韓国の恐ろしい政治対立は、政権与党である保守財閥の支持を受けた「国民の力」と、北朝鮮の影響を受けた「共に民主党」との対立軸で推移している。
 「共に民主党」の支持者は、韓国警察、検察、裁判所など司法にも完全に食い込んでいて、ユン・ソンニョル大統領を違法に逮捕し、拘束して、共に民主党の大統領候補である、イ・ジェミンを無理矢理大統領にするため、起訴を意図的に遅延させているなど、不正司法行為を繰り返して、合法を装ったクーデターによる政権転覆を行っていると多くの人が認識している。

 戒厳令発布当時の世論調査では、与党「国民の力」の支持率は20%近くに落ち込み、野党「共に民主党」の支持率は昨年11月に26%だったものが、12月のユン大統領による戒厳令騒動直後は、47%近くに上がった。
 逆に与党は、支持率が10%台まで落ち込み、「勝負あった」かのように思われた。

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 ところが、野党「共に民主党」の選挙不正や司法慣習を無視した、不法で強引なユン政権への弾圧「クーデター」の実態がSNSで広く知られるようになり、支持率が逆転して、1月20日現在、野党が30%、与党が37%になり、野党「共に民主党」が北朝鮮と密接な関係を持った一種のスパイ団体(内乱目的の)である事実が、広く韓国民に知られることになった。

 またユン戒厳令を批判して集まった団体のうち、相当数が中国人であったことも暴露された。中国政府がデモへの参加を禁止した途端、戒厳令デモが雲散霧消してしまったのだ。
 ただ、韓国の国家権力である、警察・検察・裁判官の多く、軍隊の多くが、まだ野党の影響下にあって、このまま与党「国民の力」が完全に盛り返せるかは不透明だ。
 こうしたクーデターでは、最後に軍事組織の意思決定がものをいう場合が多い。

 なぜ、これほど、韓国でもの凄い対立が起きて、野党の力が強いのか? については、はっきりした理由がある。
 それは李承晩・朴正熙・全斗煥・盧泰愚ら保守系軍事大統領が、もの凄い民衆弾圧と大虐殺を繰り返したからだ。

 李承晩は、いきなり李承晩ラインを設定し、島根県漁民4000名を寒冷地獄の収監施設に長期間拘置し、日本人漁民50名近くを殺害するとともに、自国民の左派民衆運動を弾圧し、400万人以上の犠牲者を出したといわれる。
 https://www.youtube.com/watch?v=D0Qbk19X9y4
 https://www.youtube.com/watch?v=ppja_j4s4vU&list=PL56F078EDCCD3B729
 https://www.youtube.com/watch?v=3E7mVbdzs0c

 李承晩がアメリカに逃亡してからも、後継大統領である朴正熙が左派民主運動を残虐に弾圧する姿勢は変わらなかった。そして全斗煥と盧泰愚は、軍隊出身で、ベトナムに派兵された将軍として、ベトナム民衆を大虐殺した司令官でもあった。
 ライタイハンを産んだのは、全斗煥だったといってもいい。
  https://vjpug.mydns.jp/wiki/?%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%80%E3%82%A4%E3%83%8F%E3%83%B3

 彼ら、保守派の大統領は、韓国国民に対しても残酷な恐怖政治を敷いた。
 当時、日本から帰国した在日子弟に対しても、理由にならないような言いがかりをついて逮捕し、たくさんの若者たちを死刑に処した。
 この頃、民衆は、もしも体制に異を唱えれば、たちまち行方不明になってしまう強烈な軍国独裁政治のなかに逼塞していた。

 韓国民衆が北朝鮮の影響下にある自称左派政治家を支持している最大の理由は、李承晩以来の恐怖政治、大虐殺の記憶にあった。
 李承晩や朴正熙、全斗煥らが韓国民衆に対して何をやったのか? 今の50歳以下の人々は、体制教育において、ほとんど何も知らされていないが、だからこそ、密かに民衆に虐殺の記憶が深く伝えられてきた。

