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徽宗皇帝のブログ

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戦争のできない日本から戦争のできる日本へ
「村野瀬玲奈の秘書課広報室」から転載。
大戦争は60年周期で起こされる、という説がある。その意味は、前の戦争の記憶を持つ人間が現役を退き、社会的影響力を持たなくなる頃に、再び戦争が企図される、ということだ。(もちろんこれは、戦争は「経済支配層」の意図によって金儲けのために起こされる、という考えだ。)
60年周期というのは一つの目安である。第一次世界大戦と第二次世界大戦の間にはわずか30年程度の間しかない。その一方、日本はほぼ70年の間、平和を享受してきた。
その間、欧米諸国はベトナムや中東やアフガニスタンなどでほとんどは「弱いものいじめ」の戦争をずっとやってきた(ベトナムは誤算だっただろうが)のだが、幸い日本だけは他国民の血も自国民の血も流さずに済んだのは、ひとえに「日本は憲法で戦争が禁じられているので戦争に参加できません」という口上の前には欧米諸国もしぶしぶ頷くしかなかったからだ。(お隣の韓国はベトナム戦争に参加させられ、ベトナム人の血と韓国兵の血を大量に流している。)
欧米諸国はそういう意味では「建て前」や「大義名分」に対しては弱いのである。だからこそマスコミ支配によって、まず「建て前」と「大義名分」を確立してから戦争や武力介入を起こす。その名目として「民主主義」や「自由」(を守る)という言葉が使われるのは今ではたいていの人が知っているだろう。
では、日本を戦争から守ってきたその「平和憲法」が失われれば、あるいは実効性を失えばどうなるか、ということは自明だろう。日本を「戦争のできる国」にすれば、日本に戦争をさせる指令がどこか(宗主国の大統領とは限らない)から出てくるだけの話だ。
安倍一派がけっして言わないのが、そのことである。



(以下引用)



●時事ドットコム
目前に「引き返せぬ地点」=集団自衛権に警鐘鳴らす-作家・半藤一利氏に聞く
http://www.jiji.com/jc/zc?k=201406/2014061400207
2014/06/14-16:07

インタビューに答える作家の半藤一利氏=10日、東京都世田谷区

 国民の懸念が広がる中、集団的自衛権行使のための解釈改憲に突き進む安倍晋三首相。作家の半藤一利さん(84)の目には、今の日本と太平洋戦争へと至った戦前の様子が重なって見える。「昭和史の語り部」に、歴史からくみ取れる教訓を聞いた。

 ◇言論統制「昭和のまね」

 -特定秘密保護法、集団的自衛権をめぐる解釈改憲など、安倍政権下で日本の進路に関わる政策が次々と打ち出されている。

 「安倍さんは『国家のかたち』を変えるための三本の矢を用意したんだと思う。第一の矢は、(改憲発議の要件を緩める)96条を改めての憲法改正。しかし、これは国民の総スカンを食ってできなかった。そこで第二の矢が特定秘密保護法。これで安倍さんは言論の自由に対する縛りを握った。第三の矢が解釈改憲で、これが実現すると、憲法9条が完全に空洞化されることになる」
 「軍国主義へとひた走った昭和の時代でも、軍機保護法という法律で、権力者はまずメディアを抑え、国民が自由に発言できなくなる方向に持っていった。ああ、昭和のまね、昭和に学んでいるなと思いましたね」

 -秘密保護法でメディアが沈黙すると?

 「(安倍政権は)なにもメディアを弾圧しようなどとは思っていない。秘密保護法を厳しく適用するという脅しをかける。あるいは、たった1人の記者を不当な取材という法律違反で引っ掛ける。それだけで昭和でもそうだったように、メディアは自制し萎縮してしまう。それが権力者が望んでいること。戦前と同じ構図です」

 -歴史には、状況が引き返せなくなる「ノー・リターン・ポイント」がある、と著書で指摘しているが。

 「公明党が自民党に屈して解釈改憲となったら、次に安倍さんは、自衛隊を軍隊にするための法律を出してくるでしょう。自衛隊法改め国防軍法。そこまでいけば、ノー・リターン・ポイント。それで戦争ができる『普通の国』になる」

