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徽宗皇帝のブログ

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新国富論 3
3 なぜ日銀は通貨供給量を増やさないのか

以上述べたように、日本国民の経済状態を改善するには、通貨供給量を増やせばいい。では、日銀はなぜ通貨供給量を増やさないのか。
そこで話は再び基本にもどる。現在の日本には、流通すべき通貨の絶対量そのものが足りないことは確かだ。だから、その分を増やしてもインフレにはならない。これも確かである。現実にインフレにはならないが、しかし、金の価値の低下はやはり生じるのである。それはそのはずで、700兆円の通貨量が1400兆円に増えれば、お金の価値は当然、半分に下がるはずである。もっとも、これは実体的な低下ではない。現在、金を所有している人々にそう感じられるというだけの、幻想的な価値低下なのである。簡単なたとえをするならば、親の手伝いをして500円のお小遣いをもらって喜んでいたら、そこに弟がやってきて、「お前にも500円やろう」ということになった時の、兄の気分である。自分が500円もらったことに変わりはなく、自分は何も損はしていない。でも、何となく損をしたような気分なのである。それが、通貨供給量が増える時の、お金持ちたちの気分だ。
実際に、通貨供給量を増やすことで、多少のインフレも生じるだろう。それが、日銀が通貨供給量を増やさない理由である。つまり、現在の金の所有者たちの損になるから、通貨供給量を増やさないということだ。
日銀は政府機関ではない。民間の機関にすぎない。ならば、その経営者が勝手に円を印刷して、自分の懐に入れるという犯罪があるのではないか、と思う人は多いだろう。だが、そうではない。なぜなら、お金の価値はお金の総量が制限されることで決まるため、すでに大金を持っている人たちにとって大事なのは、持ち金を増やすことではなく、お金の価値を維持することなのである。
もっとも、金融資本家の親玉たちが、意図的に大恐慌を起こして、それによって一気に産業資本の独占をはかる場合、その前段階として金融緩和を行うことはある。つまり、バブルを起こした後、金融を引き締めることで、多くの企業を倒産させ、その資産や経営権を手に入れるのである。その際に、銀行は預金の支払いを拒否することで、預かった金を強奪することもできる。つまり「恐慌だから仕方がない」ということになるのである。見かけ上はその銀行も倒産するが、もちろん、それは偽装倒産であり、その銀行の金は誰かの懐に安全に収まっているわけだ。

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