忍者ブログ

徽宗皇帝のブログ

徽宗皇帝のブログ

新国富論 9
9 国富とは何か。

 ある中国の古典の中に、「政府がいくら金があっても、国民が貧しいなら、それは豊かな国ではない」という趣旨の言葉があったが、私がここまで論じてきたのも、結局はそれに近いことだ。ただし、それに加えて、「国民のわずかな一部だけがいくら金を持っていても、国民が全体として貧しいなら、それは豊かな国ではない」という言葉も入れよう。
 たとえばアメリカは世界一の貧乏国とは言えないまでも、国民の多くが貧困ラインにいるという点では、相当な貧乏国なのである。かつてのアメリカの繁栄を知る者は、なぜアメリカが今のような状態になったのか、信じられない思いがするだろう。
だが、1960年代の繁栄の前に、1930年代の大不況と貧困の時代がアメリカにもあったのである。その大不況の反省から、アメリカは投資銀行と貯蓄銀行の分離を行い、金持ちのマネーゲームが庶民生活に影響を及ぼさないようにした。その結果、金持ちは他の金持ちから奪う以外に資産を増やす手段がなくなり、金融が庶民生活を破壊することはなくなったのである。そして、高い累進課税と高い労働分配率によって、庶民の資産はどんどん上昇した。これが1960年代までのアメリカの繁栄の原因である。だが、レーガン以降の(民主党大統領も含め)ほぼ全大統領による金持ち優遇政策により、労働分配率はどんどん低下し、庶民の税金は上昇し、その一方で金持ちの資産は数倍に膨れ上がった。これが現在のアメリカの貧困の姿である。
 要するに、国富の総量は決まっているのである。したがって、政治と経済の課題は、その分配をいかにすれば、国民が全体として幸福になるかということなのである。これはべつに共産主義の勧めではない。ほとんどの企業人は強欲という病に犯されている。それが政府や法律まで味方につけたなら、国民の大半が貧困のどん底に陥るのは当然だということなのである。
 幸いなことに、世の中には金持ちより貧乏人が圧倒的に多い。これは何を意味するかと言えば、彼らが選挙での投票の権利を正しく使えば、今の状態を変えることは簡単にできるということなのである。口先だけではなく、実効性のある庶民のための政策を主張する政治家に投票することで、今の状態は変えられるのだ。
 そういう、投票の威力を前回の衆議院選挙で国民はやっと分かったはずだ。後は、現在の世の中の不合理や不平等、不公平がどこに起因しているかについての理解を国民一人一人がすることである。
 この一文も、そのための一助になれば幸いだ。
                            2010年4月12日
  

拍手

PR

コメント

コメントを書く