 私は1980年くらいからアマチュア無線で、韓国の人々と交信したが、当時、まだネイティブ日本語で会話できる人が多かった。古い韓国人の多くが、日本に郷愁を抱いていた。私は隣人と話すように、韓国人と話すことができた。
 日本軍や総督府は、朴正熙や全斗煥のような残虐な弾圧をしなかったからだ。

 ユン・ソンニョル大統領は、そんな保守派の伝統の上にいる。だから、彼個人が、どれほど正義を主張しても、過去の保守派の大虐殺を明るみに出して自己批判し、総括するまでは、韓国民衆の多くが暗い記憶のなかで保守派を見てしまうのだ。
 だから、「共に民主党」が北朝鮮のスパイと報道されても、大虐殺・大弾圧の時代が戻ることを恐れて、野党を支持する結果になっている。
 日本人は、保導連盟事件のような凄まじい政権による大虐殺を経験していないので、韓国民衆の心の奥底にある「保守派への恐怖」に共感できないのである。

 そもそも、韓国のような儒教国家では、身分序列を秩序の基幹に置いていて、民主主義が育たない。序列が上の人間に無条件に従い、下の人間を無条件に見下すという価値観が定着してしまう。権力者ほどそうだ。
 だが、底辺の民衆は、感覚的に序列主義を嫌う人が多く、私が1970年代に仕事をさせてもらった在日韓国人の解体屋では、本当に心の優しい、思いやりのある人たちばかりという印象だった。彼らに対する悪い印象は、まったく持っていない。

 この人たちは、保導連盟事件などの弾圧から逃げて、密航で日本に逃げてきた人が多い。在日者の数は、1910~1945年だけで、実に300万人に上る。公称は210万人だが、日本が朝鮮を併合してからは、国境の壁が消えたので、密航など自由自在だった。
 李承晩、朴正熙時代の弾圧から逃れて日本に密航した人も、数万人以上に上る。
 彼らは、戸籍・住民票がとれなかったので、結局、在日者コミュニティの強力な関西地区に潜入し、釜ヶ崎などに住み、日雇い労働で生計を立てていた。
 吉村洋文が追放したアイリンセンターの住民は、彼らだった。

 そもそも、韓国特有とも思われる政治闘争は、儒教の属性ともいえる。
 朝鮮史というのは、世界でもっとも激しい政治闘争史であり、それは国家存亡よりも価値の高い問題だった。
 朝鮮史を顧みれば、まるで「共に民主党」と「国民の力」が続けてきた党派闘争と瓜二つの争いが延々と繰り返されている。

 韓国は、古くから中国王朝の冊封国家であり、中国の属国としての地位を容認してきた。李朝は600年前に成立しているが、それが崩壊したのは日清戦争の頃だ。
 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9D%8E%E6%B0%8F%E6%9C%9D%E9%AE%AE

 日清戦争は、西洋帝国主義列強が東アジアを領土化しようとする野望に対して、日本が立ち向かう構図のなかで起きた。
 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%97%A5%E6%B8%85%E6%88%A6%E4%BA%89

 李朝内部では、日本に与する開化派(独立党)と、清国の冊封下、庇護によって国を守っていくべきだと考える守旧派(事大党)との間で激しい対立が起きた。
 この争いのコピーが、まさに、現在の韓国政局であるともいえる。
 福沢諭吉の脱亜論そのままだ。
 https://www.jca.apc.org/kyoukasyo_saiban/datua2.html

 1897年に書かれた福沢諭吉の朝鮮論は、「約束は無効であると覚悟せよ」と締めている。まさに、今の韓国は100年前とまったく変わっていないことを意味している。
 というより、この独善とナルシズム、自尊心こそ韓国儒教の本質なのだ。
 https://www.news-postseven.com/archives/20180416_657811.html?DETAIL

いったい、この独善(ルールを無視するひとりよがり)は、どこから来ているのかといえば、序列主義のなかで「自分はエライ人間だ」と思い込む奇っ怪なナルシズムから来てると私は思う。
 「自分たちは絶対に正しい」という確信があって、他人からの助言は一切耳に入らない。

