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徽宗皇帝のブログ

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消費税論議の基本的理解
「ギャラリー酔いどれ」所載の「マガジン9」の荻原博子インタビュー記事の一部である。経済学者ではあるが、御用学者ではないようだ。消費税問題の論点を明確に説明している。財務省官僚や自公政権の「消費税増税が必要」という主張に対し、「消費税増税が不適切である」理由がよく分かる。特に、北欧との比較がインチキであることの説明は分かりやすい。

(以下引用)


消費税をめぐる政権の発言の前提は、常に「選挙」

――荻野先生ご自身は、
  10月の消費税10%への引き上げは適切と思われますか。

荻原 私自身は、多くの世帯が家計に苦しんでいる現状では、
   消費税の増税は適切でないと考えています。
   黒田日銀総裁や菅官房長官は、13年のアベノミクス開始以降、
   「景気は緩やかに回復している」と言い続けていますけど、
   6年間も「緩やかな回復」を続けていたら、
   今は結構、好況なはずですよ。
   しかし実際には、14年の消費税8%への引き上げ以降、
   消費はシュリンクして景気は右肩下がり。
   アベノミクスによる格差拡大で富裕層は一層豊かになる一方、
   一般世帯の家計は厳しくなるばかりです。
   多くの人が消費を控えざるを得ない現状ですから、
   消費税増税なんて とんでもない話です。

――確かに消費者としては、消費税引き上げ後の生活に
  大きな不安を抱きます。一方で気になるのが国債残高など、
  国の借金です。その金額は1千兆円以上ともいわれるなか、
  将来世代へ負担の先送りをしないためにも、
  消費税増税はやむをえない との意見もあります。

荻原 国の借金が1千兆円以上あるから、
   「日本の先行きは真っ暗だ」という人もいますけれど、
   年間約500兆円(実質GDP)を稼ぐ日本の屋台骨は
   そんなにヤワじゃありません。
   今の日本の財政状況を分かりやすく例えるなら、
   「衰退しつつある老舗商店」というところでしょうか。
   右肩下がりには違いないのですが、昨日今日、
   成り上がった新興国ではありませんから、底力もあるし、
   国際的な信頼もある。
   対外純資産残高も340兆円(18年末時点)と、
   世界最大の純債権国の地位を28年間キープしています。
   考えてみてほしいのが、約1千兆円の国債のうち、
   4割超を保有しているのが日本銀行だということです。
   健全な状態と言い難いのは確かですが、
   国が中央銀行に借金をしているのですから、
   親会社が子会社に借金をしているようなもの。
   日銀保有の国債に限っては、60年の償還期限を
   100年に延長するとか、借り換えを続けられるような仕組み
   をつくるとか、いくらでも手の打ちようはあるんです。

――ただこの先、少子高齢化の進展によって社会保障費が増えるから、
  財源確保には消費税増税が必須だ と主張する声も根強いです。

荻原 社会保障費のことを考えるのなら、増税の前に、
   まずはムダを省くことが先決のはずです。
   国が国民の同意もなく1基100億円のミサイルを購入する
   ようなお金の使い方をしているのに、どうして
   国民が負担増を受け入れなくてはいけないのでしょうか。
   消費税と社会保障費について語る時、
   「北欧に比べて日本の消費税率は低い」と主張する人がいます。
   確かに、福祉国家として有名なスウェーデンの消費税率は25%で、
   日本よりずっと高率です。
   しかし、国民がこの税率を受け入れているのは、
   医療や教育、介護などにかかる費用を、ほぼ国が負担してくれる
   からこそ。日本でも、増税したら社会保障サービスが良くなる
   と信じている人は多いようですが、増税によって増えた税収が
   どういう使い方をされるか、具体的な議論はほとんどされていません。
   税率だけを比較して、「他国より低いから上げるべき」
   といった議論はナンセンスです。
   国債残高にせよ、社会保障負担にせよ、
   「消費税増税の根拠」としてもっともらしく主張しているのは誰か
   といえば、消費税を政争の具として扱い、最善のタイミングで
   「増税延期」のサプライズカードを切りたい政権や、
   消費税増税を悲願とする財務省の人たちでしょう。
   結局彼らは、己にとって都合のよい情報を、都合のよい角度で
   国民に提示して、「消費税増税は 既定路線」とのイメージを
   植え付けたいだけなのです。
   残念ながら、そこからは
   国の財政健全化に真剣に取り組む姿勢は見えてきません。

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