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●　日銀10月決定会合も「緩和維持」 欧米中銀は連続大幅利上げ 　円安が続くなかで、日本銀行は10月の政策決定会合でも緩和政策を続けることを決めた。 【この記事の画像を見る】 　前日には欧州中央銀行（ECB）が2会合連続で0.75％利上げを決め、米連邦準備制度理事会も11月FOMC（連邦公開市場委員会）で、4会合連続での0.75％利上げを決めた。 　物価上昇で主要中央銀行が利上げを加速させる中で、2013年春から日銀が2％物価目標を掲げて始めた異次元緩和は、9年半を経てもまだ続けられることになっている。 　異次元金融緩和とは、そもそも何を目的としていたのだろうか？ 　表向きの目標とされたのは、物価上昇率の引上げだ。それを実現する手段として、国債を大量に購入することとされた。 　ここには、二つの問題が言われてきた。 　第1は、「なぜ物価上昇率を2％にするのが望ましいのか」だ。そして、第2は、「国債の大量購入が、どのようにして物価上昇を実現するか」だ。 　世界の中央銀行と日銀の政策運営の際立つ違いを考えると、そもそも異次元緩和の「本当の目的」は違うところにあったと考えざるを得ない。

●　国債の購入や「期待」で 物価が上がるメカニズムは不明 　まず、第1の物価目標についてだが、他国の中央銀行も、物価を目標としている。 　それは、「物価上昇率が高いことと、失業率が低いこと（その意味で、経済が活性化すること）が相関する」という関係（「フィリップス・カーブ」）が見られるからだ。 　しかし、日本で物価が本当に目的とされたのかどうかは大いに疑問だ。 　なぜなら、日本では、「フィリップス・カーブの死」と言われる現象が見られるからだ。つまり、景気の状況によって失業率は変動するが、物価は上昇しない。 　日本銀行も、そのことは先刻承知だ。だから、「物価が上がれば経済が活性化する」と単純に信じていたとは思えない。本当の目的は、物価とは別のものだったと考えざるをえない。 　第2の、目的と手段の関係はどうか？ 　異次元緩和の政策手段は、国債の大量購入だが、これが、いかなるメカニズムを通じて、物価上昇につながるのかについて、はっきりした説明はされてこなかった。 　多くの人が想像したのは、「国債購入によってマネーストック（貨幣供給量）が増大し、それが貨幣数量説的なメカニズムを通じて物価を引き上げる」ということだったろう。 　しかし、国債購入で増えるのは、民間銀行が日銀に保有する当座預金の残高だ。これは、マネーの元ではあるが、マネーではない（マネーは銀行などの預貯金と政府貨幣。この点については、実に多くの人が誤解している）。 　実際、市中のマネーの残高は当座預金残高ほど顕著には増えなかった。 　日銀は、物価目標を掲げて金融緩和を続ければ人々の期待が変化し、それによって物価が上昇するという説明もしている。しかし、「期待」などという捉えどころのないものに本気で依存しようとしていたとは考えられない。 ●　「本当の目的」は、 金利引下げと円安 　こうした疑問は、「異次元金融緩和の目的は、物価ではなく、別のものだった」と考えれば、氷解する。 　別のものとは、「金利」である。 　長期金利を低下させることによって、財政資金の調達を容易にする。さらに、外国との金利差を拡大し、円安を引き起こして、企業の利益を増加させ、株価を上昇させる。 　これが、異次元金融緩和の本当の目的だったと考えられる。