 強烈な自己承認の独善どうしが争うのだ。そこには問題解決や歩み寄る糸口さえ存在しない。
 儒教では、正誤を判定する論理というのは、「序列と起源」である。合理性では絶対にない。どちらが序列が上か? どちらの起源が正当か? 延々と主張しあうのだ。
 それだけ、自己承認と自分に対する優越感が凄まじいのである。

 ぶつかっているのは、強烈な優越感なのだ。それを否定されたなら、生きている根拠さえ失うのだから、結局大虐殺の結末を迎えるしかない。
 私は、こうした党派闘争のニュースを見ていて、「既視感」がある。
 どこかで見た風景なのだ。

 それは、今から半世紀前、私がベトナム反戦の志を持って上京し、たくさんのデモに参加したのだが、新宿や日比谷公園などの集会に参加すると、赤や白のヘルメットを被った若者で溢れていた。
 そして、私の目の前で、竹槍のような旗竿を槍衾のようにしてぶつかりあって、大怪我をしている者もいた。

 私は、砂川の反戦塹壕という運動拠点に行ったのだが、そこでもヘルメットを被った党派がいて、集会のたびに、とんでもなく独善的な要求を連ね、主導権を握ろうとしていた。
 私は、内心、「これほどの馬鹿がいたのか!」と驚愕したのだが、それを口に出せば、瞬時に暴力的に攻撃されるから黙っていた。
 独善で無謀な要求が満たされることが、自己承認要求を満足させるものであって、本当はベトナム反戦など、何一つ考えていないようにさえ思えた。

 結局、党派というのは何かといえば、それは自己承認要求であり、ナルシズムであり、優越感の自己満足であった。
 政治的に何かの意味があり、ベトナム反戦に貢献できているかといえば、彼ら自身、そんなことは一つも考えていないのではないかと思った。
 そして、市民運動の仲間まで、愚かな党派主義に洗脳されていったのを見た。

 その姿は、今韓国で起きている党派闘争と、本質的に何ら変わりがない。
 いずれも、優越感、自己承認要求のぶつかりあいだけだ。
 私は、こうした政治闘争は、結局、経済と軍隊を味方につけた者が勝つと思い、共に民主党が北朝鮮の支援を受けていても、長い目でみれば保守系の優位は動かない。
 イ・ジェミンが大統領になることに成功しても、すぐに転覆させられ再び、保守系が優位な地位を築くにちがいないと思う。

 それでも、保守系が過去の同胞大虐殺に対する自己批判を明確にしないかぎり、いつまでも左派の火種はくすぶり続け、ときに大きな火災や大爆発につながるに違いない。
 韓国の民衆は、財閥政治に心底嫌気がさしているのだ。財閥政治の上に立つ「国民の力」に対する憎悪は、決して消えることはない。

 だから、これからも、韓国は延々と戦いの渦に放り込まれるだろう。韓国に本当の民主主義が成立するためには、財閥政治が消えてなくならなければならない。
 今の、ユン・ソンニョル政権が復活に成功したとしても、共に民主党が韓国から追放されたとしても、財閥と大虐殺の歴史が批判されないかぎり、韓国が正常化することはない。

 これから韓国には、歴史上最悪の経済破局が訪れる。サムソンをはじめとする財閥は経済的基盤を失ってしまう。
 韓国では、ホームレスと餓死者が激増し、まるで北朝鮮のような社会になってしまうだろう。
 北朝鮮では、金王朝が崩壊し、金正恩も残酷に殺害されるだろう。朝鮮半島はまさに地獄になる。

 宜保愛子が予言したとおりだ。(この発言で、韓国出身の電通の成田豊天皇が激怒し、宜保愛子をメディアから永久追放した)
 日本でも、統一教会の影響を受けている人々が地獄に墜ちてゆく。
 凄惨な地獄の荒野のなかで、本当の民主主義朝鮮が再興されるしかないのだろう。