 -なにゆえ首相は解釈改憲に前のめりなのか。

 「なぜそんなに急いでいるのか、私も不思議でしょうがない。憲法を変えたい人たちに、何か強い妄想があるのか…。ただ、憲法改正という本丸を見せずに最初はデフレ脱却に取り組み、国民の警戒心を解き、そして一の矢、二の矢、三の矢と段階を踏んで急速に進めてきた。安倍さんの周りにいる知恵者が、相当研究しているのは間違いない。私たちは、油断しすぎたのかもしれない」

 ◇消えぬ攘夷の思想

インタビューに答える作家の半藤一利氏=10日、東京都世田谷区

 -戦前は国民の間にも戦争を望む気持ちがあったと書いているが、今の日本はどうか。

 「まだないんじゃないか。ただ、近代日本の国家建設の原動力は尊皇攘夷(天皇を尊び、外敵を撃ち払うこと)なんですよ。ところが薩英戦争などで敗北し、『いずれ攘夷をするから開国せざるを得ない』と方針を変えた。じゃあ攘夷の思想が日本人から消えたかというと、消えてはいない。外圧が加えられると、攘夷の思想が芽を出す。いち早く自分の心の中で芽を出した人々が安倍さんを応援しているんでしょう」。

 -日本社会で政権の意向を過剰に忖度(そんたく)する風潮が出てきたという指摘もある。

 「いつの時代もそうです。『国家のやることは間違いない。それに反するのは非国民だ』と言う人たちは必ずいる。昭和も、憲兵がどうの、警察がどうのというよりもむしろ、国民同士でやっていた。隣組の中で『あいつは非国民だから配給は教えない』と。ボヤボヤしていると、また『一億一心』になってしまう。私が勤務していた文芸春秋でも昭和15年ぐらいから神がかりになって、批判的な人は満州の文春に飛ばされた。社内ではみそぎをやり祝詞を唱える人間もいたらしい」
 「戦前と違うのはまだテロが始まっていないこと。ただ、ネット右翼とかヘイトスピーチは言論へのテロ。そう考えると、テロは始まっているのかもしれない」

 -日本の国防をどう考えるか。

 「日本は真ん中を山脈が貫く細長い国で、日本人はみんな海側に張り付いている。海岸線はアメリカより長く、この国を守ろうとしたら、ものすごい数の兵隊が要る。しかも海岸線には原発が五十何基もあり、ミサイル1発撃ち込まれたら誰も住めなくなる。地政学的に見て最も守りづらい国。だからこそ戦争を起こさないように真剣に考えないといけない」

 ◇日本への信頼「最大の国益」

 -日本の指導者に言いたいことは。

 「戦争っていうのは、いかに残酷で悲惨であるか。私のように体験した人には分かるんだけど、それを言葉で正確に伝えられないのがね…」
 「昭和の初めから10年代の日本の指導者は、政治家でも軍人でも官僚でも、日露戦争の悲惨さを知らず、(戦勝の)栄光だけを背負っていた人ばかり。今の日本のトップも、太平洋戦争の悲惨を知らず、日本は優秀だったという栄光を取り戻そうとしている。そうなった時に、国家というのは大国主義でぐんぐん動くんですよ」
 「だからといって、絶望しちゃいかんのであってね。70年間も平和国家であったのは日本人のすごい努力。それに対する国際的信頼というのは、日本の最大の国益ですよ。どこの国に行っても、日本人は殴られもしなければ、標的としてテロに巻き込まれることもない。それなのに、人のけんかを買って出る権利(集団的自衛権)を持って、アメリカの手先になって、その国益を捨てることはない。そう私は思いますね」(聞き手=時事通信編集委員・芳賀隆夫)。 

◇半藤一利氏略歴
 半藤 一利氏(はんどう・かずとし) 東京生まれ。84歳。東京大文卒。文芸春秋に入社し、月刊文芸春秋編集長、専務取締役を経て著述に専念。日本近現代史を研究し、「昭和史の語り部」として旺盛な執筆活動を続ける。著書に「日本のいちばん長い日」「昭和史」「あの戦争と日本人」など。(2014/06/14-16:07)

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