲法の方は改憲の政治日程が動いていて、憲法を変えて実態(ガイドライン等)に合わせるべく、法的に上位の憲法の条文を変えて整合を図ろうとしている。これは誰もが周知の事実である。さて、それでは、日米安保条約の方はどうなるのだろうか。実態と異なる条文のまま、ミイラのような姿でそのまま永久に放置しておくのだろうか。日米安保条約を実態に合わせて改定しなくてはいけないという問題は、国内では保守の論壇やマスコミでもあまり意識に上がっておらず、具体的な議論や争点になっていない。畢竟、この問題は米国がどう考えるかにかかっていて、政策主体が米国にあるから、米国に問題を預けていて、米国の言うとおりにすればいいという態度で国内では関心がないのである。国内の保守は改憲だけに集中していて、日米安保条約など気にしていない。今回のガイドラインの議論の中で、その点がホール(欠落)と思われる。実際のところ、米国は日米安保条約をどうするつもりなのか。

(以下略:続く部分は、推測的記事なので)






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